推敲指導3

原 節分会人出半減吉田さん
推 節分会人出半分吉田さん


 原句の場合吉田神社へ言ってきてこうだったとお話している状態になっています。何故そう感じるかと言いますと、「半減」と言う熟語を使っているからで、それを「半分」としますと状態を具体的に表現している言葉ですので現実感が出て今作者は割合少ない参詣者の中に居てそれを感じている光景が書けました。

原 ギリチョコに過ぎにし愛を思う年
推 ギリチョコや過ぎにし愛を思う年


 原句では先の句と同じく「チョコに」としますと、感慨が書いて有るだけになって作者の気分だけしか伝わりません。そこで「チョコや」と「に」を「や」にしますと「や」で一旦切る事によって、今ギリチョコを見ている状態が見えます。そうして置いて昔を偲んで「ああ年を取ったものだ」となって感慨に耽っている状態が浮かびます。

原 ひそやかに蕾育む谷の梅
推 ひそやかに蕾膨らむ谷の梅


 原句で「育む」では梅が蕾を育んでいる事になって擬人法的な表現になっています。そうなると作者がそう思っているだけになります。そこで現実的に「膨らむ」としますとだれも見ていない所でもこんなに蕾が膨れてと自然の働きが見えて作者と同じ様に読み手もその情景が見えます。

原 白砂の松林の浜襟立てて
推 白砂や松林の浜襟立てて


 原句では白砂の松並木で襟を立てた作者がじっとしていますが、そこを「白砂や」で切って「松林の浜襟立てて」としますと松並木の浜を作者が歩いている様子が見えます。

平成二十一年二月

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