サンガ日記 (2001 September)


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2001 Sep.30

 雨の日曜日。何故かシュークリームとすき焼きを食べる。




2001 Sep.29

 大宮戦。デジカメのテンプレートを作り忘れていて、午後になって慌てて作成。あれこれ準備するうちに、5時近くになってしまう。荷物をまとめて出発。阪急の四条駅を目指して歩くこと数分、タオルマフラーを忘れていたことに気が付き、来た道を引き返す。マフラーをデイパックに放り込み、何を思ったか自転車で西京極を目指す。途中のコンビニで食料を買い込み、五条通を次第に傾く夕日の方角へ。正味、30分弱で到着。

 競技場に入ると、ピッチ上では少年サッカーのエキジビションマッチ。珍しく、父兄がA南に陣取って声援を送っている。その反応が面白い。とりあえずゴールが近付いたように見えたら――多分かなり距離があると思うのだが――「行けー、シュートー」、転んだり倒されたりしたときはそれ以上に素早い反応で心配そうな声が聞こえる。すっかりほのぼのモードなA南。試合も終わり、山形でお世話になった方に挨拶。ついでにお知り合いを照会してもらい、2人にお話を伺う。

 試合開始。今日は、気持ち観客が多いように見える。一説によると、京セラが動員をかけているとかいないとか。熱田が今節まで出場停止で、サブ組も含めて水戸戦と同じメンバー。立ち上がり、左サイドの攻めから野口がセンタリングを上げるがDFがクリア。朴がロングスローを入れるも、GKにキャッチされる。その後しばらくは大宮の時間帯。4分にはゴールラインギリギリまで抉られるが、大宮の選手がマイナスに折り返したところでラインを割って難を逃れる。

 6分、ゴール正面だがペナルティエリアからかなり離れた位置からFK。朴が蹴ったボールは壁に跳ね返されたが、セカンドボールを拾って攻撃を組み立てる。しかし最後は中村の放り込みを直接GKがキャッチ。9分には、右サイドの密集の中からパスワークで黒部が抜け出しシュートを放つが、DFに阻まれてゴールならず。その後、左から野口がセンタリングを上げるがこれも大宮DFがクリア。しばらくは両チームとも慎重なゲーム運びに終始し、決定的な形は見られない。

 15分あたり、上野が倒されてのFKから松井がキープして攻めの起点となろうとするが、その後が続かない。17分には辻本から黒部へロングパス、しかしファウルで大宮ボールに。18分には松井のドリブル突破でチャンスが出来たかに見えたが、これも大宮DFにきっちり対応される。20分、中盤で石丸が倒されて得たFKが大宮にクリアされてCK。朴のキックに松井が走り込むが合わず、最後は野口がロングシュートを狙うも枠を外れる。22分、大宮は縦パスを通そうと試みるが、これは明らかなオフサイド。24分には黒部がオフサイド。

 26分、大宮はセンターサークル付近から長いFK。上がっていたDFのトニーニョに合わせてきたが、辻本のマークでゴール前に落とさせない。27分、中盤で奪ったボールを素早く繋ぎ、野口がサイドチェンジ。しかしパスがやや長すぎて中村がトラップできず大宮ボールに。29分、大宮FW小坂がペナルティエリア外からシュート、しかし勢いも無く枠も外れる。30分、遠目からのFKを起点にした大宮の攻撃を跳ね返し、松井がドリブルで右サイドを駆け上がるが、DF2枚に阻まれ突破出来ない。31分、左サイドを突かれるが鈴木が対応。大宮の攻めの姿勢が徐々に現れてくる。そして33分、大宮はサンガの左サイドやや遠目からのFK。一旦は跳ね返したものの、セカンドボールの放り込みをクリアしたボールが、フリーだった大宮FW小坂の前へ。狙いすましたシュートが、ジャンプする中河の上を越えてゴールネットに突き刺さる。アンラッキーと言ってしまえばそれまでだが、不用意なFKからの失点。

 失点後、良くあるパターンだが攻めの形を作れなくなってしまうサンガ。逆に38分、自陣でボールを回されて右サイドの突破を許し、センタリングにミドルシュートまで許してしまう。39分にもバックパスの連携ミスからピンチを招くが辛うじてクリア。40分にようやく反撃、中盤から右サイドに流れていた松井へ繋ぎ、クロスボール。これに上野が頭で合わせるが、枠を捉えることが出来ない。42分にはペナルティエリア付近でボールを回すものの、どこか消極的でシュートが打てない。43分、朴のやや遠目からのFKも、ペナルティエリア内でのファウルを取られてチャンスとならない。ロスタイム直前のFKも、大宮DFに阻まれてシュートで終わることが出来ない。結局、0-1で前半が終了。

 後半開始。選手交代は無し。1分、左サイド野口のセンタリングに黒部が競るが、ファウルを取られる。立ち上がり6分ほどは大宮ペース。7分、野口がゴールライン付近まで切れ込んでセンタリングを上げるが誰にも合わない。10分、松井が右サイドをドリブルで抜け出そうとするがDFがクリア。11分、再びドリブルで突破を図った松井が倒されFKを得る。大宮MF氏家にイエローカード。ここで上野に替えて安を投入。しかしファーサイドを狙った朴のキックは、誰も合わせることができないままGKにキャッチされる。

 12分、中央突破を図った松井がまたも倒され、大宮DFトニーニョにイエローカード。ここで得たFKを朴が蹴るが、フェイントで前に出た黒部の足に当たるという困ったキック。こぼれ玉を最後は石丸が押し込もうとしたが、大宮のDF陣が先にクリア。16分、サンガのDFラインから無雑作に前線に入ったボールが、大宮のDFラインと引き気味だったGKの間のスペースへ。黒部と大宮DF・GKの追いかけっこになり、最後は黒部が強引にヘディングシュートを放つがGKも反応良くパンチングで逃げる。18分、ようやく安が見せ場を作る。ペナルティエリア右を切れ込んでセンタリングを上げるが、クリアされてCKに。朴のキックに鈴木が飛び込んでくるが、ヘディングシュートは枠の外に流れて行く。19分にも安のセンタリングに黒部が頭で合わせるが、勢い無くGKに押さえられる。20分、黒部がDFラインを抜け出してゴールに迫るがDFに阻まれる。その後野口も左サイドからGKと1対1の所までは至るのだが、これもシュートに勢いが無くGKに押さえられる。

 21分、中村を下げて松川。23分、大宮サイドでボールを奪い、パスを回してチャンスを窺うが、左の松川から右の安へ出されたクロスボールが長すぎてゴールラインを割る。24分、CKのチャンスだったがこれもゴール前でのファウルを取られる。25分、ペナルティエリアの外、ゴール正面から素早くシュートを放つが、GKが押さえる。26分にも、ゴールラインギリギリを抜け出した安がマイナスのセンタリングを上げるが、飛び込んだ松川もDFに阻まれてゴールには至らない。28分には松井がシュート、しかしこれもGKが押さえる。

 31分、防戦一方だった大宮がCKを得るが、サンガDFもすぐに跳ね返して逆襲。左に流れていた安がそのままドリブルで上がって起点となり、中央の朴から前線に走り込む松井へ。これはDFにクリアされてCKに。ここで野口に替わって冨田。最後は石丸のシュートだったが大宮の選手に当たって再びCK。しかしこのチャンスも決定的な形に持ち込めない。34分、ゴール前フリーでラストパスをもらった松井のシュートが夜空に高々と舞い上がる。頭を抱えるゴール裏。

 35分、大宮はバレーを投入。鳥取での悪夢が脳裏をよぎる。36分、安がゴール前の密集地帯をドリブルで抜けようとするがクリアされる。37分には黒部が同じくドリブルでゴールに迫るが、トニーニョに寄せられてシュートに至らず。安のクロスに松井が飛び込んだ場面でも、GKがキャッチ。攻めてはいるのにフィニッシュだけが決まらない。

 41分、左の冨田から前線の松井へ鋭いパスが通るがシュート体勢に持ち込めない。左に流れたボールを再び冨田が松井に出すが、呼吸が合わずタッチラインを割る。43分、サンガ陣内の深い所で大宮にボールキープを許す。無情に過ぎ去る時間。44分、DFラインから最前線の安に預けようとロングパス。しかし大宮GK白井も判断良く飛び出し、ヘディングでクリア。ロスタイムは2分。唯一のチャンス、朴のFKはまたもDFに跳ね返される。そしてタイムアップ。0-1。

 大混戦に再び拍車をかける敗戦。シーズン前にある程度予想はしていたものの、ここまで来ると冗談じゃないかと言いたくなる。後半見られた攻めの姿勢のおかげか、ゴール裏に挨拶に来たイレブンへのブーイングは無い。まだ最後までサポートしなければならないのだがから。今日の試合、山形戦ほど圧倒されていたわけではなく、1点を先取していたらどうなっていたかはわからない。それだけに、先制されたのが悔やまれる。

 帰り際、ジュビロサポーターだという方を紹介されるが、荷物をまとめた後だったので、また次回にと頭を下げる。横浜FC戦か。出待ちをするファンを横目に、自転車置き場へ。夜道にペダルを踏み続ける。来た時の5分増しで帰宅。




2001 Sep.28

 アウェイ2戦の切符を確保するべく行動。JRのCYBER STATIONで空席を検索。次善の策となった、京都―大分間の新幹線と特急には十分空席が有る様子。帰りの彗星も、普通のB寝台には空きがあるようだ。問題はB寝台個室と「ムーンライト山陽」。webからでは検索できないので、直接みどりの窓口で問い合わせる他無い。急行「ちくま」はプッシュホン予約で照会。こちらも空き有り。もう一度行程を確認してメモし、京都駅へ向かう。
 地下にあるみどりの窓口で、まずは大分への切符を頼む。順番として「ムーンライト山陽」の指定席が取れないと「九州往復割引きっぷ」になってしまうので、まずはこちらから。無事指定席が有るとのことで、「彗星」の寝台も依頼。幸い、これも個室が有るとの嬉しい返事。帰りの乗車券も併せて購入。幸先が良い。地上に出て、駅ビル内の窓口で今度は「ちくま」の指定席&急行券も問題なく購入。締めて22,130円。後日「鉄道の日記念乗り放題きっぷ」を買うので、2試合合わせて3万円強か。これでしばらくは大きな出費も無い、はず。

 ついでということで、プラッツ近鉄の優勝記念セールを覗いてみる。平日だというのに、地下を中心にかなりの賑わいぶり。活気だけならいつもの土日よりもあるかもしれない。特に必要なものは無かったが安さに惹かれ、地下の食料品売り場で野菜や果物を幾らか買う。

 溜まった日記を思い出しながら書き、webに載せる。やっと1週間遅れまで追い付いた。全然日記じゃない。




2001 Sep.27

 最新の時刻表とぴあを買う。10月のアウェイ戦、特に目前に迫った大分と、行程がややこしそうな甲府はもう検討しなければならない。帰宅して時刻表を広げる。大分は、最初はいつもの「九州往復割引きっぷ」を考えていたのだが、「鉄道の日記念乗り放題きっぷ」の存在を知って計画変更。ちょうど連休に当たるので、夜行の「ムーンライト山陽」も走っている。下関から大分は、多分普通列車の乗り継ぎで間に合うはず。甲府との運賃も勘案すると、数千円だが安くなりそうだ。その分、大分からの帰りに「彗星」のB寝台個室を奢ることにする。と言っても、普通の2段式B寝台と料金は同じなのだが。まあ、割引きっぷでは個室利用不可なので、この機会を逃すといつ乗れるかわからない。問題は、空きがあるかどうか。甲府への往路は、普通列車乗り継ぎでギリギリ間に合いそうな感触。京都を朝一番で出られなかったらアウトだが、その時は塩尻から特急に乗るしか無い。その時は自業自得ということで。帰りは、甲府―塩尻間は「あずさ」の最終、深夜の塩尻で急行「ちくま」に乗り換えて京都に戻ることにする。新潟と平塚はアウェイバスが出るはずなので、今年の一人旅はこの2つで最後のはずだ。




