サンガ日記


過去の日記を読む>>3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月






2001 Oct.27

 甲府戦の録画を、だらだらと半分ばかり見る。この調子では鳥栖戦を見終えるのはいつになるのやら。どうしても集中できないのは何故だろう。今に始まった話ではないけれども、最近の日記の遅れようは危ない。こうして10月27日分を書いているのも、11月に入ってから。間抜けだ。果たしてこれを、日記と呼んでも良いのだろうか?

 夜中になって、山形戦用のデジカメテンプレートを作成。山形との試合が天王山になろうとは、シーズン前に誰が予想しただろう。しかし、ある意味では開幕戦で約束されていた流れだったのかもしれない。あるいは、かつてのナビスコカップ、GK松永(当時)が偶然にもゴールを決めてしまった時から。




2001 Oct.26

 フジコ・ヘミングのコンサートに行く機会を得たので、北山の京都コンサートホールへ。去年、知り合いに頼まれて小ホールでのピアノ発表会(当然アマチュア)を撮影したことはあったのだが、いわゆるクラシックのコンサートに行くのは、子供の頃、親に連れられてN響だか九響だかの演奏会に行って以来のことになる。いつものジーンズに昨日買ったセーター、その上にジャケットを羽織るといういい加減な格好だったが、他の聴衆も意外なほどフォーマルではない服装だったので一安心。

 午後7時、開演。ピアノが舞台の脇に寄せられていたので何故だろう?と思っていたが、ソロリサイタルではなく“チェコ・ナショナル交響楽団featuringフジコ・ヘミング”という格好だと理解。そもそも、最初の「モルダウ」は交響曲なのだから、ピアノの入る余地は無い。前述の通りクラシックの経験値が極端に低いので、演奏のクオリティは評価不能。多分十分に上手い、とは言えると思うのだが。

 そして、御大フジコ・ヘミングが登場。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、と書かれるとピンと来ないが、とてもメジャーな曲。聞き覚えのあるメロディーが並ぶ。正直、第1楽章は危うかった。全体を通して言えるのだが、年齢から来るキータッチの弱さは隠しようが無い。素人目(耳?)にも、オーケストラがフォルテ以上で演奏すると、ピアノパートが埋もれてしまうのだから。スカーフの肌触りが気になるのか、合間ごとに襟元に手をやる様は、公園で無為に時を過ごす老人の仕種でしか無い。しかし、ウォーミングアップも終わったのか、第2楽章あたりから次第に往年の輝きの片鱗が見え出す。老人のたたずまいとピアニストのテクニックが、9列前のステージで交互に見え隠れする不思議な時間。純粋なピアノ演奏としては、通を満足させるほどのクオリティは無いのかもしれない。それでも目の前には確かに奇跡がある。信奉は出来ないが、何かの存在は認めざるを得ない、そんな感覚。演奏も終わり、万雷の拍手の中、彼女が口を開く。1年前に観た『ざわざわ下北沢』で耳にしたのと同じ声が聞こえてくる。演奏よりも、そんなことに感慨を覚えたのは自分だけかもしれない。

 演奏会途中でのアンコールも終わり、以降の感想は割愛。少し眠気を覚えたので、曲よりも楽器そのものの音色や定位、ホールの残響に意識を集中する。ライブ演奏でしか得られない感覚は、スタジアムでサッカーを観るのと似ている。コントラバス奏者の癖、バイオリニストの髪型、聴衆の反応etc.ボールの無い場所にいる選手の動きを見ているようで、なかなか楽しい。何より、重低音から高音まで全ての音を感じられるのが素晴らしい。CDでは容易に聴くことの出来ない音。只で連れてきてもらったのにこういう聴き方をするのも失礼かもしれないが、まあ許してもらえるだろう。貴重な時間を貰えたことに感謝。




2001 Oct.25

 烏丸丸太町にガストが出来たので、プレオープンながら昼食へ。運悪くランチメニューは終わっており、一番安い目玉焼きハンバーグを食べる。今年何度かお世話になったガスト。5月の横浜が一番印象に残っている。雨の中、横浜駅周辺をさまよったあげく辿り着いた店で、モーニングセットとドリンクバーで何時間も粘った記憶。基本的には、どことも大きく異なることの無い店内。チェーン店の店舗設計では常道だが、そこにある安心感がごくたまに嫌になる。そういう時は、単にファーストフードに行きたくない、と思うだけなのだけど。でもそういう安らぎが、計算された演出の下のそれであるという事を判っていながらも、無性に欲しくなる時もある。今日はそんな日。

 河原町まで出て、無印良品でチャコールグレーのコットンセーターを購入。ハイネックだが、まだ少し暑いだろうか。下着や靴下以外の服を買うのも久しぶりだ。服に費やす金は無いのだけど、2500円なら万一失敗しても許せるかな、と思えてしまうのが恐ろしい2001年。

 スーパーで買い物して帰宅。夕食にカレーを作る。いつもは仕上げにヨーグルトを入れるのだけど、今日は余っているサワークリームを投入。生クリームを発酵させて作った乳製品だけあって、コクが増す。芋が煮崩れかけて粘度が増してしまったけれども、まずまずの出来。




2001 Oct.24

 郵便局で国保料を支払い、コンビニでぴあと山形戦のチケットを購入。鳥栖戦のデータを作成、テレホーダイの時間帯より前にアップロード。

 ふと「戦後の“焼け跡”と同じ2001年」という言葉が脳裏に浮かぶ。何故思い付いたかは説明不可能だが、そんな気もする。バブルが戦争だとしたら、今は戦後の混乱期なのかもしれない。歴史の本や上の世代の話でしか知らないけれども、あるいは何十年後かに自分が「昔はこんな時代だったんだよ」と語ることもあるのかもしれない。果たしてその時、何を語るのだろうか?




2001 Oct.23

 天気もようやく回復、洗濯物が溜まっている。午後に洗濯を済ませ、映画のスケジュールをチェック、10月限定のミニシアター「駅ビルシネマ」へ向かう。目指すは17時45分の回。

 『式日』は、庵野秀明2作目の実写映画。『新世紀エヴァンゲリオン』や前作『ラブ&ポップ』以降に目にした監督のインタビューなどを漠然とだが思い出させるような作品。新作『リリイ・シュシュのすべて』が公開中の映画監督・岩井俊二を、自らの分身であろう――同時に岩井俊二でもある――男・カントクとして主演に据えるウルトラC。予想外の好演にまずは驚かされる。そしてこの作品の白眉である藤谷文子! いわゆる“平成ガメラ”シリーズの演技しか知らない者からすると、女優としての変貌ぶりに脱帽する他無い。原作も彼女。やはり『ガメラ』での彼女はまだ未成熟な少女でしかなかったのだろう。月曜深夜のTVで見せる、あの不可思議な存在感こそが彼女の魅力であると断言したくなる。

 そして、舞台である山口県宇部市。瀬戸内海工業地帯、と小学校の社会科で習った言葉が、絶え間なく画面に現れては消えていくような街。地方都市の匂い。走るうちに今にも壊れそうな、小野田線の電車。炭住跡。人通りもまばらなアーケード、そして元は家具屋の廃ビル。生と死が混ざり合う街で、生と死の狭間を彷徨う彼女、藤谷文子。庵野・岩井・藤谷の「生きること」についての想念が複雑に重なり合う濃密な時間が、日めくりカレンダーのようにカウントダウンされて行く、残酷な美しさ。死んでいたと思われた母・大竹しのぶとの対話によって混乱に一応の終止符が打たれるという展開には、「広げた大風呂敷を畳むのが下手」な監督の相変わらずな姿がかいま見られるものの、Coccoの歌声と微速度撮影の青空の手前、許そうと思う。

 それにしても、アーケードのキャットウォークを歩くシーン、岩井俊二の短編『PiCNiC』へのオマージュ(或いは引用)なのだろうか? 公式サイトをしばらく眺めてみたが、夜が更けてもわからなかった。個人的には、子供の頃に――と言っても中学生ぐらいだったと思うのだが――屋根に登って見た、家の前の商店街のアーケードが思い出されて仕方がない。あの時はさすがに、端から端まで探検しようという勇気は湧いてこなかった。しかし、どこか知らない場所、それも外国や秘境ではなく、日常の側にある未知の場所に行ってみたい、という願望は、あの頃からずっと変わっていないようにも思える。今年は、それが幾らか満たされたような気がする。知らない物事はきっとまだある。いや、知らない事の方が遥かに多いはずだ。それらに直面し、跳ね返されながらもそれらと共に生きていかなければならない。あと1カ月足らず。自分自身のカウントダウンも始まっている。




2001 Oct.22

 不機嫌な空。時代祭は延期。映画を観たい。




2001 Oct.21

 記録によると、小雨模様。珍しくマクドナルドの朝食。昼にラーメンを食べている。夜にはお好み焼きを食べたはずだ。メモや記録でわかるのは、これぐらい。




2001 Oct.20

 少し窓を開けて寝ていたら、朝の冷たい空気で目が覚める。日々深まる秋。

 今日も自転車で西京極へ。堀川三条のローソンで食料を買い込み、ペダルを漕ぐ。30分弱で到着、A南へ。シーズン終盤になっても、観客の出足は遅い。鳥栖サポーターは、それに輪を掛けて少ない様子。10人いるのだろうか。今日は早めに済ませようと、エキジビションマッチ中に近くにいた男性に声を掛けてみる。ピッチ上で走り回っている子供のご父兄かと思ったが知り合い繋がりらしく、隣の野球場にいたところを電話で呼び出されたとのこと。とはいえ競技場にも少なからず足を運ばれるとのこと、期せずしてサッカー談義に。子供たちの試合も終わり、男性も再び野球場に戻られた様子。もう1組、紫魂Tシャツと小さなレプリカユニの親子連れにお話を伺う。今年からの応援とのこと、少し嬉しくなる。

 試合開始。手島は復帰したが、朴が甲府戦での怪我で欠場。松川と松井を併用し、黒部・安の2トップ。鳥栖相手なら朴抜きでも大丈夫だとは思うのだが、豪雨の中敗れた前回の対戦が脳裏を離れない。立ち上がり、まずは鳥栖が攻勢を掛けるが難無く跳ね返す。1分、安が右サイドをドリブル突破、しかしセンタリングは鳥栖DFにカットされる。黒部も負けじとシュートを放つが、これはGKが正面でキャッチ。松井も熱田のラストパスに飛び込むが、DFに寄せられて合わせることが出来ない。

