まとめと言うよりは、 次回以降に向けての感想を言って、 今日のセミナーを締めくくりたいと思います。
こうした都市の再生をテーマにしたとき、 街の形態とその経済、 活力の問題との関係がいつも絡み合って出てきます。 中で話題になるのは、 我々はアメリカ型とヨーロッパ型のどちらのまちづくりを選ぶかということです。 日本はどちらからも学ぼうとしているのですが、 そんなコウモリのような存在はいつか墜落するぞという気もします。
今日は、 街の形態と経済をストレートに出したテーマでした。 日本のまちにもそうした進め方があってもいいという気がします。 イギリスの都市再生について話したとき、 都市計画家エドワード・ホールが「学校の都市計画では街の経済を教えない」と指摘したことを紹介しました。
先月紹介した事例の中で、 彼は都市計画家は街のアクティビティを知るべきだと繰り返し述べられているのですが、 確かに我々は街に行けばどういうところが面白いかを分かっていながら、 いざ設計する段になるとそれを忘れがちです。 特にお役人にその傾向があるようです。 イギリス・マンチェスターでは市役所の都市計画担当の人たちが街の経済を考えるようになったということで、 私にはそれが強く印象に残りました。
私もそれほど経済には強くないので授業ではあまり教えないのですが、 どの街に行っても一番いい酒場を見つけられるという特技があります。 これは大学4年のときに街を歩きまわって会得しました。 今度、 そういうことも講義しないといけないのかなと思ったりします。
ですからベトナムの今も面白いし、 イタリアの今も面白い。 じゃあ、 日本はどちら向きに面白くなるのか。 それを我々は一生懸命考えて、 仕事に役立たせることができれば、 行ってみたい街が出来るはずです。 まだあきらめるのは早いわけで、 あらゆる街がいってみたい街になれば、 我々の老後も楽しくなります。
今やっている多くの仕事は、 行ってみたくないまちをどんどん作っているという危険性があるのです。 まずは、 自分自身が一番行きたいのはどんな所かを問いかける必要があるでしょう。
今後もこんなセミナーを続けていきたいと思います。 どうぞご参加下さい。 今日はみなさんありがとうございました。
〈コメント〉
まずは自分が行きたい街について考えてみよう
街の経済に関して専門家は弱い
昨年このセミナーで新アテネ憲章というヨーロッパのまちづくりの新しい流れを紹介しました。 また、 今年の3月のセミナーではイギリスのマンチェスターで行われている都市再生について紹介しています。
まず自分がどういう街が好きかを
ところで、 つい2、 3週間前にベトナムから帰ってきたばかりです。 ベトナムの街は、 今商品であふれています。 あらゆる街角に商品があふれているのですが、 そういう街も楽しいと思うのです。 近代化が進むと、 路上から商品が消えて建物の中に入っていくわけですが、 その流れの頂点が百貨店という巨大な箱に商品を閉じこめたことだと思います。 そういう時代もまた過ぎ去って、 小さな建物に商品やサービスが戻っていく、 ポストモダンの時代にはそういう可能性も出てくることでしょう。 商品が町中に出てきたり、 引っ込んだりする視点から都市を見ると、 けっこう面白いと思います。
つきつめて考えてみる
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