サンガ日記 (2001 June)


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2001 Jun.30

 思い立って、FC KYOKENの試合を観に行く。12時を過ぎてから部屋を出て、まずは京阪三条まで歩く。特急を中書島で下り、向いのホームに停まっていた、少し丸みを帯びた宇治線の普通電車に乗り込む。若い母親の連れた子供が1人、火が付いたように泣いている。もう1人の若い母親――友人なのだろうか――が連れている子供の持った傘に、泣いている子供は執着心を示している様子だ。傘を持った子供は意に介する素振りも見せず、母親の腕の中でにこにこ笑っている。数駅後、傘を持った子供は母親と共に電車を降りる。泣いている子供はなおも泣き続け、次の駅で顔をぐしゃぐしゃに濡らしたまま降りていった。

 京阪宇治駅は、知らない間にコンクリートの質感も露な新しい駅舎に建て替わっていた。駅前のロータリーで、バスの時刻を確認。やや時間があるので、コンビニでパンとお茶を買い、しばし待つ。土曜の昼下がり、高校生達が喧しい。

 狭い割には交通量のある道を、バスは走り抜ける。住宅地の入口で何人かが降りる。太陽が丘ゲート前の停留所は、坂道の途中。この暑さの中、歩いていたらかなり骨だっただろう。慣れた様子で急ぐ人の後を、競技場まで歩く。歓声のする方へ近付くにつれ、気分も徐々に盛り上がる。

 坂道を登りきると、太陽が丘の競技場が見えてくる。入口のテントで1,000円を支払い、中に入る。メインスタンド以外は芝生席、いや芝生を敷いただけの狭いスペースが囲んでいる、小規模な陸上競技場。左手には20人ほどいるだろうか、緑色のKYOKENサポ。右手には青を基調としたソニー仙台サポ。こちらもKYOKENサポに負けないほどの人数がいる。これには驚く。

 席につくやいなや、キックオフ。遠目にも、J1やJ2との違いがわかる。体格、スピード、技術etc.。アマチュア故に、プロ選手ほどのトレーニング時間が確保出来ていないのは明らかだ。しかし、レベルは違えども目の前で繰り広げられているのはフットボール。そして、それに声援を送り、攻防に一喜一憂する人々も、決して多くはないが確実に存在する。よく見ると、KYOKENサポの中には西京極で見かける顔もちらほら。今日は緑色のレプリカに身を包んでいる。

 試合は、前半終了間際、飛び出してきた相手GKをかわして、角度の無い所から決めたシュートでKYOKENが1点をリードして折り返すものの、内容的にはあまり良くない。失点こそ許さなかったが、ソニー仙台に何度もサイド攻撃を仕掛けられたシーンがあった。中盤でも、やや競り負けている印象がある。ハーフタイムにパンを齧りながら、少し不安になる。

 後半開始。修正が効いたのか、前半よりも動きの良くなったKYOKENは、12分に追加点を奪う。キャプテンを中心として、攻守にわたってソニー仙台を上回るようになる。しかし26分、クリアミスからの失点。KYOKENはFWの選手を交代。何度も突破するもシュートは決まらず。しかしスタンドからは歓声が沸き上がる。追加点は奪えなかったものの、後半は勝利への気持ちが現れたプレーを終始見せ、KYOKENが今季2勝目をもぎ取る。

 毎日放送の継続取材なのか、JFLらしからぬ数のTVカメラが動き回る中、スタジアムは喜びに包まれる。わずか203人の前ではあるが、90分の間目の前で繰り広げられた攻防は、ハイレベルではないけれども、フットボールの醍醐味が十分にあったと言って良いだろう。3部があり、2部があってこその1部。フットボールはあらゆる所にあるのだ。

 KYOKENサポの席まで行き、知り合いと雑談。水戸戦の相談。競技場を出るときに、500円だけ募金。本当はもっとカンパしたいのだけど、いかんせん財政的に厳しい。でも、文化を求めるのなら、金を出さなければ。観客一人一人が、小さな“タニマチ”なのだから。

 ゲート前でだらだらと過ごし、だらりと競技場を後にする。途中、帰り支度をする選手達とすれ違う。すぐ横で直接、お疲れさまと挨拶を交わすことができるのは、下部リーグならではの魅力かもしれない。流れ解散、バスを待つ。



2001 Jun.29

 午前中から動く。自転車で京都駅方面へ。みどりの窓口で高速バスのチケットを買い、JR東海ツアーズへ。空いた店内でぷらっとこだまのチラシを見せると、慣れた様子で案内される。日付と便を指定して待つこと数分、クーポン券を受け取る。かなり特殊な切符だが、乗り遅れさえしなければコストパフォーマンスは高い。後はホテルの確保か。

 大汗をかきながら、新京極まで走る。京極東宝で『メトロポリス』を観る。最終日にしてようやくだが、最初の回なので場内は空いている。作品としては、大友ワールドを手塚キャラがりんたろう演出で動いている、としか言い様が無い。個人的には、昔観たフリッツ・ラングのドイツ表現主義的な“元祖”の方が強く印象に残っていただけに、どこか違和感を拭えないまま過ごした1時間47分となってしまった。出来が悪いわけでは無いのだけどねえ。

