(このようなまちのつくられ方からは、 尼崎及び、 神戸市西部は阪神間とはいえない。
)
〈阪神間はセミプロ-B級文化のまち〉
甲子園、 宝塚歌劇等の遊芸空間は自分達が楽しむために、 自分達でつくり育てて来たものであり、 甲子園はアマの高校野球、 宝塚は少女歌劇であり、 セミプロ、 即ちA級でないB級の文化のまちである。
〈神戸市東部は部長のまちから係長のまちへ〉
このような阪神間の灘区、 東灘区はかつては大阪の会社の部長級が住むまちであったが、 近年は時代の経過とともに、 単に通勤に便利な郊外住宅地としてマンション等も多く建ち、 係長のまちになりつつある。
〈阪神間の連担性の中で〉
芦屋は、 阪神間の連担した街々の中間にあり、 総てが自立しているのではなく、 適正なスケール、 適度の混在の中で生活文化を楽しみながら、 不足しているものは他都市との連担の中で補っており、 言わば身勝手な都市ともいえる。
即ち、 大阪、 神戸に挾まれた特色あるまちの集合体としてとらえ、 連携し、 ダイナミックな都市圏を構成していけないか。
例えば、 劇場は宝塚、 商業は尼崎、 文学は西宮というように役割分担をし、 又、 都市部から田園ゾーン、 自然ゾーンとしての丹波地域への結節点としての位置づけを行うなどが考えられる。
〈西宮は阪神間地域の中での位置づけ〉
西宮は上記のような阪神間地域の中で位置づけ、 役割を担っていく必要がある。
西宮固有のアイデンティティとしては、 「ハイカラでユニークな都市づくり」「ゆとりある自然環境」等がイメージされる。
〈尼崎の3層構成〉
名神以北の阪急沿線は、 大阪のベッドタウンとして多様な住宅地が展開している。
名神と国道43号の中間は「尼」と呼ばれる義理・人情に厚い庶民の町であり、 国道43号以南は重厚長大型工場地帯の再編と新たなる街への展開が始まっている。
(1)小林さんからは、 まちのアイデンティティは結果であって目的ではない。
阪神間の復興は、 まちのアイデンティティとは関係なく進んでいる。
(2)江川さんは、 芦屋のアイデンティティは阪神間の連担性の中で都市的な生活文化圏の中にある。
(3)田村さんは、 西宮のアイデンティティを語る前に阪神間全体としてのとらえ方が必要。
(4)白井さんは、 時の経過の中で尼崎市のイメージは「公害」都市から徐々に「近松」のまちへ生まれ変わりつつある。