2001 Sep.26

 いつもながら週の半ばは、憂鬱とまではいかないまでも逃避気味になってしまう。あまりネガティブに逃げていても仕方がないので、近所の郵便局で国保料を支払い、その足でコンビニ弁当を買って帰る。食べ終えて、水戸戦の録音と写真を加工。その間にも微妙な逃避で、html製作環境を変えてみるという暴挙(?)に走ってみる。Macの定番エディタ、Jeditの最新版と、html作成支援ソフトをダウンロード。昔のFreeware時代には時々使っていたJeditだが、Sharewareになってかなり高機能&高速になっているのに驚く。簡易ワープロとしても十分使えそうだ。html製作環境としては、もう少し使い込んでみないとわからない。カスタマイズの余地が大きいのは魅力的だ。しばらく試用することにする。Shareware feeは2,500円。高いか安いか、余裕の無い身としては思案のしどころ。夜、データが完成、アップロード。




2001 Sep.25

 近所の本屋でSFマガジンとGPXを買う。スーパーに行かないと食べるものがないので、東山二条のジャスコへ足を伸ばす。何気なく売り場を歩いていたら、冷凍食品売り場で見慣れないパッケージを発見。コンビニのサラダに付いてくる、2つ折りにしてかけるドレッシングの容器を、縦横3倍ほど大きくしたような、プラスチックのパッケージ。手に取ってみると、『evふえるふえるキャベツ』と『evふえるふえるブロッコリー』とある。冷凍かつフリーズドライな野菜のようだ。キャベツの方は、カップ焼きそばの具に入っている乾燥キャベツに良く似ているが、ブロッコリーは緑色でマッチ箱大の怪しげな物質、としか思えない。これをお湯で戻すと、ブロッコリー1/2株相当に戻るらしい。どう考えても宇宙食だ。果たして一般家庭にどれほど受け入れられるかは未知数だが、21世紀は確実に目の前にある。




2001 Sep.24
 午前中のうちに洗濯。その間に、コンビニで買ってきたパンと牛乳で朝食を済ませる。気の抜けた一時。

 何故か成り行きで、岡崎の京都市美術館へ。個人的には全然意図していなかったのだが、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品をフィーチャーした『チャルトリスキ・コレクション展』を観る。午後3時頃入ったのだが、館内はかなりの混雑。入場制限も無いので、入ってすぐの展示ブース――工芸品が中心だったろうか?――など、行列が牛歩のペースでしか進まない。人いきれに早くも疲れてしまったが、のろのろと先へ進む。1つ1つのコレクションは確かに見事な品ばかりなのだが、それを楽しむ余裕が、心理的にも環境的にも無い。幾つかの展示室を通り抜け、ようやくコレクションのメイン「白貂を抱く貴婦人」に辿り着く。ここでも数十人が列を成して、ゆっくりと誘導されている。作品を間近に観る。感動が薄い。今日はこの作品と出会うべき日ではなかったらしい。

 併せて開催されていた、大阪芸大の所蔵作品を公開した『アンリ・カルティエ=ブレッソン コレクション展』は、好きな写真家であるので、やや駆け足ながらもホッとする時間を過ごすことが出来た。モノクローム写真から離れて、もう何年経つだろう。リバーサルは鮮やかで、やデジカメはなくてはならない便利な道具だが、一晩中暗室にこもって印画紙と格闘する楽しさをもたらしてはくれない。いつかは自前の暗室が欲しい、と思うことがたまにある。その時まで、銀塩写真は在るだろうか。




2001 Sep.23

 千種の手前あたりで目が覚めただろうか。カーテンの隙間を、見慣れない風景が流れ去る。ふと見ると、先日訪れた蘭の館NAGOYAが。栄のセントラルパーク横を走っているようだ。急に自分の位置がマッピング出来て、移動中なのに居場所がすっと落ち着いた気がする。定刻より10分ほど早く、バスは名古屋駅の高速バスターミナルに到着。荷物を手に、いつもとは違う方向から名古屋駅へ入る。しばらく駅や地下街をうろうろした後、ホームへ。6時40分の普通列車に乗り込む。ムーンライトながらの乗り継ぎで何度か乗った電車は、休日なので大垣止まり。一旦改札を抜け、駅前のロッテリアで朝食。狭い店内で簡単にweb browse。隣のミスタードーナツの方が広くて良かったかな、とガラス越しに眺めるうちに時間は過ぎ、ホームに戻る。8時15分の米原行きを待つ人の列は、扉ごとに5〜6人にはなっていただろうか。接続する浜松発の特別快速が到着すると、行列は一気に伸びる。早めに並んでいたので、何とか座席を確保。着かれているときにこの差は大きい。8時48分、米原に到着。ホーム向いに停まっている新快速に乗り換え。端の方の車両は空席だらけで、楽に座ることが出来た。8時56分、米原を出発。車内も徐々に混み、大津を過ぎるといつもの新快速の雰囲気。9時47分、京都駅に到着。30円をけちるために、今朝も山陰線に乗り換え。二条駅で地下鉄に乗り換えて、烏丸御池経由で丸太町で降りる。涼しくはあるが、東北のそれとは違う9月の空気。コンビニで食べ物を買って、ようやく帰宅。

 夜、山形で買ったレトルトの芋煮を食べる。牛肉とネギを追加して、鍋で煮る。見た目は甘辛くて濃い味かと思っていたが、口にするとそれ程でもない。醤油ベースの味は東日本のそれだが、完成された田舎料理、という印象。下手なすき焼きよりも美味しいかもしれない。ぜひとも一度、晴天の河原で食べてみたいものだ。次に東北を訪れるのはいつになるのだろう。




2001 Sep.22

 何故か午前4時と5時に目が覚める。それなりに気が張っているのか。それにしてもちょっと早い。結局、6時10分に起床。窓を開けると、抜けるような青空と冷たく締まった空気。京都だと10月の下旬といった朝。身支度をして朝食を済ませ、荷づくりをすると7時半。チェックアウトし、ホテルの外に出たところでふっと息をつくと、白いもやが一瞬現れ、すうっと消えて行く。一足早い秋。

 山形駅に着き、改札を抜ける。今度ここを通るのは何年後だろうか。いや、もう1度来ることはあるのだろうか。土曜日の朝、仙台行きの普通電車は空いている。昨日乗ったのとは逆側の席に座る。7時59分、発車。日差しが眩しく、しばらくはカーテンを下ろしていたが、山寺あたりから太陽が山の陰になったので、カーテンを上げて外を眺める。昨日はススキにしか気が付かなかったのだが、今日は所々に咲いているコスモスの鮮やかな色が、目に飛び込んでくる。線路の下を覗き込むと、キラキラとさざめきながら流れ下る谷川が、昨日以上に美しい。どこかで電車を降りて、一日を川辺で過ごしたい、という衝動に駆られそうになるが、それは無理な話。そもそも、山深い区間には駅が無いのだ。仙台の市街地に近付くにつれ、通路に立つ人もずいぶん増えてきたのだが、北仙台で幾らかが下車。ホームの外を見ると、地下鉄の駅があるようだ。ここで乗り換えて、広瀬通あたりに繰り出すのだろうか、と勝手な想像。電車は1分遅れで仙台駅に到着。次に乗る9時24分発の普通電車まで、4分の乗り換えだ。

 原ノ町行きの電車はかなり空いていて、すぐにボックス席を確保。緑色のシートは古くはないが、少し低くてさっきまでの姿勢と違うせいか、腰のあたりが軽く軋んだような気がする。余裕があるので、PBG4を広げて昨日から今日にかけての日記を書く。窓の外には一面の田園風景。ちょうど収穫の時期なのか、コンバインが田んぼの端を刈り始めている。電車はいつの間にか福島県に入り、10時37分、原ノ町に到着。10分ほど待っていわき行きの電車に乗り換え。10時51分発車。途中の景色は、田んぼと集落、小山の繰り返し。時折、大平洋が見える。 最初はくすんだエメラルドとインディゴブルーの色だったのだが、少し雲が広がるとグレーに変化してしまう。単調な時間を文庫本を読んで潰していたら、途中の駅で乗ってきた、タバコのにおいの強い中年男性に話しかけられる。京都からサッカーの応援に来ている、と言うと、自分はJヴィレッジの近くに住んでいて、日本代表の練習を覗きに行ったこともある、とちょっとだけサッカー話に。福島訛りの強い話は、全てを聞き取れたわけではないものの、いわきまでの時間を潰すには十分に楽しいものだった。

 12時7分、いわきに到着。男性と別れ、途中下車。今回初めて、途中下車印を押される。駅前で昼食の場所を探し、向かいにある居酒屋に入る。昼のメニューで、あなご天丼を注文。750円で、およそ1匹分が3分割されて載っていたから割とお徳。味もまずまず。サービスのコーヒーが有り難い。昼食を終え、あまりの涼しさに防寒具(というか風を防いでくれそうな何か)が無いかと、駅ビルの店をのぞいてみるが、時間も無く断念。長袖シャツを着ているとは言え、風邪を引かなければよいのだけど。再入場してホームに降りると、水戸行きの電車は既に入線している。一番端の車両まで行き、1ボックスを確保。12時55分、発車。思っていたのと逆の方向に走り出し、面食らいながらも順方向の席に移動。PBG4を広げ、再び日記書き。これまでと余り変わらない風景が続くが、稲刈りだけは南に行くほど進んでいて、坊主頭の地面が顔を覗かせている。日立駅周辺だけが、周辺とは不釣り合いに仰々しい景観。形容し難い違和感。一体何だろう。水戸が近づき、車内は空席がほぼ埋まる程度には混雑してくる。1つ手前の勝田駅で、14時28分に下車。

 改札を出て、コインロッカーを探すが、狭い駅舎の中には見あたらない。前回来たときは使わなかったので、チェックしていない。慌てて外に出て辺りを見回すと、左手のコンビニと交番の境目あたりに発見。ダッフルバッグだけ放り込んで切符売り場へ戻り、570円の切符を購入、再び急ぎ足で改札を抜け、茨城交通のホームへ。電車、では無くディーゼルカー――今度の旅で初めてだ――は1両編成で、旧国鉄の払い下げといった風貌をしている。帰省時にお世話になる、九州の某私鉄もこんな雰囲気なのだが、こちらの方はカーテンが破れていたりしていて、はっきり言ってオンボロ度が高い。乗車率は3割あるだろうか。14時32分、発車。遅い。某私鉄でも、もっとスピードは出る。平地を走っているのに、これでは鞍馬行きの叡電にも負けるのではないか。もはや苛立つ気にもなれず、車窓から外を眺める。海が近いせいか、芋畑ばかりが目に付く。米を作れる環境ではないのだろう。彼方には海浜公演の大観覧車。ランドマークがあると安心する。途中の駅で少しずつ客が降り、終点の阿字ヶ浦では自分を含めて2人だけが下車。時計を見ると、3時ちょっと前。靴紐を締め直し、歩き出す。

 事前にwebで検索可能な地図で下調べをしているとはいえ、ほとんど全く知らない土地。田舎びた道を真っ直ぐ歩く。15分程歩くと、片側2車線ずつある立派な道路に出る。さっきのも今度のも県道のはず。ずいぶんな違いだ。車は少ないながらもコンスタントに走っているが、それなりに幅もあって整備もされている歩道には、自分以外の人影が無い。こんな所を歩こうという酔狂な人間も少ないだろうが、この道を15分は歩いただろうに、誰1人として出会わなかったというのも凄い。右手には国営ひたちなか海浜公園、左手には安全運転センター。どちらも風を防ぐためか松林で囲まれている。松林の向こうでゆっくりと回転し続ける観覧車をながめていると、日立で感じた違和感が再び沸き上がってくる。多分、それがそこにある必然性――歴史や、自然や、人の営みから導き出される、妥当な結末――が薄いからではないか。そんなことを考えながら歩いていたせいか、さっきまで見えていた競技場の照明灯を見失ってしまう。小さな公園で、PBG4を広げて地図を確認。特に道を間違った訳ではないらしい。すぐ手前の交差点を左に折れ、数分歩くと競技場が見えてくる。結局、駅から正味1時間弱歩いてスタジアムに到着。

 写真を撮ったり地図を確認していたので、時計を見ると4時15分頃。開門はまだだろうとたかを括って歩いていたら、場内には既に横断幕が。どうやら4時開門だったらしい。少し慌てて、前回入場したゲートに向かうと何も無い。入口は更に向こう側とのこと。強風吹きすさぶ中、競技場に入る。ばたつく横断幕を設営するうちに、サンガサポーターも徐々に増えてくる。最終的にはゴール裏で40人は越えたのではないだろうか。寒さに震えながらカップ麺をすすったりするうちに時間は過ぎ、早くもスタメン紹介に。妙に間延びしたアナウンスをバックに、山形で焼肉をご一緒した方にお話を伺う。気温が低いので、写真の出が悪い。3月末頃の気分だ。あと2時間、風邪を引かずに済むだろうか?


