ディスク・レビュー

 過去にレコーディングした100枚以上におよぶアルバムの中から、長崎の会員、佐伯哲也さん(ニューハードファン歴30年数年)に批評を加えていただき、紹介します。


● ディスコ・グラフィー (私が所有しているもの)

 まず最初に、ニューハードがレコーディングした過去のアルバム(ソノシート・レコード・CD)の一覧を紹介いたします。ニューハードのリーダーアルバムが大半ですが、他のミュージシャや歌手のレコーディングに関わったものや珍しいものも多数あります。
 これらの中から順次紹介していきます。(リクエストください)

1. 「デューク・シング・シング」 1960年
2. 「ビッグバンド・ビッグヒット」 1961年
3. 「スーダラ節/こりゃシャクだった」 1961年
4. 「映画音楽4」(ブロンコ) (ソノシート)1962年
5. 「アニタ・オデイ・イン・トーキョー’63」 1963年 (宮間利之指揮するオールスターオーケストラによる演奏)
6. 「悲しきハート」「月影のレナート」弘田三枝子 1963年
7. 「弘田三枝子スタンダードを唄う」 1963年
8. 「ニューハード・モダン・ジュークボックス」 1965年
9. 「モダン・ジャズ名曲集」 1965年
10. 「家路・渡辺貞夫モダン・ジャズ・アルバム」 1966年
11. 「モダン・ジャズ10人集」 1967年
12. 「ミコ・ミュージカルを唄う」 1967年
13. 「パースペクティブ」 1969年
14. 「セロニアス・モンク・イン・トーキョー」 1970年
15. 「センセイショナル・ジャズ」 1970年
16. 「天秤座の詩・佐藤允彦」 1970年
17. 「セントルイス・ブルース・南里文雄」 1970年
18. 「仁王と鳩」 1970年
19. 「布施明リサイタル」 1970年
20. 「チャーリー・ミンガスとオーケストラ」 1971年
21. 「栄光のトランペット・南里文雄」 1971年
22. 「牡羊座の詩・富樫雅彦」 1971年
23. 「ものみな壇の浦へ・ツトムヤマシタ・佐藤允彦」 1971年
24. 「スクリーン・マーチ・ベスト20」 1971年
25. 「’71ポール・ウイナーズ・ジャズ・フェスティバル」 1971年
26. 「鈴木章治スイング・アルバム」 1972年
27. 「ビ・パップ・アップ・トウ・デイト」 1972年
28. 「耶馬台賦」 1972年
29. 「グレン・ミラー・イン・4チャンネル」 1972年
30. 「インスピレーション&パワー14」 1973年
31. 「不滅のブルース」 1973年
32. 「土の音」 1973年
33. 「ジャズ・オーケストラ‘73」 1973年
34. 「ストレート・アヘッド」 1974年
35. 「モンタレーのニューハード」 1974年
36. 「ニューハード」 1974年
37. 「八代亜紀リサイタル1」 1974年
38. 「カム・アンド・ダンス・第2集 ベスト28」 1974年
39. 「テイク・ジ・A・トレイン」 1975年
40. 「ブルース・アップ・アンド・ダウン」 1975年
41. 「ニューハード・ライブ・アット・ニューポート‘75」 1975年
42. 「ジャズ・オーケストラ‘75」 1975年
43. 「サンデイ・シング」 1976年
44. 「水野修孝の世界」 1976年
45. 「スティーブン・フォスター・フォスタード・アス」 1976年
46. 「那由陀現成」 1976年
47. 「ニューハード・プレイズ・コルトレーン」 1977年
48. 「ラヴ・ウオーキング 片岡輝彦・塩村修」 1977年
49. 「ライブ!ニューハード」 1977年
50. 「追憶」 1977年
51. 「八代亜紀リサイタル“燃えて翔ベ”」 1977年
52. 「しばたはつみ ライブV」 1977年
53. 「チリのニューハード」 1978年
54. 「ヴィンテージ・テナー ルー・タバキン・ウイズ・ニューハード」 1978年
55. 「トリビュート」 1978年
56. 「オパ ニューハード、サンバツーキ‘78」 1978年
57. 「負け犬の下で」 1979年
58. 「EL AL」 1979年
59. 「コール・ミー 細川綾子、ニューハード」 1979年
60. 「ギャラリー」 1979年
61. 「ビッグ・スタッフ」 1980年
62. 「ハードランド」 1980年
63. 「ミスティ」 1982年
64. 「シング・ア・スイング・ウィズ・デジタル/ヘレン・メリル」 1982年
65. 「ビート・ジェネレーション」 1994年
66. 「グレン・ミラー・サウンドの魅力」 録音年不明 
67. 「東京ビッグ・バンド・デラックスvol.1」 録音年不明 
68. 「栄光のビッグバンド・ベスト16」 録音年不明 
69. 「ダンス・ダンス」 録音年等不明
70. 「ビバ!ハリウッド 坂本スミ子」 録音年不明 
71. 「不滅のマーチ名曲集」 録音年不明 (ソノシート)
72. 「ラテンダンスのすべて」 録音年不明 (ソノシート)
73. 「日本ビッグバンド夢の競演」 1971・1972年

