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e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第8B冊[76号〜80号]
通巻071号 2004.02.10発行 通巻076号  2004.10.12発行
通巻072号 2004.03.30発行 通巻077号  2004.12.07発行
通巻073号 2004.05.03発行 通巻078号 2005.01.20発行
通巻073.5号 2004.05.29発行 通巻079号 2005.03.21発行
通巻074号 2004.06.20発行 通巻080号 2005.05.24発行
通巻075号 2004.08.13発行     
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[080]
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2005/05/24[07-03-80]  (c)SISIDO,Tatuo     

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 080号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

 ◆「大塚睦画集」猪羽恵一・編 いのは画廊・発行
   これは昨年秋にあった展覧会の図録。大塚画伯は2002年没。吉本隆
   明さんとは長い交友があり、この図録には吉本氏の文のほか、吉本
   氏蔵の作品2点及び、年譜に関係記事と集合写真が2点載っていま
   す。この図録のことを知ったのは4月になってからでしたが、ほと
   んど流通していなかったようで、出遅れ感はまったくなく、〈吉本〉
   本として新刊同様に売れています。頒価2000円(税込)
   詳しいことは「〈吉本隆明〉本新刊のお知らせ」の2005/04/19の
   項をごらんください。
   
 ◆「造形理論ノート:パウル・クレー手稿」美術公論社
   公式発表を目にしていないので確実ではありませんが、美術公論社
   は昨年中に廃業されたようです。本やタウンで検索してみると、こ
   こ10年ほどは年刊の「美術名鑑」と「書家手帳」しか出版されてい
   ないようでしたが、昨年中に出るべきだった2005年版はどちらも刊
   行されていません。昨年末ごろから、八木書店の新本特価目録に、
   この出版社の本が多く掲載されるようになりましたが、さほど売れ
   るのはなくて、このクレーの本がほぼ唯一の人気商品ですが、20冊
   近く売ったところで在庫がなくなってしまいました。「ロートレッ
   クの料理法」という本もあれば売れること確実なのですが、これは
   数冊しか仕入れることができませんでした。
   
  ※特価本は他にもたいへんよく売れてるのが多数ありますが、卸元の
   在庫が無くなるまでは公表したくありません。

 ◆「失踪日記」吾妻ひでお イースト・プレス
 ◆「『死の棘』日記」島尾敏雄・著 新潮社
 ◆「吉本隆明全講演ライブ集(9)」吉本隆明全講演CD化計画・発行
 ◆「時のしずく」中井久夫 みすず書房
 ◆「埴谷雄高」鶴見俊輔 講談社
 ◆「(歌集)遊星の人」多田智満子 邑心社
 ◆「宮本常一:旅する民俗学者」佐野眞一・責任編集 河出書房新社
 ◆「イケズの構造」入江敦彦 新潮社
 ◆「故郷の廃家」饗庭孝男 新潮社
 

[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

 ◆「阿部謹也自伝」新潮社
 ◆「水平記:松本治一郎と部落解放運動の一〇〇年」高山文彦 新潮社
 ◆「BOOKISH 09号:山田稔特集」ビレッジプレス
 ◆「八十二歳のガールフレンド」山田稔 編集工房ノア
 ◆「アースダイバー」中沢新一 講談社
 ◆「別冊太陽:画人熊谷守一」平凡社
 ◆「洋楽ROCK関西実況70’s」中村よお 幻堂出版
 ◆再掲「京都スーベニイル手帖 夏秋編」沼田元氣 白夜書房
   5月23日発売。本屋はアスタルテと三月書房が載ってます。昨年末
   刊行で其中堂と遅日草舎が載ってた「冬春編」は、20冊ほど売れて
   ますから、こちらもそれくらいは売れるでしょう。


[#03] 短歌本の売り上げtop16(2004/04〜2005/04)