 帰宅して、甲府で貰ったレトルトカレーを食べる。肉がやや大きめなのが、肉屋のカレーらしくて良い。味もまずまず。食べ終えて皿を洗うと4時を過ぎてしまう。急いで準備をし、部屋を出る。

 西京極駅には5時直前に到着。スタジアムに入ると、平日の試合らしくいつものコアな人々の姿ばかり。ビッグフラッグの設置を手伝い、一息つくと松浦さんがやってくる。駅を出たあたりですれ違いましたね、と言うと、コンビニに飲み物を買いに行っていたとのこと。雑談しつつ、早めにアプローチ。見慣れない横断幕を持ち込んだ方にお話を伺う。金沢から来られたという方。長田ファンの男性は神戸サポ。微妙な拡がりを感じる。
 キックオフ。熱田が復帰、黒部は控えで上野と安の2トップ。中村、中河は2試合連続のスタメン。何とセンターバックが角田だ。何度もポジションを確認したが、3バックの真ん中、間違いない。その角田、コンビネーションの問題か、どうも危うい。ボール扱いそのものは問題ないのだが、いつもの3バックのメンバー以上に、横パスやバックパスが多く見えるのが気になる。大分で守備的MFとして入っていたときは、思い切りの良い攻め上がりもあってなかなか頼もしかったのだが。緊張、あるいは遠慮しているとは思いたくないのだが、ここで前に出して欲しい、というタイミングでバックパスをされると、ゴール裏からブーイングも起ころうというものだ。しかし、彼はもっと長い目で見なければならないだろう。少なくとも、いつまでも大嶽を使うわけにも行かないのだから。

4分、朴にイエローカード。意図したラフプレイではないだけに、審判に対する野次が飛ぶ。その後も、不可解なジャッジ――京都にとっても鳥栖にとっても――が散見され、その度に主審へのブーイングはエスカレートする。

 7分、自陣右サイドの深い位置で鳥栖にFKを与えてしまい、それを直接決められて先制を許す。サンガも追いつこうと攻めるが、鳥栖の素早い寄せに攻撃を組み立てることが出来ない。13分にも、熱田が前線に浮き玉のパスを出し、上野が反応するがDFにきっちり寄せられてシュートに至らない。

 18分、右サイドライン際の切れそうなボールを朴が拾い、安が前線へドリブルで持ち込む。しかし、逆サイドのサポートが皆無で朴のシュートも弾き返される。その後の攻撃は左サイドの中村を基点とし、安がペナルティエリア内でキープして最後は中村がシュート。だがこれもGKの好セーブに阻まれる。

 24分、右サイドを安がドリブルで駆け上がり、ペナルティエリア付近から上がってきた熱田にマイナスのパス。ミドルシュートは枠の上を越えて行く。25分にはその熱田から上野へ決定的なスルーパス。DFと競り合い倒される上野。しかし主審は鳥栖ボールを指示。大ブーイング。

 27分、中河のフィードをハーフウェーライン付近で上野が頭で繋ぎ、それを上手く抜け出した安がシュート。しかしGKに反応良く弾かれる。その後のCKもGKがキャッチ。

 30分、安が左サイドを長いドリブルで走るが、サポート無く倒されるがFKを得る。安が蹴り、ゴール前に入ってきた佐藤が合わせるも枠の外へ。決定的なチャンスを逃す。

 41分、ペナルティエリア付近で松川、上野と繋ぎ、最後は安がゴール正面からシュート。しかしボールの勢いが今一つで、GKがキャッチ。

 ロスタイム、左からのFKを基点に最後の攻撃を仕掛けるが、鳥栖の粘りでいずれも跳ね返される。前半終了、0-1とリードを許したまま折り返す。

 後半開始から、松川に替えて黒部を投入。ポジションチェンジがあったかどうかはよくわからない。3分、5分とCKのチャンスを得るが、いずれもニアサイドのボールを鳥栖DF陣に跳ね返される。7分の朴のシュートも、ゴール横に逸れる。

 15分、熱田のCKを佐藤が頭で外らし、ファーサイドの黒部が合わせてようやく同点に追いつく。

 23分、上野を基点として朴、熱田と繋いでセンタリング。DFにクリアされてCKとなるが、ふわっと浮いた熱田のキックに上野が競るものの、ゴールネットを揺らすことは出来ない。

 28分、中村を下げて長田。神戸から来られた長田ファンの方は喜んでおられることだろう。が、29分には中盤から上手くパスを繋がれ、決定的なピンチ。ゴールネットは揺れたが、ボールはネットの上。辛うじて難を逃れる。

 31分、カウンター気味に安から朴へのクロス。ゴールライン際でキープし、ゴール目がけて切り込んで行ったところで朴が倒されるが笛は無し。ゴール裏の誰もがPKと思っただけに、猛烈なブーイング。

 33分、安→松井。直後のチャンスで、熱田からのクロスに頭で合わせるが、叩きつけたボールは高々とボールを越えて行く。前節はヘディングで得点してはいるものの、あまり得意そうには見えない。

