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e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第11冊[101〜110号]
通巻101号 2008.10.21発行 通巻106号 2009.12.31発行
通巻102号 2008.12.31発行 通巻107号 2010.03.30発行
通巻103号 2009.03.10発行 通巻108号 2010.06.30発行
通巻104号 2009.06.09発行    
通巻105号  2009.09.29発行    
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[101]
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2008/10/21[10-05-101]  (c)SISIDO,Tatuo     

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 101号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00]  100年に一度の大恐慌が到来かもということで、ちかごろ経済ニュースがやたらに面白く、
    パソコンに向かうとついついその手のブログやニュースばかり見てしまい、うちのブログ
    の更新はほったらかしになってます。株など1株も持ってないのに、経済市況を喜んで見
    てるのは、馬券を買わずに競馬を観戦しているようなものですが、上がるのも下がるのも
    記録ずくめの派手さで、素人にもたいへんわかりやすいのがなんといっても魅力です。い
    まのところ、どこまで落ちるのか見当もつきませんが、メリルリンチだとかAIGだとかが落
    馬したり、GMが気息奄々で今にも脱落しそうだったりで、野次馬としては目が離せません。
    もちろん、われわれが預けた年金を、下手な役人が勝手に馬券につぎ込んで大損をして
    いるようですし、日本国の国際収支の黒字分は、すべて狐か狸の葉っぱのようなアメリカ
    国債に化かされています。だから、こちらは安全な観客席でレースを楽しんでいるつもりで
    も、突然スタンドが倒壊していつどんなまき添えを食う
かわかったものではありません。
    しかし、わが書店業界はこの10年ずっと不況が続いていて、いっこうに底が見えない状態
    ですから、いまさら驚くこともないでしょう。

     それにしても「スターリン暴落」だとか「失言恐慌」などということばを目にすることが多くなっ
    てきたのは、まるでイチローさんの活躍で突然名前が出たジョージ・シスラーやウィリー・
    キーラーのような感じです。金本位制だった1920年代の大恐慌とは別物だという説もあり
    ますが、さしあたっては筑摩文庫の「オンリー・イエスタデイ―1920年代・アメリカ 」と「シン
    ス・イエスタデイ―1930年代・アメリカ 」あたりを復刊すれば売れるかもしれません。つい
    でながら城山三郎の「鼠 鈴木商店焼打ち事件」は今でも文春文庫にあるので平積みを
    おすすめします。
    もひとつついでながら、経済情報のブログの入門用としては、「アエラ」にコラムを連載中
    の「ぐっちーさん」のあたりから入られるのがよろしいかと思います。
   

[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

  ◆「臨床瑣談」中井久夫 みすず書房
  ◆「(歌集)夏鴉」澤村斉美 砂子屋書房
  ◆「時の基底 短歌時評98-07」大辻隆弘 六花書林
  ◆「調査されるという迷惑」宮本常一 みずのわ書房
  ◆「シリーズ牧水賞の歌人たちVol.3 永田和宏」青磁社


[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

  ◆「続・河野裕子歌集」砂子屋書房
  ◆「(歌集)ネフスキー」岡井隆 書肆山田
  ◆「芸術言語論への覚書」吉本隆明 李白社
  ◆「私の昭和史・戦後編(上・下)」中村稔 青土社※入荷済み
  ◆「アーリイモダンの夢」渡辺京二 弦書房※入荷済み
  ◆「yaso#ヴィクトリアン」ステュディオ・パラボリカ※入荷済み
    この号はどうしたことかまだほとんど売れてません。いつも同様に、200名ほど登録され
    ているペヨトル客のアドレスに案内を送信したのに事前予約が数名しかありませんでした。
    「#ゴス」や「#ドール」や「#耽美」は予約だけで数十名、通算では軽く100冊を越えたので
    すが、前号の「#ヴァンパイア」あたりから失速気味です。最初に書いたような事情で、
    入荷案内をブログにアップしなかったのも原因かもしれません。
        
    
[#03] 近ごろちょっとまずいことになったらしい出版社など。

   前号以降ちょっとまずいことになった出版社で、うちの店と関係があるのは雁書館だけ
   だったようです。とここまで書いたところで、大阪の東方出版が民事再生法申請という情
   報が某取次関係者から届きました。この出版社はここ数年、八木書店の特価本ルート
   にかなりの点数を流していましたが、その質量を見ると倒産予備軍的な感じがしてました
   から、今回の事態はぜんぜん意外ではありませんでした。
   再販本を特価本(非再販本)にするときは、二重価格にならないようにするべきなのです
   が、ここは一般書店には定価で販売し続けつつ、同じ本を特価本ルートにも大量に流し
   ていました。それも、刊行から一年前後のまだまだ売れそうな本(例・「ボタン博物館」、
   「缶詰ラベル博物館」、「横尾忠則Y字路」)まで次々に処分していましたから、資金繰り
   が苦しいのであろうことは丸わかりでした。
   八木書店から特価本を仕入れていると、お客に喜ばれてよく売れる上に、その目録から
   いろいろな情報が読みとれるのでたいへん助かっています。おかげで今回は返品不能
   品はほぼゼロでしょう。とはいえ、どの倒産出版社の場合でも、あとになってから棚のど
   こかにあるのを見つけてがっかりすることが多いのですが。
   
