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e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第11冊[101〜110号]
通巻101号 2008.10.21発行 通巻106号 2009.12.31発行
通巻102号 2008.12.31発行 通巻107号 2010.03.30発行
通巻103号 2009.03.10発行 通巻108号 2010.06.30発行
通巻104号 2009.06.09発行    
通巻105号  2009.09.29発行    
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[103]
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2009/03/10[11-01-103]  (c)SISIDO,Tatuo    *転送歓迎* 

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 103号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] なんかテレテレと景気が悪くなりつつあるのは間違いないのですが、どうもいまいち緊迫感が
   感じられません。日本国が他国よりもやや有利な点があるとするならば、外貨準備や国際収
   支がどうとかではなくて、よそよりも10年以上も前から、ゼロ金利とかデフレとかに国民が慣れ
   ていることが一番大きいでしょう。その日本国の中でも、とくにわが出版業界は、ここ10数年
   ずーと右肩下がりなので、突然大不況になった自動車や電機業界とは違って、案外他業界よ
   りもしぶといかもしれません。
   それにしても、日本国政府の無策無能ぶりはたいしたものですが、ひょっとしたら深謀遠慮の
   結果、わざとバカなふりをして国を守ってくれているのかもしれません。将棋なんかの場合、
   手番が来ても何もせずにパスする方がよい場合がままあります。ルール上パスするわけには
   いかないので、わざと意味のない手を指して、手を渡すわけですが、もしも日本国政府がそう
   いう高級な手を実行中なのだとしたら、次々に間抜けな総理大臣や国務大臣が登場するのも、
   わからないでもありません。よーするに、どうやってもだめなときは、何もしないのが最善の場
   合があるのですが、アメリカかどこかが断りにくいことを押しつけてきたら、拒絶はできないの
   で、首相がバカ言ったり、大臣が頬にばんそこうを貼ったり、国際会議で酔っぱらったりして時
   間を稼ぎ、それでもだめな時は、突然政権を投げ出してサボタージュしているわけです。
   そこまでして、最終的に何を待っているかと言えば、おそらく世界的な大破綻でしょう。どうやっ
   ても世界大恐慌が避けられないのならば、その落ちて行く過程でじたばたと無駄に消耗せず、
   再出発の時までパワーを温存するのは、正しい政策であろうと思えます。日本国の政府が、
   そこまで優秀であるとは残念ながらほぼぜんぜん思えませんが、これをわが出版業界に置き
   換えて考えるならば、どうせ業界の崩壊が避けられないのなら、無理はせずに体力を温存す
   るのが正解と思えます。うちの店はおよそそのような方針なのですが、あまり長引くと個人的
   には寿命が尽きるので、法人や国体のようなわけには行きません。まあ、これはほとんど冗
   談ですが、そんな楽しみでもなければ、あほらしくてやっていられないような状況が、今後数年
   以上続くことだけは間違いないでしょう。もしも、いまだに出版業界が崩壊寸前であることをご
   存じない方は、小田光雄さんの「出版状況クロニクル」を読んでみてください。    
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

  ◆「資料・米沢時代の吉本隆明について その十」編集発行・齋藤清一
  ◆「詩の雑誌 ウルトラ12号“大特集・吉本隆明〜”」ウルトラの会
  ◆「KAWADE道の手帖 鶴見俊輔」吉本隆明他 河出書房新社
  ◆「KAWADE道の手帖 倉橋由美子」川上弘美他 河出書房新社
  ◆「『プガジャ』の時代」森晴樹/村上知彦/春岡勇二 ブレーンセンター
  ◆「猫ジャケ:素晴らしき“ネコード”の世界」ミュージック・マガジン
  ◆「(歌集)母系」河野裕子 青磁社
  ◆「(歌集)眠ってよいか」竹山広 ながらみ書房
  ◆「(文庫)塚本邦雄の青春」楠見朋彦 ウエッジ
  ◆「私の会った人びと」河野裕子/池田はるみ 本阿弥書店
  ◆「日本語が亡びるとき」水村美苗 筑摩書房
  ◆「貧困研究1」貧困研究会 明石書店
  ◆「みすず 2009/1-2 読書アンケート特集」みすず書房
  ◆「石田徹也遺作集」求龍堂
     この本は2年位前から毎月1冊程度はコンスタントに売れてますが、余分の在庫がないの
     で、一度売れると10日間ほど在庫切れになります。複数在庫すれば、もっと売れるだろうと
     思わないでもないのですが、昔からなぜかそうすると売れ行きがぴたっと止まってしまう本
     が多いので、ゲンをかついでいちいち補充しています。それにしても複数在庫すると、売れ
     なくなることがなぜ多いのか、ちょっと不思議です。
     