 36分、黒部がペナルティエリアのライン上で倒されFK。この判定にもブーイングの嵐。熱田のキックに合わせようとした佐藤も倒されるが、これも流される。

 41分、ペナルティアーク手前付近で長田が倒されFK。朴が蹴るが壁に跳ね返される。残り時間が刻々と少なくなる中、サンガペースで攻めるもののなかなか決定的な形を作り出すことが出来ない。セットプレーからしか点が取れそうにない雰囲気だ。ロスタイム、そのFKを黒部が蹴る。だがやや距離のある位置からのキックを、GKは難なくキャッチ。逆に終了直前、自陣の同じような位置から鳥栖にFKを許す。幸いボールはゴールを大きく越えていく。そして90分が終了、延長戦に突入する。

 延長前半開始。1分、左サイドの松井からセンタリング、黒部がDFと競り合いながら合わせようとするが、クリアされてCK。熱田のキックを佐藤が外らし、黒部へという何度か見られた形。ここで黒部がDFに倒され、今度はPK。今日のジャッジは不安定だっただけに、ゴール裏もどよめく。黒部は冷静にPKを決め、ゴール裏に走り寄る。

 勝ち点2を取ったというよりは、勝ち点1を損したというような試合。しかし負けなかったことは価値がある。中断前からあまり内容は良くないが、こういう時に負けないことが重要だろう。ヒーローインタビューの後、黒部はわざわざA南までやってきて、ファンと握手を交わしていた。安のファンサービスといい、徐々に良い雰囲気は醸し出されて来ているのかもしれない。

 試合終了後、知り合いと挨拶。Kim君は今日が最後とのことで、去っていく後ろ姿にKimコールで見送る。

 阪急、地下鉄と乗り継ぎ、コンビニに寄って帰宅。今一つすっきりしない勝利ではあったが、発泡酒で喉を潤す。暑かった。



2001 Jun.28

 来週の水戸戦が、頭を悩ませる。泊りは覚悟しているが、競技場までのアクセスが大問題だ。車で移動する人、あるいは昼間の試合ならば別にどうということは無いのだが、18時キックオフとなると終わるのは20時、下手をすると(しかねない!)30分は遅くなる。バスは無く、JR勝田へは6kmぐらい(?)、茨城交通の阿字ヶ浦も近いとは言えない。タクシーをつかまえられるのだろうか。水戸まで誰かの車に便乗できれば最高なのだけど、今から不確定要素に期待するわけにも行かない。

 さんざん悩んだあげく、行きは東京行きの夜行バス、水戸に1泊で帰りは新幹線というルートに落ち着く。タクシーは最悪、PHSのコンテンツサービス経由で呼び出すしかなさそうだ。茨城情報を求めて、散々webをうろうろする。水戸情報、特にひたちなか情報は乏しい。これぞアウェイの洗礼、なのかもしれない。明日にはチケットを確保しなければ。



2001 Jun.27

 午前中から、作業を進める。甲府戦の録画をもう1度見直し、土曜日の日記を仕上げるとすっかり午後。昼食を済ませ、テープ起こしに取りかかる。古い電池で再生していたら、明らかに再生速度が落ちてくる。録音に失敗するはずだ。新しい電池に戻す。こっちは元気だ。乾電池のCMのよう。

 ゴリゴリとテープ起こし。夕方にはどうにか完了。画像を加工し、サムネイルを作り、htmlをいじる。原始的なワークフロー。暗くなる頃に、サーバーにアップロード。



2001 Jun.26

 今日も蒸し暑い。雨が降るでもなく、照るでもなく。5分も動くと、汗が止まらない。朝日シネマの会員更新のため、河原町へ。今年はスタンプサービスも始まり、ますますお徳になっている。

 木屋町の松屋で牛丼を食べる。年配の男性が、牛丼の米を3分の1に減らしてオーダーしている。食事制限なのだろうか、“つゆだく”以外にも注文できるのを初めて知る。

 久しぶりにVirginへ。夏に向けて、ボサノバ系が幅を利かせているような。昔は何枚も買ったけど、去年ぐらいからどうもそう言う気分になれないのは何故だろう、などと思いつつサンプルを物色。空気公団、だったか、はっぴいえんど&サニーデイ・サービスを志向したような女性ボーカルをフィーチャーしたグループのアルバムが心地よい。今日は買わないが、かなり気になる。六曜社珈琲店のマスターのアルバム。何ともローカル。ポロロッカで買い物して帰宅。

 作業には手が付かず。ややダメ。




2001 Jun.25

 蒸し暑い。だが梅雨の晴れ間があるうちに洗濯。昨夜のF1中継を再生しながら、割としっかりした昼食。こういう時は豚キムチだよなあ。ラルフは早い、だがミハエルは強い。

 夜、甲府戦の録画をチェック。だが、それほど遅い時間でもないのに何故か眠い。アウェイバスの疲れが今ごろ出ているとすれば、ちょっと情けない。結局、電話のベルで起こされる始末。



