注 生活習慣病という概念
この概念は聖路加国際病院理事長・同名誉院長日野原重明先生の提案です。先生は著書の中で「”成人病”ということばでは誤解を招く。むしろ自分の習慣がつくる病気だということを明らかにするには、“習慣病”と呼んだほうがふさわしい」と 提案してから、実際に生活習慣病と呼ばれるようになるまでにも、20年かかりましたと述べておられる。(日野原重明 生きかた上手 ユーリーグ株式会社発行(2001)222ページ)
注 無駄な経験はない
どんな悲しみも肉体的な苦痛も、それが何事もなく解消されると、もう痛みは実感できません。私が体験した、たくさんの悲しみや苦しみは、今になって見ると、皆明るい悲しみ、明るい苦しみに変わっています。もう追憶でしかないのです。
日野原重明先生は1911年のお生まれですから、92歳になられます。著書の中に次のような下りが見られます。
そうして、むしろそんな悲しみを過ごしたからいまがある。とか、あの苦しみのおかげでこんなに得るものがあった。とさえ言えるようになっているのです。「そのとき」にはわからないけれど、「後」になると、なるほどあれが私をつくったんだ、と思えるわけです。それが齢を重ねるよさでしょうか。
学生時代の病の体験も、よど号事件もそうです。ハイジャックから生還していのちは与えられたものなんだとつくづく気づきましたし、地球はなんと美しいことかと実感しました。ハイジャックに遭わなかったら、そこから先の人生を、自分のためよりむしろ他人の役に立って過ごしたい、ともおもわなかったかもしれません。
人生にはむだというのはないもので、しかし、後にならないと、その意味が分からないということがたくさんあるのです。つらいことでも苦しいことでも、「体験」したことは、まちがいなくその人の強みになります。(日野原重明 生きかた上手 ユーリーグ株式会社発行(2001)224〜225ページ)
注 日本の失業率というもの
2001年8月の就職希望別非労働力人口、すなわち「仕事をしたいけれど、あきらめている人」は568万人です。その理由には仕事をしたいけれど家事や育児があるので働けないという人もいますが、適当な仕事がありそうにないという人が216万人います。この月の完全失業者336万人(内訳:非自発的離職者103万人・自発的離職者120万人・学卒未就職者17万人その他80万人)を加えると552万人となります。総労働力人口はこのとき6780万人でしたから失業者の比率は8.14%となります。新聞などに出る失業者は上の336万人だけを対象にしますから、失業率は4.96%と発表されます。
注 これからの人口i
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口が2002年1月発表されました。高位・中位・低位の3推計がありますが、平均推計と思われる中位推計でも2000年の日本の総人口は1億2693万人が2006年1億2774万のピークを迎え、その後は減少に転じて2050年にはおよそ1億60万人になると思われています。さらに参考推計として2100年の数値も出ていますが、その数値は6,400万です。人口の減少の原因は、人口を維持するためには出生率が2.08前後を必要とするのですが、現在は1.33で2009年までは減少を続けその後も1.39前後で推移するという推定です。このままでは来世紀はさらに減少することになります。一方生まれたときの平均寿命は現在男77.76,女80.95ですが2050年には男80.95女89.22と推計され高齢化は進みます。
年金・医療費などを考えますと、現役世代の掛け金増額は抑え、老齢者自身が負担する分を増やさざるを得ないのではないでしょうか。
注 病院のお粗末な出来事
2002年2月20日次のようなニュースがありました。書かれている栄養チューブというのがマーゲン ゾンデといわれるもので、私が毎週家内の胃に挿入しているものです。私の経験では、挿入直後に注射器から空気を送ってその到達音を胃に当てた聴診器でチェックすれば到達を確認でき、その後万一チューブが抜けてきたら、口からチューブが出たり、鼻から長くチューブが出てきますから直ちに分かります。私の感じでは挿入後の確認が果たして行われたのか怪しいと思いますし、気管支にその後入ったとすると、いったんチューブが抜けてきたはずです。しかも、栄養剤約200CCを送ったというのですから気管支に挿入されておれば直ちにむせかえったはずです。内視鏡で調べるまでもなく、すぐにチューブを引き抜かなくてはなりません。医師に対する信頼を損なう出来事です。
