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和辻哲郎(1889-1960)明治20-昭和35
哲学者。兵庫県生れ。東京帝国大学で哲学を学ぶ。谷崎潤一郎らとともに文学活動をし,
耽美的傾向の作品を書いた。
のち学界に入り,京都帝国大学文学部教授,東京帝国大学文学部教授を歴任。学士院会員。
日本倫理学会を創立(1950),文化勲章を受章した(1955)。
著作は《ニイチェ研究》《ゼエレン・キェルケゴオル》《古寺巡礼》《風土》《日本古代文化》
《原始仏教の実践哲学》《日本精神史研究》《鎖国》《倫理学》《日本倫理思想史》《桂離宮》《国民統合の象徴》など
このうち,特に有名なのは《古寺巡礼》(1919),《風土》(1935)である。
《古寺巡礼》は,奈良飛鳥の古寺の仏像の美しさをひろく世間に知らせ,
今日の古寺めぐりブームのもとになった古典である。
また《風土》は,東アジア,南アジア,西アジア,ヨーロッパ各地域の風土的特性と,
それぞれの地域文化の伝統的特質の関係について考察した著作。
たとえば,南アジアでは暑熱と湿潤によって緑が多く,
汎神論的宗教であるヒンドゥー教や仏教が栄えたのに対して,西アジアの砂漠では,暑熱と乾燥によって,
絶対的な一神教であるユダヤ教,キリスト教,イスラム教などが興っている。南アジアの汎神論は,
大地の恵みを受容する母性的宗教を生んだが,西アジアでは自然を支配し,
その上に立つ絶対唯一の神を奉ずる一神教が興った,とする。
和辻は敗戦後,天皇制論争を行い,新憲法の精神と天皇制は調和することを訴えた。
また〈人間の学〉とよばれる倫理学の理論を立てた。
彼の倫理学は,東洋文化の伝統的特性を明らかにしたものである。
世界百科事典より引用