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 キックオフ。熱田の位置には、おそらく中村が入っているのだろう。左に野口。オフェンシブなサブメンバーには安、冨田、松川が名を連ねている。開始早々、サンガはCKを得るがチャンスを作るには至らない。1分、サンガの選手と競りながらボールをクリアしようとした水戸DF安が、どこかを痛めたのかピッチ上に倒れたまま起き上がらない。こんな時間帯で演技も無いので、どうやら本当に痛んでいるようだ。試合の流れも完全に切れ、“京都サンガ”コールで気持ちを繋ぐ。結局水戸は、前半4分にしてDFリーダーの交代を余儀なくされる。

 7分、サンガは右からのFKを得て朴がGKとDFの間を狙って蹴るが、水戸にクリアされる。この後、水戸のオフサイドラインを抜け出た松井がGK 1対1となってループシュートを狙ったのだが、GKも判断良くキャッチ。8分にも黒部のシュートはGKの正面。水戸のコンセプトは「しっかり守ってカウンター狙い」。中盤でのプレスを受けたりパスカットされる場面――山形でさんざんやられてしまった――は少ないが、その分後ろでのDFに人数を割いているのがよくわかる。

 12分、強い追い風に乗って、水戸のミドルシュート。ここまでまだ決定的に崩された場面は無い。14分、中盤でのキープから水戸DFの裏へ出したボールを野口がセンタリングするもやや流れ、右から左へと再び戻して松井がゴールに迫るが、水戸の守備はシュートを許さない。水戸もカウンターの一発を狙うが、シュートも威力無くゴールを脅かすほどではない。17分、サンガのCKも水戸がクリア。

 20分、水戸のCKは強風に押し戻されたか直接ゴールラインを割る。体感気温は下がる一方で、間断なく身体を動かしていないと立っているのも辛い。前半も中盤となり、水戸も意外と積極的に仕掛けてくる。21分、中村が右からゴール前にクロスボールを入れるがGKがキャッチ。22分には再び水戸がサンガの左サイドを抉ってセンタリング、しかし精度を欠いてシュートには至らない。23分にもペナルティエリア付近でボールをキープされるが、冷静な守備でピンチを切り抜ける。24分、センターライン付近での守備で、朴にイエローカード。残り試合のことを考えると、不用意なファウルだったかもしれない。この後26分、27分、29分と水戸の攻撃が続くが、何とか凌ぎ切る。序盤と比べると攻めに生彩を欠いているのは確かだが、好意的に受け取るなら前半はサンガが風下ということで、無理に仕掛けていないのかもしれない。

 31分、右に流れた松井がドリブル突破を図るが、DFに阻まれゴールキックに。サンガも再び攻撃の形を作れるようにはなってきたが、水戸も中盤からの守備が出来るようになり、そう安々とは攻めさせてくれない。36分、水戸のDFライン裏にロングボールを入れて野口を走らせ攻撃の起点とし、中→右と展開して最後は黒部がセンタリングを狙うがDFにクリアされる。39分には右サイドでキープしておいて中央の上野に預け、一旦野口に下げてから走り込む黒部にラストパスを出すが、GKに押さえられる。終盤、水戸は何度かロングボールを放り込んでは来るもののサンガDFを崩すには至らない。サンガもボールのキープこそ出来てはいるが、決定的な形を作れないままロスタイムも過ぎ、両チーム無得点で折り返す。

 ハーフタイム、少しでも寒くない方へと、吹きさらしの芝生席からバックスタンド方面にサンガサポーターが一時流れ、がらんとするゴール裏。風を避けようと、芝生に寝そべってみる。地面はほんのわずかだが温かく、北風も身体の上を吹き抜けていくので少しは楽になる。知り合いは焼酎のお湯割りを持って帰還。あっと言う間に冷めてしまう、とは言うものの少し羨ましい。

 後半開始。選手交代は無く、風上に立ったが、水戸を攻めきれるだろうか。まずは松井が左コーナー付近からセンタリング、黒部が頭で合わせるが枠を外れる。その後も、野口が同じ様な形で上野へ出すが、DFに阻まれてシュートには至らない。3分、水戸はサンガの右サイドを突き、素早いセンタリングにゴール前でフリーだった選手がヘディングシュート。しかし中河の素晴らしい反応とオフサイドに救われる。4分、長いクロスボールをトラップミスした黒部が、ゴールラインを割りそうなボールを倒れながらも頭で戻そうとする。結局はゴールキックになったが、珍しいプレーにゴール裏も少し和む。5分、水戸FW申のヘディングシュートは枠の外。7分にはロングボールに追い付いた松井がセンタリング、しかし強風に流されて上手く合わない。9分には松井が左サイドから水戸DFを突破したかに見えたがオフサイド。11分にはセットプレーから水戸ゴール前でパスを回したサンガだが、斜めからゴール上隅を狙った朴のシュートは、GKの好プレーでCKに。だがこのチャンスは活かせず。両チームとも良く攻め合った序盤だが、最後の精度を欠いて得点には至らない。

 13分、水戸FW申がペナルティエリア内からシュートするも、中河がしっかりとキャッチ。14分には右の中村から左の黒部へと渡りそのままシュート、しかしGKの正面でゴールならず。16分、中村に替えて安を投入。17分、野口のシュート性のクロスに上野・黒部共に飛び込むが、GKが1歩早くキャッチ。18分、水戸は中盤の選手を入れ換え。入場者数は1218人、のアナウンス。風にかき消されそうだ。21分、サンガも松井を下げて松川。22分、右コーナー付近で粘り強くボールをキープした安が切れ込もうかという場面で倒されFK。しかし朴のキックに合わせる選手がおらず、チャンスを逃す。23分、水戸のセンターライン付近からのFKを最後はシュートにまで持ち込まれヒヤリとするが、中河が何とか踏ん張り危機を脱する。24分にはDFラインを上手く抜け出した安がGKと1対1になるが、切り返しが1つ余計でDFに詰められ、絶好の得点チャンスを逃してしまう。25分にも安のところでCKを奪い、朴が後半11分のと似たようなループシュートを放ったのだが、直接枠を越えたとの判定。

 戦況がやや膠着していた28分、安がDFを引きつけておいて横パス、走り込んできた松川がシュートするが、ボールは空高く舞い上がってしまう。その後も概ねボールはキープするものの、水戸のDFを崩すことが出来ない。そこで31分、上野に替えて冨田。水戸も、元サンガの山崎を投入。しかし、両チームとも流れを引き寄せることが出来ない。34分には野口がロングシュートを放つが、枠を外れる。35分には同じ様な位置から朴がFKを蹴るが、壁に当たってCK。しかしこのチャンスも活かせない。36分、浮き玉に朴が反応して飛び込もうとするが、GKが先にキャッチ。38分、水戸もトップの選手にロングボールを入れてくるがサンガDF陣もきっちり対応。39分、松川が水戸陣内の大きなスペースにロングボールを入れ、冨田を走らせるもゴールキックに。今日も冨田の存在感はちょっと薄い。

 残り時間もわずかとなり、両チームともゴール前へボールを運ぼうという意図は見えるのだが、そこから先の形が作れない。43分には右サイドから冨田がセンタリングを入れるが、水戸DFがカット。44分、朴のCKもサンガの選手が合わせる前にクリアされる。ロスタイムに入り、冨田がドリブルで突っかけた所をペナルティエリアの少し手前で倒され、FK。最後のチャンスだったが、黒部のキックは枠の外。ここで笛が鳴り、延長戦に突入する。

 延長前半開始。4人目の選手交代は無し。立ち上がりは両チームともやや慎重に見えたが、2分には水戸のFKをクリアしてCKを与えてしまう。一旦は跳ね返したものの、最後ロングシュートがクロスバーをかすめて行くなど、油断できない展開。その後も水戸がボールを持つ時間の方が長かったのだが、5分に自陣でボールを奪うと素早く松川へ。松川も判断良くゴール前のスペースにスルーパス。これにいち早く反応した黒部が、DFを置き去りにしながらGKの横を抜くシュート、ようやくゴールネットが揺れてVゴール勝ち。

 辛うじての勝利。勝ち点1を落としたと批判するのが筋なのだろうが、ここは負けなかったことを評価したい。この先、負けは即後退を意味するのだから。90分での勝利が理想であるのは当然だが、勝ち点を1つでも積み重ねて行くことに意味がある。間違いなく混戦となるであろう第4クール、這いつくばってでも前に進むしか無い。

 撤収作業を横目に、駅までのシャトルバス乗り場へ走る。野球場の先、というおぼろげな記憶を頼りに進んでいたら、そのずっと先、競技場へアプローチする道路脇にバスが停まっている。出発まで間も無い雰囲気、荷物を抱えたままダッシュ。乗り込んで間も無く、バスが出発。20分ほどかかっただろうか、勝田駅に着いたのは午後8時半頃。コインロッカーから荷物を取り出し、コンビニで食料を仕入れてホームへ。特急料金をケチって、38分発の普通列車に乗り込む。知り合いは特急で戻るとのこと。普通はそうするよなあ。

 上野行きの電車はがら空き。ほとんどは近距離の乗客で、大き目の駅で乗り込んでは数駅先で降りて行く。パンと野菜ジュースで空腹を満たす。どうやら風邪を引かずに済んだらしい。外は真っ暗で何も見えず、PBG4を広げて日記書き。千葉県内に入ると徐々に乗客も増えてきたが、ホームで下り電車を待つ人の方が遥かに多い。川を越え、都内へ。急にビルが増え、ようやく東北を離れたと実感。22時49分、上野に到着。そのまま山手線に乗り換え。どこかで途中下車しての食事も考えはしたが、残り時間も中途半端なので今回も断念。東京駅に降り立つ。八重洲口の高速バスターミナルへ。通路に座り込んで出発を待つ乗客の姿。自分も柱にもたれてカロリーメイトを齧る。名古屋行きのバスは2階建て。今夜も天井の低い1階席に当たってしまった。最前列で荷物置き場があるのが救いではある。毛布と一緒に簡易枕が置かれていたのが有り難い。23時40分、発車。首都高から東名に入り、途中のサービスエリアで休憩するまで眠れなかったが、どうにか目を閉じる。




2001 Sep.21

 6時半頃目が覚める。早い。窓の外は曇り。今日の天気は下り坂と、昨日の天気予報では言っていた。電車でちょっと動きたいのだけど、果たしてどうなることか。朝食と身支度を済ませ、9時を回ってからホテルを出る。いつの間にか雨が降り出していて、濡れたまま歩けないほどではないのだけど、傘を差す。山形駅のロッテリアで電車を待ちながら、未読処理。松茸バーガーってなんだそれ?