”12月下旬に担当医が鼻から栄養チューブ(直径約4ミリ)を約50センチ、挿管した。その際2人の医師が聴診器で、胃までチューブが到達したことを音で確認したという。1時間後に鎮痛剤約20CCを注入、その後、栄養剤約200CCを送った。しかし、間もなく、患者が栄養剤をもどし、呼吸困難を訴えるなどしたため、内視鏡で調べたところ、栄養チューブが気管内に入っていることが分かった。
その後、患者の容体は悪化し、集中治療室に入ったが、肺炎や敗血症、血液凝固障害を併発し、先週死亡した。チューブを挿管したのは医学部卒業後8年の専門医と、研修医の2人。家族には、挿入ミスが発生した直後に説明し謝罪したという。”
同じような事故が今度は愛知県半田市立半田病院で2002年3月31日起こりました。28歳の医師が82歳の老女にマーゲンゾンデを挿入したとき、誤って肺に入れたというのです。老女は亡くなりました。
北海道置戸町の置戸赤十字病院に多発性脳梗塞(こうそく)と、誤嚥(ごえん)性肺炎を併発して入院中の74歳の女性患者が8月中旬から1日3回、鼻から胃に通したマーゲンゾンデで栄養剤の注入を受けていたが、2002年10月9日交換の際に看護師の不注意でマーゲンゾンデを気管に入れて気づかず、計800ミリリットルの栄養剤を注入したため、12日夜、死亡させたという記事があった。相変わらずの全くお恥ずかしい初歩的医療ミスが後を絶たない。
2004年8月23日神奈川県立足柄上病院の発表によると、19日正午頃84才の男性入院患者に、担当の研修医がマーゲンゾンデを交換しましたが約30分後チューブが口の中でたわんでいるのをキャリヤー23年の看護師が見付け、この看護師が付け替えたのですがこのとき誤ってゾンデを肺に入れ栄養剤の注入によって患者は呼吸困難となりました。患者は20日午後10時、急性肺炎によって亡くなりました。研修医は呼吸困難を起こした時にレントゲン撮影したのですがチューブに気付かなかったということです(おそらくレントゲン撮影されない)。
病院長もチューブが胃に入ったかどうかの確認が十分ではなかったことを認めています。
同様の事故が、相変わらず2007年にも起こっています。国立病院機構東徳島病院での出来事です。2007年1月14日女性看護師2人が80歳代の女性患者の治療中胃に入れるべきチューブを誤って気管支に入れ600mlの栄養剤を入れてしまったのです。患者は27日になくなりました。私の見るところではここでもチューブ挿入後の確認が確実には行われていなかったのです。恐ろしいことです。
注 禁煙外来
共同通信ホームページ「医療新世紀」2002/3/05所載の記事に、次のような記載があります。ニコチンガムの使用によって、80%の確率で禁煙に成功されており、ことに老年の方の成功率は高いようです。
禁煙外来は1994年、喫煙以外の方法でニコチンを取り込み、禁煙の苦しさを緩和する 禁煙補助剤として、ニコチンガムが登場したのを機に広がった。その後、張り薬のニコ チンパッチも登場した。 これまで約1500人を治療したJR東京総合病院内分泌内科の石井周一部長は、禁煙外来を受診した男性65人、女性34人の長期成績を調べた。 約1時間のグループカウンセリングの後、補助薬を処方。約2カ月の治療期間中、1本も吸わない完全禁煙だった人は63人。 最後は禁煙できた20人と合わせ、禁煙導入率は83%だった。治療開始半年後も禁煙していた人は65人。1年後の禁煙維持率も40%程度に達する見込み。 ニコチン依存度が高いほど維持率は低く、男性で高齢ほど成功率 が高く、女性は総じて男性より10%ほど成績が悪かった。
注 タバコと腰痛
