本論は1)、 第3回都市環境デザインフォーラム・関西の開催にあたって資料集として編集・発行する『土木デザイン・キーワード集』のために書き著すものである。 フォーラム第1日目の基調講演の趣旨を伝えることを念頭に置きながら、 土木・景観・デザインの抱える課題の一端を明かにし、 キーワード集の内容をレビューしつつ、 解決の方向を見い出すことを目指している。次へ第3回都市環境デザインフォーラム・関西は、 「土木と環境デザイン―その理念と実践的方法論」をテーマとし、 以下を目的として企画された。
(1)土木デザイン論を展開し、 土木デザインの理念、 原理、 規範、 基本的指針を探る。 (2)都市環境のデザイン・ノウハウを「キーワード集」「ビジュアル・プレゼンテーション」というかたちで土木デザインに適用し得るようにまとめあげ、 都市環境デザイナー、 土木技術者の双方に提供する。 (3)土木づくりのシステム(体制)論を展開し、 土木技術者、 環境デザイナー、 行政(発注者)それぞれの課題と役割を明確にするとともに、 協働の方法論を探る。 (4)都市環境デザイナー側の立場から土木側に対して、 都市環境デザイナーの土木づくりへの参加の必要性、 有用性をアピールし、 かつ、 参加にあたっての要請を訴える。 (5)土木側からの都市環境デザイナー側への要請を受けとめる。 (6)関西文化学術研究都市における実践や土木デザイン事例の検討、 歴史的土木の見直しなどを行う中から、 土木デザインの問題点を摘出し、 課題と望ましいあり方を探る。
こうしたテーマと目的は、 『よりよい土木をつくりたい』『土木を通じての都市環境づくりをよりよく方向づけたい』という想いに支えられ、 このためには都市環境デザイナーと行政・建設コンサルタント・ディベロッパ・学界などにおいて公共土木づくりに携わる土木技術者・土木専門家との「協働」が欠かせないという認識の下に取り上げられた。 都市環境デザイン会議メンバーにとっても、 土木分野の者にとっても大きな意義をもつフォーラムとなると考えている。
榊原和彦
- 都市環境デザイン会議代表幹事、 第3回都市環境デザインフォーラム・関西実行委員会委員長
- 大阪産業大学工学部環境デザイン学科・教授