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葉っぱのフレディ-/いのちの旅
この本はアメリカの著名な哲学者 レオ・パスカーリアが書いた生涯でただ1冊の絵本です。
発行 童話屋 東京都杉並区和泉3-25-1
是非1冊お求めになって手元に置かれることをお勧めします。定価 1500円
いつ何度読んでも どの年齢の方が読んでも味わい深い本です。
春が過ぎて
夏が来ました。
葉っぱのフレディはこの春大きな木の梢に近い太い枝に生まれました。
そして夏にはもう厚みのあるりっぱな体に成長しました。
五つに分かれた葉の先は力強くとがっていました。
フレディは数えきれないほどの葉っぱにとりまかれていました。
はじめフレディは葉っぱはどれも自分と同じ形をしているとおもっていましたが
やがてひとつとして同じ葉っぱはないことに気がつきました。
となりのアルフレッド右側のベンすぐ上のクレアは女の子です。
みんな春に生まれていっしょうに大きくなりました。
春風にさそわれてくるくる踊る練習をしました。
フレディは「葉っぱに生まれてよかったな」と思うようになりました。
友達はたくさんいるし 見はらしはよいし 枝はしなやかだし その上風通しも日当たりも申しぶんなく
けれど楽しい夏はかけ足で通り過ぎていきました。
たちまち秋になり十月の終わりのある晩とつぜん寒さがおそって来ました。
フレディも仲間のアルフレッドもベンもクレアもぶるぶるふるえました。
みんなの顔に白く冷たい粉のようなものがつきました。
朝になると白い粉はとけて雫がキラキラ光りました。「霜がきたのだ。」とダニエルが言いました。
もうすぐ冬になる知らせだそうです。緑色の葉っぱたちは一気に紅葉しました。
公園はまるごと虹になったような美しさです。
いっしょに生まれた同じ木の同じ枝のどれも同じ葉っぱなのにどうしてちがう色になるのかフレディにはふしぎでした。
「それはねー」とダニエルが言いました。
「生まれたときは同じ色でも いる場所がちがえば太陽に向く角度がちがう。風の通り具合もちがう。
月の光星明かり一日の気温なにひとつ同じ経験はないんだ。だから紅葉するときはみんなちがう色に変わってしまうのさ。」
風がかわったのはそのあとでした。
「ぼくはここからいなくなるの?」
「そうだよ。ぼくたちは葉っぱに生まれて葉っぱの仕事をぜんぶやった。太陽や月から光をもらい雨や風にはげまされて
木のためにも他人のためにもりっぱに役割を果たしたのさ。だから引っこすのだよ。」とダニエルは答えました。
「ダニエルきみも引っこすの?」とフレディはたずねました。
「ぼくも引っこすよ。」
「それはいつ?」
「ぼくのばんが来たらね。」
「死ぬ ということでしょう?」
ダニエルは口をかたくむすんでいます。
「ぼくは死ぬのはこわいよ。」とフレディは言いました。「そのとおりだね。」とダニエルが答えました。
「まだ経験したことがないことはこわいと思うものだ。でも考えてごらん。世界は変化しつづけているんだ。
変化しないものはひとつもないんだよ。春が来て夏になり秋になる。葉っぱは紅葉して散る。
変化するって自然なことなんだ。きみは春が夏になるときこわかったかい?
緑から紅葉するときこわくなかったろう。ぼくたちも変化しつづけているんだ。
死ぬということも変わることの一つなのだよ。」
変化するって自然なことだと聞いてフレディはすこし安心しました。枝にはもう ダニエルしか残っていません。
「この木も死ぬの?」
「いつか死ぬさ。でも”いのち”は永遠に生きているのだよ。」とダニエルは答えました。
葉っぱも死ぬ木も死ぬ。そうなると春に生まれて冬に死んでしまうフレディの一生はどういう意味が
あるというのでしょう。
「ねえ ダニエル。ぼくはうまれてきてよかったのだろうか。」とフレディはたずねました。
ダニエルは深くうなずきました。
「ほくらは春から冬までの間ほんとうによく働いたしよく遊んだね。まわりには月や太陽や星がいた。
雨も風もいた。人間に木かげを作ったり秋には鮮やかに紅葉してみんなの目を楽しませたりもしたね。
それはどんなに楽しかっただろう。それはどんなに幸せだったことだろう。」
その日の夕暮れ 金色の光の中をダニエルは枝をはなれていきました。
「さようならフレディ。」
ダニエルは満足そうなほほえみを浮かべてゆっくり静かにいなくなりました。
フレディはひとりになりました。
冬が終わると春が来て雪がとけ水になり枯れ葉のフレディはその水にまじり
土に溶けこんで木を育てる力になるのです。
”いのち”は土や根や木の中の目にみえないところで新しい葉っぱを生み出そうと準備をしています。
大自然の設計図は寸分も狂いもなく”いのち”を変化させつづけているのです。
また 春がめぐってきました。
徹底検証葉っぱのフレディ(日本語訳iについての批判)
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