2001 Jun.24

 久しぶりにまともな夕食を作る。野菜を茹で、肉味噌をかける。鮪とオクラと納豆、あとは卵スープ。何とも普通のご飯を食べる。昨夜のカレーの反動だろうか。



2001 Jun.23

 バスの集合時刻は11:15。webで確認すると、甲府の天気は曇りらしい。念の為に雨具をデイパックに忍ばせると、いつもよりパンパンに膨れ上がってしまう。近所のコンビニに寄ってウーロン茶とカロリーメイトを仕入れ、地下鉄に乗る。京都駅には11時前に到着。バス乗り場には既に数十人が集まっている。知り合いに挨拶しつつ、受付を済ませる。

 バスはほぼ定刻に出発。隣り合った人に話しかけられる。滋賀県立大の院生の方で、サッカーとサポーター、地域との関わりについて研究しておられるとのこと。何と、初めてのインタビュー――する方もされる方も初めての――を受ける。おかげで、長い道中もさほど退屈せずに過ごすことができた。

 競技場には5時前に到着。甲府駅からは6kmほど離れているらしい。アウェイバスで無ければかなり苦労しただろう。開門は5時半。先着100名に景品が貰えるという列に並んでいると、募金箱が回ってくる。100円を入れたら、ステッカーを頂いた。レトルトカレーも頂く。研究者の方が甲府サポにもインタビューするというので、ビッグフラッグの横で待つ。そこには数本のペンが置かれていて、ファンのメッセージが書き込まれてゆく。他人のインタビューを聞いているのもなかなか面白い。チームカラーやエンブレムについての質問が、文化人類学的で目から鱗。

 開門時間となり、中に入る。もう横断幕はあらかた張られている。曇りだが、やや蒸し暑い。はるかかなたの売店へ赴き、焼きそばとおやきを買う。芝生席の上で食べる久しぶりのスタジアムフードはずいぶん澱粉質だが、それはそれで趣がある。

 研究者の方に、逆インタビュー。全くの初対面ではないのに、こちらの改まった口調なのが可笑しい、と指摘されてしまう。まあそうだよなあ。テレコの威圧感も。これは致し方ない。録音トラブルもあったことだし、ICレコーダーが欲しい。後1人、近くにいた方にお話を伺う。出張を利用して来られたとのこと。

 ちょっと気恥ずかしくなるテーマソング(?)――それでも川崎よりは微笑ましさを覚える――が流れ、観客も徐々に増えていく。事情を知っているだけに、1人でも多くの人が入ってくれればと願っているのだけど、メインスタンドもバックスタンドもそれなりの密度にはなってきている様子。閑古鳥の鳴く西京極よりは多くなるかもしれない。

 定刻通り、キックオフ。今日はスタメンがずいぶん違う。噂通り、GKは中河。3バックは鈴木・佐藤・手島。ボランチは朴と石丸で、左に中村、右に安。2トップだけがいつもの黒部・上野のコンビ。ある意味、前節のサポーターの不満を踏まえているようにも見えてしまう。もちろん、そんな思惑とは違う所でメンバーを選んでいるはずだが。

 序盤、鈴木のゴール前でのキープで危うい場面を招きかける。が、コンビネーションが悪いわけではなさそうだ。中村のカバーリングは安心できる。攻撃面では、何度かゴール前で上野あたりが目立つ場面がある様子。遠いので詳細は録画での確認なのだが、大宮戦の後半よりはポストプレーも出来ているようだ。

 10分過ぎからはサンガの時間帯。13分、朴のスローインをニアサイドの上野が頭で合わせるが、GKがキャッチ。16分には、手島からのクロスボールを松川がヘディングで角度を変え、安へ。右サイド深い所から折り返すも、上野のシュートはDFに阻まれる。その後のCKもGKに反応良くセーブされてしまう。

 19分、ドリブルで突破を図る松川が、甲府の執拗なチャージで倒されエキサイトしそうになる。甲府の選手が仲裁に入り、この場は何とか収まる。その後、鈴木のやや不運なクリアからCKを与えるが、GK中河が難なくキャッチ。ゴール裏からも、ここまではGKに対する批判は聞こえてこない。

 25分、松川にイエローカード。どうやら審判に異議を唱えたらしいが、どうにもよくわからない。その直後、朴のスローインを受けようとした黒部が甲府DFに倒され、何とPKを得る。遠いサイドの出来事で、本当にPKなのか――遠目には悪質なファウルかどうか判断できなかったし――判るまでにしばらく時間がかかる。黒部は確実にPKを決め、サンガが先制。

 33分からも、サンガが甲府陣内でプレーする時間が続く。スペースへの放り込み、CK、サイドアタック、最後は石丸のロングシュート。しかし得点には至らず。中盤は7割方支配している印象なのだが、甲府の集中力もまたしっかりしていて、そう安々とシュートを打たせてはくれない。

 41分、甲府MF金子が、ゴール正面遠くから意表を突くロングシュート。ボールは見事な軌跡を描いて、中河の指先をかすめてネットを揺らす。チェックが1歩遅かったのかもしれないが、ここはシュートを褒めるしか無い。