     
[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

  ◆「杉浦茂の摩訶不思議世界 へんなの…」中野晴行・編 晶文社
  ◆「杉浦茂ニコニコ大会」嶌津よたろう・編 青林工藝舎
  ◆「KAWADE道の手帖 谷川雁」河出書房新社
  ◆「(歌集)重力」真中朋久 青磁社※入荷済み
  ◆「大辻隆弘評論集『アララギの脊梁』」青磁社※入荷済み
  ◆「言葉のゆくえ」坪内稔典/永田和宏 京都新聞社
  ◆「加藤一雄の小説」用美社
     この本は2年以上前に出る予定でしたが、延期に延期を重ねていて、今度もあまりあてには
     なりませんが、3月中には出そうな話です。この件についてはブログ「三月記(仮題)」に記事
     があります。
   
    
[#03] 2008年の出版社別売上げ冊数 TOP10

    1(1) 筑摩書房 ↓
    2(3) 講談社 ↑
    3(2) 岩波書店 ↓ 
    4(5) 新潮社 ↑
    5(4) 河出書房新社 →
    6(7) 中央公論新社 →
    7(6) 平凡社 ↓
    8(8) 文藝春秋 →
    9(10) 朝日新聞社 ↑
    10(12) 光文社 ↑
    ※( )内は前年の順位。↑↓→は冊数の増・減・ほぼ横這い。 

   ペヨトル工房や小沢書店など、珍しい出版社がランク外に去ってしまい、もはやあまり意味が
   ありませんが20年ほど続けているので、いちおう掲示しておきます。前年9位の角川書店は11位。   


[#04] 日販への返品率

   2004年   書籍17.0% 雑誌28.4%
   2005年   書籍20.6% 雑誌34.5%
   2006年   書籍17.4% 雑誌28%
   2007年   書籍18.6% 雑誌26.8%
   2008年   書籍22.6% 雑誌29.1%
   
   書籍も雑誌も数%増えましたが、世間ではそれぞれ40.1%と36.5%(「新文化」サイト記事01/26)
   もあったようなので、まだかなりよいほうでしょう。なお書籍に常備の分も加えると26%位になり
   ます。もう少し率を下げたいところですが、まったくお呼びでない新刊をパターン配本してくれる
   出版社がいっこうに減らないのと、いつどこの出版社が破綻するかわかったものではないので、
   少しづつ在庫を減らしていることとで、なかなか難しいようです。在庫を減らすといっても、多くの
   同業者のように、返品しすぎて棚がスカスカになり、表紙展示の本ばかり増えているというような
   ことになってはいません。うちの場合は非再販本が徐々に増えつつあり(註:現在棚の約15%程
   度)、全体量としてはうまいこと埋め合わせがついているように思えます。したがって量的にはあ
   いかわらず在庫がやや過剰で、棚から本があふれ、毎朝並べるのに苦労していますが、在庫金
   額は10年前に比べると何割か減少しました。おおざっぱに言って坪200万円が150万円になった
   あたりでしょうか。
   それにしてもちょっと不思議なのは、朝並べる時間がなくて、そのあたりに投げ出しておいた本に
   限って、なぜかよく売れることです。別に新刊でもなく、たまたまはみ出しただけの本なのですが、
   棚に差してあるよりも魅力的に見えるのでしょうか。   
   

[#05] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その65)

  ○京大の北西にあった児童書専門書店の「きりん館」が、昨年末に閉店されました。開店は1970
    年代半ばでしたが、このころは第2次ベビーブームの最中だったためか、全国的に児童書専門
    書店の開店がたいへん多かったのですが、いまでも続いている店はかなり少ないようです。とは
    いえほぼすべてがごく小さな個人書店でしたから、児童書専門であろうとなかろうと、生存率は大
   差ないかもしれません。この件についてはブログに記事があります。
      
