作句上のコツ

十一、俳句が出来ない時は

 俳句を長年書いていると、時には詩の環境から離れてしまった様な、俳句に取り付けない様な時があるものです。そんな時は自分の以前作った句を取り出して、じっくりと読み直すのも良いし、人の作品を読むのも良い事です。そうしている内に雰囲気が戻って来て作れる様になる時もありますが、俳句は何と言っても句材が肝心で、建築にしても料理にしても材料が無かったら何も出来ないのと同じく、俳句も元になるものが無くてはいくら考えても作れる訳がありません。そんな時は自分の身の回りを眺めてどんな景色があるか、じっくりと観察する事です。ビルの谷間でも事務所の中でも目に入って来るものそれが景色です。少し歩いて空や木々が見える所や工事現場は俳句の材料が沢山あります。郊外では手当たり次第俳句の材料です。そんな景色を見ながら、決して上手に作ろうとは思わず、見えた通りに景色を書けば良いのです。人によってはスランプとか壁に当ったとか言いますが、作品の出来不出来はあっても、書けなくなると言う事は絶対無いと言えます。格好が悪いとか気負いとか良く見せようとか思う気持ちを捨て、景色を書き余裕があればそこに何を感じたか、何を思ったかが言えれば上々です。景色を眺める時に、出来れば腰をおろしてじっくりと見られると良いのですが、昨今ではそうも行かないので、なるべくゆっくり歩いて、よく見ると普段気にも付か無かった事が発見出来るし、草や木を手に取って観察が出来ると思わぬ発見があります。又そんな時何を書こうか迷わずに、手当り次第メモして後でまとめるといくらでも量産出来ます。うまく言えてないと思っても十七字にまとまったら、二、三日置いといて次の句に気持を向ける方が能率的です。出来上がらなかったのも二、三日すると、加筆出来る様に成っているものです。それでも出来なかったら又置いておいたら良いのです。この様にすると何時迄も俳句が書き続けられます。
『うまく書けない時もある』と気を張らずに書くのが作句上のコツです。
平成二十年六月

※貴方の作品を元に添削や推敲のご指導をします。但し句会に(第三水曜午後三時より)出席出来る方に限ります。

京都市左京区田中西浦町六-五五
俳文学研究会京都俳句
電話075―791―9331
お問い合わせは午後七時以後でお願いします。

 

 

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