海外都市の密集市街地に学ぶ
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鶴橋再生のまちづくり

改行マークここで日本の密集市街地の街づくりをどう進めていくかを、 鶴橋の例で紹介したいと思います。

画像aro001 改行マーク大阪市の区域図です(図1)。 鶴橋は生野区の西北に位置します。 2年前から大阪市が区レベルの住民主導型街づくりを進めようとしていますが、 私たちはコンサルタントとして鶴橋と大正区の駅前を担当することになりました。 福島区は市大の土井先生の研究室が担当されています。

画像aro002 改行マーク図2は生野区内の都市計画図です。 緑色で囲んだところが生野南部密集市街地整備事業地区で、 大阪市主導で進めています。 大阪市では唯一の密集市街地整備事業ですから、 ここに事務所を置いて所長さん以下市の方が常駐しておられます。

画像aro003 改行マーク図3は生野南部地区街づくり基本構想図です。 オレンジ色部分が住宅地区改良事業地区です。 生活道路と公園、 住宅地区改良は市で行うもので、 長期間かけて行います。 「良質な住宅の供給区域」とされているところは民間が行う地区で、 市が行う部分はあまり広くありません。

画像aro004 改行マーク図4は近鉄鶴橋駅の周辺図です。 我々がコンサルしているのは、 近鉄奈良線の南側、 JR環状線の西側、 東と南側は都市計画道路に囲まれた区域です。 オレンジ色部分が卸売市場、 赤色部分が高麗市場、 グリーン部分は昔工場だった所を市が買い取って更地にして計画のタネ地にしようというところです。 マル囲みの(1)〜(6)の番号は各町会です。

画像aro005 改行マーク図5は鶴橋駅周辺の航空写真です。 ご覧の通り、 超密集市街地です。 13haに約1700世帯(店舗も含む)が住んでいます。

画像aro006 改行マーク図6、 図7は鶴橋本通商店街です。 卸売りの人が一部小売りもやっています。

画像aro008 改行マーク図8は同じく商店街です。 非常に活気があります。

画像aro009 改行マーク図9は上が近鉄の高架になっている商店街です。 韓国料理の屋台(チヂミを売っている)も出ています。

画像aro010 改行マーク図10は商店街から住宅ゾーンに入っていったところです。 石畳の静かな路地ですが、 まさに密集市街地です。 安全ですから、 いいところもあるわけです。

画像aro011 改行マーク図11は現況の土地利用図です。 赤が商業、 黄が住宅、 緑が家内工業です。

画像aro012 改行マーク図12では建物を構造別に分類してみました。 ほとんどが水色の木造です。

画像aro013 改行マーク図13は道路幅員現況図です。 赤で記したのが4m未満の道路で、 道路のほとんどを占めています。 黄色が4〜12m未満の道路となっていますが、 実際はほとんどが4mに近い道路です。 ですから、 生野区では小型消防車なんですね。 ただし、 阪神大震災の時のように、 建物が道路に倒れてしまったら小型消防車でも入れず地域が全滅してしまうでしょう。

画像aro014 改行マーク図14は鶴橋地区の歴史を簡単に振り返りながら、 街づくり研究会に至った経緯を記したものです。 大正8年の平野川改修工事のとき、 韓国・朝鮮人を従事させたのがきっかけで彼らが住むようになり、 戦時中の軍事工場(現OBP)、 関連工場の労働者として多数の人を集団移住(強制連行も含む)させたのが、 鶴橋に韓国・朝鮮系の人々が多く住むことになった歴史です。

画像aro015 改行マーク図15は研究会メンバーを示した表です。 38人で活動しています。 内訳は、 各町会の代表、 在日大韓民国民団と朝鮮総聯の生野支部から1名ずつとなっています。

改行マークもともと研究会を作る発端となったのが、 阪神・淡路大震災でした。 ああいう地震が大阪で起きたら、 鶴橋は長田と同じように焼け野原になってしまうだろう。 鶴橋を何とかしなくてはという思いでスタートした研究会です。

画像aro016 改行マーク図16は研究会の活動経過です。 平成8年5月にスタートして、 最初は「住んでよかった鶴橋」という名称でしたが「フレッシュ鶴橋」に名称変更し、 アンケート調査や講演会、 イベント、 見学会などをやりつつ、 現在に至っています。

画像aro017 改行マーク図17はマスタープランを考えようと、 小委員会をつくり何回かの議論の結果出てきた街づくりの方向性です。

改行マーク80〜100m間隔で地域の南北方向に3本、 東西方向に1本の道路を入れたい、 とにかく消防車が入れる道路を作ろうということがみんなの意見です。

改行マーク出来上がった街区は鶴橋駅のすぐ南、 地区の北半分が商業を中心としたブロック、 南半分が住宅を中心としたブロックです。

改行マークモデルプランを描こうということになり、 数案つくったのですが少人数でつくったプランでは反対されるに決まっているということになり、 まずは足下を固めるため組織体制づくりを進めようということになりました。

画像aro018 改行マーク図18が組織体制整備案です。 この2年間、 約1700世帯のうちから38人が出てきて勉強会をやってきましたが、 これでは一般住民の意見が反映されているかわかりません。 この事業は「住民主体」で、 住民の意見がまとまったら市がそれに応じて地区改良なり再開発の手法で応援しようということでスタートしていますから、 いつまでも38人だけでやっていてはダメだと、 今年から町会ごとに分科会を作ることになりました。

改行マーク分科会の下に、 地主さん同忠、 工場の人達など大体班単位の小グループを作ってそれぞれ話し合うシステムです。 一つの分科会で15ぐらいの小グループがありますから、 全体では90ほどの小グループができ、 住民はどれかのグループに参加します。

改行マークこれだけ沢山のグループになるといちいちコンサルが説明に行けませんので、 ビデオを作ろうということになりました。 この2年間研究会で勉強してきたことを20分ぐらいのビデオにし、 100本ぐらいダビングして、 各集会で見てもらいます。 その小グループから街づくり研究会に参加できるメンバー、 特に若手と女性にきてもらって街づくり研究会の組織を強化しようということです。

改行マークそのビデオも、 地域のビデオ愛好会(生野区視聴覚教育協議会)が実費で、 撮影・編集してくれることになっています。 こういうやり方で、 住民に街づくりを知ってもらうのは私たちも初めてです。 六甲道の復興再開発事業の時のまちづくり協議会方式は住民みんなの直接民主主義で総会で何事も決定するのですが、 総会に出席してもらうのが大変でした。 このビデオを使う方法がうまくいくかどうかは分かりませんが、 今後も工夫しながら一人一人の意見を聞く試みをやってみようと思っています。

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