  ※期間が13ヶ月と変則ですが、73号に掲載した前回分2003/04〜2004/03
   と連続させました。通算売り上げ冊数を補ってあるのが、この期間
   以前の発売で、それ以外はこの期間中の新刊です。

  01 47冊 吉本政枝拾遺歌集 編集・発行責任者 宿沢あぐり
  02 29冊 河野裕子歌集 季の栞        雁書館   
  03 28冊 小池光歌集 滴滴集         短歌研究社
  04 26冊 永井陽子全歌集           青幻舎   
  05 25冊 春日井建歌集 朝の水        短歌研究社 
  06 24冊 吉川宏志歌集 海雨         砂子屋書房 
  06 24冊 小池光歌集 時のめぐりに      本阿弥書店 
  08 19冊 河野裕子歌集 庭          砂子屋書房 
  09 18冊 岡井隆歌集 馴鹿時代今か来向かふ  砂子屋書房 
  10 17冊 永田和宏歌集 風位     短歌研究社(通算47冊)
  11 15冊 魚村晋太郎歌集 銀耳    砂子屋書房(通算31冊)
  12 14冊 原型:齋藤史追悼号     原型短歌会(通算90冊)
  12 14冊 岸上大作の歌(高瀬隆和・著)     雁書館
  14 12冊 竹山広歌集 遐年          柊書房
  14 12冊 矢部雅之歌集 友達ニ出会フノハ良イ事
                    ながらみ書房(通算13冊)
  14 12冊 小中英之歌集 砂子屋書房

   前回は9位が11冊でしたから、今回はかなりよく売れた本が多かっ
   たようです。とくに目立つのが「永井陽子全歌集」ですが、まだこ
   れは売れ続けてるので、1年間で40冊位は売れそうです。出たら必
   ず売れる河野裕子と小池光の歌集がほぼ同時に2冊づつ出ましたが、
   売る方としても買う方としても適当な間隔を空けて出していただく
   ほうがよかったような気がします。どちらか1冊ずつだったらもう
   少したくさん売れたでしょう。原型短歌会と宿沢さんのは完全な非
   流通本ですが、ながらみ書房、雁書館、柊書房も、ほとんどあるい
   はまったく一般流通していません。だから直取引しているうちの店
   がこんなにたくさん売ることができるわけです。ちょっと前に、柊
   書房の「おばさんの茂吉論」という本が朝日新聞の書評欄に載った
   週には、書店や図書館から10件以上問い合わせを受けました。柊書
   房にはサイトがなくて、Googleで検索すると三月書房が1番目か2
   番目位に出てくるからですが、半分くらいの人が慌て者で、うちを
   発行所と間違えてるので迷惑しました。取次の八木書店に口座があ
   り仲卸できるはずなのですが、他の取次に発注すると、とても時間
   がかかるか、不扱いと言われるかどちらかのようです。どうしても
   仕入れたければ直でということになりますが、会社の方針か何かで
   避けたがる書店が少なくないようです。短歌本は自費出版が99%な
   ので、出版社としては一般流通はゼロでも損はありませんが、注文
   用に地方小出版流通センターの口座ぐらいはあるほうが便利でしょ
   う。
   

[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その43)

  ○丸善京都支店が9月末に閉店します。このニュースは3月末に新聞
   報道されましたが、それによりますとリストラの一環として29億円
   で売却済み、後継店は四条烏丸あたりのテナントを物色中とのこと
   です。丸善京都店は1907年に三条通りにて開業し、1940年に現在地
   に移転したそうです。小生の記憶では1950年代半ばに3階建てにな
   り、1970年代には5階建てになったはずです。このビルはまだまだ
   使えそうだったのに、なぜか1993年に8階建てに立て替えられまし
   た。売却後はインターネットカフェなどが入るビルになるそうです。
   (京都新聞電子版)
   