 少し離れた仙山線ホームに向かうと、快速電車は既に入線済み。小学生の一団と乗り合わせるようだ。リュックサックを背負っているところを見ると、遠足だろうか。この天気、ちょっと可哀想だ。何とか空席を確保。小学生の男の子が1人、隣に座る。10時28分、発車。しばらく奥羽本線を走った後、電車は仙山線へ入る。一路、山を目指して走る電車。地図を見た限りでは、途中の駅から山形のスタジアムまで歩けないことも無さそうだったのだが、目を凝らしても照明灯の天辺すら見つけることが出来ない。常識的に考えれば天童か、その1つ前の駅からスタジアムを目指すのが順当なルートなのだろうが、血迷ってこちら側から歩いてみよう、なんていう無茶な考えを実行に移さなくて良かった、と胸をなで下ろす。

 電車は、山の間を縫うように走る。観光ガイドブックにも紹介されている山寺駅周辺は、切り立った崖の上に小さなお堂があるという、なかなかの景観。そこから先は、完全に山奥。小学生たちは、面白山高原、という駅でわらわらと降りていった。日本へそ公園、ほどでは無いかもしれないが、人を食ったような名前だ。電車は更に山奥へと分け入るように走る。谷底を覗き込むと、澄んだ谷川が幾筋も見える。かなり大きな滝もあった。美しい路線だ。長いトンネルを抜け、線路は長い下りとなる。かなりの山あいを走っているのに、駅の表示には仙台市青葉区、の表示。京都で言うと左京区大原か。そういえば、山形市と仙台市は直接接しているから、東北ダービーマッチが盛り上がるのだ、とかいう俗説もあったっけ。人家が増え、マンションが建ち並び始める頃には、仙山線の旅も残りわずか。1時間余りで、電車は仙台駅に到着。

 一旦改札を出て、ちょっとした用事を済ませて再び入場。周遊きっぷのゾーン券で改札を通ってから、切符を買っていないことに気付く。これから周遊区間外へ向かうのだけど。降りた駅で精算すればいいかと、そのまま電車を待つ。仙石線のホームは地下にあり、しかも仙台駅本体からは幾分離れたところにある。東京駅の京葉線ホームほど暴力的に遠くはないものの、同一会社の駅とは思えない距離だ。ホームは小奇麗な地下鉄そのものなのだが、何故かやけに短い。入ってきた電車が4両編成で納得。かつては首都圏を走っていたのではないかと思われるような古い車両をこちらで使っている様子。軽く混雑した車内に立つ。快速なので地下の2駅を通過、地上に出る。数分走ると、片方の車窓には一面の稲穂が見える。宅地化も進んでいるようだが、意外と狭い仙台の市街地。途中1駅だけ停車して、見当を付けていた本塩竃に停車。ホームから海側を眺めてみるが、ちょっと何かが違う気がして、そのまま乗り続ける。次の停車駅、松島海岸で下車。改札前で400円を支払い、駅前に出る。

 海岸、と名が付くだけあって、駅のすぐ近くに海。少し歩くと、観光客相手の食堂や土産物屋が建ち並ぶ通りに出る。喧噪を離れて少し山側に入ると、かなり有名な寺(名前失念)の境内に偶然入る。岩をくりぬいて造った僧坊(?)が幾つもある、カッパドキアの様な寺は定番の観光ルートらしく、修学旅行生や一般観光客が多い。特に目的地ではないので、奇観を横目に再び歩く。美味しい魚を食べたくてここまで来たので、看板で見たちょっとは期待できそうな場所へ。ところがこれが期待外れ。海産物センターではあるのだが、いわゆるイートインが充実しておらず、中を歩いただけで早々に立ち去る。隣には伊達政宗資料館(?)もあり、定期観光バスのルートにも組み込まれているようにみえるのだけど、こちらの目的には合わなかった。仕方なく、交通量の多い道路の脇を再び歩く。だが、駅から離れるにつれて、ますます期待の出来ない雰囲気に。仕方なく引き返し、遊覧船乗り場の近くにあった食堂の中から、適当な1軒を選んで入る。時計を見ると、既に午後1時半。焼いた貝が付いている、1,800円の「いそ刺身定食」を注文。刺身は流石に新鮮で、食べるに値するものであった。自家製の塩辛も悪くない。目的は果たされたので、そのまま駅に戻り、14時8分発のあおば通駅行き普通電車に乗り込む。

 帰りは仙台駅ではなく、終点のあおば通駅で降りる。松島でも降っていた雨は、相変わらずゆるやかに降り続いている。傘無しでも歩けるけど、傘が無いとわびしくなるような、そんな雨。近くにあった大きなダイエーを通り抜け、アーケードに出たところでスターバックスを発見。ラテを注文し、2階の席に腰を落ち着ける。店内が広いせいか、意外と空いているのが有り難い。PBG4を広げ、山形戦のデータを仕上げる。作業中に来た、スターバックスのアンケート調査に「京都から来ました」と正直に答えたのだけど、データ処理する人はどう扱うのだろうか。その後、日記書き、データのアップロード。外での作業は意外とはかどる。

 店を出て、30分ほどを仙台駅東口で過ごす。こちら側は繁華街ではないのだが、駅前広場を挟むようにして、ヨドバシカメラとラオックスの巨大な店舗が向かい合わせに覇を競い合っている。あまり時間が無いので、Macコーナーだけを両方ともチェック。見た感じではラオックスの勝ちか。カメラはヨドバシカメラが圧倒的だったけど、それは当たり前。15分ほど前にホームに向かうと、各扉に10人近くは並んでいる。出遅れたかと思ったが、進行方向逆向きだが何とか席を確保。17時54分、仙山19号が発車。午後6時を過ぎ、すっかり暗くなった山の中を電車は走る。何も見えないので、文庫本を読む他無い。18時55分、山形駅に到着。

 目を付けていた土産物を買いに、霞城セントラルの酒屋へ走る。シャッターは半分閉まっていたが、レトルトの芋煮セットをどうにか購入。ギリギリセーフ。やはり午後7時閉店か。昨日行った百貨店、大沼も閉店時刻は午後6時半(!)だったし、山形の夜は早い。今日も駅前の十字屋地下でおかずを購入。明日予定している電車に乗れなかった場合を想定して、山形―仙台の高速バスの発着をチェック。朝夕は20分毎に出ていて、所要時間1時間、運賃は1000円。出来ればお世話にならないようにしたい。ホテルの少し先にあるほっかほっか亭で弁当を買 い、ホテルに戻る。夕食を済ませ、明日の旅程を再確認。8時前の普通電車に乗るのがベストか。備えつけのアラームとPHSのそれを朝の6時にセット。まず大丈夫だとは思うのだけど。あれこれするうちに、結局12時を過ぎてしまう。寝過ごしも睡眠不足も御免なので、ベッドに潜り込む。




2001 Sep.20

 目が覚めて、点けっぱなしのTVを見ると、8時50分台の表示。いつの間に寝てしまったのだろう。空調がかなり効いていて空気が乾燥していたが、幸い風邪を引かずに済んだ。買っておいたパンと牛乳で、簡単な朝食。シャワーを浴びて着替えていると、廊下から物音がする。もう掃除の時間らしい。粘っていても迷惑を掛けるだけなので、急いで準備を済ませて部屋を出る。廊下とエレベーターで、掃除のおばさんたちと挨拶。フロントに鍵を預け、隣のドトールへ。カフェラッテをすすりながら、web browseと未読処理。2時間近く過ごして、街に 出る。

 とりあえず、1番の繁華街らしい七日町へ。県庁所在地の中心街にふさわしい、大きくも小さくもない街並みだ。途中にあったローソンで、水戸戦のチケットを確保。地元のデパート、大沼を覗いてみる。上階は、如何にも地方のデパートという雰囲気。良くも悪くも、どこにでもある安心感が売られているという印象。地下の食品売り場へ。こちらは地域色がある。棒だらや身欠きにしんといった、京都でおなじみの食材が並んでいるのが意外な発見。盆地の食文化には、遠く離れていてもどこか通じるものがあるのかもしれない。野菜売り場には、だ だちゃ豆(枝豆)や“もってのほか”(食用菊)、あけびなど個性的な食材が並んでいる。こういうのが楽しい。

 百貨店を出て、再び歩く。繁華街はさほど広くなく、すぐに市役所などの官庁街に出てしまう。進路を西に変えて歩くこと10分あまり、霞城(かじょう)公園に辿り着く。最上氏の居城だった広大な敷地の中は、今では運動公園や博物館、資料館等が建ち並ぶ文化ゾーンになっている。外堀のすぐ側を、奥羽本線が走っている様は、少しだけ神田・御茶ノ水あたりの風景に似ている、と言ってしまうのは東京経験が浅い者の戯言か。

 公園を出て、山形駅西側の再開発地域にそびえる、24階建ての霞城セントラルへ。ホテルや公共機関、高校(!)や小売店が入る、不思議な現代風の空間。山形の地酒を扱う店先に、名物の芋煮がパック詰めになって土産物として売られている。後で買うか。山形の敢行案内センターもあり、モンテディオ山形のサイン入りフラッグがしっかりと掲げられていた。2階のNTTショールームで、無料で使える端末があったのでweb browse。しかし、最初の2台はアクセス不可能。3台目でようやくアクセスできたのだが、幾つかのページを開こうとすると、MS製の某ブラウザが勝手に落ちてしまう。これでは使えないので、早々に立ち去る。

 山形駅を通り抜け、再び駅前に。昼食にしようと適当な店を探すのだが、どうもこれといった店が見つからない。はるばる山形まで来てマクドナルド、とかいうパターンは出来れば避けたいのだが、土地勘が鈍っているのかどうもダメである。同じ様な地域をぐるぐると歩き回り、結局駅の近くのモスバーガーで落ち着く。久しぶりのダメパターンに填まってしまった。時計を見ると、午後3時半。フレッシュバーガーセットを遅い昼食に、PBG4を広げて画像処理と日記書き。昨日の試合について、メモを頼りに書いてみるが前半で力尽きる。5時を過 ぎ、外も次第に暗くなってきたので、店を出る。

 本屋に立ち寄ってから、もう1つの百貨店、十字屋へ。地下の食品売り場だけを、買い物かごを持ってぐるぐると歩き回る。良く見ると、この売り場はダイエー系列らしく、京都のサカエでも見るPB商品が並んでいる。すぐ近くに大きなダイエーがあるのに、どういう経緯でこういう状態になっているのかよくわからない。ひとしきり品定めしてから、おかずを数点確保。地酒の小瓶も購入。更にダイエーもハシゴし、ご飯やカップ麺を追加購入。ファミリーマートにまで寄って、明日の朝食べるパンを買う。行動パターンが、京都にいる時と大差無い。 7時近くになって、ホテルに戻る。

 テープ起こしを1人分済ませて、夕食。買ってきたおかずをポリ袋に移し、ポットのお湯で温めてみる。余り褒められた方法では無いが意外と上手くいくもので、電子レンジ無しでもそこそこ温かい物を食べることが出来た。失敗しても責任は取れないので、他人にはお勧め出来ないが。2人分を後回しにしてあれこれするうちに、歩き回った疲れが出たのかベッドに転がってしまい、そのまま寝てしまう。




2001 Sep.19

 夜中に何度もぎこちなく身体を動かし、シートの上で居場所を探すうちに夜が明ける。時計を見ると、5時台だ。東北急行バスよりはまともだが、独立していない2+1のシート(の“2”の窓際)はやはり少し疲れる。体調も万全とは言い難く、時折妙な冷や汗が出てくる。無理はするまい。午前6時半、例によって定刻より早く東京駅に到着。1階席の若者グループは予想通りTDLまで向かうようだ。預けていた荷物を取り出し、駅構内へ向かう。トイレを済ませて改札を通り、ホームへの通路を歩いていたら関東在住の知人2人にばったり遭遇。8時間後には山形で会う予定だというのに。こんな事もあるんですねと顔を見合わせる。2人は新幹線、こちらは在来線。ホームの自動販売機で買ったトマトジュースをぐぐっと飲み干し、空いている山手線で上野へ。

 上野駅で、7時12分の普通に乗り換え。下り電車なので、空席もある。途中、やや立つ人の姿も出たが、数駅で降りる人ばかり。上り電車を見ると、殺人的とまでは行かないが、かなりの混み様だ。以前乗った時とは逆側の席に座ったのだが、車窓からの風景はさして代わり映えしない。それでも、全く同じ景色ではないのでわずかに新鮮だ。通勤時間帯をわずかに外れているためか、混雑らしい混雑も無く、宇都宮に到着。4分の接続時間で8時58分の黒磯行き普通に乗り換え。こちらも空いている。1泊旅行といった風情の熟年夫婦が同じボックスに座ったが、数駅で下車。PBG4を広げてこの日記を書く。それにしても、同じ車両で少なくとも3人がノートパソコンを広げている図というのは初めて見た。2人はVAIOユーザーで、うち1人はカード型PHSで通信していた。野崎駅という、あまり何も無さそうな駅(失礼)で降りていったが、どこへ向かうのだろうか。9時48分、黒磯駅に到着。