 5分、鳥栖はメインスタンド側からセンタリング、ファーサイドの選手が頭で合わせたボールがポストを直撃、そのこぼれ玉をサンガが辛うじてクリア。シュートに精度があればあわやというシーン。鳥栖DFも落ち着いてきたのか、立ち上がりに見られたサンガの攻撃もとりあえずは影を潜めた形。しかし10分、DFラインから中村が前線へロングフィード、安が抜け出してGKと1対1になるのだが、トラップが乱れてシュートまで持ち込めない。11分、黒部が倒されペナルティエリアやや外からのFK。だが自ら蹴ったボールは枠の上。

 14分、17分の鳥栖のCKはどうにか切り抜けたが、サンガのクリアが何度かカットされる場面もあり、鳥栖の時間帯が続く。18分頃からようやくサンガの時間帯。そして20分、右からのCKに黒部が叩きつけるヘディングで合わせ、ボールはジャンプするGKを越えてゴールに吸い込まれる。

 22分には左から安が、23分には右から松井が深く切れ込んでセンタリングを狙うが、いずれも失敗。25分、安のクロスがカットされてCK。ファーポストでの折り返しを狙った熱田のキックだったが、セカンドボールを鳥栖の選手にクリアされシュートには至らず。しかし27分、左サイドをドリブルで上がる中村からペナルティエリア内の安へクロスが通り、安はGKと交錯しながらも黒部へパス。DF2枚に挟まれ、なおかつゴールに背を向けている状態から、黒部はダイレクトでオーバーヘッドキック、ジャストミートされたボールがゴールネットを揺らす。今シーズン一番格好良いシュートと言っても過言ではないだろう。

 ゴール前で痛んでいた安が復帰、しかし鳥栖もすぐさま反撃、28分には元サンガの佐藤陽彦が、ゴール正面ペナルティエリアのライン上あたりから痛烈なヘディングシュートでサンガゴールを脅かす。しかしこれは中河のファインセーブでクリア。30分、鳥栖は最初の選手交代。32分には後方からの飛び出しに揺さぶられたサンガDFだったが、精度を欠いたシュートに救われる。35分、黒部が中盤での激しいチェックでボールを奪い松川がフォロー、DFの間をすり抜けた松井に絶好のパスが通るが、シュートはGKに弾かれる。すかさずセカンドボールを黒部がシュートするも、ゴール前のDFにクリアされ得点ならず。

 前半も残り5分となり、1点を返そうと攻勢に出る鳥栖。しかしそれほど厚みのある攻撃でもなく、いずれもサンガDFが無難に対応。ロスタイム、黒部が中盤まで下がってボールを奪いカウンター、しかし安のクロスボールは直接ゴールラインを割り、追加点ならず。ここで前半終了、2-0で折り返す。

 後半開始。キックオフ直後、黒部がペナルティエリア前をドリブルで流れながらシュート、しかしGKがキャッチ。1分には左サイドで安が倒されFK、しかし熱田のキックはゴール前の厚い壁に阻まれる。その後も黒部が積極的にゴールに迫ってCK、しかしこのチャンスを生かすことが出来ない。鳥栖も反撃を試みるが、サンガDFもプレスを掛けてボールを奪う。5分、熱田のクロスにゴールラインギリギリで安が合わせるが、GKのファインセーブに阻まれる。サンガの攻撃をしのいだ鳥栖も、縦へのボールでゴールに迫ろうとするが、良い形を作るには至らない。

 10分、鳥栖のバックパスにプレッシャーをかけてボールを奪い、安がゴールに迫ったが、DF3枚に潰されてシュートできず。12分、CKがクリアされたボールを石丸がミドルシュート、しかしボールに勢いも無くクリアされる。ここで鳥栖は2人目の選手交代。16分、鳥栖はサンガの左サイドからクロスを入れてくるが、精度を欠き直接ゴールラインを割る。17分にもセットプレーから鳥栖にやや押し込まれる形となるが、最後はオフサイドでサンガボールに。19分、パスが良く繋がって最後は安がペナルティエリア内でシュート、ファーポストの隅を狙ったのだが惜しくも入らず。GKが触ったかに見えたがゴールキックの判定、ゴール裏からは不満の声。

 21分、CKからスローインと鳥栖ゴール近くでのプレーが続いたのだがシュートには至らず。22分、安を下げて上野を投入。25分、バックスタンド側を鳥栖MF有村が鋭いドリブルで突破、しかし松井・熱田が良くフォローしてセンタリングは許さない。しかしこのプレーで鳥栖は深い位置からFKを得、これを元々はFWの長身DF富永に頭で決められ、2-1に。

 28分、オフサイドの判定を巡って鳥栖の選手にイエローカード、そこからのFKに上野が合わせようとするがGKがパンチングでクリア、交錯したGKがしばらく痛んだが無事試合再開。31分、中盤での競り合いでチェックに入った松川にイエローカード。後方から入ってはいたもののボールに行っていたこともあり、果たしてカードを出すほどのファウルだったかは疑問。32分、石丸のミドルシュートは枠を捉えず。33分、スローインしようとした熱田に替えて野口。熱田はA南からのコールにも応えず、目の前を憮然とした表情でベンチに向かう。

 35分、鳥栖はサンガの右サイドから高々とセンタリング、その折り返しを中央の選手が直接シュートするが、ジャストミートせず救われる。37分、石丸の素早いリスタートから松井が左サイドを抜け出し、DFを1人かわしてシュート、しかし軸足がぶれて枠を捉えられず。38分には野口からペナルティエリア内の上野へ良いパスが通ったのだが、これも活かせず。39分には黒部、石丸が立て続けに枠へのシュートを放つが、GKの好守に阻まれてしまう。

 40分、石丸によくわからないイエローカード。朴は次節には戻るそうだが、累積警告で2試合も石丸を欠くのは痛すぎる。42分、松井を下げて冨田。ペナルティアークからのFKを黒部が蹴るが、惜しくも枠の上。しかし以前に比べるとだいぶ枠に近付いたように思える。ロスタイム、上野が鳥栖DFにプレッシャーをかけ、跳ね返ったボールは惜しくも枠へは飛んでくれなかったものの前線へのフィードを許さない。今日も献身的な上野。3分のロスタイムも無難に消化し、試合終了。2-1で逃げきる。

 2点を取ってからの動きが落ち着いてしまうのは相変わらずだが、まずは無難な勝利。だが、鳥栖の長身DFにセットプレーからの失点を許してしまったのは痛い。残り試合も少なくなり、きっと得失点差も無視できなくなるはずだから。次節の山形戦、朴が帰ってきてくれることを切に祈る。




2001 Oct.19

 秋晴れの一日。河原町方面へ出て、食料品を中心に買い物。帰宅して甲府戦の作業を進める。横浜FC戦も含めて、録画には手を付けられず。日記も溜まる一方だが、メインコンテンツ優先。夜には作業も終わり、アップロード。




2001 Oct.18

 滋賀県内で目が覚める。雨は止んでいるようだ。ギリギリまで体を休め、大津を過ぎたあたりで起き上がる。後は見慣れた風景、6時52分、京都駅に到着。そのまま地下鉄に乗り換え、烏丸御池で下車。コンビニで弁当を買い、ようやく帰宅。

 食事を済ませ、風呂に入る。狭いユニットバスでも気が抜けたのか、浴槽でうとうとと数時間眠ってしまう。不思議なもので意識が戻ったときにお湯を継ぎ足したらしく、風邪はひかずに済んだのだが手足はふやけてしまった。




2001 Oct.17

 徹夜状態のまま、甲府へ向かう準備。荷物をチェックし、出発。雨のそぼ降る道を歩いて丸太町駅へ。楽に間に合うと思っていたら、改札の少し手前で電車が着く音がする。慌てて改札を抜け、飛び乗る。かなりギリギリ。京都駅で乗り換える途中、南北自由通路で駅ビルの写真を撮る。改札を抜け、いつもの普通電車に乗り込もうかという時になって、傘が無いことに気付く。さっきの撮影地点に置き忘れたことに気付いて、とんぼ返り。同じ改札を3回も通るという格好悪い朝。やはり寝不足は良くない。6時15分、京都駅を発つ。

 窓の外は徐々に明るさを取り戻しつつあるものの、見慣れた景色は絶え間なく降り続く雨の向こう側にぼんやりと浮かび上がるに過ぎない。数十分はうとうとした気もするが、あまり寝入ることも無く米原に到着。金山行きの電車に乗り換え。最初はかなり空いていたのに、名古屋が近づくに連れて、完全な通勤電車の様相を呈してくる。人いきれに窓も曇る。8時42分、名古屋に到着。

 次の電車が出るまで3分、人混みをかき分けながら、連絡通路を急ぐ。電車は既に入線済みで、楽に座れそうな座席はあらかた埋まっていたのでしばらく立つことに。真新しい車両ばかりの編成で、自分のいる車両は特急に近い設備の――さすがにリクライニングはしないけど――クロスシート車。1つ先頭側の車両はロングシート。小学生の団体だろうか、時折かん高い歓声が聞こえてくる。金山までは東海道線と同じ線路、そこから見知らぬ中央西線へ。幸運にも空いた席に座れたので、時折ガラスを拭きながら曇った窓の外を眺める。延々と続く郊外。京都だと伏見区あたりを走っている雰囲気。しかし、普通電車の終点である高蔵寺を過ぎると、風景は山裾のそれに。トンネルを抜けると岐阜県。多治見から先は、美濃とは言え木曽の南端を感じさせる山々が、線路と並行に伸びている。特急列車の通過待ちで時折停車すると、雨混じりの冷たい空気が車内に忍び込む。10時2分、中津川に到着。

 10時16分、松本行きの電車が発車。こちらは古びたクロスシートの車両。流石に乗客は少なく、ボックス席に1人で座る。3駅過ぎると、そこは長野県。電車は山、いや崖の中腹にしがみつくように走り続ける。雨と雲と山とが、水墨画の様に続く。その描線は意外なほど直線的だ。おそらく、延々と反復される針葉樹の連なりがそう感じさせるのだろう。時折見える谷底の流れは、降りしきる雨を集めて激しい。PHSは完全に圏外のまま。今年の圏外最長記録かもしれない。気が付けば、どこかで峠を越えたのか列車がゆっくりと下ってゆき、12時11分、塩尻に到着。

