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これは一茶の作品ですがこの句は最後迄読まないと何が書いてあるのか分かりません。下五の<庵の畑>で中七の<つついて置くや>に逆って、ああ畑をつつくのかと、そして上五の<棒切れで>から読み下すと、ニヤッと笑えると言った作りです。しかし一茶の実情からすれば笑う内容では無いのですが、そこが一茶の滑稽味が遺憾無く書かれていて、読み手を楽しませています。この精神は今のお笑いさんにも通じるもので、自分の事を情け無く言う事で相手にくすぐりを入れると言う手法です。これは季語として「冬耕」となります。絵解きすると普通お百姓さんは広い畠を冬の間に耕しておくのを言うのですが、一茶は庵と言っている様に畑も家も小さいので「棒切れでつついて置く位いのものだ」と言っています。<つついて置くや>こう書かれると本当に一茶がつついている姿が想像されてクスッと笑ってしまいます。この句は内容が一茶特有のもので<痩蛙>とか<やれ打つな>又は<雀の子>等の様に、すり替わりで読み手が読んだ瞬間一茶になっているのですが、ここ迄個人の生活を言われると、いくらすり替わり手法の達人と言っても同化する事は出来ません。しかし現在形で書かれていますので、一茶が今「わしんとこはつついて置けばええんじゃ」と言って畑に居る気がして楽しい作品です。 |
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