若者が取り組む都市環境デザイン
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商店街のポケット広場

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大日六丁目商店街のポケット広場
改行マークこれは、 神戸市の大日六丁目商店街で計画しているポケット広場です。 先ほど報告された永田さんと一緒に「パートナーシップ研究会」として商店街活性化に関わっているプロジェクト中で提案しているもののひとつです。 「パートナーシップ研究会」は、 当初若手の中で批評の場を持ちたいという思いからスタートした有志の会です。 まちづくりに関わる様々な専門家が、 官民を問わず参加しています。 発足して約6年になりますが、 市民参加の都市デザインに携わったり、 まちづくり協議会へのデザイン提案等を自主的に行っています。 都市に対して何か提案をしよう、 コラボレーションをしようと活動している思いも伝わり、 今回、 商店街活性化に対するアイデアコンペにより、 大日六丁目商店街で活動することとなりました。 組織としてしっかりしていないにもかかわらず、 神戸市中央区や商店街の人たちも我々といっしょに地域に根ざす商店街を模索していきたいという意向でしたので、 「土日とかアフターファイブしかお手伝い出来ませんが」ということも了承いただいたうえで進めているところです。

改行マーク地域に根ざした商店街として活性化するために様々な提案をしたのですが、 その中にリニア−に展開する商店街にポケット広場を創るというものがありました。 先程「皆が所有するという意識が持てるようなデザインをしたい」と言いましたが、 この場所を商店街や地域の人々で管理して、 皆でもてなすための場所にできないかと考え、 区役所や商店街の人々との議論の上で実現しようという方向になったものです。

改行マーク住民参加の方法はいろいろあると思いますが、 住民全部の要望を全部実現しようとするデザインでは結局いいものはできないと思います。 皆が共有できる場所にするためのプログラムを議論し、 これを展開できるデザインをデザイナーからひとつの洗練された形として提案する。 これを繰り返していく中でひとつの共有の形を模索していくのです。 形を決定する過程に、 ありきたりの遊具等を並べて住民に選択してもらい、 時間をあまりかけずに配置して、 参加したことにするようなワークショップではいいものができる可能性を逆に低くすることになります。

改行マークこの広場を計画しているところは、 神戸市長田区の区画整理事業の仮換地として指定されている場所です。 「住民がこれだけやる気になっているのだから貸してほしい」と申請して調整を図っているところです。 商店街の意識も高く「まわりの植栽は住民自身が植えていく」言っていますし、 インターロッキングまで自身の手で張ることを考えています。

改行マークデザイン面でも、 住民が主体的に関われる部分を残そうと思いました。 ベンチに座ったとき「ここは自分の空間なのだ」と感じられるように住民が自分の手で作れる部分を残し、 仮設的なしつらえにより、 住民の手が常に加わることで、 色々な表情を見せる広場にしようと考えています。

画像ko034 改行マークこの広場の代表的な3つのパターンです。 図の中央に見える舞台は可動式で、 イベントの性格によって空間の構成を変えることができます。 仮換地の広場ですから、 すぐに返さなければならなくなることも予想され、 この理由からも徹底的に仮設的なものにし、 様々な風景が演出できるような提案としています。

改行マーク打ち合わせの中で、 婦人会による展示や小・中学生の絵を飾るなどの意見も出たので周囲の壁を利用して仮設的な展覧会も行えるようにしています。 様々な活動に合わせて広場の表情が変えられるようにしたわけです。 プランターもベンチも皆で動かしながら、 ひろばの表情を創っていくのです。

画像ko035 改行マークこの模型はパターン1です。

画像ko036 改行マーク広場側から商店街に西日が射してくるので、 管理もでき、 西日対策にもなるテントを計画しています。

画像ko037 改行マークそれを後ろ側に持っていくと、 舞台空間になります。

画像ko038 改行マーク上から見たところです。

画像ko039 改行マークこういう緑陰空間にとって壁やベンチのディティールは非常に重要なものとなります。 これはまだ模型段階におけるものですが、 これから具体的な空間としていく中で慎重に吟味していきたいと思います。

画像ko040 改行マークこれはパターン3です。

画像ko041 改行マーク横から見た様子です。

画像ko042 改行マーク実際には、 こういう風にビルに囲まれた空間の中で展開することになります。 地域住民や商店街からの広場に対する要望が多いので、 仮設的に対応する中でこの狭い広場を有効に利用できるものとしています。 広場の要素としてもできるだけ最小に絞って今後考えられる活動に幅広く対応できるものにしています。 また、 従来の公園のようにどこにいっても同じような空間が広がっているのではなく、 機能を特化した広場を考えていきたいと思っています。 そういう広場や公園が街中で増え、 つながっていき、 相互補完的にネットワークするほうが良いのではないかと思います。

画像ko043 改行マーク結局、 目指しているのは、 人が見えてくる風景づくりです。 自然が感じられて、 そこへ行けば自分の場所だと感じられるような場所。 小さな場所でもいいから、 まず、 そういう空間を作って、 それらをネットワークさせる中で共有していく過程を踏んでいきたいと思います。 ネットワークという言葉自体はコンセプトになりません。 生活のための良い空間を共有したいという思いからスタートさせるべきです。 そのためにデザインが果たす役割は大きいと思っています。

画像ko044 改行マークこの広場が、 この前の写真のような人を魅力的に見せる風景になるよう何とかがんばっていきたいと思います。

改行マーク以上、 具体的な例をあげて説明しました。 これをどう都市に展開していくかは、 これから皆で考えていきたいと思います。 コラボレーションで進めていくことが、 これからの都市環境デザインの中で必要になってくると思いますが、 住民、 行政、 専門家が対等に責任を持って発言し、 多様な価値観を共有し合える場所がより重要となってきます。 そこで自分が何を考え、 何に責任が取れるのか、 あるいは取ろうとするかが問われることになります。 新しいものを創るとき、 また、 古いものを見直していくときに問題意識を共有し、 具体的な生活の形を模索していくこと。 そこにデザイナーとして積極的に関わっていこうと思います。  以上です。 ありがとうございました。

三宅

改行マーク環境デザインの話と言えば、 とかく抽象的な事柄に流れがちなのですが、 忽那さんのお話はとても迫力があり、 具体的なお話でした。 印象的だったのは、 ネットワークを作る上で、 先にネットワークありきの考え方ではなく、 いい空間を共有したいという思いが大事だというご指摘です。 我々も今回、 ネットワークを作りたいという願いはあるのですが、 単に組織作りだけではダメで、 まずいい空間を作りたい、 それを共有したいという思いが集まってこそ始められると思います。

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