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歓喜に寄す 
      
       
      A5函入 345ページ 沖積舎  
 
      1984年(昭和59年)刊行 本体3500円+税 
      ◎あとがきより        
       作品を世に問う行為は、もはや時代遅れとなった。世の中は問われることを欲していない。 
 文学は生とともに急速に失墜しつつある。自殺か、他殺か、はたしてそれは安らかな睡りなのか。芸術家と芸術の運命を、わたしは描きたいと思った。『歓喜
に寄す』とは、もちろんベートーヴェンのニ短調交響曲をさす。沈黙の共謀者のために、これは音楽によって深め、装飾された反時代的考察である。 
      
       
      ■プレイガイドジャーナル BOOK「新刊MEMO」1984年12月号        
      
 ある町の老人の回想という形をとりながら、人間とは一体何なのか、人間総体を問う長編作。有名作家が、人間について性や味覚の各論で満足しているこの時
代、千枚を超える筆力で、読むものを圧倒する。一気に読み切ったなら大脳を持ったことに満足するだろう。想定の街は京都の街角ではないかと思う。 
       
 
      
     
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