 すぐに次の電車に乗り換えることも出来たのだが、1本ずらすことにして改札を抜ける。待合室は、深夜のわずか数時間だけ閉鎖されるらしい。さすがに夜行列車の停まる駅は違うなと妙なところで感心。駅前に出てみる。イトーヨーカドーの看板は見えるのだが、歩くと15分程度はかかりそうな距離に思える。中心街は駅から離れているのだろう。小さな食堂街もあったが、どうも食指が動かない。反対の駅前も歩いてみたものの、こちらは輪を掛けて何も無い。濡れ損だ。仕方なく駅に戻り、待合室の立ち食い蕎麦屋で420円のカレーうどんを食べる。レトルトカレーが掛けられる様を目の前で見てしまうと興ざめだが、まあこんなものだろうと割り切ってうどんをすする。茹で汁に混じっていたのだろう、蕎麦の切れ端が丼の底から出てきたのはご愛敬。空腹と寒さをしのぐにはちょうど良い昼食ではあった。ホームに戻り、次の電車を待つ。松本からやってきた電車には若干の乗客が乗っていたが座れないほどでもなく、無事腰を落ち着ける。13時5分、塩尻を発車。

 電車は辰野ではなく岡谷経由で諏訪方面に抜ける。上諏訪の駅で、ホームに露天風呂があるのを発見。話には聞いたことがあったが、入口だけとは言え実際にこの目で見ると、ちょっと不思議な感じ。これも信州ならではか。市街地を離れるにつれ、懐かしい台地の風景が車窓に広がる。8年ほど前、長野と山梨にまたがる地域でちょっとした調査――都会から地方に移り住んだ人々へのインタビューetc.――をやった時に、研究会の仲間と走り回った土地。あの時お世話になった方々は、あの林の奥で今も元気なのだろうか、そんな事を思ううちに小淵沢に到着。思えば、この駅前に集合して調査を始めたっけ。余裕があれば改札を抜けたかったのだけど、次の電車が出るまで10分余り、少しだけ見覚えのある駅前の建物を横目に乗り換え。14時8分、小淵沢を発つ。追憶も少しずつ雨の向こうに過ぎ去り、電車も甲府盆地へと下って行く。14時44分、甲府に到着。

 改札を抜け、みどりの窓口で復路の切符と塩尻までの自由席特急券を買う。駅前へ出ると、地方の県庁所在地の雰囲気。街はあるけど、繁華街ではない。アーケードには、名物のほうとう屋が。しかしどれも1000円以上ということで断念。ファーストフードの他にはめぼしい飲食店も見あたらない。晩飯はどうしたものか。駅前の百貨店に入り、中を一周。地下の食品売り場で、家庭用のほうとう――乾めんと粉末スープのセット――を、当座の食料と一緒に購入。駅に戻り、自由通路のパン屋へ。レジに並んでいると、前の男性のバッグにJリーグのマークが入っているのに気が付く。スーツ姿だったが、ネクタイにもサッカーボールが。会計のお姉さんが「今日はサッカーの試合ですか?」と尋ねると、「審判なんです。」と意外な答え。思わず「フェアなジャッジをお願いします」と声を掛けたくなったが、さすがに実行はせず。自分の支払いを終えて店の外に出ると、男性の姿は既に無かった。ホームで身延線の電車を待つ。駅前のビルの電光掲示板には、今日の試合の告知。2両編成のワンマンカーに乗り込む。帰宅する高校生であっと言う間に込み合う車内。16時1分、甲府駅を発車。茨木交通ほどではないが、ゆるゆると走る電車。16時9分、南甲府に到着。

 改札を抜け、静かな駅前に出る。標識も何も無く、あらかじめ見ていた地図を頭に思い浮かべ、無謀にもままよと歩き始める。多分こちらだろう、という方向に歩くのだが自信が無い。道路標識に「↑甲府駅」の文字を見て不安になり、PGG4を広げ、ダウンロードした地図を参照。国道の方へ行けば良いはずなのだが。線路沿いの陸橋下まで辿り着いたところで、再び地図を見る。ひょっとしたら駅の出口が逆だったのだろうか、と間違いに思い至る。とにかく身延線の線路を越え、南側へ。コンビニで地図を立ち読み。競技場のはるか北、里吉という地区にいるらしいことが判明。時計を見ると、5時近い。予定ではもう入場を待っているはずだったのに、薄暗い見知らぬ街を彷徨う羽目になるとは。雨が止んでくれたのだけが救いだ。人家と畑ばかりの寂しげな道をひたすら歩くと、大通りの街明かりが見えてくる。ようやく国道20号線に辿り着くと、そこはけやき通りの交差点。小瀬スポーツ公園へ続く道に偶然出てきたことになる。少し気力が出てきて、更に歩く。彼方では競技場の照明灯が煌々と輝いている。すっかり暗くなった並木道を果てしなく歩いたような気がしたが、午後5時半、ようやく到着。

 開門直後だったらしく、待ち行列こそ無くなっていたものの、ゲートでスポンサーからの景品、うどんを受け取って入場。アウェイバスは先に到着していたようで、サンガサポ数十人がゴール裏で応援の準備を進めている。知り合いに挨拶。ここまでの経緯を話すと、あきれられたのか驚かれたのか、話が弾む。天気も不安定なので、以前横浜での打ち上げでご一緒した方に話を伺って打ち止めに。顔を忘れていて、初めてですか、などと失礼なことを言ってしまった。改めてここで謝らなければ。存続の決まった甲府だが、平日で雨模様であるのを差し引いても、観客の出足は悪い。1000人入るだろうか、と他人事ながら心配になる。

 キックオフ。今日は手島と野口が軽い故障で出ておらず、3バックの真ん中は角田、左サイドには中村が入る布陣。2トップの一角には松井。安と上野はベンチスタート。開始1分、左サイドを突破した松井がセンタリング、しかしDFにクリアされる。3分には鈴木がロングシュートを放つも枠を捉えず。5分、前線に流れたボールを松川が猛然と追うが、DFに阻まれてチャンスとはならず。7分、熱田のFKを最後は松川が押し込もうとするが、枠に入らない。甲府はサイドを突いてクロスボールを上げる形で攻め込んでくるが、序盤は散発的で精度も欠き、特に脅威とはならない。サンガもに決定的と言えるほどのチャンスは無し。

 16分、中盤のプレスでボールを奪って素早く右に展開、熱田がクロスを入れるが黒部には合わず。17分、朴がピッチサイドに出て治療を受ける。19分、甲府の攻撃をかわしての逆襲。松井が浅いDFラインの裏に抜け出したが、サポートが遅れてチャンスとはならず。23分、朴の状態が思いの外悪いのか、早くも安と交代。甲府相手とは言え、朴抜きでは確実に落ちてしまうサンガのチーム力、不安がつのる。

 24分、熱田のクロスに黒部が頭で合わせようとするも、GKがパンチングでクリア。25分、辻本がパス出しに躊躇したところでボールを奪われサイド攻撃を許すが、遠目から打たれたシュートは枠を外れる。28分にはメインスタンド側からの甲府の攻撃。鋭いセンタリングを上げられるが、鈴木が何とかクリア。29分、CKのクリアからカウンター、松井が上手く抜け出してゴールに迫るがシュートは打てず。30分には松川がロングシュートをねらうが、枠を逸れる。松川は31分、松井のスルーパスに反応して飛び出すが、これはオフサイド。33分、サンガの高いDFラインが乱れたところを甲府に突かれる。スペースを駆け上がる甲府MFアレックス。シュート体勢に入られる前に鈴木が戻り、どうにかクリアしたが、かなり危ないシーン。

 35分、サンガはペナルティエリアの10m余り外からFKのチャンス。だが熱田のキックは枠の上。37分のCKには辻本が頭で合わせるが、甲府ゴールを脅かすには至らない。39分、甲府FW太田が遠目からシュートを放つが枠を外れる。40分、カウンター気味に攻め込んでの黒部のシュートは、惜しくもサイドネットが揺れただけ。両チームとも大きなチャンスも無く、0-0のまま前半が終了。甲府の動きの良さ、逆に言えばサンガの動きの悪さが気になる。スコアには表れていないが、動き出しの早さで負けている印象が拭えない。

 後半開始。選手交代は無し。序盤に攻勢を強める甲府だが、冷静に対処するサンガDF陣。2分、相手ボールをインターセプトした安がようやくいつものドリブル突破を見せるが、ゴールラインを割ってチャンスとならず。8分、安のスルーパスに黒部が反応、しかしGKも良く飛び出してクリア、シュートには至らない。安・松井も左サイドから再三突破を図るが、いずれも甲府の守備を崩すには至らず。

 13分、攻め上がって手薄になっていた甲府DFラインの裏を突く形で、黒部が左前方のスペースへパス。それを中村が猛然と追い、飛び出したGKも難無くかわしてDFと交錯しながらもシュート、待望の先制点を奪う。ぶつかった痛みでしばらく動けない中村に、ゴール裏からは惜しみない“ミニラ”コール。一旦は担架で運び出されたが、すぐに復帰。タフな人だ。
 17分、松川からのスルーパスを松井が右でセンタリング、再び松川に合わせようとするがDFにクリアされCKに。このチャンスに安のヘディングシュートはクロスバーを直撃、惜しくもゴールならず。19分のCKでは辻本が頭で合わせるが、これは枠を大きく外れる。21分、甲府サイドでFKを得たサンガだったが、蹴り損ねともフェイントともとれる動作でボールがわずかに動き、それに気付いた甲府の選手が目ざとくボールを奪取。そこから予期せぬカウンター攻撃となるが、センタリング、ミドルシュートとも精度を欠いていて難を逃れる。

 24分、甲府は攻撃的な選手を同時に2人入れ換え。これを機に甲府の攻撃も少し息を吹き返し、27分のCKではミドルシュートにヒヤリとさせられる。28分には安が個人技でのキープからシュートを放つが、DFに阻まれゴールネットを揺らすことは出来ない。29分、松井に替えて上野。31分、左サイドの安を起点に攻撃を組み立て、中央下がり目の松川から右の熱田へ。そこからダイレクトで折り返されたボールに黒部がきっちりと合わせ、追加点を奪う。ゴール裏で見ていても点を取る経過のよくわかる、得点らしい得点。