実験は、日本大学松崎浩巳教授(整形外科)らのグループによってウサギで行われ、たばこを1日20本吸う人とほぼ同じ血中濃度になるように、ニコチンをウサギの体に4〜12週間続けて注入した後、解剖して椎間板の変化を調べました。その結果、ニコチンを長く与えたウサギほど、椎間板が弾力を失うことがわかりました。弾力のない椎間板は弱い力でもつぶれやすく、つぶれた椎間板は背骨周辺の神経を刺激して腰の痛みをもたらします。
松崎教授は「椎間板の変化は、ニコチンによって血流障害が起き、コラーゲンが破壊されたためだろう。たばこへの疑惑は『灰色』から『クロ』に近づいた。腰痛に悩む人は、ぜひ禁煙を」と話しています。(日本脊椎(せきつい)脊髄(せきずい)病学会で発表)。
注 禁煙外来
共同通信ホームページ「医療新世紀」2002/3/05所載の記事に、次のような記載があります。ニコチンガムの使用によって、80%の確率で禁煙に成功されており、ことに老年の方の成功率は高いようです。
禁煙外来は1994年、喫煙以外の方法でニコチンを取り込み、禁煙の苦しさを緩和する 禁煙補助剤として、ニコチンガムが登場したのを機に広がった。その後、張り薬のニコ チンパッチも登場した。 これまで約1500人を治療したJR東京総合病院内分泌内科の石井周一部長は、禁煙外来を受診した男性65人、女性34人の長期成績を調べた。 約1時間のグループカウンセリングの後、補助薬を処方。約2カ月の治療期間中、1本も吸わない完全禁煙だった人は63人。 最後は禁煙できた20人と合わせ、禁煙導入率は83%だった。治療開始半年後も禁煙していた人は65人。1年後の禁煙維持率も40%程度に達する見込み。 ニコチン依存度が高いほど維持率は低く、男性で高齢ほど成功率 が高く、女性は総じて男性より10%ほど成績が悪かった。
注 梅エキス
菊池祐二博士は、ヘモレオロジーを専門とされ、血管を流れる血液の流れを問題としておられます。単結晶シリコン基盤に加工した微細流路の開発と応用の研究(血流の測定に応用)で科学技術庁長官賞を受けられた経歴からも明らかなように、もともと物理屋さんですが、自分で開発されたこの装置(マイクロチャネルアレイ)を使って血液のサラサラ度を測定されました。講談社のα新書に「血液をサラサラにする生活術」がありますが、この本の著者です。所載検査対象人数が少なすぎるのは気になりますが、食べ物が血液のサラサラ度に関係するのは真実のようです。ビタミン広報センター誌2001年11月号には東海学園大学短期大学部の西堀すき江教授が「クエン酸と血流改善について」という論文を寄せられています。血液流動性および血小板凝集抑制率にクエン酸が優れた効果を示しましたが、アラキドン酸代謝過程で血小板凝集作用の強いプロスタグランジンI2やトロンボキサンチンA2の生成に関与するシクロオキシゲナーゼの作用をクエン酸が押さえるためと推論されています。
組織に必要な酸素は血液中のヘモグロビンと結合して送られていきますが、血管の大部分は毛細血管であり、その直径は50マイクロメートル程度の細さで髪の毛の20分の1ほどの細さです。血液の循環には動脈硬化と関係する血管壁の柔軟性も大事ですが、その中を流れる血液そのもののサラサラ度も重要です。サラサラ度に興味を持たれた方は「血液をサラサラにする生活術」を、ぜひご覧下さい。サラサラ度には食べ物だけではなく、ストレス、喫煙、運動などいろいろな要因が関係しますが、食べ物についてだけ引用しますと流れの悪い血流を改善するものとして梅干し・梅肉エキス・黒豆・ニンニク・タマネギ・青背の魚・赤ワインがあげられています。これらはいずれも血小板の凝集能を弱める働きを持つとされ、中でも梅干しや梅肉エキスは優れた効果を示しています。両者に共通した成分としてクエン酸の効果が推定されていますが、梅肉エキスには特殊な成分ムメフラールが含まれており、梅肉エキス製造過程で糖質とクエン酸が反応してできたエステルと考えられます。菊池先生はサラサラに直接有効なのはクエン酸ですが、エステルが加水分解されてクエン酸がじわじわ生成するのでムメフラールがサラサラ度に持続的な効果を持つと思われているようです。クエン酸の作用機作についてはカルシュームイオンとキレートを作るので、血小板の凝集に必要なカルシュームイオンが減ると考えておられます。