作句上のコツ

十四、効率の良い作句法

 子供の頃に、誰と誰がいつ何処で何をしたかと言う遊びをよくやったものです。これは何も子供の遊びだけでなく小説も新聞記事も詩もまた俳句も全ての文章の基本です。とは言っても俳句の場合十七字でそれだけの事を言うには不必要なものは省かなければなりません。そこで省略と言う技術が必要となってきます。例えば誰と誰の両方を言う場合は片方だけを書いて、もう片方を伝える工夫をします。
当然自分の事を例外を除いては書く必要はありません。何故かと言えば書いているのは自分だからです。相手が動物の場合も同じです。犬が来ると書けば作者の方へ来るのですから「我へ」はいらないのです。
次に「何時」ですがこれは有難い事に俳句で欠かせない季語が兼用できます。但しその場合も朝とか昼等の必要な場合は例外です。
次に「何処で」と言う事ですが、場所も季語にくっついている場合が多いので、そこを上手く使うと省略がよく効きます。例えば季語で秋の山と言えぱ「何時と何処で」が一度で言えますし、菊が庭に咲いていると書くには「菊の庭」と書けばそれで通用します。次に「何をしたか」ですが、そこが俳句の内容になる処ですから、言いたい事をきちっと書かなければなりません。その場合行動を書いて思いが表現出来る様に技術を磨きたいものです。そこで大事な事は俳句の材料を早めに用意しておく事です。俳句にまとめ上げる事は大変ですが、賜材は色んな心に響く情景を戴くのですから楽しい行動です。意識的に句材に出会える様にしてそして心に響いた事を書きとめておきましょう。何日間か経ってから前記のアドバイスに照らし合わせて、俳句の形を整えて下さい。そして又何日間か経ってから推敲する方法を習慣にすると極自然に楽しんで句作する事が出来ます。一つの句を持って仕上げてからと思っていると時間ばかりたって感心しません。俳句も大量生産方式で作るのが要領の良いコツです。
平成二十年九月

 

 

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