一写生俳句
作句上のコツ

二、季語について

季語とは季節の分かる言葉の事です。俳句は原則的に季節の言葉が入っていて十七文字の中で書く句のことです。中には無季の句と言って季節に関係の無い事を書いた句がありますが、季語の入っていない句は余程で無いと俳句と言える句はありません。それは何故かと言いますと、俳句は連歌の第一句目が元になっているからです。俳句が確立されたのは三百年余り前で、それ迄は連歌と言って何人かの人が集まって、誰かが最初の句を出すと、次の人がそれを受けて、その句に自分の言いたい事を付け足して、又次の人に回すと言うやり方で、次々と渡して行く言わば言葉遊びだったのです。その一番先に切り出す句を発句と言ってその句は挨拶句になります。日常でも初めて合うと誰でも挨拶をします.「お早よう」とか「良いお天気ですね」「今日わ」「寒いですね」「紅葉がきれいになりましたね」「もう十二月になって忙しいですね」とか人に合えば挨拶の言葉が口をついて出ます。この様に何でも挨拶から始まります。(これは日本人特有らしいですが、四季折々に変化する日本列島の風土が仲間意識を強くして、人との和とか礼儀とかの意識を育てた様ですが)とにかく日本人は何でも挨拶から始まります。連歌のような大勢の人が集まってする場合はまず挨拶からと言うのも己づと分かります。その挨拶の第一句目を松尾芭蕉と言う人が、連歌から独立させて俳句と言う形を編出されたのです。こうしてもともと連歌の発句が独立して出来たものですから、当然発句の挨拶の要素を引いているのです。「夕べえらい雪ですね」と言う挨拶ですと雪と言うのが寒いとか冷たいとか美しい風景が想像出来る言葉です。この雪がどんなだったかを高度にしたものと考えれば俳句に季語が何故必要かと言う事が分かると思います。これが分かると無季の句が如何に弱いかと言うのもここに元があるからと言う事が分かります。従ってこの季語と言うのはとても働きもので、俳句のよさの大半を担っているのです。俳句は挨拶の高度なものと思えば作るのが楽になります。(この事は又論文で書きたいと思いますが)俳句は挨拶と思って書くのも秘められたコツです。

 

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