「殺人者」の意味。破壊者、あるいは死の女神としてのアプロディーテーの添え名である。アプロディーテーは、また、「悪魔」、「墓の女神」、「女王蜂」とも呼ばれた。去勢したり、はらわたを抜き取ったりして愛人を雄バチのように殺した。アプロディーテーには「その美しさとすなおさとは矛盾するような多くの添え名」があった[1]。このために、ギリシア・ローマ神話編纂者はアプロディーテーを愛の女神だけにしようとして、造っては破壊する三相一体の女神であったというアプロディーテーの初期の頃の性格は無視した。
Trinity.
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)
「人殺し」の意味。破壊者あるいは死の女神としてのアプロディーテーの添え名である。
生の中にひそむ死をつかさどる女神としてのアプロディーテーには、彼女の美しさや愛嬌とは矛盾するように思われる名前がたくさんつけられた。例えば、アテーナイでは彼女が運命の三女神の長姉だとか復讐の女神(エリーニュス)たちの姉妹だとかいわれたし、ほかの土地ではメライニスmelainivV(「黒いもの」)などともいわれた。このメライニスという前は、パウサニアースのたくみな説明によると、恋というものはたいてい夜のあいだに行われるという意味だそうである。このほかに、スコティアskovtia(「暗いもの」)とかアンドロボノス(「人殺し」)とか、それどころか、プルータルコスによるとエピテュムビアejpitumbiva(「お墓」)という名前さえもつけられている。(グレイヴズ、p.108-109)
Trinity.