大日六丁目商店街のポケット広場 |
地域に根ざした商店街として活性化するために様々な提案をしたのですが、 その中にリニア−に展開する商店街にポケット広場を創るというものがありました。 先程「皆が所有するという意識が持てるようなデザインをしたい」と言いましたが、 この場所を商店街や地域の人々で管理して、 皆でもてなすための場所にできないかと考え、 区役所や商店街の人々との議論の上で実現しようという方向になったものです。
住民参加の方法はいろいろあると思いますが、 住民全部の要望を全部実現しようとするデザインでは結局いいものはできないと思います。 皆が共有できる場所にするためのプログラムを議論し、 これを展開できるデザインをデザイナーからひとつの洗練された形として提案する。 これを繰り返していく中でひとつの共有の形を模索していくのです。 形を決定する過程に、 ありきたりの遊具等を並べて住民に選択してもらい、 時間をあまりかけずに配置して、 参加したことにするようなワークショップではいいものができる可能性を逆に低くすることになります。
この広場を計画しているところは、 神戸市長田区の区画整理事業の仮換地として指定されている場所です。 「住民がこれだけやる気になっているのだから貸してほしい」と申請して調整を図っているところです。 商店街の意識も高く「まわりの植栽は住民自身が植えていく」言っていますし、 インターロッキングまで自身の手で張ることを考えています。
デザイン面でも、 住民が主体的に関われる部分を残そうと思いました。 ベンチに座ったとき「ここは自分の空間なのだ」と感じられるように住民が自分の手で作れる部分を残し、 仮設的なしつらえにより、 住民の手が常に加わることで、 色々な表情を見せる広場にしようと考えています。
三宅:
環境デザインの話と言えば、 とかく抽象的な事柄に流れがちなのですが、 忽那さんのお話はとても迫力があり、 具体的なお話でした。 印象的だったのは、 ネットワークを作る上で、 先にネットワークありきの考え方ではなく、 いい空間を共有したいという思いが大事だというご指摘です。 我々も今回、 ネットワークを作りたいという願いはあるのですが、 単に組織作りだけではダメで、 まずいい空間を作りたい、 それを共有したいという思いが集まってこそ始められると思います。