 43分、左サイドでボールをキープした石丸が、最終ラインの間を通すパスを前線に。安が反応して滑り込むが、クリーンヒットとは行かずボールは高々と宙に浮く。

 ロスタイムに入ってすぐ、センターサークル付近で中村と甲府の選手が交錯、そのまま倒れ込む。ヘディングで競り合って、頭を打ったようだ。動かない中村を案じて、ミニラコールが続く。幸い大事には至らなかったようで、自力で立ち上がる。ロスタイムも間もなく過ぎ去り、前半を同点で終える。

 研究者の方は熱心にメモを取っている。誰かに声を掛けようかとも思ったが、少しタイミングを逸してそのまま後半を待つ。

 後半開始。イエローカードを貰ったせいか、松川に代わって松井が入る。立ち上がり早々、黒部が左サイドでファウルを貰い、FK。朴が蹴り、甲府DFが跳ね返したボールを最後は中村がシュート、しかし枠を外れる。

 5分、松井が前線で攻撃に絡み出す。黒部へのスルーパスはわずかにタイミングが合わず、ドリブルでペナルティエリアに切り込んでの折り返しはシュートに至らず。シーズン序盤よりは多少とも調子は上向いている様子。

 7分、簡単にカウンター攻撃を仕掛けられる。フィニッシュは大きく浮き上がるが、甲府の動きも修正されているようだ。中盤でのチェックも早く、攻撃の意識も高まっているように見える。13分にも、サンガのCKを跳ね返してからのカウンターに、ヒヤリとさせられる。

 15分、黒部に代えて吉田が今季初登場。柳沢コールに似た「賢太郎」コールが響く。しかし、立て続けにCKのピンチ。ここは何とかクリア。

 19分、中盤で競り負けて決定的なパスを前線に出されるが、甲府FWの精度を欠いたシュートに助けられる。その後もしばらくサンガの右サイドを突かれるような形で、甲府に押し込まれる局面が続く。

 23分、逆にカウンターを仕掛けるものの、全体の連動した動きがもう1つ遅く、甲府DF陣に対応されてしまう。しかし、このあたりからやや盛り返し、26分には右CKに佐藤が飛び込むものの、惜しくも枠を外れる。その後も立て続けにCKが続くが、甲府の粘りの前に不発に終わる。

 30分、思い切りのない攻撃陣に活を入れるかのような、手島のロングシュート。ゴール裏から見るとわずかに右手に逸れたが、切れのある弾道に目が覚める。

 35分、再びサンガの右サイドを奇麗に突破され、タッチライン際からセンタリング。DFが対応していたためシュートは許さなかったが、このあたりからまた危ないシーンが目に付くようになる。

 37分、左サイドから石丸がクロスを上げ、上野が反応するもGKの飛び出しに阻まれる。その後の2本のCKも、甲府の素早い対応で得点に結びつけることが出来ない。

 40分、安からペナルティエリア内の吉田にパス。前は向けなかったもののCKを得る。朴のキックを佐藤が頭で角度を変え、さらに松井がヘディング。惜しくもクロスバーに当たるが跳ね返りを上野が再び頭で押し込み、ようやく勝ち越し。

 ロスタイムに入り、再びCKのチャンス。ゴール前中央で完全にフリーになっていた松井が頭で合わせ、大きな3点目を奪う。ここで安を下げて野口を投入、時間を使う。そしてタイムアップ。

 過去2戦を裏返したような展開。内容は互角、いや甲府の出来が良くてサンガは今一つで、正直なところ延長や負けも意識しただけに、苦しみながらも3点を取って勝てたのは大きい。最後に、近くにいた男性にお話を伺う。写真の掲載は断られるが、京都に対する思いが伝わってくる。

 荷物をまとめて、スタンドを後にする。途中、会場前に研究者の方がインタビューしていた甲府サポの方とすれ違い、挨拶する。何というか、これほど後味の良い終わり方というのは、勝ったとはいえなかなか味わうこと が出来ないのではないか。極めて逆説的だが、窮地にあればこその心の余裕、なのだろうか。来年も甲府というチームと、それを愛するサポーターとがこのスタジアムを沸き立たせることが出来ればと、切に願う。

 バスは良い雰囲気のまま、中央道に入る。途中のサービスエリアで軽く食事。学食みたいなカレーを食べる。その後、松井選手のファンが、ゴール記念(?)でみんなにサクランボを1粒ずつ振舞う。ささやかなお祝い。食べ終えて、種の処理には困ったのだが。

 夜の山中を縫うように伸びる中央道は車窓の色も乏しく、いつしかうとうとしてしまう。ふと気が付くと、隣が空席だ。一瞬混乱するが、すぐにインタビューをなさっているのだろうと思い至る。周りを見回すと、前の方の補助椅子におられるようだ。聞けば、後援会の方に話を伺っておられたとのこと。いきなり割と中心人物にアタックするあたりは、ちょっと真似できなくて羨ましくもある。