 一旦途中下車し、みどりの窓口へ。というのも、上野を出てから気付いたのだが、周遊きっぷのゾーン券が「明日9/20から有効」となっていたのだ。発券してもらった時のチェック不足と言ってしまえばそれまでだが、これでは福島から先で困ってしまう。時刻表を良く読むと、使用開始前の券片なら、1回に限り使用開始日を変更できると書かれている。これを一縷の望みに、交渉。最初は「3枚(往+復+ゾーン券)とも未使用でないとねえ。3枚セットで機械が発券しているから。」との回答。前述のようなルールがあるはずですけど?と食い下がると、中の方でしばらく小さな本をめくっていたが、2人がかりで何やら作業。結局、機械では処理できないので、手書きで有効期間を書き換え、[黒磯]の印をべたべたと5つも押されたゾーン券が帰ってきた。不細工だが、何はともあれこれでOKらしい。ただ、自動改札機は通れませんよ、と念を押される。

 一安心して時計を見ると、10時。食料を求めて、駅から歩いて1分ほどのヨークベニマル(東日本で良く見る、イトーヨーカドー系列のスーパー)へ。幸い、ちょうど開店時刻だったらしく、何人かのお客が入っていく。だだっ広い――そうとしか書き様が無い――店内。今風のショッピングモールの1世代前の雰囲気。端の方に、地元商店がテナントで入っている。あまり時間も無いので、これまた広大な食料品売り場へ。納豆売り場が大きい。いや、面積は関西のスーパーと大差は無いように見えるのだが、在庫の量が2倍ほどある。さすが東日本、と妙なところで感心。外周だけ1回りし、お総菜コーナーの焼きうどんを購入。298円。お茶と野菜ジュースを追加し、締めて税込み508円。急いで駅に戻り、再入場。4番線に向かうと、郡山行きの電車は既に入線している。幸い空席は多く、空きボックスを確保して早速食事。醤油味とは書かれているが、本当に醤油の味が強い焼 きうどんだ。関西なら間違いなく、もうちょっと甘みと出汁の風味がするはずだ。黒磯駅で食べたそばよりも、こちらの方に醤油文化を感じることになるとは。まあ、これはこれで悪くないのだけど。10時27分、郡山行きの電車が出発。再びPBG4を広げ、日記の続き。PHSは圏外。空調が少しかび臭かったが、古い車両なので窓を開ける。初秋の空気が心地よい。京都は今頃暑いのだろうか。遠くへ来たものだ。11時31分、郡山に到着。

 阿武隈急行に乗り入れる車両に乗り換え。先日の仙台戦とほぼ同じ流れだ。階段を下りてすぐの車両に空きボックスがあり、座席を確保。11時38分発車。乗車率は50%あるだろうか。ボックス席を1人で占領している人も多い。彼方には山塊が連なっている。東北の南の端。再び日記書きに没頭。だいぶ追い付いた。12時25分、福島駅に到着。

 一旦改札口を出て、新幹線ホームのある西口を見て回る。外に広がる街は東口の方がメインのようで、こちら側にはホテルとイトーヨーカドーとホテルぐらいしか無い。しかし、駅ビルの機能からすると、こちらの方が遥かに現代的で、東口のルミネよりも魅力的だ。本屋でサッカー雑誌をちょっとだけ立ち読みし、飲み物を買い込むまでの時間しか無かったが、これで福島駅前が大体わかった、ような気分になる。15分ほど前に新幹線ホームへ。案の定、改札で怪訝な顔をされたが、簡単な説明でパス。ホームには、自由席の順番を待つ乗客が10人程いただろうか。少ないな、と言うのが正直な感想。閑散期だし、座れるだろうとは思いながらも、席の確保をシミュレートしながら待つ。

 13時3分、入線。やってくる「つばさ」号を見て「小さいな」と第一印象。普通の特急列車とどこが違うのか、外観からはわからない。中に入って、ますますその印象は強まる。シートの座り心地は悪くないが、フル規格の新幹線にしか乗ったことのない者からすると、これは明らかに特急サイズ。意地悪な言い方をするなら、ムーンライトながらと一緒。まあ、雰囲気は新幹線を志向しているのだけど。PHSを見ると、福島の某氏から着信ありとの記録。デッキで電話し、山形新幹線に乗るのだと告げると、驚かれてしまった。山形で合流しましょう、と電話を切る。13時5分、つばさ号発車。

 一度通ったことのある奥羽本線だが、視点が違うせいか、どこか違って見え無くもない。それにしても、この速度。やはり新幹線を名乗るには無理がある。山中の駅を通過するときなど、完全に徐行状態だ。すぐ側を家々や木々がかすめるように、と言うと大げさだが、高架線ではない線路を走る様は普通の特急だ。何より、踏み切りがある。米沢で、上りのつばさと入れ違いになる。車窓から眺めてみると、少しは車体にボリューム感がある様にも見える。言葉は過ぎるかもしれないが、整備新幹線という夢が生み出した“鬼っ子”に思えてならない。とは言え、快適な思いをさせてもらっているのだ。これ以上は何も言うまい。それよりは天気の方が心配だ。

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 14時15分、山形駅に到着。駅舎を出た所で、思わず「寒い」と呟く。涼しい、と表現するのが正確な気温なのだが、京都とはあまりに違う昼間の外気温に、身体が驚いてしまったらしい。駅前の大きな通りを歩く。幾らか見覚えのある街並み。バスターミナルのあるダイエーは、臨時休業とのこと。5分ちょっと歩くと、ホテルはすぐに見つかったのだが、チェックインの予定時刻まで30分以上ある。幸い、すぐ側にドトールとミスタードーナツが並んでいる。少しだけ迷って、ミスタードーナツへ。ジンジャーエールとソーセージ入りのパイを注文。しばらくwebアクセスやmailのチェック。

 3時を過ぎ、ホテルマークス山形へ。チェックインを済ませ、部屋に荷物を置く。「旅の窓口」情報でも見たが、室内は確かに広いとは言えない。だが、バスルームに妙にゆとりがある。ユニットバスではないので、ゴージャスではないが安っぽさも感じない。シャワーブースを浴槽にしてしまおうという、ちょっとユニークな所だ。小さなベランダに通じるドアを開けると、向いのビルにH"のアンテナがある。PHSの感度も良好だ。荷物を整理し、出掛ける準備をする。

 15時30分、フロントに鍵を預け、外に出る。横の公園で、福島から来た優作応援団長と合流。すぐに関東の某氏一行もレンタカーで到着。偶然同じホテルに泊まり合わせた男性も降りてきて、一路温泉に向けて出発。市内を抜け、国道に出る。片側3車線ずつはあろうかというバイパスを、5人が乗ったCUBEは走る。天童市内を抜け、収穫前の稲穂が頭を垂れる水田地帯をひた走り、車は最初の目的地『ゆぴあ』に到着。

 どこが運営しているのかわからない(天童市が造って、第3セクターが運営しているらしい)が、入場料200円(安い!)を券売機に投入。小さなチケットを受け付けに渡し、脱衣所へ。平日の午後にしては駐車場が埋まっていたなと思ったら、混んではいないがそれなりの繁盛ぶり。広い湯船と露天風呂で、旅の疲れを癒す。5時頃には湯を出て、スタジアムに向かう準備。モンテディオ山形の旗(サイン入り)や、ホームゲームの日程表があったりと、地道な広報活動がここでも見られる。車に戻ると、窓が10cmほど開いたままになっていた。自分が閉め忘れたことを思いだし、謝罪。何事も無かったから良かったものの、迷惑をかけてしまった。再び走ること10分ちょっと、駐車場の場所で少し迷ったが、5時半にはスタジアムに到着。

 ゲート前には、例によってサンガサポが既に並んでいる。今日も某総監督が雑談モードで鎮座している。三々五々と集まる、両チームのサポーター。今日は6時開門とのこと。何でも、平日なのでボランティアスタッフが集まれないから、らしい。次第に宵闇に包まれるスタジアム。「傘・防寒具等をご用意の上入場してください」のアナウンスには驚く他無い。実際、風もあって体感気温は20度を割っていそうな感じだ。横断幕の設営を終え、カレーを食べるとすぐにスタメン発表。ゆったりしているのか、せわしないのか。鈴木が出場停止明けで復帰、朴も戻ってきた。松川は帯同していないとのこと。後はいつものメンバー。控えに宮崎がいる。それにしても山形の選手紹介前に出てくるCG、前にも思ったがアレで良いのだろうか。意図してアレなのだったら、何も口出しする筋合いではないのだけど。


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 今年3度目の黙祷の後、キックオフ。2分には黒部がファーストシュートを放つなど、序盤こそ一進一退の攻防を見せてはいたが、7分のFK、CKを立て続けに凌いだあたりから、山形の執拗なサイド攻撃がサンガゴールを脅かすようになる。こうなると早くも防戦一方。過去2回の対戦をそのまま再生しているかのようだ。山形の選手の動き――特にボールを持っていない選手のそれ――は、ここに来て更に磨きがかかっているように見える。サンガボールやルーズボールを奪う動き、その後の展開、どれを見てもサンガより確実に1歩早い。それをピッチ全体で忠実に実行し続けるのだから、サンガは常に後手を踏む他無い。20分には、前線へアーリークロスを放り込まれるが、走り込んだ大島がトラップをミスしてくれて(?)ピンチを切り抜ける。サンガも21分、松井が中央突破を図るが、飛び出してきたGKのセーブでシュートには至らない。22分にも熱田のクロスに合わせて上野がヘディングシュートを放つが、惜しくも枠を外れる。24分には、右サイドでの連携ミスを突かれ、山形が逆襲。朴の守備で何とか止めたが、このプレーで朴にイエローカード。ここからのFKは、黒部が戻って懸命のクリア。

 29分、久しぶりにサンガの時間。松井がゴールライン際でキープし、CKを得る。しかしこれも跳ね返され、中村が遠目からヘディングシュートするも、枠を捉えることが出来ない。31分にもペナルティエリアの外側からFKのチャンス。しかし黒部のキックは壁に当たる。ここでサンガは少し盛り返したかに見え、山形サイドでボールをキープはするのだがシュートを打てず、逆にボールを奪われてカウンターを食らう。35分にも右の熱田から黒部と繋いでミドルシュート、しかし枠の左へ外れる。36分、ここまで何とか持ちこたえてきたサンガDFだったが、枠の中へ来た山形のFKを中河がパンチング、運悪くクロスバーに当たったボールはゴールラインの少し外でバウンド、そこに山形のFW根本が詰めて、先制点を許してしまう。

 更に39分、ゴールキックを蹴ろうとした中河にホイッスル、間接FKの指示。どうやら“6秒ルール”に引っ掛かったらしい。確かに中河は比較的長くボールをキープする傾向にあり、この時も10秒近く持っていたのは事実だが、実際にこのルールが適用されるのを、こんな形で目にすることになるとは考えもしなかった。ペナルティエリアに入ってすぐの付近から間接FK。蹴る前に壁を崩してプレッシャーをかけに行ったところを山形MF佐藤に狙われ、2点目を許してしまう。サンガもまずは1点を返そうと、42分のCKの際に上がっていた辻本がシュートしたり、43分にも熱田がミドルシュートを放つなど攻めの姿勢は見せるのだが、いずれもGKがキャッチ。山形のDFを崩せていないということか。結局、2-0のまま前半が終了。

 後半開始。珍しく、0分に選手交代。中村を下げて野口、上野を安と交代。2点ビハインドの展開、前半の流れのまま山形が攻めてきた立ち上がり。しかし2分、ペナルティアーク付近でボールをキープし、熱田から黒部と繋いで右でフリーだった松井へ。飛び出してくるGKの上を浮かせて松井が放ったシュートは、ゴールネットを揺らす。2-1。

 4分、熱田へ長いクロスボールが通り、そこから一旦下げて朴がゴール前にフィード、GKがキャッチするもファンブルする場面があり、追加点の期待が膨らむ。しかし6分、山形のやや遠目からのFKが壁に当たってコースが変わり、ゴール前の密集地帯へ。山形の選手がゴール前でフリーだったFW根本に流し、シュート。難なく決められて3-1。ここまで全失点がFKがらみ。ツキが無い、と片付けてしまうのは、サンガに欠けている“何か”に目をつぶってしまうことになってしまいそうな気がしてしまう。