 2点差となってからはあまり動きの無い展開だったが、36分には後方からのボールをオーバーラップした甲府DF美尾が受けセンタリング、途中出場のFW吉田に頭で合わせられかけるが、角田もきっちりとマーク、ゴールを許さない。37分、黒部を下げて冨田を投入。その冨田は39分、左サイドで突破を図りCKを奪う。その流れから甲府のペナルティエリア付近でボールは回すものの、シュートには至らず。甲府は40分、FW松島を投入。41分、右サイドからペナルティエリアまで切り込んだ安から熱田へマイナスのパス、しかし熱田のシュートは高々と上空へ。ロスタイムは3分、甲府も一矢を報いようと攻め立てるが、決定的な形を作るには攻撃力が不足しているのが否めない。そして2-0のまま試合終了。前節を落としていたこともあって、きっちりと勝ち点3を持ち帰ることが出来たのは大きい。

 東京へ電車で戻る人達は、急いで荷物をまとめてタクシーへ走る。アウェイバス組は、勝利の余韻をまったりと味わっている様子。駅へのバス乗り場へ急ごうとしていると、東京から車で来た知り合いに声を掛けられ、甲府駅まで送ってもらえることに。愛車のセリカで夜道を20分余り、思わぬところで楽をさせてもらえた。八王子まで帰るという車を見送り、夕食を探しに夜の駅前を歩く。コンビニは幾つかあるものの、何故かどこも酒類を扱っていない。4〜5軒あれば1つぐらいは売っているものなのだが。30分近く彷徨ってはみたものの、気軽に入れそうな飲食店すら見つからず、結局駅前の吉野家に落ち着く。今日はこんな日なのだろう。

 22時40分、最終のあずさ69号に乗車。予想通り空いている車内。仕事帰りなのか、前の席のスーツ姿の男性2人組は熟睡状態。塩尻への車中、少し日記を書く。適当なところで切り上げてぼんやりしていたら、いつの間にか眠ってしまったらしく、「次は終点、松本」のアナウンスで目が覚めて愕然とする。これは困った。23時55分、ともかく松本で下車。改札口で事情を説明、塩尻行きの普通電車も無いので、途中下車をせずに松本から急行ちくまに乗れば、運賃・料金的にもOKとの判断を貰う。一安心してホームに戻り、ベンチでweb browse。日記を書いたりするうちに、目の前をゆっくりと、真新しい特急車両が無人のまま走り去って行く。駅のポスターで見た、新型のあずさのようだ。しかし、その“顔”はどうしても「蟻」を思い起こさずにはいられないデザイン。JR東日本の特急は、どうも性に合わない気がする。0時59分、ようやく急行アルプスが入線。昼間の特急を流用した車両は、急行と言うには豪華。でもムーンライトながらも似たようなものだから、お徳感も中ぐらいと言ったところ。平日でもあり車内は閑散としているかと思っていたがそうでもない。1時9分、松本を発車。10分後には塩尻に到着、何故か隣の席にサンガのレプリカユニを来た男性が座る。疲れていたのもあって、声は掛けないでおく。車内検札では特に何も申告しなかったが、質問されることも無くフリーパス状態で拍子抜け。空気枕を膨らませ、座席を倒して目を閉じる。リクライニングの角度が中途半端で寝辛いのは相変わらずだが、贅沢は言うまい。




2001 Oct.16

 昨日の秋晴れはどこに行ってしまったのだろう。洗濯をしてから天気予報を見ると、夜には雨とのこと。しかも明日も全国的に雨模様だ。一人旅でこれでは思いやられる。

 外出先から帰宅し、しばらくすると予想より幾らか早く雨が降り出す。慌てて洗濯物を回収。9割方乾いていたのだけど、また少し濡れてしまった。何枚かを部屋の中に吊し、横浜FC戦のデータを処理。夜には完成してアップロードしたものの、KBSでの中継を見ようという気になれない。明日の出発も早いので、仮眠をとろうか徹夜しようかと考える間に無駄な時間がどんどん過ぎる。結局、録画をほとんど見ることはなかった。




2001 Oct.15

 結局4時間ほど寝たところで起床。調子は今一つだが、「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」を1日分消化するために、かねてから画策していた日本海方面への日帰り旅を決行。何も食べずに、午前8時半頃部屋を出る。地下鉄を1本乗り逃がし、目当ての電車が出る15分ほど前に京都駅に到着。出来ればファーストフードで腹ごしらえを済ませたかったのだが、時間が無いので地下の進々堂でパンを買い、自動販売機で缶コーヒーを確保。到着した電車から吐き出されたらしい人の波をかき分けながら、山陰本線のホームに向かう。案の定電車は入線済みで、座席も6割方埋まっている。空いたボックスも無く、先頭車両のドア横に立ち、しばらく様子を見ることに。9時3分、福知山行きの電車が出発。

 通勤ラッシュの時間帯は過ぎているものの、途中で乗り降りする人の数はほぼ同数で、なかなか席に余裕が出ない。嵯峨嵐山あたりでドア横の席が空き、とりあえず腰を下ろす。だが隣の席もすぐに埋まり、食事をするような雰囲気でもない。とりあえず亀岡まで我慢していたが、空腹に耐えかねて朝食タイムに。パンをコーヒーで流し込む。保津峡からこちらはのどかの一言。去年だったか、天の橋立に行った時に通って以来だと思うのだが、おそらくこの雰囲気はずっと変わることが無いのだろう。園部で前の2両だけが切り放され、福知山行きに。後ろはどうやら、折り返し京都行きになるようだ。偶然だが先頭車両を選んで正解だった。ここから先は、ワンマン運行。運賃箱の向こうには車掌さんが立っているけど。電車は更に走り、10時48分、綾部に到着。ここで、小浜線に乗り換えるため電車を降りる。

 次の電車が車で約20分、ホームでぼんやりと時間を潰す。ホームの向こうにはグンゼの研究所が見えるが、辺りには何の喧噪も無い平和な風景が広がっている。駅前の公園からだろうか、子供のはしゃぐ声だけが小さく空気を震わせているだけ。色々な意味で遠くに来てしまったなあ、としばし佇む。他に画になるものも無く、ベンチに置いたデイパックをデジカメに収める。

 福知山からの電車が到着、こちらは十分に空いていて、ボックス席を確保。11時10分、発車。山あいの風景を眺めていると、自分がどこにいるのか混乱してくる。日本のどこにでもある、田舎びた風景。家々の屋根や開いたドアから入ってくる空気の感触になまじ覚えがあるからだろうか。南東北から北関東での印象は、自分がそれまで知っていたそられとはどこか違うものがあったからこそ、自分が日常とは異なる世界(大げさだけど)にいるのだと実感することが出来たように思う。それからすると、今、この電車は一体どこを走っているのだろうか? 実は自分はそれ以外のどこかに迷い込んでいるのではないだろうか? そんな妄想がふと心を過る。それでも電車は着実に定められた線路を走り、11時39分、東舞鶴に到着。

 改札を抜け、駅舎を出る。1つ前の西舞鶴の方が、大きな建物が多かったかもしれないなというのが正直な感想。地図を見ると、市街地そのものはこちらの方が広そうではあるのだが。とりあえず、駅前のメインストリートを海側へ歩いてみる。パッと見た感じで街の規模は、知っている範囲では明石や平塚に近いだろうか、と勝手に比較。だが今は月曜のお昼前、土日に訪れた2つの街と比べると、気だるい空気に包まれた街は、ブルーな朝の眠気を引きずったまま動いているように思える。大通りから東に伸びる、アーケードを歩く。ここもまた、商店街によくある“まどろみの時間”が流れている。そんな空気を何とかして吹き飛ばしたいと考える人もいるのだろうか、何故かBGMにスタイル・カウンシルが流れている。素晴らしいとも、痛いとも言えない微妙な組み合わせ。

 市街地を抜け、海へ。と言っても、舞鶴は深い入り江を活かした天然の良港なので、日本海を直接望むことは出来ない。岸壁に港巡りの小さな遊覧船がぽつねんと泊まっているだけの岸壁で、緑色の凪いだ水面を見ただけ。横は公園になっていて、地元の人達が数人、ベンチでのんびりとしている。歩を進め、役所の建物や文化会館を通り過ぎ、赤レンガ博物館へ。もっとも、特に興味もないので中には入らず。もう少し歩いたところで、現役の赤レンガ倉庫群を眺め、何枚か写真を撮る。道の彼方の岸壁には海上自衛隊の艦船が停泊しているが、これも興味が無いのでパス。市街地の方へ引き返す。地図で見ると、歩行者・自転車専用道路があるとのこと。途中にトンネルがあるらしいので、何はさておき歩いてみる。小山の麓ぞいに良く整備された小径をしばらく歩くと、確かに前方にはトンネルがある。中にはヨーロッパの街灯のような照明が設置されていて、トンネル特有の圧迫感は微塵もない。休日は観光客で賑やかなのかもしれないが、普段は生活道路として役立っているいるようだ。数人の人とすれ違いながら、何枚か写真を撮る。

 時計を見ると、午後1時近く。中心部に戻り、見当を付けていた寿司屋に入ってみる。寿司ランチを注文。15分ほど待っただろうか、握り6品――鮪、穴子、エビ、玉子、梅シソ、漬物――と焼魚(多分スズキ)、小鉢と赤だしがついて970円。寿司ネタそのものは、どこででも食べられる類のそれでちょっと期待外れではあったが、スズキがまずまず美味しかったのでOK。ちょっと塩が効きすぎていた気もするけど。まあ、商店街の普通の寿司屋で、まったりと普通のランチを食べるという“非日常”の時間を過ごすことが出来たので、今日の旅はもう達成されたも同然だ。

 店を出たが、次の電車まで40分ほどあるので、駅近くにある平和堂系列(多分)の大きなスーパーで時間を潰す。食品売り場の鮮魚コーナーを見るが、舞鶴港からの魚は驚くほど少ない。近くだと福井県の小浜、強いて言えば富山県の氷見ぐらいが近場で水揚げされた魚だろうか。もっと早起きして小浜まで行っても良かったかな、と少しだけ後悔。ペットボトルのお茶とたこ焼きを購入。駅に戻り、ずいぶん早く入線していたディーゼルカーに乗ってたこ焼きを頬張る。PBG4を広げ、日記を書いていると突然フリーズ。しょうがないなあ、と舌打ちをしつつ再起動。しかし、無反応。何故こんなところでトラブルに、と焦りながらも、背面のリセットスイッチを押してからパワーキーを押す。今度は無事起動。幸い、日付と時刻がリセットされただけで済んだ。書きかけの日記も、小まめなセーブが功を奏して、数行分が失われたものの、内容を思い出してすぐに補完。そうこうするうちに、14時19分、ディーゼルカーは発車。