 途中の休憩もそこそこに、バスはひた走る。しかし京都は遠く、結局はほぼ予想通り午前3時頃に市街地に入る。烏丸五条でバスを停めてもらい、別れを告げて降車する。人気は無いが、騒々しい車が走る烏丸通を歩き、四条で研究者の方と別れる。そのまま北上、コンビニに寄ってようやく帰宅。ビールを飲みつつ、スーパーサッカーの録画を見る。気が付けば、東の空が明るくなりかけている。



2001 Jun.22

 ワールドユース第2戦。アンゴラはパワフルで、何よりシュートの意識(あるいはシュートしたいという欲望)がはっきりしたチーム。こういう相手の前では、あくまで相対的な話ではあるものの、日本は典型的な“日本的サッカー”をやってしまったような気がする。無理なシュートをして外すと怒られる、というような遠慮がちなプレイを、クラブ育ちの選手ですらやってしまう(ように見えてしまう)というのは、日本の文化と言わずしてどう言えばよいのか。約束事に基づいてボールを前に運ぶ、これは正しい。その先の壁を乗り越える局面に なって、個人のエゴイスティックなプレーを評価するのか否か。最後は個人のスキル、いやそれ以上にゴールを決めたいという欲望が要求されるのではないか。決勝トーナメント進出はかなり難しいだろうが、もし試合を重ねる機会があるのならば、脆弱なDFを得点で補うのだという、強い意志を持って試合に臨んでもらいたい。などと書きながら、間接的にサンガに注文を付けている気もする。

 午後から河原町へ。銀行に寄ってから、後輩たちの写真展に顔を出す。なかなか元気のある6月展。アート志向な作品がいつもより目立つだろうか。幾らかエネルギーを貰った感じ。いつものように感想を書いて、手が痛い。

 会場を出て、所用を済ませ、買い物。雨具を買う。モンベルのはさすがに手が出ない。素材的にはゴアテックスが最高なのだけどなあ。生活に余裕が出来たら欲しい物の1つか。とは言え、現実にはサカエのビニール製ポンチョ900円が関の山なのだけど。夕食の食材を買って、時計を見るともう5時半。急ぎ足で寺町通を歩いていると、三条通を少し下がったところに人だかりが。何かと思えばテレビのロケで、浴衣姿の森脇健児がインビューしていた。

 帰宅して、買ってきた唐揚げとパンをコーラで流し込む。ジュビロVSレイソルの録画を今頃になって流す。磐田はレベルが高い。あれで負けを予想するのは難しい。主力を何人も欠いてこの強さ。1人ぐらい分けてもらえないものだろうか。そういえば、大岩は去年いたんだよなあ。返して。そういえば平野は?

 ようやく大宮戦のデータが完成。しかし、録音が不完全という大失態。トップページにも書きましたが、申し訳ありませんでした。月曜日の時点でテープ起こし作業に取りかかっていれば、あるいは記憶でもっと補完できたかも、と思っても後の祭り、自業自得。実は前にも一度、同様の症状で聞き取り辛くなったことがあったのですが、90分テープの両面を使いきる直前だったので、今の電池ならまだ大丈夫だろうとたかを括っていたのです。これからは片面ごとに電池交換するように心がけます。



2001 Jun.21

 ようやく土曜日の試合を見終える。攻めている局面で、シュートに至らない(あるいは至れない)というのは大きい。大宮の守備を褒めるべきなのか、黒部の不出来を嘆くべきなのか。少なくとも、京都のDF、3バックとGKの問題は根深い。かつてやったように毎年のように弄れば安定せず、メンバーを固定しても不安が残るのだから。攻撃を重視するか守備を重視するかというのは、スポーツの永遠のテーマだろうけど、結局はバランスの問題。昔、某BBSで目にした『所詮足りない数合わせ』という名言が思い出される。如何に敵を出し抜いて数的優位を作り出すか、攻守にわたって求められる難しさは、この言葉に凝縮されているように思える。

 録画を見終わり、遅い買い出しに出ている途中で頭が痛くなりはじめる。きっと眼精疲労からに違いない、と思っていると、見る間に痛みはひどくなる。耐えられなくなって、帰宅するなりビタミン剤を飲んで横になる。2時間ほど寝たところで、電話で起こされる。まだ痛みが残っていたので、再び横になる。

 午前2時半頃、ようやく痛みも引いて起き上がる。解凍していた豚肉は、状態が不安なので断念。仕方なくツナ缶を開け、しょうゆとマヨネーズで和える。トマトを切り、買ってきたおかずと共に更に並べて遅すぎる夕食。起き抜けということもあって、あまり喉を通らない。それでも何とか胃に収め、一息つく。はあ。


2001 Jun.20

 かなりダメモード。やはり、水曜までには、と宣言して自分に縛りをかけないと、どうにも動けない。次節までには、なんて言ってしまったのは失敗だったなあ。自分に厳しくしないと。と金曜日になって書いていたりするのです、実は。それほどダメ状態だったと言うことで。


2001 Jun.19

 ワールドユースは結果を先に知る。0-2の完敗。録画を見る。これは危うい。点が入らず、DFが脆い。初戦で慣れないピッチコンディション、主力選手が怪我で出場できていないというのを差し引いても、どこかひ弱さを感じる。2年前のチームと直接比較することは出来ないが、あのチームには上昇しようという意志と、それを実現できる能力とが、トルシエという触媒によって準優勝という結果に至ったのではないかと、今さらだが思い出される。果たしてアンドラと戦うユース代表は、数日間の内にどう成長するのだろうか。