 3失点目を喫した後、サンガはマイボールをキープして攻撃こそ仕掛けるものの、決定的な形を作ることが出来ない。山形としても無理に仕掛ける局面ではないだけに、ペナルティエリア手前までは“ボールを持たされている”のかもしれない。それでも14分には、朴が中央で組み立てて右の熱田がゴール近くまで切れ込んでシュートを放つが、DFにクリアされる。そして15分、左サイドの安がペナルティエリア内で構える黒部へパス、山形DFを背負いながら放った振り向きざまのシュートが決まり、3-2。録画で確認するとFW的な格好の良いゴールなのだが、スタジアムではそれを楽しんでいる余裕は無かった。16分には、松井の不用意なパスからカウンターを食らい、ゴールポスト直撃のミドルシュートに冷や汗をかく。1点差に詰め寄られた山形は、これを機に再び攻撃モードに入る。

 18分、右サイドで安がキープしCKを得て、最後は熱田がミドルシュートを放ったが枠の上。21分には、自陣から熱田がロングフィード、最前線の安が上手くトラップして突破を図ったが、ハンドの判定。山形はここからサンガの右サイドを深くえぐってきてセンタリング、中河が一旦キャッチしながらボールをファンブル、それを目ざとく押し込んだFW根本が、ハットトリックとなる3点目を決めて4-2。1点差に詰め寄っては引き離される、歯がゆい展開。

 沈滞した流れの中、28分には松井を下げて宮崎を投入。攻撃的なカードを切り終えてしまった。29分にはロングパスを受けてドリブルで突進していた黒部がペナルティエリア内で倒されるも、CKの判定。しかし熱田のキックは決定機を作れず。30分には朴が右から中に切れ込みながらミドルシュート、しかしわずかに枠の上。33分には山形の逆襲。中央をドリブルで上がりながらサンガDFを引きつけ、右でフリーだった選手にパス、シュートを許すが中河がセーブ。34分にも危ない場面を2回作られてしまう。35分には、前線にフィードした山形の選手に、熱田が遅れ気味にスライディングタックルしてイエローカード。これで再び累積警告での出場停止。しかも2試合連続となってしまう。

 36分、山形のFKをヘディングで押し込まれかけるが中河が辛うじてパンチング、クロスバーに当たったが今回は難を逃れる。39分、ようやく右サイドを起点に組み立て、中央で石丸がシュートを放つがGKがキャッチ。山形は41分、大島を下げてこれも元サンガの吉田を投入。42分には、ペナルティエリアの外で黒部が倒されFK。ここで山形も2人目の選手交代で時間を使う。黒部のキックは壁に当たり、セカンドボールを再び狙うがこれも跳ね返される。44分にも山形の選手交代。もはや絶望的かと思われた終盤、ロスタイム5分の表示も間も無く、熱田のセンタリングに飛び込んできた辻本が頭で合わせて1点差。劣勢ではあるが、試合がどう転ぶかわからないところまでは持ち込む。しかし残された時間はあまりにも短く、攻め続けたもののゴールネットをもう1度揺らすことができないまま試合終了。4-3。

 挨拶に来る選手達に、サポーターは叱咤の声と激励の拍手を送る。明らかな敗北――4失点もさることながら、内容で圧倒されていた!――とは言え、3点を返して得失点差をマイナス1でとどめた事は、最低限評価しなければならないはずだ。次節、出場停止になるはずの熱田の位置には誰を入れるのか、いやチームは立ち直れるのか。2-0や4-2で終わらなかったという事実に、望みを託す他無い。

 帰りは1人増えて、決して大きくはないCUBEに6人が乗り込む。当然、後部座席に4人を詰め込む形。雨まで降り出し、かなり辛いエピローグ。駐車場から国道に出る道がひたすら長く感じられ、その先には更に追い打ちを掛けるような道路工事。夕食の場所もなかなか見つからず、苦行は永遠に続くかと思われたが、どうにか10時近くになって道路沿いの焼肉屋に駐車。すかいらーく系列の店はかなり空いていて、貸切りに近い。炭火で油の多い肉を焼くと、盛大に立ち上る炎。これもアウェイサポーターへの嫌がらせか、とは誰かの冗談。サッカーの 表ネタ裏ネタが飛び交う時間はあっと言う間に過ぎ、お開きに。再び車に詰め込まれ、市内へ。ホテル前で車を降り、コンビニで食料を確保してから部屋に戻る。時計を見ると12時を回っている。自分のサイトに手を入れて、webを巡回。九州でお会いした方からmailが届いていたので、へこみ気味の返事を書いて送信。1時間ほどで力尽き、ベッドに横になったところで意識が途切れる。




2001 Sep.18

 山形での“寄り道”について、再びmailが届く。割り勘で1000円ほどで済みそうとのこと。スタジアムまでの往復を考えると、十分ペイしそうだ。OKの返事を出す。

 新潟戦の録画を見ながら、土曜日の日記を書く。TV画面からも見て取れる、激しい雨。少なくとも前半は完全に勝っている。後半は、珍しく相手の出方に合わせて布陣を変えてきたのか。知っている限り、試合中にディフェンスラインをあまり弄らないエンゲルス監督としては思い切った事をしたものだ。危ないシーンも幾つかあったが、基本的には真ん中は対処出来ていたように見えるので、これで良かったのかもしれない。3トップの放り込みサッカーよりは意図が見える。途中、銀行に行ったり買い物をしたり昼食を済ませたりと、だいぶ時間をロスしてしまう。夕方からは大慌て。早送りで録画を消化、その後作業。1人分だけで正解だった。3人に話を伺っていようものなら、東北本線で作業していたかもしれない。午後9時を過ぎて、何とか完成、アップロード。mailをチェックすると、返事が届いている。同じホテルに泊まる方がおられるとのこと。ホテル前で拾ってもらえるよう、返信。後は急いで出発の準備。10時をかなり過ぎて、部屋を出る。

 駅に向かう途中、食料の一部を忘れたことに気付くが、時既に遅し。地下鉄を降りると、発車まであと20分余り。京都駅から歩いて数分のセブンイレブンへ急ぎ、ロールサンドだけ購入。バス乗り場で詰め込む夕食。大きい荷物をトランクに放り込み、2階建てバスの1階席へ。低い天井は2度目だが、慣れそうも無い。席に座って、空気枕を忘れたことに気付く。これはちょっと痛い。仕方なくタオルを取り出し、枕代わりに。バスは午後11時に発車。隣の席の女性が他の空席に移動。さすがに堂々と2席を占拠するのは憚られたので、どう寝たものか身じろぎをするうちに、多賀SAに到着。バスを降りて小休止。戻ってくると、さっきの女性が再び元の席に帰ってくる。そう美味しい話も無いかと内心苦笑しながら、大人しく寝る姿勢を再設定。なかなか寝つけなかったが、とりあえず眠ることは出来た。




2001 Sep.17

 天気はまずまず。出発を明日に控え、最後の洗濯。関東在住の某氏からmail。山形で温泉に入りがてら、レンタカーで移動しませんか?とのオファー。微妙な話だが、条件次第では悪くない。こちらの予定を書いて返信。広い風呂もずいぶんご無沙汰だ。10年以上は入っていないはず。

 遅れまくっている日記を、少し追加。4日遅れまでは追い付いたが、コンスタントに行進できる日は来るのだろうか。




2001 Sep.16

 伊勢丹へ行き、デ・キリコ展を観る。奇妙な奥行きのある広場に佇む謎のマネキン、と言うイメージしか無かったのだが、ある意味、そういったモチーフを執拗に描き続けてきたのだという事実を初めて知る。画風は、年代によって驚くほどの変遷を見せているのだが、描かれるものと言えば、剣闘士とそのなれの果てであるマネキン、馬、古代ギリシャ・ローマ風神殿、それだけで9割は占めているだろう。特に、浜辺で跳ねる2頭の馬と、その遠景に見える神殿、という絵が何十枚と描かれているのが興味深い。どれかに“イコン(ロシア正教などに多く見られる聖像)”を引き合いに出した解説文があったが、これだけイメージが反復されると、幾多の馬も、マネキンも聖なる存在に思えてくるというのも頷ける。それらが果たして、キリコの中において如何なる存在であったかまでは捉えきれなかったのだが、廃墟を前に佇む顔の無いマネキンには、あまたの聖像と共通する、神々しい居ずまいがあるのは確かであると感じた。




2001 Sep.15

 朝から髪を切る。土曜日の午前中ということもあって、やや混雑した行きつけの床屋。暑いですねえ、とお決まりの文句から雑談が始まり、テロとラーメンネタに繋がる。1時間ほどで終了。昼食とスタジアムで食べる分のパンを志津屋で買い、帰宅。

 昨日から雲行きが怪しい。出発前、磐田vs浦和戦を見ている間にも、突然激しい雨が降り出したり“滋賀県に大雨警報”のテロップが流れたりと、今夜の観戦に不安を抱かせるには十分なプロローグだ。それにしても、久しぶりに見たJ1の試合、速い。J2と比べたら、スポーツニュースのダイジェストでプレミアリーグの映像を見ているかのような錯覚に囚われてしまう。勿論、ヨーロッパのトップリーグと比べれば、磐田のサッカーとて遅く感じられるのだろうが、こういう感覚は相対的なもの。J2に慣れ切ってしまったのか。試合は、ほぼ磐田ペース。浦和は小野が抜けた穴を埋めきれていないようだ。しかし、突破してシュートまで持ち込むエメルソンは流石だ。あの破壊力には磐田の観客も唖然としたに違いない。だが、藤田の攻撃を組み立て、自らも得点に絡む能力は素晴らしい。J1でのパフォーマンスを見ると、代表でパッとしないのが不思議に思えてくる。そして、圧倒的な力の差を見せつけながら、90分では勝てなかった磐田。これもまたサッカーか。

 午後5時も近付き、傘とポンチョを持って出発。丸太町駅に向かう間は、ごく弱い雨足。この程度で済んでくれれば助かるのだが。西京極に着く頃には、雨は上がってしまう。空を見上げると、雲の切れ間から、ほんのわずかだが青空が覗いている。知り合いに挨拶。フィールド内では、サンガJrユースと朝鮮中級学校のチームとがエキジビションマッチを繰り広げている。通路に立って、しばし観戦。トップチームより面白いなあ、と誰かの声。対戦相手との実力差はあるものの、それを差し引いても少しは攻撃的か。パスの回し方を見ていると、トッ プと同じ指導をしているのか、どこかダブって見えるのが可笑しい。試合が終わって、横で見ていた方に無理を言ってお願いしてみる。10分ほど経って、完全装備に身を固めて写真撮影。空模様を睨みながら、話を伺う。もう1人行けるか?とも思ったが、5分ほどすると雨が降り出して断念。今日は1人だけ。

 試合前、いつもとは少し違う雰囲気。キックオフまでは歌を自粛しているのだろう。短い黙祷――鳥取での大宮戦といい、1年に2回もこんな事があるとは思わなかった――の後、キックオフ。堰を切ったように溢れ出す応援歌。今日は鈴木が出場停止で、3バックの左には角田が入る。そして2トップの一角に黒部が復帰。朴はまだ大事を取っているのか、安や佐藤と並んで控えメンバーに。コリアンデーと言うには、すこし寂しいスタメン。今日も松川が先発だ。

 開始1分、サンガはペナルティアークの少し外側からのFKを得る。黒部のキックは、枠へ向かって奇麗な弧を描いたが、少々勢いも足りずGKがパンチング、その後のCKもDFにクリアされる。ピッチコンディションに手を焼いているように見える新潟。遠目にはわかりにくいが、エキジビションマッチを見た限りでは、かなり水が溜まっている箇所もあるようだ。多くの人がベストゲームに挙げる、雨の川崎戦の再来となってくれればよいのだが。5分、松川の素早いリスタートから、左の中村と繋いでクロスボール、黒部が頭で合わせるがこれは枠の上。

 6分、新潟の攻撃。サンガの右サイドを抉ってセンタリングを上げるが、DFがクリア。9分、右サイドでパスを受けようとした熱田が倒され、新潟のMF秋葉にイエローカード。ここからのFKは活かせなかったが、最後は松井が頑張りCKに。しかしこれもクリアされ、逆襲を食らう。スピードに乗った攻撃だったが、DF陣が切り抜ける。この辺りから新潟の時間帯となり、やや押し込まれるサンガ。しかし、何本かのクロスボールに合わせる選手がおらず、最後は中河がキャッチ。

 13分、トップに入れたロングボールを、一旦は新潟DF陣にクリアされるが、それを熱田が拾って右サイドから絶妙のアーリークロス。ゴール前でDF2枚に囲まれながらも、黒部が頭で合わせてサンガが先制。やや押されていた時間帯での得点だけに、流れはこちらへ。15分にも、CKにヘディングで合わせた黒部だが、これは枠を外れる。

