阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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3 白地区域のまちづくり


〈事例46)〉

「白地区域」の定義

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震災復興促進区域・重点復興地域・復興都市計画事業指定区域図(神戸市)
 「白地区域」は、 区画整理や再開発といった都市計画事業地区(「黒地地区」)や重点復興地域(「灰色地域」)以外のエリアことで、 被災市街地の約8割を占める。


行政支援策が乏しい白地区域 −なぜ白地区域の支援策が乏しいか-

 これまで戦災復興や酒田大火からの復興などでは、 区画整理の手法で復興まちづくりが進められてきた。 今回の震災では、 区画整理や再開発が指定されているいわゆる「黒地地区」は非戦災エリアで、 もともと狭小道路、 老朽建物密集等の課題を抱えていたエリアだったため、 地震による倒壊、 火災の延焼等の被害が甚大であった。 「白地区域」といわれているエリアは、 戦災復興等で一応道路・公園等の都市基盤が整備されており、 行政としては支援メニューが乏しかった。 しかしながら、 「白地区域」では「黒地地区」に匹敵するほどの甚大な被害を受けたエリアも多く、 復興まちづくりに対する支援策が求められてきた。


どんな支援策の違いがあるか

 1)「黒地地区」で実施され、 「白地区域」では乏しい施策の主なもの次のとおりである。

 (1)まちづくり協議会による住民主体の復興まちづくり
  「黒地地区」では行政の方針もあり、 100%の地区でまちづくり協議会が結成されている。 コンサルタントの派遣もある。 すなわち、 復興のまちづくりを話し合っていける“場”が用意されている。 「白地区域」ではここまでこぎ着けるのが困難を極めている。

 (2)事業地区特有の優遇策がある
  「黒地地区」では、 減歩等がともなうがその分生活道路や公園が整備され、 震災前より居住環境が改善される。 一方、 「白地区域」では震災後の混乱した状況の下で、 不法建築等により震災前より環境が悪くなっている地区も多い。 また、 「黒地地区」では土地の売却時における5,000万円までの控除がある、 土地の交換が無税である、 などの利点がある。

 2)また、 密集事業や住市総事業などの任意事業の指定や、 また震災前からまちづくり協議会が結成されている「灰色地域」では、 「黒地区域」特有の優遇策はなく、 実態としては限りなく白地に近い状況にある。


震災後の白地区域の支援策

 被災建物の共同化・協調化が主要な支援策で、 優良建築物等整備事業、 密集事業、 住宅市街地総合整備事業における補助率等の引き上げ(2/3→4/5)等で被災地対応を行っている。 被災マンションにおいては、 震災型の総合設計制度が適用され、 多くの既存不適格マンションがこの制度によって再建された。


復興まちづくりに取り組んでいる地域と活動内容

 それぞれおかれている状況が異なるが、 共通した白地の状況は以下の通りである。


コンサルタントネットワークの活動

 復興市民まちづくり支援ネットワークでは、 「白地区域」のまちづくり推進を大きな課題のひとつにあげており、 まちづくりシンポジウムの開催などを通して住民への啓発活動、 行政への働きかけを行ってきている。

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