  ○今年もみすず書房と東大出版会の書店別売上げランキングが届きました。1年前のデータは
    97号に載せましたが、前期同様に京都関係の書店のみ、売上げ冊数を単純に合計して、前年比
    を計算してあります。
   
   ※みすず書房は2007/12〜2008/11、東大出版会は2007/10〜2008/09
  
   1(1) 京大生協ルネ   前期比97%
   2(2) 立命生協存心館     83%
   3(4) ジュンク堂BAL店     96%
   4(3) ジュンク堂京都店    81%
   5(5) 同志社生協今出川    89%
   6(6) アヴァンティBC     86%
   7(7) 大垣書店烏丸三条    91%(※みすず書房のみ)
   ※東大出版会は前年は一般書店100位まででしたが、今回は50位までしか掲載されていないので、
     51位以下だった「大垣」の数字は不明です。大学生協は今回も前回同様30位まで。

   それにしてもどこも見事に下降しています。わずか2社のみのデータなので確実なことは言えませ
   んが、固めの人文書の売れ行きが10%程度落ちているのは、たぶんどこの書店も出版社も似た
   ようなことでしょう。ちなみに、みすず書房の全国1位の「紀伊国屋新宿本店」は19%弱の減、東大
   の全国1位の「ジュンク堂池袋本店」は10%減でした。
   なお、2007年10月に開店した「ブックファースト河原町店」は今回のみすずと東大のリストには出て
   きませんでした。この手の本はあまり売れていないのか、売上げカードを定期的に送っていないの
   かは不明ですが、「大垣烏丸三条」がみすずの62位であることを考えると、立地や売り場面積から
   見ても100位までに入っていないのはやや意外です。

   
[#06] 雑、雑、雑、……
   
  ○「週刊新潮」の2月5日号の巻末グラビア「とっておき私の京都」に大々的に載せていただきました。
   モノクロですが見開き2頁で、店番している小生の写真がでかでか載っていてかなり晴れがましい
   ことでした。分子生物学者の福岡伸一さんのご紹介で、学生時代から、よくご来店いただいている
   とのことでした。この先生の「生物と無生物のあいだ  」という講談社新書は、理科系に弱いうちの店
   でもよく売れていましたが、この著者がうちのお客だとは、この取材の依頼が新潮社から来るまで、
   ぜんぜん気が付いてませんでした。常連さんの顔は存じていても、取り寄せ注文をされたり、借金
   を溜めたりされない限り、お名前はわからないことがほとんどです。この連載グラビアは、有名人の
   行きつけの飲食店とか寺社名所とかを4回づつ取り上げるもので、福岡氏の場合は「鈴虫寺」、「京
   大西部講堂」、そして一乗寺のラーメン店「天天有」と当店でした。もう数年続いているので、うちの
   店もいずれは誰かが載せてくださるかもと、密かに期待してはいましたが、短歌関係の人とかでな
   く、理科系の学者さんに推薦していただいたことは、とても意外でうれしいことでした。
   
   うちの店とはぜんぜん縁のない「カジカジ」というファッション関係らしき雑誌の3月号がなぜか「街
   の本屋さん案内」という特集でうちの店も載せていただきましたが、「各店がオススメする 春に読
   んで欲しい本のすゝめ」には、さっそく「生物と無生物のあいだ」をオススメしておきました。ささやか
   なお返しですが、単なるお義理ではなくて、この本はおどろくほど読みやすく、かつ文章の香り高い
   すばらしい本です。
   なお、「カジカジ」に登場の京都の書店は、「ガケ書房」と「恵文社」で、残りは大阪と神戸の書店で
   した。まったく無知ですみませんが関西ローカルの雑誌なのでしょうか?
 
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◎受贈本御礼 勝手に広告

 「出版と自由―周縁から見た出版産業」 長岡義幸・著 
 
      定価2400円+税 出版メディアパル    
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜102号)」はHPにて公開中です。
     
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