「海の星」の意で、イシス、イシュタル、アプロディテー、ヴィーナス、マリ・アンナ、聖母マリアの添え名であった。古代の女神たちからこの添え名を奪い取ってマリアに与えた最初の人間と言われたのは、聖ヒエロニュモスであった[1]。この「星」は、金星(明けの明星と宵の明星)、世界軸axis mundiをしるす北極星、天狼星、またはスバル星の主星など、さまざまな星と同一視された。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)
五つの芒のある星型はどこから出て来たのか? 近藤二郎は諸説あるとしながらも、「古代エジプト人は、紅海に棲むヒトデを見て、星を表す文字(ヒエログリフ)として、この形を採用したと考えられます」と結論づけている(『星座神話の起源:エジプト・ナイルの星座』)が、納得しがたい。ヒトデが星に似ていただけのことであって、星をヒトデに似せたのではあるまい(海のテッティックス=ロブスターは、ロブスターがセミに似ていたための命名であって、セミがロブスターに似ていたのではあるまい)。そもそも、ヒトデに関する神話・説話・民俗は皆無といってよいのである。