「山の母神」のシュメール名。「死者に生命を与える女神」を意味する[1]。彼女は最初の人間の創造主であり、粘土から人間を作ったが、これは特別な魔術であって、のちに聖書の神によって模倣された。彼女は聖なるヘビと関連があった[2]。彼女に対応するエジプトのヘ(ウ)ト=ヘル〔ハトホル〕同様、ニンフルサグはときには聖なる雌ウシの姿をとった。 5000年前、ラガシュにある神殿の牧場で搾られた「聖なる牛乳」は、アッシリアの王たちを養育した。多くのメソポタミアの王は、王位に対する資格の1つとして、「ニンフルサグの聖なる牛乳で養われた」ことを挙げている[3]。また「初子」の役割を担って、仔ウシが生贄としてニンフルサグに捧げられた[4]。
インド南部のトダ族は、大地を表す「雌ウシ-母神」に今もなお仔ウシを生贄として捧げ、ニンクルシャグNinkurshagという語を含む祈りを唱えている。彼らはこの語の意味は知らないが、たいそう神聖な語である、と述べている[5]。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)
ニンフルサンガとも云う。シュメールの女神で、「山の女主人」の意。メソポタミアの諸王の守護女神。ケシュ、ラガシュ、アル・ウバイドに神殿があった。(『古代メソポタミアの神々』)