   丸善京都店の戦後の全盛期は、おそらく60年代から70年代にかけて
   だったのでしょう。たしか70年代半ばごろまでは、朝10時開店の5
   時閉店で、しかも日曜定休という殿様商売をしてました。洋書は競
   争相手がほとんどなくてドルもポンドも、換算レートは2倍位を平
   気でつけてましたし、文具も万年筆の時代でしたからペリカンなど
   の舶来品がずらっと並んでました。並行輸入も難しく、もちろんネッ
   ト書店などありませんでしたから、大学関係の外商も儲かっていた
   でしょう。やたらに多い店員も、お客の相手よりも店員同士のおしゃ
   べりに夢中で、まるで区役所かなんかの役人のような働きぶりだっ
   たような記憶があります。近頃は定休日もなく、営業時間も夜9時
   までになっていますが、そのかわり特色が薄れて、とくにどうとい
   うことのない中型店(総売場面積500坪強)になりつつあったようで
   す。
   
   78号にて河原書房の閉店(跡地は5月現在更地になっています)を
   お知らせしたばかりですが、まさか丸善も消えるとは予想もしてま
   せんでした。これで河原町通りの三条〜四条間の新刊書店は、つい
   にブックファースト河原町店ただ一軒となりました。ここは築50年
   近い京都宝塚劇場のテナントであり、数年以内の建て替えが噂され
   てますから、ひょっとすると全滅ということになりかねません。
   
   いまこの通りに並んでいるのは、ケータイ電話、パチンコ、ゲーム
   センター、カラオケ、ドラックストア、100円ショップ、足裏マッ
   サージ、エステサロン、ネイルアート、回転寿司、ハンバーガー屋、
   クレープ屋、スニーカー屋、靴下屋、といったものばかりで、もは
   や京都を代表する通りとは言えない惨状です。とくに観光客には少
   しも魅力がないでしょう。三条通の寺町〜烏丸間が大繁盛し、寺町
   通の御池〜丸太町間もやや繁盛しつつあるのは、おそらくその余波
   でしょう。四条通の南座前〜祇園社石段下間も、河原町に比べると
   まだかなりましな雰囲気が残っています。
   
   河原町通の御池〜四条間には、京都を代表する古書店が5店健在で
   すが、新刊書店が消えた町に残っても、最大の長所だった新古の補
   完関係が成り立たなくなるわけですから、先行きは明るくないと思
   われます。ここらはまだ地価が高いので売り飛ばすか、テナントを
   入れるかして、うんと地価が低い寺町二条あたりに揃って引っ越し
   て来ていただけるとよいのではと、勝手に希望しています。寺町二
   条近辺には古書店や専門書店も少なくなく、美術・骨董街としても
   上昇中ですから、いまの河原町よりもよほど古書店向きです。
   
  ○4月20日オープンの紀伊國屋書店MOVIX京都店は、予想以上で
   も以下でもないどうということない店でした。1階が本と雑誌とDVD・
   CDで、地階は本と雑誌のみ。本と雑誌が200坪でDVD・CDが100坪とい
   うことです。松竹系シネコンのテナントなので映画関係の本を揃え
   るという話でしたが200坪の書店としてはやや多い目という程度のも
   のです。それでも全体としてはなかなかポップな感じで、心斎橋オ
   ーパで早々と撤退したときのようなミスマッチ感はないようでした。
   固い目の本はかなり少ないので、この手の本はブックファーストの
   優位は動かないでしょう。個人的には「Forest」という別枠になっ
   ているDVD・CD売場に期待していたのですがたいしたことありません
   でした。とくにCDは輸入盤もインディーズもほとんどなくて、まこ
   とにつまらない品揃えでした。
   