 ワンマン運行の古びた車両は山あいを走る。時刻表の地図で確認すると、このあたりは半島の付根、トンネルが多い。しばらくして、ようやく海が見えてくる。若狭の海は、少しくすんだインディゴブルー。余裕があれば、どこかで途中下車して浜辺まで行きたいところだが、そこまでの時間も無く、ただ流れる景色を眺める。いつの間にか福井県に入り、大きな鉄塔と何本もの送電線が走る山肌が、入り組んだ湾の向こう側に見える。あの向こうには原発があるのか。茨城もそうだったが、大都市から程々の距離にある海辺の現実を見た気がする。

 途中、中高生が下りては乗り、徐々に混み合ってくる車内。街まで遊びに行くのだろうか。16時15分、敦賀に到着。乗り換え時間がかなり長いのだが、駅前に出ても見るべきものも無さそうなので、入線していた次の電車にそのまま乗り込む。九州などでも見られた、古い寝台車を改造した近郊型車両。お世辞にも奇麗とは言えないのだが、高い天井や広いシートピッチのおかげで妙に余裕のある車内に、少し懐かしさを覚える。がら空きの車内でPBG4を広げ、日記書き。30分ほど経ってもあまり乗客が増えないまま、16時54分発車。夕日が眩しい。

 電車は市街地を離れ、山あいを走る。路線図で見ると、この区間はループ線で山越えするのだが、何度通っても山をぐるりと回っている感覚がわからない。トンネルを多く走るので仕方が無いのだろうけど、景色が見えたら楽しいだろうに、と心の中で呟く。峠を越え、滋賀県内に入り、湖西線との分岐駅、近江塩津でしばらく停車。この頃にはすっかり陽も落ち、高架から望む風景は次第に色を失ってゆく。途中、交流区間と直流区間の切り替えで車内の明かりが消えたりと常磐線のような状態になりながら、長浜に17時36分到着。ホームの向かいに停車中の新快速に乗り換え。かなり端の車両まで歩き、空席を確保。17時43分、長浜を発車。すっかり宵闇に包まれた近江路を一路西へ。帰宅時間帯だけあって、電車は駅ごとに人々を飲み込んでゆく。滋賀県内でも意外と乗客の乗り降りがあるものだと感心するうちに、車内はかなり混雑してくる。通路にまで乗客がぎっしりと詰まった状態で、18時46分、京都駅に到着。

 プラッツ近鉄へ。旭屋書店で少し立ち読みし、無印良品で靴下を購入。地下の食品売り場では普通のスーパーの感覚で買い物。優勝セールもいつの間にか終わり、普段と変わらない夕方の雰囲気に戻っている。柿が安かったので、2個をカゴに入れる。一日の終わりに、秋の気分。




2001 Oct.14

 日曜日だというのに、知り合いの法律事務所からファイルコンバートを頼まれる。依頼者からワープロ書類を受け取ったのだが、これがMacのクラリスワークスで作ったものらしいのだ。Windows環境のファイルコンバートソフトでどうにかなるとたかを括っていたらしいのだが、念の為にとこちらにも回ってきたのだ。PBG4に繋がるFDDを持っていないので、白いフロッピーディスクを手持ちの旧環境で読み込んでみる。PowerBookDuoにはクラリスワークスもインストール済みなので、何の問題もなく書類は開く。e-mailで添付ファイルとして送り付ける。念の為に、plain textでも送付。ところが、向こうでe-mailが読めないと言うので事務所に出向く。結局は、mailerとしてのNIFTY MANAGERの操作性が悪く、e-mailの読み方わからなかったらしい。おまけに、コンバーターソフトもMacのソフトには非対応という始末。text化しなかったらどうしたのだろうか。ともあれ、データは無事読み込まれた。



2001 Oct.13

 横浜FC戦当日だというのに、今ごろ大分戦の録画をチェック。大分DF陣の危うい動き、サンガがかつてやってしまったミスの数々とダブって見える。DFの技量の問題か、それとも集中力の問題か。おそらくは後者。

 12時半頃出発。今日も自転車で西京極を目指す。堀川御池のコンビニで食料を仕入れ、ざっと30分で到着。自転車移動に身体も少しは慣れただろうか。A南に入ると、メインやバックスタンドは相変わらずガラガラ。そんな中、ゴール裏では早くも『紫魂』Tシャツがかなりの広まりを見せている。売店横で1,500円を支払い、購入。いや、運動に参加と書くべきだろう。ベースのTシャツは中国製だが意外としっかりしていて、襟ぐりにはちゃんと、オフィシャルな許諾を得た証しであるサンガのマークが入ったタグが付いている。服の上からTシャツを被り、しばし佇む。フィールドでは、サポーターからチームへTシャツ贈呈式。稲盛名誉会長他、偉いさん方がその場で着てみせるというパフォーマンス。

 例によって、誰に声を掛けようか迷ったあげく、前回のホームゲームで話を伺えなかった“ジュビロサポ”らしい方を探し、お願いする。何故西京極にサックスブルーのユニフォームがあるのかは謎だが、電光掲示板下でジュビロのレプリカユニを着て頂き、写真を撮る。流れで“近鉄ファン”の方にもお話を伺う。こちらも何故か、バッファローズTシャツとタオルマフラー有り。でもどちらもサンガサポーター。ユーモアのある日となった。

 秋空の下、キックオフ。前節と全く同じ布陣。横浜FCは、本当に2-4-4というメンバー登録。まあ、正味の話4-4-2なのだろうが、攻撃的に行くのだという監督の強烈なメッセージははっきりと見て取れる。1分、DFラインの裏へ抜け出そうかという熱田へのパスはオフサイド。2分にも同じ様な形からセンタリングを狙うが、クリアされる。やはり守備が手薄になりそうなサイドのスペースを狙おうという意図か。5分、安が左サイドを突破、いつもの形でGKと1対1になるが、シュートはGKの正面。その安が中盤で削られFKを得る。一旦はクリアされスローインとなるが、朴が右足アウトサイドで惜しいシュートを放つ。

 9分、横浜FCの攻撃。バックスタンド側のスペースにロングボールを放り込んでチャンスを作り、何度かゴールを狙うがフィニッシュには至らず。10分、安が左サイドからゴール横へ切れ込みラストパスを狙うが、DFにクリアされる。12分、今度は野口が左サイドの突破を図るがDFがクリア。しかし野口はDFにプレッシャーをかけ続け、それがコーナーキックを呼び込む。しかしこのチャンスを活かすことが出来ない。14分、石丸が横浜DFの裏を突いたスルーパス、これに熱田が追いつきセンタリング、黒部がダイレクトにボレーシュートを放つが、わずかに枠の外。

 16分、横浜FCはサンガの右サイドを突破しようとするが、熱田が飛び込んでセンタリングをカット、スローインとする。これがペナルティエリア横からのFKに繋がりピンチとなるが、どうにかクリア。18分、安が左を個人技で突破しチャンスを作ろうとするが、DFにクリアされる。20分には自陣の松川から右サイドへ飛び出す熱田へスルーパス、しかしセンタリングはDFに阻まれる。22分、サンガゴール前で横浜に大きなセンタリングを上げられるが、フィニッシュには至らず。23分、横浜FCはサンガDFの右スペースを突いてくるが、中河が飛び出してクリア。かなりギリギリの判断ではあったが、結果オーライ。

 前半も半分を過ぎ、サンガとしてはもっと中盤でボールをキープし組み立てたいのだろうが、そこにプレッシャーをかけ続ける横浜FCの場面が多くなる。失点とはならなかったが、25分には神野、26分には小野とシュートを許してしまう。27分、サンガも石丸のスルーパスに安がDFラインを抜け出すがオフサイド。そして30分、横浜FCの選手が迫ってはいたものの十分に余裕のある状況で、鈴木がサンガゴール目がけてバックパス。中河もまさかのボールに一瞬反応できず、そのままオウンゴールに。まるでJリーグ草創期のような寒いプレーに、西京極のテンションも一気に下がる。その空気を振り払おうとするかのように、熱田のクロスに飛び込む野口。安も切れ込んでのセンタリングを上げるが、いずれも得点に結びつかない。33分、ペナルティエリアやや外からのFK。熱田のキックは壁に当たって軌道が変化、そこに鈴木が汚名返上とばかりに飛び込むが、ボールは大きく枠を越える。

 37分、同じ様な位置からのFK。熱田のキックはDFとGKの間の良いスペースに入ったが、サンガの選手は触れず。38分、横浜FCのDFがGKへ頭で返したボールを朴がタイミング良く奪い、GKと1対1となり倒されるもノーファウル。終盤、再び横浜FCに押し込まれる時間が続くがどうにかクリア。43分、石丸がDFライン中央の裏を狙ってスルーパス、これに黒部が反応してシュート、しかし横浜DFもきっちりマーク、ボールは枠を外れる。松川もワンツーからゴール前に迫るが、これもDF陣の寄せに阻まれる。ゴール前で松川が倒れたままの状態で攻め続けるサンガだが、横浜FCの守備を崩すことが出来ない。ロスタイム、熱田のシュートもGKに押さえられる。1分はとっくに過ぎているのに続く横浜FCのセットプレーに苛立つA南。ようやく前半が終了、すっきりしない空気を引きずったまま、0-1でハーフタイムを迎える。

 後半開始。選手交代は無し。1分、ペナルティエリアの2mほど外からFKのチャンス。朴がフェイクを見せて黒部が蹴ったボールは、ファーサイドのゴールポストを直撃。ガン、という音と共に惜しいチャンスを逃すが、以前よりは期待できるようになった黒部のセットプレー。3分、横浜FCも反撃。サンガゴール前でパスを回すが、ピンチには至らず。4分、スルーパスに黒部追い付けず。7分、サンガの左サイドのスペースを突かれ、FW神野がシュート、一旦は中河が正面で止めたが、わずかにこぼれたボールを詰めていたFW小野に押し込まれ、追加点を奪われる。

