ビブロス(BuvbloV)

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 セム族の太女神(マリアスタルテーアシュラ、アシュトレト〔アスタルテーのヘブライ版〕、イシュタル、アセト〔イーシスIsis〕、ヘ(ウ)ト=ヘル〔ハトホルHathor〕など、名前は種々である)が祀られていた最古の、そして最も名高い古代都市である。「聖書」Biblesという名はこの都市にちなんで付けられたものである。というのも、世界最古の図書館がその神殿に附属していたからであった。 point.gifBibles. ビブロスの王たちは、自分で統治できるようになるまでは、太女神から命令を受けていた。たとえば、王イエハウミルクは、自分や自分の前任者たちを王位に就けたのは太女神であると言った。女神に呼びかけて祈願をすると、「女神は私の声を聞いてくれて、やさしくもてなしてくれた」。王は自分に祝福が与えられんことを、そしてビブロスにいつまでも王としていられることを、女神に祈願した。

 最近わかったことであるが、昔の考古学者たちは、女神のことについて言及しているアラム語のテキストの中に「ビブロスの女神」とある箇所を誤読して、「ビブロスの神」としてしまった[1]。実際には、ビブロスには、多くの名前を持つこの女神に力が匹敵するほどの神は全くいなかったのである。


[1]Pritchard, A. N. E. 1, 215, 221.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



Byblos
 古代シリアの港市。旧約聖書ではゲバルGebalと呼ばれている。
 ベイルートの北方約30Kmにところにあり、現在はジュバイルJubaylと呼ばれている。
 ギリシア人はここを、パピルスを意味するギリシア語"byblos"という名前で呼んだ。