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3 黒地地区・灰色地域・白地区域


〈事例456)〉

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黒地地区・灰色地域・白地区域の概念図
 神戸市では、 震災復興緊急整備条例による地域指定が行われた結果、 その地域への公的事業の関与の程度に応じて、 「黒・灰色・白」地域と呼ぶようになった。 公的支援の大きい土地区画整理事業・市街地再開発事業および地区計画の都市計画決定された区域を「黒地地区」(被災市街地の約3%)、 重点復興地域のうち都市計画事業区域を除く区域を「灰色地域」、 住民の自力再建が基本となるその他の震災復興促進区域を「白地区域」と呼ぶようになった。 この考え方が、 現在では被災市街地全般に適用されるようになっている。


黒地地区

 黒地地区は、 何らかの法定事業が実施される地区に対する呼び名であり、 芦屋・尼崎市では、 都市計画事業地区と合わせて住宅地区改良事業の施行区域も、 黒地地区と考えられている。

 これらの事業地区では、 事業計画の合意までに時間がかかり、 被災後2年を経ても更地と仮設が多く残っていた。 特に黒地地区の多い神戸西部市街地では、 白地区域の多い東部市街地と比較して、 再建が遅れていた。 被災後2年を経過し、 ようやく区画整理事業地区で事業計画の合意が進み、 鷹取東第1地区など、 仮換地指定が行われたところでは、 急速に建物再建が進んでいる。 黒地地区では、 個別の再建は遅れているが、 事業計画を検討する過程で、 これからのまちづくりを住民参加によって考えていくことができたことは大きな成果である。


灰色地域

 灰色地域は、 住宅市街地総合整備事業(住市総)や密集住宅市街地整備促進事業(密住事業)等の住環境の改善・再建を支援する制度適用の指定のある地域が対象である。 神戸市以外では、 都市計画事業区域と住市総や密住事業の区域がほぼ一致しているため、 灰色地域と考えられる地域はほとんどない。 また、 これらの制度は、 法律に基づくものではなく任意事業であり、 住民が自ら共同化などの取り組みを進めないことには、 公的支援や補助もでてこない。 このため、 本質的には白地区域とかわらないという声も多い。


白地区域

 白地区域は、 都市計画事業や住環境整備系の制度の適用など、 公的支援の地域指定のないところで、 被災市街地の8〜9割を占める。 黒地地区や灰色地域に比べると、 行政の支援策に乏しく、 住民の自力再建に任されている。 被災地のほとんどのエリア、 特に被災地東部の住宅市街地(神戸市東部・芦屋・西宮)は、 この白地区域といわれるところで、 被災者の自力再建が基本となっている。

 被災後2年半を経過した時点では、 白地区域において再建できるところはほぼ再建が進み、 建築確認申請件数が落ちてきている。 しかし、 更地のまま放置されている宅地が市街地に点在している。 宅地が狭小であったり、 道路への接道条件が満たされていないなど敷地としての物理的条件に問題があったり、 建設資金の調達が困難などの経済的条件、 土地や建物の権利関係が複雑であったり、 相続の問題など法的問題などによって、 再建が停滞しているところがある。

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