 8分、石丸を下げて中村を投入。10分、左サイドやや遠目からのFKを得たが、決定的なチャンスとはならず。しかしクリアされたボールをサンガが拾い、右サイドでフリーの熱田がセンタリング。しかし全く精度を欠き、サポーターからは落胆の溜息。12分、安に替えて松井。そして14分、横浜FCのバックパスに熱田がチェイシング、更に松川も詰めてボールを奪い取り、ペナルティエリア内で熱田のヒールパスを松川、そこからゴール前に走り込んできた松井と繋いで、最後はDFがクリアしようかというボールを熱田が力強く押し込んで、1点差に詰め寄る。

 15分、スローインから松井、熱田、黒部とダイレクトに繋いでDFラインを抜け出しゴールに迫るが、状態のあまり良くない芝に足を滑らせた黒部はシュート体勢に持ち込めない。後ろから走り込んできた松井のシュートも、DFに阻まれ絶好のチャンスを逃す。16分にも、松井のキープから松川がセンタリング、黒部がゴールに背を向けたまま上手く合わせるが、GKがキャッチ。17分、中盤のプレッシングでボールを奪い、熱田に繋いでシュート、しかしGKが身を挺してクリア。18分にも熱田がフリーでセンタリング、だがこれもDFにクリアされる。松井のセンタリングに黒部が飛び込んだシーンも、DFが一瞬早くクリア。1点を取ってから圧倒的にサンガペースなのだが、ゴールを奪えない。

 19分、横浜FCはFWを一枚減らしてDFを投入。徐々に守備的な形にシフトしようとする。だがこれで息を吹き返したのか、横浜FCの時間帯に。そして21分、横浜FCはセットプレーからの流れでセンタリング、折り返しのボールの対処を辻本がわずかに誤り、それを神野に押し込まれて再び2点差に。

 22分、サンガの攻撃が再開。左サイドの野口を中心に組み立て、松川が長いクロスボールを入れるが、逆サイドの松井には合わず。23分、松井の鋭いセンタリングに、黒部が倒れ込みながらもヘディングシュート、しかし枠を捉えることが出来ない。だが24分、朴のCKに黒部が頭で合わせ、今度はゴール。再び1点差に。

 25分、辻本を下げて上野を投入。サンガもとうとう2バックか。現実には中村あたりが下がる形なのだろうが。26分、横浜FCの攻撃はオフサイドで終わる。28分、CKを奪われ嫌な空気が漂うがこれも最後はオフサイド。29分、サンガは素早いリスタートから前を窺うが、良い形に持ち込めないまま横浜FCにカウンターを食らうが、手島の上手い守備でピンチを切り抜ける。そこからの縦パスに松井が鋭く飛び出すがオフサイドの判定、監督が激しく抗議。31分、左サイドのスペースを突かれ、センタリングを押さえようとした中河と手島、横浜FCの選手が交錯、ボールがゴールに吸い込まれそうになるが危うい所で手島がクリア。カウンターで熱田がクロス、松川が頭で合わせるがタイミングが合わずボールは枠の上へ。

 33分、中盤でのボール回しから松井が前線へスルーパス、しかしFW陣との呼吸が合わない。その後も何度も前線へボールを放り込むがシュートまで至らないサンガ。35分のCKもGKにクリアされる。37分、横浜FCの逆襲に肝を冷やすが大事には至らず。38分、松井のパスを熱田が直接折り返すが、精度を欠いて誰にも合わない。39分、ゴール前で細かく繋いで最後は朴が枠にシュート、しかしGKにセーブされる。40分、熱田のシュートは枠を捉えず。41分、横浜FCはFWを入れ換え。神野が足を引きずりながらゆっくりとピッチの外へ。わざとらしい動きにブーイングが沸き起こる。残り時間もわずかとなり、時間を使い始める横浜FC。サンガは早く前線にボールを送りたいのだが、厚みのある攻撃が出来なくなってくる。44分、左サイドからのクロスボールがDFに当たってこぼれたところに松川が走り込むが、横浜FCの激しい守備にシュートを許してもらえない。ロスタイムに入り、攻め続けるサンガ。しかしなかなかシュートまで持ち込めない。ロスタイムも残りわずか、松井の粘りからペナルティエリア右横でFKを奪う。しかし朴のシュートも枠を越え、同点に追いつけないまま試合終了。

 「紫魂」キャンペーンに気負いすぎたのか、横浜FCとの相性なのか、それともこれが実力なのだろうか。個人的な印象としては、山形、大宮、横浜FCと4-4-2で激しく走ってくるチームに対する弱さを感じてしまう。選手個々の技術では負けてはいないのだが、動きで――運動量、動き出しの早さ、サポートの意識etc.――負けてしまっているのではないだろうか。これは今に始まった話ではなく、何年も続く根深い問題だとは思うのだが。ともあれ、今日は負け。勝ち点を積み重ねることが出来なかったのは紛れも無い事実。ますます混戦が深まる、などという新聞記事のような決まり文句ももう止めよう。もはや目の前の試合に勝つ――少なくとも負けない――ことだけが重要なのだから。

 帰りに、近所のローソンで甲府戦のチケットを購入。ここで連敗するようだと、本当に危ない。連敗はしないという2001年シーズンの流れからすると大丈夫とは思うのだけど、延長引き分け、などとなったら色々な意味で――勝ち点的にも、帰りの交通機関的にも――困ったことになりかねない。90分で勝ち点3を。




2001 Oct.12

 ちょっと河原町方面へ。本屋で立ち読みしてからVirginへ。過去の日記を検索したところ、どうやら1カ月半ぶりらしい。即買いの新譜は無いものの、めぼしい物も何枚か。フェイ・ウォンの新譜は輸入盤を待ちたい。他はスタンプ2倍押しセールを狙うか。などとのんきなことを言っていられる財政状態では無いのだが、本当に欲しかったら買うしか無い。心と財布が葛藤し、結局何も買わずに出る。まあ、いつも通りの結末。

 ローソンに立ち寄り、Loppi端末の前へ。甲府戦のチケットを買うつもりだったのだが、買っていたかもしれない、という偽の記憶が邪魔をして、新潟戦のチケットを購入。ビッグスワンとはいえ、2,200円とは相変わらずの強気の設定だ。それでもコンスタントに1万人を越える観客を集めているのだから、良い劇場はそれ自体が魅力的な演し物の一部なのだろう。帰宅してチケットをチェック。やはり甲府戦の入場券はまだ買っていなかった。横浜FC戦とごちゃまぜになっていたらしい。惚けている。




2001 Oct.11

 気が向いたので、昔よく行った東山二条のジャスコへ。スーパーマーケットという場所が好きで、特にその中をぐるぐると歩き回るのが好きだ。手ぶらで店を出ることは少なく、最後は何か必要なものを――あるいはそれほど必要でないものをも――買って帰る。今年はあちこちにある行ったことのないスーパー(あるいはそれに準じる売り場)を巡ることが出来た。が、旅先でお買得品を見つけても持って帰れないので、その時に必要な物――大抵はすぐに食べる物――だけをカゴに入れ、珍しい物、お買得な物には手を出せないことがほとんどである。冷静に考えれば、所詮はマスプロダクトを並べた量販店、店ごとの差異など微々たるものでしかないのだけれども、その“物量”と“差異”に安らぎを覚えてしまうのは、現代人の性なのかもしれない。などと能書きを後から書いてはみたものの、要するに買い物。食料品を買い込んで帰宅。一部は、夕食の材料となる。アジフライと豚汁、普通のご飯を食べられる幸せ。




2001 Oct.10

 雨も上がり、作業にかかろうかと思いつつ手が動かない。逃避も兼ねて、用事を済ませに外出。ついでに某スーパーで買い物。水曜日は結構安い。色々買い込んで帰宅。

 帰ってからも、なかなか作業に集中できない。暗くなってからようやく真面目に取りかかる。どうにか水曜日中に完成、アップロード。作業が済んで、遅い夕食。安かった牛肉(100円/100g)を焼いて食べる。それからweb browse。時計と見ると午前3時を過ぎている。ずいぶん遅くなってしまった。




2001 Oct.9

 洗濯。ローソンでぴあと一緒に、横浜FC戦のチケットを購入。これまでホームゲームには4枚綴りの回数券を使っていたのだが、残り試合を考えると3試合をバラ買い&最終2試合をセット券というのが安上がりになりそうだ。レジでいつものようにチケットを受け取る。「10月13日 京都パープルサンガvs横浜FC」の文字。これも2001年の記録か。

 天気予報どおり、夜には雨。早めに洗濯物を取り込んでおいて正解だった。作業はサボり。




2001 Oct.8

 10月8日なのに、体育の日。変な気分。休日も平日も関係ない生活をしている身だけど、違和感はある。それなりに長く生きてきたということか。




2001 Oct.7

 兵庫県内で目が覚める。夢の中でも夢を見ていたり寝台車に乗っていたりと、入れ子構造の中をさまよっていたような気がする。いつもと違う環境で、心のどこかが興奮していたのかもしれない。早朝の空は良く晴れていて、朝日が眩しい。少し高い所――熱海と東京を結ぶ快速アクティーの2階席より高いかもしれない――から眺める山陽本線沿線も何となく新鮮だ。三宮、大阪と停車し、列車は東へ。荷物をまとめ、見慣れた風景が車窓に映ったのを見計らって後者の準備。「彗星」は定刻通り、京都駅に到着。地下街に下り、サブウェイで軽く朝食、地下鉄で帰宅。

 午後に外出、ストックの無くなったチェキ用インスタントフィルムを購入。3本パック30枚分だけど、きっと余るのだろうなあ。F1雑誌を買い、スーパーで買い物。大分戦の録画チェックは後回し。

 夜、行きつけの店で夕食。新メニューが増えている。近くに新しい店も出来たようだし、変化が必要だとマスターも考えたのだろうか。良くも悪くも、定番メニューを安定して出してきた店だけに、小さな驚き。




2001 Oct.6

 広島で目が覚める。隣の人は降りたようだ。姿勢を少し変え、再び目を閉じる。次に目が覚めたのは午前7時を回ってから。6時間ぐらいは眠れたようだ。夜行列車にしては上出来。もう1時間ほどじっとして、8時を過ぎてから起きる。昨日買っておいたシリアルバーをスポーツドリンクで流し込む。PBG4を開いて、少し日記書き。そろそろ到着とのアナウンス。もう2、3分あるなとたかを括っていたら、減速が始まり窓の外をホームが流れて行くので慌てて荷物をまとめる。9時23分、下関に到着。

