食旅と観光まちづくりセミナー記録
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買う食と農業の将来

 

Mさん

 三重県から来ました。

 安田先生にお聞きしたいのですが、買う食と、いま農業側から観光にアプローチしようとしていますが、その将来像はどうでしょうか。

 地域にとっては、これから一次産業、二次産業が重要になってきますし、そういう視点から買う食をどう考えれば良いかを教えて欲しいのですが。

安田

 買う食はこれからもっと伸びていくと思います。

 大阪や東京のスーパーでも新鮮なものが買える時代ですが、現地で買ったほうがより新鮮です。ただ交通費を考えれば安いという訳ではありません。それでも買いたい物があるのです。そのうえ壁になっていた高速料金が安くなっているので、どんどん伸びていくと思います。

 そのときのテーマは地元の新鮮なもの、旬のものです。

 もうひとつは目の前でつくっているものということです。たとえば小田原に行くと鈴廣のかまぼこを死ぬほど買って帰ります。はっきり言って東京のデパートで鈴廣のかまぼこが売っていないところはないし、かまぼこの新鮮さなんてたいしたことはないと思いますが、目の前でつくっているところを見たら、やっぱり買ってしまう。

 つくっているもの、目の前でできたものを買うのはとても嬉しいし、それが食卓での会話に繋がると美味しさの一つになるということなんです。「デパ地下で買ってきたよ」というのと、「小田原で買ってきたよ」というのでは違うのです。

 食というのはこのように会話を呼び起こしやすい物なので、付加価値をつけやすいのです。

 新鮮、採れたて、出来たてということがあるから、遠くから買いに来るということは昔から分かっていたんですが、今までは農業者や漁業者が熱心ではなかったわけです。それが最近変わってきた。農業者や漁業者が旅行者に関心を示すようになってきたのです。

Mさん

 作っているだけでは限界があるというところまで来ています。

安田

 だから、じゃあ直接、旅行者に買ってもらおうよということになって、ファーマーズマーケットや道の駅での販売が盛んになり、農村レストラン、観光農園などという形で、農家の人たちが不得意な分野、旅行者にアプローチし始めているところだと思います。

 そこで、間に入ってくる旅行会社の人たちや行政がどう動くかも、注目点です。

Mさん

 行政が、ですか。

安田

 入ってくるかもしれないし、ほうっておくだけかもしれません。

前田

 どうも今日は有り難うございました。

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