2001 Jun.18

 区役所へ出かけ、市・府民税や年金・保険関係の減免申請をまとめて済ませる。税金は半額、保険は幾らか 減額、年金は免除かそのままか、と対応が別れる。必要な手続きだが面倒。何だかんだで気は重いが、少しは楽になる。


2001 Jun.17

 ちょっと訳有りで鞍馬へ。昨日見かけた川に心を動かされたのが主な動機なのですが。明るいとはいえかなり遅い時間帯の鞍馬は人影もまばら。山を下る電車はずいぶんな混雑だったので、昼間は賑わっていたのだろうと用意に想像できる。川辺でしばらくぼんやり過ごしたり、道端で猿を見かけたりと、山ならではの風景に心も和む。何より、川床初体験。少し肌寒さを覚えるほどの水しぶきがまた心地よい。真夏だったらまた涼しさも格別だったのかもしれないなあと思いながら、イワナの塩焼などをつつく。それなりに値は張ったけど、場所代込みだと考えれば決して高くはない。安くもないけど。先斗町辺りとはまた違った風情、って鴨川の納涼床は未体験なのだから言えた義理じゃ無いですね。


2001 Jun.16

 結局、3週間も空白期間が出来てしまった。この間、何通かmailも頂き、一部の方には心配までしていただいたのですが、別に病気とかそういう訳ではないのでご安心下さい。そう、単に“切れて”しまったのです。と言っても暴れていたとかそう言う話ではなく、日記を書くとか見栄えを良くしようとか、そういうモチベーションがどうしても持てなかったという事でして。要するに怠けていたのです(自爆)。

 まあ、ここに書くようなことは何もしていないので、せめて観た映画リストでも。リンクだけという手抜きですが。

ツィゴイネルワイゼン
ショコラ
EUREKA(ユリイカ)

 もう午前11時。バスはあと1時間で出発。そろそろ出なければ。乗り間違わないように注意しよう。


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 地下鉄を降り、ポルタでパンを買ってから京都駅八条口へ。修学旅行生が群れを成して歩く横を急ぎ足で歩く。3,000円を支払い、バスへ向かう。どうやらかなり出遅れたらしく、2台あるバス――サンガ後援会のフラッグが掲げられていてわかりやすい――は、どちらも9割方席が埋まっている。うろうろしていると知り合いに声を掛けられ、隣に座る。子供2人を連れたお父さんが、席を確保できずに右往左往。一部の人がバスを移動し、事なきを得る。予定より10分ほど遅れて、バスは鳥取を目指し発車。

 京都南インターへ向かう車窓からは、刷毛で掃いたような雲が初夏の空に広がっているのが見える。今年は天候に恵まれない試合が多い気がするが、たまにはこんな美しい空の下で応援したいものだ。高速道路は、一部工事区間はあるものの渋滞に捕まることも無く、順調に流れている。中国道は、山を縫って西へ延びる。中国地方特有の赤っぽい瓦屋根が見え始めたのは、どの辺りからだったろうか。

 途中に休憩を挟みながらバスは走り、2時間ほどで佐用インターに到着、一般道へ降りる。道の駅で最後の休憩。地元の農産物が売られているが、これが安い。いや、同じ値段で2〜3倍の分量がある。さすがに買いはしなかったが。トイレを済ませて川を眺める。京都北部と似た感じの、山あいの風景を観ていると心が少し落ち着くのがわかる。やはり川は良い。

 曲がりくねった谷間の道を走ること1時間近く、照明灯が見えてくる。あれがバードスタジアム、と誰かが言う。河川敷には臨時駐車場があるが、停められている車はまだ少ない。開門の10分ほど前に、スタジアムに到着。ゲートには既に数十人が並んでいる。京都から来た顔もちらほら。入場すると、ゴール裏の席はこれまでで見た中で一番狭い。座席は3列。しかし、ピッチまでの距離も極めて近い。メインスタンドには屋根もあり、大宮サッカー場を奇麗にしたような雰囲気。梅雨の晴れ間の空の下、しばし緑の芝生を眺めてぼんやりする。

 キックオフ前、2組に声を掛ける。どちらも自家用車で来られたとのこと。2番目に声を掛けた男性のお嬢さん、まだ小さいのにちょっとサッカーに詳しくて微笑ましい。

 試合開始前に黙祷。そして主審の笛。慣れない席――メインスタンドから見て左側――から、3週間ぶりの声援を送る。前半7分、右サイドを朴がドリブルでペナルティエリア近くまで上がり、センタリング。それを黒部がスルーし、最後は松川が飛び込んでゴール。早くも先制点を奪う。その後もしばらくは京都ペースで試合は進み、ボールを支配する局面が続くのだが、効果的な攻撃には至らない。京都の時間帯は、枠を越えていった黒部のFKで終わる。