  ○二条駅前の再開発は地下鉄東西線開通にあわせて計画されていたも
   のの、トラブル続きで大幅に遅れていましたが、やっと7月にメイ
   ンになる「BiVi京都」という娯楽施設がオープンします。5階
   建ての4〜5階が東宝系のシネコンで、他の階は飲食や物販と娯楽
   施設になると新聞に載ってました。ここへ大垣書店が170坪で出店す
   るそうです。京都市が主導する駅前の再開発は、ゼスト御池を筆頭
   に、山科も醍醐も北大路も京都駅八条口のアバンティもろくなこと
   になってませんが、ここはどうなるでしょうか?もっともこのビル
   は第3セクターではなくて、京都市は地主にすぎないようなので、
   ひょっとしたらうまく行くかもしれませんが。
   なお、二条駅前には来春に「JR二条駅NKビル」というのもでき
   る予定で、ここの1〜4階も飲食・物販のテナントが入ることになっ
   てます。いずれにしろ、もしも順調に行ったとしても、近辺の商店
   街に何らかの影響がある程度のことでしょう。
   

[#05] 雑、雑、雑、…

  ○先日怪しげな株屋から電話があり、近く日販が上場するので未公開
   株を買わないか、あるいは既に持ってるのなら売ってくれないかと
   いうような話でした。もちろん一発で断りましたが、ほかの書店や
   出版業界関係者も同様の勧誘を受けているようです。というか、う
   ちはかなり遅かったようで、すでに日販のサイトには2004/11/12付
   けで、「当社の株式について、上場を控えた未公開株であるとして、
   販売活動がなされているとの情報が寄せられています。…。現在、
   当社は株式公開の予定は全くございません。投資者のみなさまにお
   かれましては、十分ご留意くださいますようお願い申し上げます。」
   と掲示されてます。
   
   数年前には新聞や雑誌が経営危機と報道しましたが、そのころに比
   べると経営状態はややよくなっているようです。しかし、経営状態
   がよくなったとしても、これは優良資産の売却などによるリストラ
   効果にすぎず、多額の不良債権が何らかの方法で先送りにされてい
   るのではという疑いは拭えないでしょう。それは知ったことではな
   いとしても、そもそも出版業界に発展の可能性が残っているのかと
   いう根本的な問題があります。それに、角川書店が上場するときに、
   委託返品のリスクが計算不能な位大きいからと、東証がかなり渋っ
   たという話は有名ですが、日販の場合は売上金額が大きいだけにもっ
   とそのリスクが大きいことでしょう。個人的にはそんな日販の株な
   ど買う気はまったくありませんが、八木書店のなら買ってもいいよ
   うな気がしないでもありません。

  ○78号に「文藝春秋2月号」掲載の「ネット書店アマゾン潜入記」に
   ついて感想を書いておきましたが、そのライター氏が情報センター
   出版局から「潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影」という
   本を出されました。基本的には先の記事を詳細にしただけであって、
   とくに目新しいことはありませんでしたが、前年度の売り上げは推
   定1000億円で書籍は500億円と伸びていること、ブックオフから新古
   本を仕入れて新本として売っているのではというまだ確証のない疑
   惑、そして、Amazonジャパンは再販制の継続をむしろ歓迎している
   のではという観測あたりが新ネタと言えそうでした。残念だったの
   はマーケット・プレイスについての情報がほとんどなかったことで
   すが、ここにはバイトの潜入する余地がなさそうなので、他の人に
   よる内部情報を期待するしかないでしょう。

   なお79号にうちの店がマーケット・プレイスに出品している話を載
   せましたが、今月から三月書房の名で出品するのは中止して、匿名
   に変更しました。ネット上はいい加減なニックネームで、発送時は
   個人名です。売れ行きは月に60冊前後とまずまずなのですが、値段
   の設定が他の出品者との兼ね合いがあって自由にならず、その結果
   同じ本がうちのサイトや地べたの店に比べて、高すぎたり安すぎた
   りするために、ネットでの買い上げ客を事後にうちのサイトへ勧誘
   するには、いろいろ気をつかってしまう場合が多くて、めんどうに
   なったからです。それにそういう相乗効果はさほど大きくないよう
   な感じでしたから。

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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜79号)」はHPにて公開中です。
    
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