 雨の鳥栖戦以来の下関。次の電車まで1時間以上あるので、少しだけ駅前を歩く。地図を見ると、海はすぐそこのようだ。関釜フェリーの乗り場まで行く。途中、おばさん2人連れとすれ違ったときに聞こえてきたハングルの響き。しばらく前に到着したのか、フェリー乗り場にはほとんど人影も無く、掃除のおばさんとタクシーの運転手さんが数人いる程度。フェリーとこちら側の間には、高い鉄製のフェンス。ターミナルビルの3階からしか、向こう側には行けそうも無い。ここが国境。駅の方に引き返し、プロントでパンとコーヒーの朝食。書きかけの日記をhtml化し、アップロード。これで何とか追い付いた。mail は2通届いていたが、旅の窓口とKyoto-Inetからの連絡。電車の時間も迫り、急いで荷物をまとめて店を出る。

 宇佐行きの電車は既に入線済み。4両編成だが、車内はそれほど混んでいない。夏は座れなくて、小倉まで立っていた記憶があるのだけど。3連休とは言え、こんなものかと少し拍子抜けする。11時ちょうどに発車。門司で博多行きの快速に乗り換えた乗客が多かったので、ボックス席に移動。多分海側の席だと思うのだが、進行方向と方角とが頭の中でごちゃごちゃになる。各駅停車の車窓から見える風景は秋のそれ。どこかの駅前には、お祭りなのだろうか、手作りっぽい御神輿が鎮座している。刈り取られた田んぼ、セイタカアワダチソウの黄色、コスモス。何故か、葬儀の受付での記念写真。山の向こうには筑豊、海の向こうには四国があるはずなのだが、見えるはずもない。途中の今津、という駅――周りでは刈り取り前の稲穂が揺れる無人駅――で「横綱双葉山出生地」の“看板”を発見。石碑などではなく、トタンを三角柱に組み立て、白字に黒で文字だけ書かれた文字通りの“看板”。もうちょっと扱いを良くしてもバチは当たらないのではないだろうか。柳ヶ浦という小さな駅で電車を降りる。大分行きの電車は、ここが始発。駅前には何も無さそうなので、ホームで少し写真を撮り、@niftyへ接続。こんなところでもDDI-Pocketの電波は届くのだから有り難い。この先の山越えルートではアウトだった記憶もあるけど。電車が入線。ガラガラの車内でweb browse。7分ほどで発車、急いで回線を切る。日記書きを継続。斜め前のロングシートで、真っ赤なチェック柄のパンタロン(としか表現のしようがない)が、シートに底の厚い靴を載せている。車掌さんが通りかかると、足を組み直して靴底は空中に。間抜けだ。大分に近付くに連れ、徐々に増える乗客。別府からはまとまった数が乗ってくる。ちょっと熱海みたいだ。14時27分、大分駅に到着。

 今年3回目の大分。前回は駅前でばったり某氏と会ったっけ、などと思い返しながら歩く。バス停に行くが、バスの系統がわからないので歩くことにし、駅構内の食堂で“とり天定食”で腹ごしらえ。食事を終え、競技場へと歩く。およそ方角はわかっているので、道なりに歩くこと30分弱、2人の大分サポが堤防の上を歩いているのを横目に大きな川を越え、開門20分前に大分市営陸上競技場に到着。

 大分サポーターの行列はまずまずの長さ。水戸ほど少なくはないが、ビッグアイこけら落としの時の熱気も無い。だがサッカーボールの“被り物”が謎だ。サンガサポは既に10人以上いて、待つ間にも次々にやって来る。大分のボランティアスタッフが、開門前にマッチデープログラムを配る。手際が良いのか、統率が無いのか。午後4時、入場。

 1月に外から眺めていたとはいえ、いざ入ってみると時代を感じる構造の競技場。古いのは仕方がないとしても、通路に抜け落ちた芝の葉が吹きだまっているのが気になる。太陽が丘並だね、とは誰かの弁。あれほど小さくはないと思うのだが、気持ちはわかる。横断幕張りを手伝ってから芝生席に腰を下ろし、しばし呆ける。サンガサポは最終的に50人弱は集まっただろうか。声を書けそびれていたので、試合開始10分前になって近くの男性にお願いし、快く応じて頂いた。

 何故かFIFA ANTHEMが流れ、大分ボールでのキックオフ。熱田がようやく復帰、野口も久々のスタメン。2トップが黒部と安のコンビ、トップ下に松川を配した布陣は、先に点を取るのだという監督の意図の現れか。それが功を奏したのか、開始直後、センターライン付近から熱田が全線へ大きく蹴り、ボールはペナルティエリアのやや手前で高くバウンド。3人の大分DFは目測を誤り、落下点に入った安がヘディングでDFの裏へ。それ

 予想外の早い得点に、一体どうなるのかとフィールドを注視。1分、黒部が前線でボールをキープ、攻めの形は作れなかったものの、一方的に反撃を許すような展開にはならない。中盤でのチェックも悪くないようだ。5分、大分にCKを許すが難無く跳ね返す。7分、ドリブルでペナルティエリア近くまで上がってきた選手を辻本と石丸で阻むが、石丸にイエローカード。誰かが“熱田か?”と心配する。ここからのFKを大分FWベンチーニョが蹴るが、中河が直接押さえる。9分には、メインスタンド側から大きなクロスボールを上げられるが、ハイボールも難無くキャッチ。

 10分、DFラインからのロングボールに黒部が走る。大分GK前川の飛び出しはかわしたものの、DFにクリアされる。12分にも、黒部と競り合ったボールが後少しでゴールに吸い込まれる、というところでキャッチ。日本代表時代から続く前川のハラハラプレイに、大分サポは生きた心地はしなかったかもしれない。それにしてもどこか危うい大分の序盤の守備。スターレンスが去ってもう何戦もこなしているのに、これが首位争いの呪縛なのだろうか?

 14分、メインスタンド側のサイドで、大分MF中田が上手く抜け出しセンタリング、しかし誰にも合わない。15分、安が左コーナー近くでキープして起点となり、最後は野口がセンタリング、しかし前川がパンチングでクリア。ここで黒部が痛み、ピッチの外でしばらくうずくまるが無事復帰。19分、大分バックスタンド側からの攻撃は、センタリングに勢いが無くDFが冷静に対処。22分、大分は遠目からのFKを放り込んでくるが、最後FW船越に預けようというスルーパスが合わずゴールキックに。前半も半分を過ぎたが、ここまでは大分に危険な形を作らせないサンガ。

 25分、大分はバックスタンド側からの攻め。サンガDF陣と野口のプレーで切り抜けたがCKに。しかしベンチーニョのキックは誰にも合わず、難を逃れる。27分、左サイドからの熱田のFKは前川が直接キャッチ。DFラインから前へのパスコースに熱田が入って身体で跳ね返し、それがサンガのボールキープに繋がる。28分、29分と熱田が立て続けに2本、良いCKを蹴るが前川の好守もあり点には結びつかず。その後の朴のCKも流れ、追加点を奪えない。31分、右サイドからの熱田のクロスともシュートともつかないボールがクロスバーに当たる。狙っていたのかどうかはわからない。

 33分、センターサークル手前で辻本が倒されるがノーファウル。36分、大分MFルシアノからのセンタリングをサンガDFがクリアミス、ゴール前でフリーだったFW船越の前にこぼれシュートを許すが、中河のファインセーブでピンチを切り抜ける。38分にも、ロングスローからペナルティエリア内でのプレーを許してしまうが、大分側のファウルの判定に救われる。

 39分、安が右サイドライン際でキープしようとするが、バックパスが流れてチャンスを作れない。逆に40分、大分の遠目からのFKを簡単にゴール前に落とされシュートまで持ち込まれるが、手島の守備でCKに。このあたりから大分の時間が続き、サンガ陣内で何度もクロスボールを上げられるが、精度を欠いていることもあって決定的なピンチとはならず。1分のロスタイムも過ぎ、前半を1-0で折り返す。

 ハーフタイム、後ろのフェンス際に佇んでおられた方に声を掛けてみる。観戦歴は少ない方だったが、お話を伺うことが出来た。時間が無い中で慌ただしく質問してしまったのが悔やまれる。

 後半開始。メンバー交代は無し。大分は1分、ロングスローからの攻撃でCKを得るがこれはシュートに至らず。2分、安が中盤でボールを持った選手を倒してしまい、イエローカード。3分、押えの効いたロングシュートがサンガゴールを脅かすが、中河がしっかりとキャッチ。5分、大分のロングスローに船越がヘディングシュート、しかし枠の上。

 7分、熱田からのロングボールに安が走るが、前川が飛び出しペナルティエリア内で押さえられる。8分にもカウンターの形で左に流れた安がボールをキープしようとするが、DFに押さえられる。10分、その安に替わって松井が入る。早速ゴールライン際からのセンタリングを見せるが、これはクリアされる。11分、熱田のFKは精度を欠いてGKにキャッチされる。このあたりはサンガの時間帯でボールもキープ、12分には朴のミドルシュートがクロスバーを叩く。13分にも松川がミドルシュートを放つが、これは大きく枠を越える。

 14分、サンガサイドの深い所で大分にボールをキープされそうになるが、熱田の上手い守備で切り抜ける。そこからのパスを中盤で松井がキープ、しかし大分MF原田が倒してイエローカード。16分、黒部を下げて上野を投入。序盤に足を痛めたこともあり、ボールキープと守備に貢献する上野を入れて大事を取ったか。大分も中盤の選手を入れ換え。17分、大分はペナルティエリアの外からスルーパスを狙うが、誰も反応できず中河が押さえる。

 19分、上のが倒されて得たFKを朴が蹴るが、大分DFに跳ね返される。大分もすかさず逆襲、サンガDFの裏に抜け出てゴールを脅かすが、DFに当たってCK。ここも危ないシーンではあったが何とかクリア。22分にはやや遠目だがベンチーニョのFK。しかし壁が跳ね返してカウンター、松井が抜け出してゴールライン際からマイナスのセンタリングを上げるが、ゴール前の枚数も足りず誰にも合わない。