 18分、中央の松川から右サイドの石丸へパス、そのまま前方のスペースまで入り込み、上野へラストパスを送るもシュートには至らず。熱田や安よりは守備的な布陣――おそらく、後半のどこかで安を投入するのだろう――だが、上位チームとの対戦ということで、監督の意図は理解できる。しかし、できれば石丸はDHとして朴とのコンビで使って欲しいというのが正直なところ。

 21分、左サイドからの松川のパスを、上野がノートラップでシュート。後ろから来る難しいボールを良く蹴ったが、GKの好守に阻まれる。その1分後、ハーフウェーラインから佐藤尽が前線へフィード、黒部―上野と繋いで最後は朴が力強いミドルシュート。しかしGK正面。

 31分、平井のゴールキックを大宮DFに拾われ、少ないボールタッチで素早く前線に送られる。それを受けた大宮FWバレーが大嶽を振り切るようにドリブル突破。前に飛び出した平井を、浮き玉のシュートでかわして同点に追いつかれる。

 39分のセットプレーのチャンスもシュートに至らず。この辺りの時間帯では、大宮サイドの対応が修正されたのか、序盤に見られたような前線でのパス交換が出来なくなってしまう。それでも41分、松川がペナルティエリア前で突破しようとして倒されFKを得る。が、これも朴、ソーヴィシュと連続してミドルシュートを放つものの得点ならず。43分の野口のシュートもDFに阻まれ、その後のセットプレーのチャンスも活かすことが出来ず、前半を1-1で折り返す。

 ハーフタイム、試合開始前にお話をした方と言葉を交わす。“ざるディフェンス”という点で一致、溜息をつく。控えメンバーが練習。誰かが安に声を掛けると、こちらに一礼。スタンドとのコミュニケーションという点では、これまでで1番の選手だろう。今日もプレーでアピールしてくれれば最高なのだが。

 後半開始。メンバーチェンジは無し。後半3分、松川の浮かせた縦パスに上野が反応するが、前半にもあったような難しい形で、ボールはバーの上を越えて行く。そこから10分間ほどは一進一退。

 15分、大宮サイドでの細かい繋ぎから、最後は朴がミドルシュート、しかしGK正面。16分にもゴール前でボールが動くのだが、最後は自らディフェンスラインまで戻してしまう。ゴール裏からは見えない溜息。

 23分、スローインから大宮にペナルティエリアまで進入され、最後は佐藤尽のクリアボールが詰めていた大宮FWバレーに当たり、2点目を献上してしまう。失点そのものはアンラッキーだが、VTRで確認すると、その前のプレー――ペナルティエリア内で一瞬動きが止まり、そこから更に切り込まれた局面――が全てであったと思う。

 25分、上野、野口と連続してシュートを放つも不発。その直後、松川に代えて安。ソーヴィシュではなく松川、という所に疑問を感じながらフィールドを見つめる。しかし、安のドリブル突破が見られない。消極的にも見えるが、それ以上に大宮の守備にコースを消されていると言った方が正しいのだろうか。リードを許している時点では、ドリブルで切り込むスペースが無いのかもしれない。

 34分、その安がようやく右サイドのスペースをドリブル突破し、深い位置からフリーの黒部にマイナスのセンタリング。だが、フリーの黒部が信じられない蹴り損ね。同点のチャンスを逃す。いつもの黒部では考えられないミス。その後FKを得て安が蹴るものの、壁に阻まれる。蹴る前に、サポーターに盛り上がるようアピールする――去年ヘジスがやっていたような――が、その勢いもしぼんでしまう。

 36分、黒部がドリブルで中央突破、シュートするがGKに阻まれる。今日の黒部は、調子が悪いのか長所を消されていたのか、ここまであまり目立つことが無く、長田と交代。

 39分、大宮陣からの長いフィードを一度はマイボールにしたのに、ソーヴィシュの不用意な横パスを野口がキープできず大宮の安藤に奪われ、センタリング上げられて走り込んできたジョルジーニョが合わせ、決定 的な3点目を奪われる。

 41分、野口の踏ん張りからコーナーキックを得て、朴が蹴るが、ニアサイドで合わせた長田のシュートもGKがキャッチ。その後もロスタイムまでトライを重ねるが、今一つ決定的な形を作れないまま時は過ぎ、1-3 でタイムアップ。中断期間を挟んで、初の連敗を喫する。

 試合終了後、隣の席におられたカップルにお話を伺う。その後、ゴール裏はやや荒れた雰囲気に。アウェイバスで来られた女性が貧血か何かで倒れたり、一部サポーターの挑発に監督が激怒したりと、後味の悪さがますます増幅される。誰かが、鳥取では勝った例が無い、と言ったのを思い出す。鬼門なのだろうか。

 倒れた女性も何とか回復し、バスは一路京都を目指す。車内ではコアサポの話が延々と続く。途中、2度の休憩。食事休憩が長引き、20分以上は余計にかかっただろうか。相当飛ばしていたけれども、結局12時20分頃、京都駅八条口に到着。終電に間に合わない人もいるはずだ。でも、みんなある程度は覚悟の上。甲府行きの方がもっと遅く着くはず。腹をくくって、東を目指そう。


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