   雁書館は短歌関係専門の出版社として三十年以上続いていました。社主の富士田氏は
   角川書店の「短歌」の元編集長で、退社後の1970年代に独立開業された方です。一時
   「九芸出版」というのにも関係されていたと覚えてますが、その前後関係はあやふやです。
   1970年代に発行されていた「雁」という雑誌は「映像+定型詩」という副題がついていて、
   短歌ばかりでなく、詩や戯曲や映画評論なども載ってましたが、のちに「季刊現代短歌 
   雁」となり、今年の春に出た66号が最新号でした(※その時点では休刊号とも終刊号と
   も記されてなかったような記憶があります)。
   うちの店は当初から直接取引をしていただいてましたが、日販やトーハンなどには帳合
   がなく、以前は柳原書店、そして同社倒産後は八木書店にのみ取次口座がありました。
   理論上は、八木書店を仲卸しとして、八木と取引のない書店でも仕入れ可能だったは
   ずですが、実際にはあまり流通してしていなかったと思われます。それでも短歌本は推
   定95%位が自費出版であり、自費出版でなかった場合でも、著者や結社が宣伝や販売
   をしてくれるはずなので、版元直販のみでもたいした不自由はなかったのでしょう。
   今回休業されることになったのは、社主の健康問題が理由だそうです。神田の事務所
   は退去されたものの、会社そのものはご自宅にて継続されているようですが、いまのと
   ころ既刊本の出荷もむつかしいと伺ってます。うちの店では短歌本の出版社としては、
   トップクラスの売上げがある版元だったのでたいへんに残念です。在庫は委託品なので、
   当分はそのまま定価で売り続けることになっています。
   ちなみに雁書館以外の短歌本出版社で、うちの店でよく売れているのは砂子屋書房、
   短歌研究社、短歌新聞社、不識書院、ながらみ書房、本阿弥書店、柊書房、青磁社、
   六花書林、邑書林、北冬舎などです。おそらくどこも社員数は、多くても数名程度と思わ
   れますが、自費出版がたいへんに盛んなジャンルなので、どこも出版社としては安定し
   ているほうであろうと思われます。(※ほかに角川学芸出版、河出書房新社、風媒社,、
   NHK出版、国文社などの短歌本も売れてますが、言うまでもなく短歌本専業ではありま
   せん)
   
   前号でお知らせした湯川書房については、今月発行の「spin (04) 」に、追悼記事数本
   と「湯川書房限定本刊行目録(未完)」が掲載されています。定価1000円+税。
   みずのわ出版・発売。
   

[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その63)

  ○親会社の倒産に伴って7月末に閉店した「ランダムウォーク京都寺町店」は、管財人
   の意向により8月中旬から営業を再開されてます。先週確認したところでは、書籍は
   20%引きで雑誌は50%引き。洋書のみとのことでしたが、講談社インターナショナル
   ほか一部の出版社の和書もかなりありました。開店時には売り物の一つだった、ヘ
   ラトリなどの外国新聞のオンデマンド・サービスは終了。クレジットと図書カードの利用
   は不可とありました。20%引きではさほどの割安感はありませんが、いずれはもっと
   割引率が上がるのではと期待してます。
   ブログ「三月記(仮題)」に記事あり。
   
  ○「出版ニュース 2008年10月上旬号」掲載の「2007年度書店売上実績」にランクインし
   ていた京都市に本社のある書店グループは下記の4店でした。
   前回4億円で352位だった金原書店は昨年末に閉店しています。→こちら

   ・056位 大垣書店  52.6億円  3.8%増
   ・079位 ふたば書房 33.3億円  6.2%減
   ・241位 丸山書店   7.4億円  5.1%減
   ・276位 恵文社    6.1億円 16.6%増

   「新文化」のサイトに8月22日付けで載っている速報によれば「大垣書店の売上高は、
   59期(8月期)決算で前年比4%増の68億円の見通し。ふたば書房は48期(7月期)決算
   で同1.1%増で40億円強となり、ともに増収となった。ふたば書房は13年連続の増収。
   8月21日、和昌会で大垣守弘社長と洞本昌哉社長が発表した。」ということですが、
   「出版ニュース」の数字とはかなり違うようです。その数字が2007年末なのか2008年
   3月末なのかは不明ですが、決算時期の違いだけでこんなに大きく変わるものなので
   しょうか。「出版ニュース」のは帝国データバンクの調査をもとにしたとありますが、ど
   ちらのデータも店舗数は不明なので、大垣もふたばもこの間にまた数店出店したの
   かもしれません。デパートやコンビニのように既存店ベースの増減がわかるとよいの
   ですが、売上げ額だけではほんとに景気がよいのかどうかはわかりません。しかし、
   恵文社は店舗数が増えてはいないと思われますから、この増加はいまどきほんとに
   たいしたものだと言えるでしょう。残念なのは、書籍と雑貨の売上げ比率が不明なこ
   とですが、それはふたば書房も、そしてあのヴィレッジ・ヴァンガードも同様です。
   
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜100号)」はHPにて公開中です。
     
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