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プリアーポス(PrivapoV)

priapos.jpg  男根の神。巨大な男根を持った像で、アプロディーテーと、アドーニスまたはディオニューソスから生まれた。ディオニューソスの子という説は、ブドウ酒は性欲を生じさせるということを比喩的に述べたものであろう。

 プリアーポスはエロースの原初の型であり、ギリシア時代初期に崇拝された木製の男根偶像にもとづく。この木製の男根はのちには、石で造られた神殿の男根柱hermsに変えられ、花嫁はこれによって処女を失った[1]。 point.gifFirst bom.

 プリアーポスの怪奇な像のいくつかは、中世時代にも存続し、聖人として崇められることさえあった。
 point.gifPhallus Worship.


[1]Graves, G. M., 1, 71.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 ヘレースポントスのラムプサコスLampsakosの豊穣の神。その持ち物(アトリビュート)は果物と陽根である。素朴な神で、その生活と生業を植物と動物の多産性に依存している素朴な人々に愛された。プリアーポスに初めて収穫される果物をささげて、その見返りとして豊かな稔りを期待するのが常であった。
 彼の崇拝はアレクサンドロス大王以降急速にギリシア世界に、さらにイタリアに広がった。彼は葡萄園や庭園の守護神兼装飾となり、園をうらやんで見る者の悪意あるから守り、また牛飼いの守神ともなった。(『ギリシア・ローマ神話辞典』)

 この図では、老信徒がプリアーポスの〈生の根源〉から犠牲のための火を受け取っているように見える。アクレイア出土の祭壇、後1世紀、アクレイア国立美術館。(ジョスリン・ゴドウィン『図説・古代密儀宗教』p.p.92-93)