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トラソルテオトル(Tlazolteotl)

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 中世における魔女たちの女王としてのへカテーに似たアステカ族の女神。女神のシンボルは箒の柄であり、へビ、コノハズクとも関連があった。女神の集会は四つ辻で催された。女神に仕える聖なる女たちはシワテテオCiuateteo (「いとも高貴な母」)またはシワピピルティンCiuapipiltin(「王女」)と呼ばれた。サーアーグーンによれば、彼女たちはお産で死んだ女たちの亡霊であった。「彼女たちは空中をさまよい、地上に降りたいと思えば下降すると考えられていた。……彼女たちは四つ辻に出没しては悪事を働いた。また彼女たちは、パンの供物や空から降ってくる雷石さえも捧げられた、このような場所(四つ辻)に神殿を建ててもらった」[1]。換言すれば、ヨーロッパと同じくメキシコでも、布教に当たる聖職者たちは、母神たちを悪魔に変えるのにさんざんてこずった。


[1]Summers, V., 261-62.

Barbara G. Walker :The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)


画像出典:Death Itself Is Ambivalent