e-mail 版
三月書房販売速報(仮題) 旧号合冊 第11冊[101〜110号] |
通巻101号 | 2008.10.21発行 | 通巻106号 | 2009.12.31発行 |
通巻102号 | 2008.12.31発行 | 通巻107号 | 2010.03.30発行 |
通巻103号 | 2009.03.10発行 | 通巻108号 | 2010.06.30発行 |
通巻104号 | 2009.06.09発行 | 通巻109号 | 2010.10.26発行 |
通巻105号 | 2009.09.29発行 |
※各号の最終版を一部修正して掲載しました ※非営利目的の転送は歓迎します |
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三月書房販売速報[106] &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 2009/12/31[11-04-106] (c)SISIDO,Tatuo e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 106号 ※いちおう出版業界向けに制作してます※ &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& [#00] 「我が社も9月あたりから『もうだめかも』状態だったが、とりあ えず年が越せそう…」というのはうちの店ではなくて「アックス」 72号の編集後記です。似たような感じの出版社や書店も少なくない ことでしょうが、青林工藝舎は青林堂の時代から、世間の景気とは 無関係に、いつも貧乏自慢してるような会社なので、まだまだ大丈 夫でしょう。なにしろ、一時は完全に危篤状態と思われた元の青林 堂も、いまでは年に何冊か新刊を出せるところまで回復されてます から、おそらく不況に対する強力な免疫を遺伝的に持っておられる に違いありません。「12年の間に貯めた生き残るための知恵の蓄積 が少しは役だったのかもしれない」とありますから、そのノウハウ をワクチンにして販売したら出版よりも儲かるのでは。 うちの店もだらだらと下り坂ですが、いまのペースで落ちて行って もまだしばらくは持ちそうです。しかし、出版業界全体は完全にど ん詰まりで、何一つよい兆しはありません。それにしても、あと何 年もこんな状態が続くのはうんざりなので、ぼちぼち何らかの結末 を見てみたいような気がしないでもありませんが、こればかりは勝 手にどうこうできるものではないので、せいぜい被害を最小限にく いとめられるように心がけておく程度のことしかできそうにありま せん。日本中の人たちも、おそらくそれぞれの立場で、同じような ことを考えて引きこもってるようなので、さしあたっては景気の回 復は絶望的でしょう。 [#01] 最近売れてるような気がする本(順不同) ◆「現代の歌人140」小高賢 新書館 ◆「(歌集)西行の肺」吉川宏志 角川書店 ◆「対峙と対話」大辻隆弘、吉川宏志 青磁社 ◆「(歌集)月の夜声」伊藤一彦 本阿弥書店 ◆「言い残しておくこと」鶴見俊輔 作品社 ◆「社会の未来」シュタイナー/高橋巌・訳 春秋社 ちかごろ、人智学関係の本の売れ行きもかなり落ちていますが、 これは比較的出足が好調です。 ◆「読むと書く―井筒俊彦エッセイ集」慶応義塾大学出版会 まだ5冊ほどしか売れてませんが、6000円超の定価を考えると、 ちかごろとしては上の部でしょう。いままでだったら、この本は 値崩れすることなくロングセラーになることが確実なのですが、 今後のことはわかりません。 ◆「夜想#モンスター&フリークス」 ステュディオ・パラボリカ ◆「田舎暮らしはじめました]グレゴリ青山 メディアファクトリー この2冊についてはブログ「三月記(仮題)」に記事があります。 ◆「東京詩−藤村から宇多田まで」清岡智比古 左右社 吉本氏が帯に数行コメントを載せておられるという理由だけ?で 10冊近くも売れてます。 ◆「吉本隆明資料集 91集」猫々堂 91集からは、単行本未収録の対談も収録されるようになり、この 集はとくに出足が好調です。この資料集の42集からはほぼ年代順 に、単行本未収録の文章と、単行本化されていても加筆修正され ている場合の初出が収録されています。この集は1987年あたりで すが、これまで対談が収録されていなかったのは、青土社から出 ていた「全対談集(全12巻)」に1986年の分までは収録済みだか らとのことです。今後、筑摩書房とか河出書房新社とか、あるい はどこか別のところからから「吉本隆明全集」が刊行されたとし ても、この資料集のすべてが収録されることは絶対にありえませ ん。とくに1集から27集までに収録されている座談会は困難と思 われます。既刊分の内容はこちらをごらんください。いまなら全 巻揃います。 吉本氏はまだまだお元気で、月刊誌「ダンチュー」の連載は一度 も休載されることなく4年目に入ってます。しかし、さすがに今 年はその他の仕事量はかなり減少したようで、単行本は旧稿の編 纂物が1冊と増補版が1冊出ただけでした。ここ何十年かは、毎 年少なくとも5冊位は新刊が出ていたのですが。 [#02] これから売れそうな気がする本(順不同) ◆「巴里物語[2010復刻版]」松尾邦之助 社会評論社 ◆「夢の抜け口」杉本秀太郎ほか 青草書房 ◆「アナキズム・カレンダー2010」アナキズム文献センター※入荷済み ◆「シュタイナー 生命の教育」高橋巌 角川書店※入荷済み ◆「シュタイナー 地球年代記」西川隆範・訳 風涛社※入荷済み ◆「(歌集)野性の聲」前登志夫 本阿弥書店※入荷済み ◆「(歌集)葦舟」河野裕子 角川書店※入荷済み ◆「(歌集)日和」永田和宏 砂子屋書房 ※入荷済み ◆「(歌集)九夜八日」森岡貞香 砂子屋書房※入荷済み ◆「(歌集)サンボリ酢ム」田中槐 砂子屋書房※入荷済み ◆「(歌集)さくらさねさし」水原紫苑 角川書店※入荷済み 売れてる本も売れそうな本も短歌系ばかりが目立っています。と くに今年は12月になってから有力な歌集がどっと出ました。例年 のことながら秋以降に偏りますが、もっとばらけて出てくれるほ うが購読者にとっては読むにも買うにも楽なので、全体として売 上は増えると思うのですが。