 17分、ペナルティアークの少し手前からFK。熱田と黒部がボール前に立つが、熱田がキックモーションを見せてから黒部が蹴り、壁の間を抜けてゴールを脅かしたが、GKが弾き出す。と思ったら壁に入っていた選手が動いたらしく、イエローカードが出されてやり直し。今度も黒部が蹴り、今度も良いコースに飛んだがGKが再びセーブ、CKに。ここは角田が頭で合わせるが、枠を捉えずゴールキックに。この辺りから再び激しい雨となり、透明なポンチョを着込む。傘も役に立たないのか、屋根のある位置に避難する人々もいる。前の方で、わざわざ濡れながら応援する小学生の一団。風邪ひかなければ良いのだけど。水を透すはずは無いのに、薄いプラスチックフィルム越しに雨の冷たさが伝わって、肌が濡れたように思えて仕方がない。

 23分、サンガのペナルティエリアの少し外から新潟のFK。新潟の得点源アンドラジーニャが蹴るが、壁が跳ね返す。25分、松川から上野に当てて左の中村と繋ぎチャンスを窺うが、新潟DFもきっちりマーク、仕事をさせない。26分、ようやく松井の動きが目立ち出す。左サイドから中央へドリブルでキープして攻撃の起点となり、ペナルティエリア内での混戦をするりと抜け出してシュート。これはGKに跳ね返されたが、セカンドボールをサンガが拾い、黒部がDFを引きつけて中村へ。DFの間を抜く鋭いシュートで、追加点を奪う。

 29分、左サイドを新潟に攻められ、CKのピンチ。ゴール前でややもたついたがクリア、ロングボールに松井を走らせてカウンターを狙うが、屈強なDFセルジオに身体を寄せられ、ボールコントロールに失敗。30分には右に流れてセンタリングを上げた松井だが、これは誰にも合わず。34分、新潟は中盤からサンガの左サイドへロングボールを出して選手を走らせるが、角田が対応、新潟の選手が倒れるが笛は無し。

 37分、新潟はDFラインから攻撃を組み立て、サンガDFの裏へスルーパス、これをMF鈴木が鋭くシュートするが、中河のファインセーブで跳ね返す。前半も終盤となり、雨足もようやく弱まってくる。しかしピッチコンディションは最悪、特に北側半分のバックスタンド側、センターラインからペナルティエリア手前までは、選手が走ると派手に水しぶきが上がり、グラウンダーのパスもすぐに止まってしまう始末。そこかしこで足をとられて転倒する選手も続出。そんな中、40分には上野から黒部へクロスボールが通り、ヘディングシュートするがDFに寄せられて枠の右へ。41分には新潟のコントロールミスしたボールがゴール方向へ転がり、上野が素早く反応してシュートしようとするがDFの出足が1歩早く、倒されるもノーホイッスル。43分、サンガはペナルティエリアの左やや外側からFK。今度は黒部がモーションだけで熱田が蹴り、枠を捉えるもGKが正面でキャッチ。ロスタイム、新潟の反撃。ペナルティエリアの外、斜め横の位置からという危険な状況だったが、中河がパンチングで跳ね返す。そのボールを京都が拾い、前線の松井を走らせるが、ゴールを狙ったループシュートはGKの飛び出しに阻まれる。ここで前半終了。2-0で折り返す。

 ハーフタイム、サムルノリの披露などもあっていつもとは違う雰囲気。幸いにも雨は止んでくれた。新潟はここでDFを1枚減らしてFW黒崎を投入、後半開始。立ち上がりから1点を奪おうと積極的にしかけてくる新潟。1分には早くもCKのピンチ。これはサンガの選手がきっちりと守り、切り抜ける。3分、新潟のゴール前でチャンスメークを図るが、シュートまでは至らず。4分には中盤でボールを奪った熱田が素早く前線へフィード。ゴール前の微妙なバウンドに上野が走り込むが、GKが何とかキャッチ。5分、新潟は立て続けにサンガゴール前にクロスボールを入れてくるが、精度を欠いてか合わせる選手がいない。

 8分、松川を下げて佐藤を投入。見たことのない選手交代に、双眼鏡でポジションを観察。しばらくチェックしたが、どう見ても4バックだ。しかも、トップの選手にマンマーク気味に張りついているように見える。極めて守備的な4バックか。今シーズン、4バックをテストしたとか言う話は聞いたことがないのだが。あるいは2点リードなので、いきなり実戦で試すつもりなのだろうか?

 11分、中盤で競り勝ったボールを黒部が右の熱田へ。熱田はダイレクトで中央の松井に繋ぎ、スルーに近い形で左の中村が貰い、シュートまで至るが体勢を崩しながらで枠を大きく外れる。13分、新潟はサンガの左サイドからの攻撃。センタリングを一旦はクリアしたが、それをFWアンドラジーニャがシュート。しかし足場が悪く、ボールは遥か上空へ。15分、新潟はFKからチャンスを作り、サイドに流れたアンドラジーニャが粘ってセンタリング、これをFW氏原が頭で奇麗に合わせるが、中河が再びファインセーブ、ゴールを許さない。ここで黒部が倒れ、ピッチの外へ。CKのピンチだったがこれは新潟のシュートミスに助けられる。ここで黒部に代えて朴を投入。

 19分、新潟はスローインからアンドラジーニャがキープ、中央まで持ち込んで自らシュートするが、勢いも無く中河がキャッチ。その後、朴が中盤の起点となって攻撃を組み立て。ゴールには迫るが決定的なシュートは打てない。しかし、新潟のGKとDFの連携が悪く、サンガがボールを拾って中村がセンタリング。しかしGKも反応良く飛び出し、クリアされる。21分、新潟は氏原がシュート、しかし枠を捉えず。22分にも黒崎が倒れ込みながらも鋭いシュートを放つが、これはDFに当たったらしくCK。積極的に攻め込んでくる新潟だが、足場の悪さ故かわずかに精度を欠いているように見える。

 24分、サンガはFKから新潟陣内でボールを回してチャンスを窺い、最後は上手く抜け出した熱田がマイナスのセンタリングを狙うが、DFに阻まれCK。これもマイボールでキープしたが、朴のクロスはミスキックとなりゴールの上を越えて行く。しばらくは中盤での攻防となったが、27分には新潟にCKを与えてしまう。しかしこれは中河がパンチングで逃れる。30分、ペナルティエリア横から新潟のFK。しかしこれはサンガDF陣がきっちりとクリア。31分、アンドラジーニャが下がって深澤が入る。FKの脅威は少し減ったか。

 32分、ペナルティエリア前から黒崎がDFに寄せられながらもシュート、CKとなるがこれもクリア。しかし再び新潟ボールとされ、クロスを上げられるが誰にも合わない。33分、松井に替わって安。やっとコリアンデーらしくなってきた。しかし、何が起こったのかはよくわからなかったが、石丸にイエローカード。勿体ない。34分、そのセットプレーを新潟の選手が頭で合わせ、ボールは枠に向かったが中河がキャッチ。35分、ようやく安を走らせようかというシーンになるが、長い縦パスはそのままタッチラインを割ってしまう。今日のピッチコンディションは、安には少々酷かもしれない。36分にもDFと勝負する安。しかしこれはセルジオの勝ち。

 38分、新潟の縦パスをゴールキックにしようとして粘る角田が、新潟の選手に倒されしばらくうずくまるも大事には至らず。41分、ポストプレー崩れで新潟の選手とボールを奪い合っていた上野にイエローカード。これもちょっと勿体ないが、主審の目の前、仕方がないか。44分、久しぶりにサンガの攻撃。右の熱田と安でチャンスを作ろうとするが、最後の熱田のパスが安の呼吸に合わず、クリアされる。ロスタイムに入り、左サイドでのキープから上野へクロスボールが入るが、DFと競りながらで合わせることが出来ない。だいぶ疲れた様子の上野。FWだがピッチ上を縦横無尽に走り回っているのだから無理も無い。新潟はここで秋葉に替えて神田を投入。よくわからないが、縦の突破を託したということなのだろうか。残り時間もわずかとなったが、新潟に決定的場面を作らせることも無くロスタイムも過ぎ、試合終了。2-0。

 勝ちはしたものの、いつものような“はじけた”感情表現は自粛。通路で、知り合いとしばし雑談。4バックは間違いなさそうだ。特に用も無いので、そのまま西京極駅へ。新潟サポが5〜6人集まる横で電車を待つ。何事か話はしているようだが負け試合の後、推して知るべしか。四条烏丸で乗り換え、真っ直ぐ帰宅。




2001 Sep.14

 朝起きると、冷蔵庫のドアが開いている。慌ててフリーザーの中身をチェック。やられた。見事なまでに、中途半端な解凍状態。冷凍野菜はふにゃふにゃ、食べかけのアイスクリームは液体に。泣く泣く、ゴミ袋行き、そのまま収集に出す。勢いで、霜取りを敢行。かなり長い間手を付けていなかったので、内壁に分厚くへばりついた霜を削り落とすと庫内は一回り広くなる。怪我の功名、と言うにはちょっと勿体なかった。

 最終日ということで「猿の惑星」を観に行く。金曜日の初回なので1,300円を支払い、京極東宝へ。観客は少ない。10人いただろうか。CM無しで本編開始。紛う事なき、ティム・バートン映画。猿の街の造形(特に遠景)など、彼の美学がそのまま出ている。SF映画としては技術的にツッコミどころ満載、という気もしないでもないが、あの作品にそれを求めるのは筋違いというものだろう。最後のオチは、初代の有名なショットをバートン的に解釈したものか。自由の女神は、倒壊しつつもその顔をそのまま留めてはいたが、今回は... ひねくれ者の面目躍如だ。新京極のサカエに寄り、買い物をして帰宅。

 午後、突然の豪雨。明日が思いやられる。




2001 Sep.13

 午後、ちょっと外出。河原町から東に入った所にある王将で昼食。その後、丸善に寄って立ち読み。しばらくして河原町通に出ると、横断歩道の側にある、信号機を支えている柱に貼り紙があるのに気付く。良く見ると、今回の事件の首謀者、と各メディアで喧伝されている人物の指名手配書だ。無論、公的機関がそんなものを貼り出すはずもなく、如何にも手製の――ワープロとスキャナ、プリンタとカラーコピー機で作りました、と言う風情の――ビラが、無雑作に貼り付けられているだけである。信号がすぐに青になり、わざわざ近寄っては見なかったので、どれほど本気で、あるいは冗談で作ったのかはわからない。大体、噂される人物が京都にいるはずは(まず)ないのだ。トイレの落書きにも等しい悪戯が、わずかとは言え早くも街ににじみ出ているという現実。これ以上、世界が綻びなければよいのだが。しかし私の知っていた世界は、日々身震いをしながらその姿を変えている。




2001 Sep.12

 TVを見ながらもいつの間にか眠ってしまったらしく、気が付けば窓の外はすっかり明るい。スタートレックの放送が結局流れてしまったのまでは覚えているのだが。どの局も当然、あの事件一色になっている。バラエティ色はブラウン管から一掃され、その代わりにショッキングな映像が執拗に流される。テロの首謀者たちは、自らの行為がこうして世界中に際限なくリピートされることまで計算した上で、あの場所とあのやり方を選んだのだろうか。だとしたら、まさに悪魔的な頭の良さであるのは間違いない。これから何が起こるのか、気の早い識者なる人々はシナリオを書いてみせている。しかし、現実はおそらく、彼らの予想を越えたところで動くような気がしてならない。

 TVばかり見ていて、あっと言う間に時間が過ぎる。とにかく片付けなければと、作業を進める。甲府戦では1人だけ、しかも写真を断られてしまったので、楽ではある。テープ起こしとhtml化を済ませ、サーバーにアップロード。それでもまだTVを見てしまう。神の名を借りた、人の憎悪の為せる技を。




2001 Sep.11

 東北シリーズまで後1週間となって、ようやく移動手段を押さえようと画策。今回はJRの周遊きっぷを使おうと思っていたので、今日になって旅程表をでっち上げる。ルートは色々考えたのだが、結局は以下のような行程となった。

