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17 混在市街化の地域産業復興


〈事例1718)〉

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シューズギャラリーのイメージ(「シューズギャラリータウン構想」98.1より)
 被災地の産業復興においては、 港湾機能や大規模な製造業、 都心の業務・販売など施設の再建によって、 機能復興していく分野もあるが、 地場産業(神戸ケミカルシューズ産業等)や市場・小売店のように、 施設が再建されても地域に住民が戻り、 まちとして復興していかないと、 商売として成立しない地域産業がある。

 神戸の地場産業であるケミカルシューズ産業は、 その製造工程が細かく分化され、 その1つ1つを中小町工場が担い、 それが地域に集積することにより製造が可能となっていた。 1つの工程が終わると、 近くの次の工程の工場に運ばれる。 町全体が1つの大きな工場のようなものである。 地場産業の再建には、 工場で働く人が町に戻ってくる必要があり、 このため、 町全体の再建が産業復興に関わる。

 このように地場産業は、 施設再建とともに地域の居住や地域の町工場のネットワークなど、 地域の総合的復興が必要なところに特徴がある。 震災後3ヶ月で、 長田のケミカルシューズ関連工場の約7割が業務を再開したといわれている。 地域内仮設賃貸工場の募集倍率は10倍をこえた。 しかし、 地域外の仮設工場については、 応募倍率は1倍を少し超えたにすぎない。 地域を離れては、 生産効率が悪くなる。 中小零細企業が集積することより、 地場産業と地域の生活が成立していたところでは、 企業のあり方と居住が密接にかかわっている。

 一方で、 震災前から、 安価な中国など発展途上国の製品におされ、 ケミカルシューズ産業は、 経済的環境変化への対応がせまられており、 産業としての展望が求められる状況にあったこともまた事実である。 このため、 新長田駅北地区では、 土地区画整理事業によるまちづくりを進める中で、 エスニックタウンのコンセプトのもと、 新たなくつ産業の展開として、 特徴のある靴づくりのシステムやシューズギャラリータウンの展開などが企画され、 事業化にむけて進められている。

 市場や小売店も早い時期から仮設店舗により、 営業再開するところが多く、 被災者にとって心強い存在であった。 しかし、 住宅の多くが倒壊し、 居住者がいないため、 商品の買い手が地域にいない状況が続いている。 経営状態はかなり厳しいのが実態である。 広域型の百貨店や大型店と異なり、 地域居住者が対象の市場や小売店では地域の人が戻ることが必要である。 また、 地域の市場、 商店街もまた、 後継者の不足や大型店との競合、 消費者ニーズの多様化への対応の遅れなどにより、 震災前から衰退傾向にあった。 震災後の再建の中で、 新たな事業展開も試みられている。

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