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マイナスたち(MainavV pl. MainavdeV)

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 ディオニューソスDionysusオルペウスに仕えた巫女たち。彼女らの本来の住みかである「マイナロスの聖なる」にちなんで、マイナデス(マイナスたち)と命名された。パーンもまた、アルカディアの羊飼いの姿になって、マイナロスので過ごした。マイナスたちは、酒神の霊にとりつかれると、「熱狂的な女たち」になり、狂宴の際には生贄の男を八つ裂きにしてその肉を貧り食った。その後、文明が開化したギリシア・ローマ時代になると、彼女らは酒宴やカーニバルの行列を行って、自分たちの「救世主」を崇めた。ローマでは、マイナスたちは「バッカスの巫女たち」と呼ばれ、今度はバッカスというローマ名を与えられた彼女らの神に仕えた。point.gifOrpheus.


Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 テューイアス(QuiavV pl. QuiavdeV)〔「神に憑かれた女」の意〕、バッケー(Bavkch pl. Bavkcai)〔「バッコスの信女」〕とも云う。酒神ディオニューソス・バッコスの供の女で、酒神によって忘我の境に入り、狂気に浮かされ、つた(蔦)、かし(樫)、もみ(樅)も葉の頭飾をつけ、身にはひょう(豹)その他の動物の皮をまとい、半裸の姿で山野をさまよい、大木を引き抜き、猛獣を殺し、生肉をくらい、あらゆる物事の判断を忘れて狂いまわった。

 彼女たちは酒神がリューディアLydia(またはプリュギアPhrygia)からトラーキアThrakiaを経てギリシアに入った時つきしたがい、酒神に反抗したオルペウスやペンテウスを八つ裂きにし、酒神の東方遠征にも従った。

 バーバラ・ウォーカーは、マイナス〔「狂女」の意〕という語の起源を、アルカディアのマイナロン山(Maivnalon)に求めているが、本末転倒であろう。この語は、maniva(狂気)、mavntiV(預言者)、mh:niV(怒り)などと同根で、憑依情態を表す。マイナロン山、およびマイナロン市は、リュカーオーンの息子マイナロスMaivnaloVに因む。