 26分、松井が右サイドをマーカーのタイミングを外す上手いドリブルで突破、センタリングを狙うが大分の選手に当たってCK。しかし朴のキックはセカンドボールも含めてチャンスに至らず。27分には、ベンチーニョがループシュートを狙うが、少々苦し紛れの感もあり高々と枠を越える。30分、大分はMFルシアノを下げてDF池端を投入。

 32分、サンガは大分サイドでボールキープ。最後は熱田がミドルシュートを狙うが、枠の上。33分、スローインからベンチーニョがオーバーヘッドシュートを狙うが、勢いも無く中河がキャッチ。サンガも松川のパスを受けた上野がシュート、しかし枠を捉えず。35分、大分は3人目の選手交代。37分、主審の笛が鳴った後に松川がボールを外にちょこんと蹴り出し、イエローカード。これは不用意だ。

 39分、大分は遠目からのFKをヘディングでゴール前に流すが、誰も反応せず中河がキャッチ。40分、大分に左サイドを突破されそうになるが、野口の守備で大分ボールのスローインに。足を痛めた野口が外に出されている間にリスタート、ぽっかりと空いた左のスペースからセンタリングを上げられ、大分DF若松がヘディングシュート、しかし中河のファインセーブでゴールを許さない。残り時間もわずかとなり、サンガは大分サイドでボールをキープ。一旦は大分ボールとなったものの、前川の転がしたボールに大分の選手より先に反応した朴がミドルシュート、これは惜しくも枠を外れる。ロスタイムに入り、前川の相変わらず危ういプレーもあって自分達のペースで時間を消化するサンガ。上野のキープ力が生きる。そして長い笛。1-0で試合終了。

 地元の子供たちが何故か周囲をうろちょろする中、歓喜に包まれるゴール裏。内容はともかく、大事な1戦を勝ち得たのは大きい。まだ何も決まってはいないが、勝ち点3だけ前進したのは確か。何はともあれ、嬉しい。

 試合終了後、知り合いと雑談するうちに時間が過ぎる。駅まで30分、大分宿泊組と別れを告げ、夜道を急ぐ。橋を渡り、1月と同じ裏道を抜けて駅前の大通りへ。どうにか午後9時前に到着、閉店間際のスーパーに駆け込み、食料とビールを買い込む。その足で駅前のコンビニにも行き、焼きそばを購入。改札を抜けてホームに出ると、スタジアムでお話を伺った方とばったり出会う。同じ「彗星」のB寝台個室に乗られるとのこと。定刻をわずかに過ぎて、列車が入線。狭い通路を譲り合いながら、自分の寝台へ。広いとは言えない――カプセルホテルに毛が生えた程度か――が、1人で占有できる空間は有り難い。しかも海側の2階室。走り出すと、曇った窓越しに寝待ちの月が見える。買ってきた食べ物を広げて、ささやかな夕食。車掌さんが検札に来るかと思ったが、車内放送だけで結局やって来なかった。ノーチェックで良いのだろうか、と首をひねりながらもすっかりくつろぎモードに入る。やはり個室は良い。何をするわけではないが、他人に気兼ね無く過ごせるのは有り難い。時には、こういう部分にコストをかけたいと真面目に思ってみたり。食事を終え、小倉あたりで停車中にwebをチェックしようかと思っていたのだけど、いつの間にか横になって寝てしまったらしい。九州ともしばしのお別れだ。




2001 Oct.5

 大宮戦の録画を見て、日記を書く。前半、どこか試合に入り込めないな、とは思っていたが納得。局面、特に中盤ではそれなりに厳しい場面もあるが、ゴール前で緊迫する場面の少ない展開のせいか。それだけに、あの失点――ゲームプランの想定外だったのだろう――は悔やまれる。ただ、そこからすぐに自分達のペースに引き戻せないのは、J2にありながらもJ1時代から変わらないサンガの欠点だと思う。J1で、短時間に失点を重ねるシーンを何度見たことか。J2だから、傷口が広がらずに済んでいるのではないか。歴代のチームの中では、今シーズンは比較的まとまっている方だとは思うのだけど、本質的な部分はそれほど変わっていないのではないかと思えて仕方がない。それが「チームカラー」なのだとしたら、宿命とあきらめるしか無いのだろうか?

 あっと言う間に夜。夕食を済ませ、デジカメのテンプレートを作り、とバタバタするうちに午後10時を回る。日記を書けるだけ書き、忘れ物が無いか何度も確認して出発。烏丸御池から地下鉄に乗り、京都駅へ。とりあえず必要な新大阪までの切符を買い、ホームへ。「ムーンライト山陽」は入線済み。乗る車両を探していると、突然某氏と遭遇。さすがに座席ではなく「富士」のB寝台で大分へ向かうとのこと。湯布院泊りらしい。羨ましい。向こうで会いましょうと挨拶を交わし、先発する「富士」を見送る。23時27分、「ムーンライト山陽」発車。

 車内はかなり空いているかと思ったが、2号車最前列の隣の席は先客あり。どうやら広島までの様子。朝は楽が出来そうだ。大阪で一気に乗客が増え、今夜は満席のアナウンス。明石あたりまで時刻表をめくりながら過ごしていたが、眠くなってきたので空気枕を膨らませ、シートを一杯に倒して寝る。「ながら」よりは快適。




2001 Oct.4

 秋空の裏返しのような、不安定な天気。雨が止んだのを見て外出。京都銀行のATMで生活費を引き出し、ローソンで大分戦のチケットを購入。本屋に寄ったがサッカー雑誌は何故かマガジン・ダイジェストとも無く、Numberを立ち読み。F1特集なので買ってじっくり読みたいところなのだが、ここは節約。その後、烏丸丸太町のマクドナルドへ。ハンバーガー2個とコーラのMサイズで315円。3階でPBG4を広げ、溜まりまくった日記を片付けるべくキーボードを叩く。

 平日午後のマクドナルド。勉強する人、コンビニ食料を堂々と持ち込む女子高生(中学生?)2人組み。バイトの人は気づかないのか見て見ぬ振りをしているのか。焼きそばを(!)食べ終え、500mlのジュースを飲んでいた時点で、ようやく注意される。騒々しい女子高生が5〜6人、外国人男性が3人。隣の席にやってきた旅行代理店(紙袋のマークから推測)のお姉さんが、テーブルに突っ伏してしばらく動かない。午後5時、相当疲れているのだろう。

 暗くなる前に店を出て、御所の中を歩く。ざくざくと歩を進めるうちに、靄がかった景色のトーンが落ちて行く。梨木神社で水を汲み、少し湿っぽい空気の中を帰る。息を吐くと、わずかに白くなる。京都にも秋が訪れたらしい。




2001 Oct.3

 大宮戦のデータを作成。夕食も作成。ハインツの缶詰めソースで作ったグラタンは、味の面では無難な仕上がり。ただ、エビが硬くなってしまった。明らかに火の通しすぎ。サラダに使ったベーコンも、カリカリを目指したのに焦げたものと柔らかいものが混在している。火加減は難しいと反省。




2001 Oct.2

 映画強化デー2日目。朝一番で今日もみなみ会館へ。『COWBOY BEBOP 天国の扉』は、TV東京系で数年前に放映されたアニメシリーズの映画化。現在は毎日放送の土曜日深夜に放送中だが、TV大阪を受信できなかった当時、その評判だけを耳にして羨ましく思ったものだ。DVDで全部買い揃える余裕も無く、映画版が事実上の初見となる。伝え聞いたとおり、質の高い仕上がり。古今東西のアクション映画、スパイもの、探偵もの他様々な作品を自家薬籠中の物としている。それ以上に、音楽担当の菅野よう子の仕事が素晴らしい。∀ガンダムの頃からしか知らないのだが、職業作曲家として様々なジャンルの音楽を生み出すことが出来、完成度の高いそれぞれに彼女らしさをもにじませている。アニメというジャンル内でしか知名度は高くないと思われるのだが、もっと注目されても良い作曲家だと思っている。

 昼頃、京都駅で「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」を購入。9,180円。3種類ありますが?と訊ねられたが、これと西日本限定の切符以外に何があったのだろうか? 質問すればよかった。近鉄の旭屋書店でしばらく立ち読み。優勝記念セールも継続中。地下の食料品売り場で買い物。セールでなくても、近鉄は案外野菜系が安いので時々利用させてもらっている。烏丸通を自転車で北上、第一勧銀で通帳に記帳し、コンビニ弁当を買って帰宅。洗濯の間に食べる。




2001 Oct.1

 とうとう10月。2カ月足らずでシーズンは終わり、今年はまだ3カ月ある。果たして乗りきれるのだろうか、サンガも、自分も。

 映画の禁断症状が出て、みなみ会館まで自転車で走る。目当ては『ELECTRIC DRAGON 80000V』。浅野忠信・永瀬正敏主演というクレジットが吹き飛んでしまいそうな、監督・石井聰互のパワー! わずか55分の作品に凝縮されたエネルギーは、まさに高圧電流。『爆裂都市』のパッション、エイゼンシュタインも尻尾を巻いて逃げ出しそうなモンタージュ、『鉄男』をも越えかねない主人公の設定、圧倒的な音圧。宣伝文句そのままになってしまうが、本当に狭いライブハウスで強烈なパフォーマンスを体験した気分だ。これほどのエネルギー――それもここまで破天荒な――を持った映画作家が、今の日本にどれほどいるだろうか? こんな作品を作ってしまった石井聰互を、ヴェテランと奉って遠ざけることなど出来ない。彼こそは現役の映画監督である。

 今日のもう1本、『チェブラーシカ』は、そのキャラクターが一部で妙に注目されているロシア、もといソ連の人形アニメーション。子供連れの母親が何組か並んでいて、ついさっきの『EV8』とのコントラストが強い。我ながら無茶な見方を――RCSのラインナップもだけど――するものだ。そこかしこに漂う、ロシアならぬソ連の文化。ピオネールなどという言葉を、21世紀にもなって耳にしたのが個人的な驚き。本編の前に流れた線画のアニメーション、あれはやっぱり日本人の作家の手になるものなのだろうか? サイレントで、究極の手作り。

 映画館を出ると、外は時折雨の落ちるイマイチな天気。しばらく堀川塩小路の歩道橋下で雨宿りしたが、止み間を縫って走る。しかし雨足は再び強まり、ウインドブレーカーを透して水が肌を濡らす。どうにか無事に帰宅。





トップページに戻る