● ビッグ・バンド・ビッグ・ヒット/宮間利之とニューハード
   (東芝 JSP−3045/10インチ盤)


@レッツ・ダンス Aワン・オクロック・ジャンプ Bマンボ第5番 Cスリーピー・ラグーン Dムーンライト・セレナーデ Eリープ・フロッグ Fマイ・ショウル Gチュニジアの夜
(arr) 三保敬太郎・山木幸三郎・前田憲男・
     半間厳一(arr)
(Sax)塩井重夫・鈴木正男・市原宏祐・
     平晃忠・鈴鹿覚
(Tb)  鈴木弘・橋詰智明・上高政通
(Tp) 羽鳥幸次・村田文治・奥野糸司・
     片岡学
(P)  今城嘉信
(G)  山木幸三郎
(B)  杉本幸久
(drs)石川晶
1961年(昭36)頃録音
 1961年頃からレコーディング活動にも力を入れはじめ、この年は東芝において4枚ほど吹き込まれており、その中の1枚である。レコードジャケットには大磯ロングビーチでのメンバーの集合写真が載っており、若き日の宮間氏や山木氏が懐かしく写っている。
 演奏は、ニューハード結成時の第一期黄金時代のメンバーによるもので、37年前の録音であるが、今なお十分迫力ある演奏として楽しめる。ベニー・グッドマン、グレン・ミラー、カウント・ベーシー、ガレスビー、そしてマンボ、ルンバとバラエティーに富んでいるが、いずれもよくスイングしている。特に石川晶のドラムスはビッグ・バンド・ドラマーとしての素晴らしいフィーリングを持っている。
 中でもチュニジアの夜はベースがフューチャーされており、リズム隊とブラスセクションがよく鳴っており圧巻である。  
 (今回は山本が担当。次回から会員の佐伯哲也氏が担当)

●モダン・ジャズ名曲集/宮間利之とニューハード
 (日本コロムビア JSP−5027)
※ 1976年にSW−7053で再発。
1995年に「素晴らしきモダン・ジャズの世界」として他の2枚のレコードを合わせて2枚組CD(COCS−12191〜92)として再々発。


@ ブルース・マーチ A死刑台のエレベーター Bモーニン C褐色のブルース D黄金の腕 Eラウンド・ミッドナイト F地下室のメロディー Gクリフォードの思い出 H危険な関係のブルース Iワーク・ソング J彼奴を殺せ Kチュニジアの夜
(Arr)山木幸三郎・高見弘
(Sax)高見弘・塩井重夫・市原宏祐・
     前田章二・鈴鹿覚
(Tb) 鈴木弘・上高政通・大内登・
     青木武
(Tp) 羽鳥幸次・村田文治・奥野糸司・
     佐野健一
(P)  今城嘉信
(G)  山木幸三郎
(B)  松本幸久
(Drs)石川晶
1962年(昭37)録音
 ジャズ評論家の瀬川昌久氏は、宮間利之率いるニューハードについて、次のように記しておられる。
 「ニューハードのような進歩的なモダン・バンドでは、第一線のコンボの一流奏者と同等の技巧・感覚を持ったソロイストとリズムセクションを揃えることを要求される。同時にアンサンブルに整然たる美しいサウンドとエモーショナルな活力を持たねばならぬ。レギュラー・バンドにはほとんど至難とも思えるこの要求は、宮間と言えども一番頭の痛いところだ。・・・・・・・」(昭和52年2月 ジャズ批評No.25 宮間利之の項より抜粋)
 ジャズを演奏する人材の非常に少ない我が国において、このレコードが録音された1962年(昭37)当時、「ニューハードはフルバンドでモダン・ジャズを演奏して行くんだ」と言う宮間さんの大胆な志を実現すべく、上記瀬川氏の書かれているような条件に応えられるようなプレーヤーがどれほどいたのかは定かではないが、それほど多くはいなかったと思う。しかしここで聞かれるサウンドやアドリブ・ソロの数々を耳にすればおわかりのように、ニューハードは種々の困難を乗り越えて、すでに相当のレベルに達していた。リード・トランペットの羽鳥幸次を中心にして、スコアに書かれた音譜をジャズの節回しで演奏するブラス・セクション。リード・アルトの高見弘を中心として分厚いハーモニーを奏でるサックス・セクション。石川晶や今城嘉信が叩き出す強烈なリズム・セクション。これだけでもウキウキしてしまうのに、更に市原、村田、鈴木を始めとして、キラ星のごとく展開される熱気に満ちたアドリブ・ソロ。「ここまで演奏できるのか」と発売当時、識者の間でかなり話題になったLPの一枚であったと推測する。
 山木幸三郎と高見弘の施した編曲はゴテゴテせず、ニューハードの個性をストレートに引き出すことに成功している。
 フルバンドの音とアドリブ・ソロの双方を楽しみたいと言う難しいリスナーの要求をも十分に満足させる。


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