50年埼玉県生まれ。早稲田大学修士課程修了。都市づくりNPOさいたま、水のフォルム、見沼ファーム21などのNPO法人に属している。埼玉県庁職員。「内部市街地における居住宅策の展望」『都市問題』2004年1月号、『都市計画の挑戦』(共著、学芸出版社)など | ||
「地域を豊かにするガバナンスと協働の展望」を語る2011年4月8日、『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』に寄稿いただいた若林祥文さんに、その意図をお聞きしました。ご自身が参加されている市民活動から、土地利用と住宅という二つの問題を取り上げ、ガバナンスを考えたもので、そこから自分にとって何が可能か、人と組むことで何が出来るかをくみ取って頂ければと話されました。聞き手:前田裕資(編集部)
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「地域を豊かにするガバナンス」で主張したこと前田:先生に『都市計画 根底から見直し新たな挑戦へ』ではガバナンスについてをお書き頂きましたが、執筆の狙い、どういう人にどういうふうに読んでもらえると良いかというところをお話し頂きたいと思います。 若林: この本の第8章で「地域を豊かにするガバナンスと協働の展望」というテーマで書きました。 私は埼玉県南部で日々活動しています。県庁職員であると同時にNPO団体のスタッフとしていろいろやっていました。そうした活動を通じて私の身の回りに起こっている二つのテーマを、ここではガバナンスという観点から考えました。 一つは、私自身が長年のテーマにしている土地利用におけるガバナンスということです。もう一つは住まいという問題に対するガバナンスのあり方です。この二つを題材にして、考えました。 第1点をこういったガバナンスという視点から考えると、具体性が重要だろうと思ってます。特に埼玉県南部に広がる1200ヘクタールの田んぼは、江戸時代から伝わる素晴らしい農業遺産なんです。それを今市民が地元農家と一緒に、持続可能な土地利用を図れるかを考えています。それを取り上げました。 実は、この地区はガバメントという視点から見ると、とても単純な構造なんです。ここに市民が加わることは、未来のビジョンを持たないとなかなかうまく行かないだろうと思いまして、そういうところを具体的な私の活動から考えてみました。 もう一つの視点は住宅です。住宅と言ってしまうと物理的なイメージがあるのですが、私は「住まい方」という観点から考えてみたいと思っていました。県南地域で活躍しているNPO法人「ほっとポット」が家を失った人へ住まいを提供するという活動を展開しています。ここも今回の地震で被災を受けましたが、元気を与える住まいのあり方はどういうものなのかをずっと考えていく中での、ひとつの答が彼らの活動だと思います。その実践例を本の中で取り上げました。 この本を手に取った方には、自分にとって何が可能か、人と組むことで何が出来るかを私の文章からくみ取って頂ければ有り難いと思っています。 復興まちづくりについて前田:今日は佐藤滋先生が書かれた『まちづくり市民事業※』のセミナーにお出でいただいています。そこでも東日本大震災を踏まえてまちづくり市民事業をどう考えるかという視点で急遽セミナーの内容が変更されました。 この本も震災前に書かれたものですが、今回の震災後のまちづくりにも生きる内容だと思います。例えば、住宅や土地利用の話などはまさに今必要とされていると思いますが、その点についてのコメントはございますか。 若林: 土地利用、住まいは、どちらも希望を持って将来に対する働きかけをすることだと思うんです。そこを一緒に考えるとき、地域個々の特徴を生かしたガバナンスのあり方を、やはり考えていきたいなと思うんです。また、私自身もそういうお手伝いができる機会があれば、是非積極的に参加したいと思っています。 そして、事業とは形を作っていくものですから、その面白さもあるのです。今は本当に悲惨な光景が広がっていますが、これから良い風景を作っていくためにも、そういうところでも良いガバナンスを作っていくことがポイントだろうと思っています。今日※もそんなことがみなさんと共有できたらなと思っています。 前田: どうもありがとうございました。
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都市計画
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