犯罪防止に都市環境デザインはどう貢献できるか
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ホームページに見る「安全まちづくり」

大阪大学 鳴海邦碩

 

 正木さん、 須谷さん、 どうもありがとうございました。

 今回JUDIでこのテーマをセミナーに取り上げた理由は、 先般のフォーラムの時、 須谷さんから大阪がこんな状況なので、 大阪府としてもいろんな議論をしているとうかがい、 都市計画や環境デザインの世界でこういったこと詳しい人はいないだろうかと尋ねられたことがきっかけです。 残念ながら、 そのとき私には思い当たる人がいませんでした。 ただ、 このテーマは環境デザインの基礎的な部分でもあることから、 お二人を迎えてセミナーを開こうという運びになりました。

 ご承知のように、 防犯は都市環境の重要なテーマで、 アメリカのホームページを開いてみると関連のホームページがたくさんあり、 研究活動も盛んに行われています。 例えば、 中心市街地活性化を手がけるプランナーや学者にとっては、 防犯も一緒に考えるのが普通のようです。 なぜなら街が活性化するためには、 そこが安全であることがもっとも大事だからです。 日本のみなさんも、 このセミナーをきっかけにこの分野に関心を持っていただけたらと思います。

 私も日本のホームページなどで「都市の安全」について書かれているものを調べてみましたので、 参照していただきたいと思います(URLは2002年2月に再確認したものです)。

経済同友会
経済同友会「犯罪多発、 黙視できぬ」 http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/news1101.html
 経済同友会はなかなか過激なメッセージを出していまして、 防犯関連のホームページとしては目立っていました。 例えば、 「米国のFBIのような組織を作らねばならぬ」と提案しています。 経済界も都市の安全を重要視しているようです。

東京都
東京都の安全・安心まちづくり研究会(安全・安心まちづくりハンドブック・防犯まちづくり編)
 このハンドブックでは「都民が安心して生活できる東京」と題され、 いろんな工夫が提案されていることが分かりました。

防犯関係の協会ホームページ
防犯関係の協会ホームページ http://allabout.co.jp/family/bohan/closeup/CU20011107/index.htm
 東京にある通称「ひったくり街道」の分析です。 先ほどの須谷さんのお話の中で「旧来の住宅地でひったくりが多い」とのご指摘がありましたが、 これを読んでいると、 東京では田園地帯に建ち始めた郊外住宅地でよくひったくりが起きているようです。

 つまり、 日本のまちの作り方そのものに多くの問題点があるということがよく分かります。 都心での犯罪も多いのですが、 緑の豊かな郊外住宅地にも危険な場所がたくさんあることが分かりました。

神戸市
毎日新聞記事 「犯罪防止 部屋の明かりで夜道照らして」  神戸市が犯罪防止になりそうな明かりに関する住民協定を推進していくという報道で、 正式には「灯りのいえなみ協定」と言います。 おもしろそうな試みですが、 同時に神戸市も犯罪防止にずいぶん頭を痛めているのだと思いました。

アメリカの事例
アメリカにおける「防犯とまちづくり」の流れ
 この資料の上の方にまとめた「安全のデザイン理念」は、 アメリカで出されている住宅地を設計する場合の基本ガイドラインです。 これがずいぶん長い間アメリカの標準だったのですが、 最近これに批判的なグループが出てきました。 その代表的なビル・ヒルリーは、 囲み型で住宅地を作ってしまうからその外が危険になってしまうと、 従来の考え方を批判しています。 ただ、 これに関する詳しい情報はまだ探せていません。

 また、 私が以前のJUDIのセミナーで紹介したアメリカのニューアーバニズムの考え方の中でも防犯はとても重視されていました。 「今までの住宅地のあり方を反省しよう」という論調で、 今の日本のにはそのまま使えないものも多いのですが、 いろんな研究や試みが行われています。

 以上、 参考までに紹介しておきます。

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