いずれにしろ、世間が不況にもかか わらず、短歌系の本の売上が比較的順調なのは、短歌をやってる 人たちが、経済的にゆとりのある階層の人が多い(岡井隆氏の説 による)からなのでしょう。 [#03] 近ごろちょっとまずいことになったらしい出版社など 前号以降、ナイタイとかアド出版とかが破綻したようですが、うち とはぜんぜん関係の無かった版元なのでよくわかりません。 年初にはもっとバタバタとこけるかと予想してましたが、意外なほ どどこも持ちこたえたようでした。しかし、どうもいろいろ聞いて いる話では、看板だけは維持しているものの、中がどんどんスカス カになりつつあるような出版社が少なくないようです。前号では晶 文社の事業縮小の件を載せましたが、その後、白夜書房が書籍部門 から完全撤退したと聞きました。とくに発表はせずとも、何やかや で人を減らしているところも多いでしょう。そのわりには新刊点数 だけは減っていないような感じですが、重版はかなり減少しつつあ るそうです。 「新文化」のサイトの12月22日付に栗田の決算記事が載ってますが、 書籍の返品率は前年比1.7%増の45.5%とのことでした。この調子 だと遠からず50%を越えそうな勢いです。そんな返品率だと理論的 には経営が成り立たないはずなのですが、最近の業界の情勢をみて いると、それでも破綻しない/させないかもという気がしてなりま せん。ようするに返品率だけでは決定打にならないかもというよう な意味です。それなら何が決定打になるのかといわれるとこまりま すが、ひとつだけ確実なのは、日銭が入らなくなったときでしょう。 [#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その68) ○白川通の京都造形大前にあった文庫堂という古書店が、10月末で閉 店しました。たぶん30年前位の開業だったような記憶がありますが、 たいへん好ましい店でした。ネット専業になるとのうわさが流れて いますが、準備中なのか、いまのところ検索できていません。ふつ うは地べたとネットとの併売をするのが先で、地べたを閉じるのは その後のはずなので、そのあたりは少し不思議ですがよくわかりま せん。 ○今年もみすず書房の書店別売上げランキング(2008/12〜2009/11) が届きました。今回も京都関係の書店のみ、売上げ冊数の前年比を 計算してみました。 1(1) 京大生協ルネ 前期比▲28% 2(2) ジュンク堂BAL店 ▲ 3% 3(3) ジュンク堂京都店 ▲10% 4(4) 立命館生協存心館 ▲25% 5(5) アバンティBC ▲17% 6(6) 大垣書店烏丸三条 5% 7(7) 同志社生協今出川 12% 8(-) ブックファースト京都 --% 全体としてはやはり1割以上落ちているようです。 ちなみにほぼ10年前の1997/9〜1998/8と比べてみると、 京大生協ルネ ▲66% ジュンク堂京都店 ▲46% アバンティBC ▲69% と半分以下になっています。10年前にあって今は無い書店では 「駸々堂京宝店」が「ジュンク」と「アバンティ」の間にあり、 「丸善京都」は「ジュンク」の3分の1程度の冊数でした。 他都市の他書店の数字を見ても、だいたい同じような傾向ですか ら、みすず書房の本については、この10年で売上冊数が半減また はそれに近い落ちかたをしているように思われます。おそらく、 みすず書房タイプの出版社の売り上げも似たようなものでしょう。 うちの店のみすず書房の売り上げも、やはり同様に落ちていて、 来年はもう常備を出荷してもらえないかもしれません。しかし、 みすずに限らず常備の売上は落ちる一方なので、近年はどんどん 契約出版社を減らしていますし、継続している出版社でも冊数は かなり減らしています。ジュンク堂などの千坪超の書店なら、常 備なしには棚を埋めることは不可能でしょうが、うちはそれでな くとも棚が不足している小店なので、常備がなくなっても何とか なると思っています。 [#05] 雑、雑、雑、…… ○インターネットが本格的に普及して10年以上たちましたが、このメ ルマガというスタイルはやや時代遅れになりつつあるような気がし ます。「本のメルマガ」ほか10本ほど登録している「まぐまぐ」の メルマガも、ちかごろはほとんど読んでいません。 ブログ「三月記(仮題)」のほうは、けっこう読まれているようで、 かなり通販の宣伝にもなっているのですが、めんどくさくて月に数 回しかアップできてません。めんどくさいのは毎回写真を載せるこ とにこだわりすぎているからなので、字ばっかりのブログもありに して、もっとアップ回数を増やすことにしたほうがよいような気が しています。 ツイッターがはやっているそうですが、まだよくわからないので、 手を出す気にはなりません。唯一、角川春樹先生のだけはすごいと 思いましたが、とてもあんなマネはできません。それも短期間で止 めになったようで残念ですが、その片鱗はこの遺跡で少し読めます。 実際のところは、あの鈴木書店や駸々堂が破綻したころのように、 ダイナミックな話題さえあれば、メルマガでもブログでも乱発でき るのですが、ちかごろ、何も面白いネタがないので、こちらが停滞 しているだけなのかもしれません。もちろん、妙に静かなのは、別 に悪いことではないので、どこに文句を言うわけにも行きませんが。 さて、来年はどんなひどい年になるのでしょうか? ------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------ この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版 をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。 ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊 ◆「バックナンバー(01〜102号)」はHPにて公開中です。 ※新規購読及び配信停止はメールでお申し込みください (c)SISIDO,Tatuo 三月書房 ------------------------------------------------------------------ |
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