往路:京都→(JR夜行高速バス)→東京→(東北本線)→福島

福島から山形は周遊きっぷ「福島・蔵王ゾーン」で周遊

復路:岩沼→(常磐線)→(勝田で途中下車)→東京→(JR夜行高速バス)→名古屋→(東海道線)→京都

 試算では24,000円ちょっと。水戸戦終了後に特急で東京(正確には上野)まで出て高速バスに乗ろうとすると、新宿発京都行きか東京発名古屋行きしかない。だが、新宿発のニュードリーム京都号は、周遊きっぷの行程に組み込めない規則になっていて断念。変則的に名古屋行きのバスを採用。面倒だが、多分ベストの選択だとは思う。

 自転車で京都駅まで走る。他の所用を済ませ、みどりの窓口へ。順番待ちの列に並ぶこと数分、自分の番となる。あらかじめ作っておいた旅程表を示して周遊きっぷを申し込むが、バスを挟む処理がわからないらしく、窓口のお姉さんが端末の前で固まってしまう。しばしの試行錯誤の後、時刻表を見たり他の駅員の応援を頼んだりで、ようやく正常な発券作業が始まる。結局10分以上はかかっただろうか、どうにかバスの指定券も含めた周遊きっぷが完成。少々ややこしい注文だったのは承知の上なので、軽いお詫びの言葉を残して窓口を後にする。料金は、予想よりわずかに安い23,500円。どこで計算が違っていたのかはわからないが、オーバーしたわけではないので結果オーライ。どうせ勝田→上野間で自由席特急券が必要なのだから、少しでも安い方が有り難いのは間違いない。

 夜のニュースに関しては、もはや詳細を書く必要も無いだろう。多くの人が第一印象として感じているのと同じく、リアリティの欠如した現実に唯々驚く他無かった、というありきたりの反応。しかし、不謹慎の誹りを恐れずに書くならば、「ハリウッドその他の特撮屋さんは、本物のカタストロフを参考にしようとVTRを回しなら、同時に頭を抱えているに違いない」という想像もまた浮かんできたのも事実。なぜこんなイメージが沸き上がったのかはわからないが、その後はひたすらTVを眺めるばかりだった。湾岸戦争の時は、徹夜で書いていたレポー トが仕上がらなくて、尻切れ状態の最後に、言い訳を書いて提出したっけ。10年が過ぎ、同じ夜が再び。




2001 Sep.10

 夕方、ふと窓の外を見ると雲がオレンジ色に染まっている。その時は、良い色だな、ぐらいにしか思わずに見るのを止めてしまったのだが、後で聞けば、大きな虹も出ていたらしい。窓を開けて見てみなかった事を後悔。




2001 Sep.9

 青春18きっぷを消化するために、名古屋へ。何度も通った線路、名古屋より先に行かないというのもちょっと変な気分だ。地下鉄に乗り換え、繁華街・栄へ。松坂屋の上階にある鰻の店へ。昼のピーク時は過ぎていると思っていたら、10人ほどの行列に並ぶ羽目になる。しばし待たされ、店内へ。名物の「ひつまぶし」を注文。運ばれてきたおひつから、早速茶碗に取り分ける。鰻が香ばしく、単なる丼ものとしても十分に美味しい。2杯目で薬味を入れてみる。アサツキが意外と合う。最後に出汁をかけて、お茶漬け風にしても美味しい。冷静に考え ると、鰻丼(上)相当で2000円でおつりが来るぐらいのものだとは思うのだが、それに付加価値――美味しい食べ方――を付けることで、2300円の値段を妥当なものにしている。考案者は、なかなかのアイデアマンだ。

 食事を終え、地上に降りる。セントラルパークが切れた先に「蘭の館 NAGOYA」という施設があるということで入ってみる。別に蘭に興味など無いのだが、これが以外と和める空間。蒸し暑い温室のような所を想像していたのだが、蘭を展示しているアトリウムは意外と涼しく、快適だ。木製の机と椅子も用意され、しばし休憩。イギリス風の庭園はやや地味な印象だったが、花のある生活を提案する(?)書斎風の展示室も、椅子やソファー(これがまた結構な座り心地)で休憩OKという、太っ腹な施設。これがわずか数年前に出来たというのだから、名古屋 建築界の奇跡かもしれない。入場料700円は微妙に高いかもしれないが、都会の真ん中でこの空間は貴重だ。一度体験する価値はあるはず。

 LOFTまで移動し、コーヒーを飲んで上階へ。しかし陽も傾きつつあり、30分ほどで外に出る。再び地下鉄に乗り、名古屋駅へ。幸い、米原まで走る電車に乗ることが出来た。米原では混雑を避けて普通電車に乗り換え、のんびりと京都駅へ。10時も目前に到着。青春18きっぷもこれでおしまい。次は東北への旅が待っている。




2001 Sep.8

 仙台戦の録画を確認していたら出発がやや遅れる。それでも延長後半を消化できていない。日程が詰まっている時に延長戦でなくても、とどこかピントのずれた悪態を心の中で呟く。コンビニに寄って、駅でスルッとKANSAIカードを買っていたら、地下鉄・阪急共に1本ずつ乗り逃がす。どこかツキの無い始まりだが果たして。

 西京極のA南に着いたのは6時前。その割にはお客は多くない。試合前の練習時間になって、ようやく声を掛ける。電光掲示板下に陣取る男女2人連れだったのだが、写真はNGとのこと。仕方がないので、フィールドを撮ってそれをプリント、URLとmail addressを伝えるためとはいえかなりの変則的なやり方だ。まあ、こんな事もあるかと苦笑しつつお話を伺う。幸い、話の方はスムーズに進み、胸をなで下ろす。出遅れたこともあり、今日は1人だけ。

 キックオフ。前節に続き黒部がいない。2トップは上野と安。負傷欠場の朴に替えて、松川が入る。最下位の甲府が相手とは言え、チーム状態がやや良くない状態での試合。過去2戦のこともある。きっちり勝ち点3を取れるだろうか。開始早々、甲府は果敢に突っ込んでくるが、DF陣が冷静に対応。サンガは攻撃を組み立てようとするものの、甲府のチェックも早い。それでも2分、松井がミドルシュートを放つが枠を外れる。3分、自陣でもたつく間にボールを奪われ、最後はシュートまで持ち込まれるが、中河がしっかりキャッチ。下位チーム相手の試合に見られる、どこか締まりのない立ち上がり。

 5分、安が左サイドからセンタリングを狙うが、DFのクリアボールが自身に当たり、ゴールキック。6分には右に流れた安がセンタリング、DFのクリアボールが安に帰ってきて、再びセンタリング。松井が頭で合わせるが、枠を捉えることが出来ない。8分、右サイドで攻撃を組み立てるが、決定的な形は作れない。

 10分、左サイドの攻撃からCKを得る。熱田はショートコーナーを選択、最後は安がシュートを狙うがGKがキャッチ。11分、石丸がミドルシュートを狙うが甲府の選手に当たり跳ね返される。13分、甲府はセンター サークル付近からFK。サイドを抜け出してシュートまで持ち込むが、オフサイド&枠の上。サンガはボールキープは出来ているものの、甲府守備陣を崩すことが出来ない。しかし14分、松川がドリブルで自陣から甲府のペナルティエリアまで持ち込み、そのままシュート。ボールはGKの手を弾いてゴールの中へ。松川の久しぶりの得点(16試合ぶりとのこと)で、先制。

 16分、右サイドで粘った上野からチャンスが生まれ、松井→安と渡ってシュートまで持ち込むが、ジャストミートせずGKがキャッチ。その後、自陣左サイドをロングボールで突かれるが、松川の体を張った守備で跳ね返す。甲府の11番にイエローカード。18分、センターライン付近からのリスタートから右サイドの安へ。安は力強い突破でペナルティエリア深く切り込み、マイナスのパスに飛び込んできた石丸がきっちりと枠に蹴り込み、早くも追加点を奪う。元々攻撃力のある2人とは言え、ディフェンシブなポジションに置かれた選手が点を取るという今日の展開。

 19分、サンガ左サイドを突いてくる甲府の攻撃を、中村がクリーンなスライディングタックルでクリア。CKとなるが、これを跳ね返しカウンター攻撃。しかしドリブルで突破し熱田へ出そうとしたパスがカットされ、チャンスを活かせない。21分には、松川が左に流れていた松井へパス、そのままペナルティエリアまで切れ込んでシュートするが、枠を捉えることが出来ない。松井は23分にもシュートを放つが、これはGKに阻まれる。

 前半も半分を過ぎ、やや膠着した試合展開となる。2点を取って安心したのか、次第にまったりとした空気が漂い出す西京極。しかし29分、甲府がするするとサンガ陣内に攻め込み、ペナルティエリア内の選手を起点にゴールを脅かそうとするが、精度を欠いてシュートまでは至らず。

 31分、左サイドの安にスルーパスが通り、そのままドリブルで中央→右と流れる。そこから再びパスを繋ぎ、最後は松井がループシュートを狙うが惜しくも枠を外れる。その後もサンガペースでボールを支配。甲府はマイボールになってもパスを繋ぐことが出来ず、なかなか攻撃の形を作れないでいる。35分にはCKを得るが、サンガの守備を崩すようなものでは無い。

 38分、右サイドのスペースに自陣から長いボール、熱田が良く走ってキープするが、甲府の選手に倒されFK。DFの意表を突くようなマイナスのキックだったが、走り込んできた石丸からの展開が出来ずにチャンスを活かせず。41分、甲府にゴール前まで攻め込まれるが、甲府のシュートは枠を大きく外れる。44分、ペナルティエリア前の上野から左の安へ流しセンタリングを狙うが、甲府DFがカット。攻撃を組み立てようとした甲府の選手を後ろから倒してしまい、石丸にイエローカード。特に切迫した局面ではなかっただけに、ちょっと勿体ない反則を 取られてしまった。ロスタイム、中村の踏ん張りでCKになりそうなボールがスローインに。最後はセンタリングからシュートまで持ち込まれるが、枠を外れて難を逃れる。前半終了、2点リードは順当か。

 ハーフタイム、試みに採ってみたメモに目を落としてみるが読みづらい。どうやらメモだけで試合を思い出すのはなかなか難しそうだ。そもそも、応援しながら記録しようというのが間違っているのかもしれない。目の前の試合に対する接し方が中途半端になってしまう。少なくとも、ゴール裏でやることではなさそうだ。

 後半開始、選手交代は無し。開始早々、中盤からのロングボールを上野が頭で合わせるが、GKがキャッチ。1分、オフサイドではあったが甲府のシュートを中河がファインセーブ。3分にも、山なりのヘディングシュートをギリギリのところでキャッチ。4分、安が右サイドで粘りFKのチャンス。ゴール前でやや混戦となるが、最後はファウルがあったらしく甲府ボールでのリスタートとなる。5分、安がドリブルで抜け出そうとするが、DF2枚に挟まれ倒されるも笛は無し。6分、松井がゴール正面から強烈なシュートを打つが、枠を外れる。

 8分、右サイドセンターライン付近で甲府の選手を止めた鈴木にイエローカード。これで累積4枚、次節の新潟戦には出られない。角田が出るのか、はたまたベテラン陣か。9分、珍しく中村がゴール正面まで入り込みシュートするが、GKに弾かれる。セカンドボールも拾って、最後は石丸がミドルシュートで今日2点目を狙うが、惜しくも枠の上。

 12分、甲府のパスが乱れたところを熱田が奪い取り、ドリブルで上がって松井へ受け渡すが、DFを背負いながらで松井はシュート体勢まで持ち込めない。13分、安を下げて宮崎を投入。14分、センターライン付近で麻植のが倒されFK。左コーナー方向への長いボールに宮崎が追いつき、右へ展開して熱田と松井がキープするのだが、チャンスは作れず。16分、サンガ陣内で松川が倒されたように見えたのだが、FKは甲府ボールの判定。これをシュートまで持ち込まれるが、ゴール前でのファウルと中河の好セーブでピンチを脱する。手島が痛み、しば らく試合が切れる。

 19分、松井が熱田とのワンツーでペナルティエリア横まで上がり、ループシュートを狙うが枠の上。後半も中盤になり、両チームともチャンスメークの手前で潰し合う、あるいは失敗するような試合展開。スタジアムから少しずつ緊張感が抜けていくような気がする。22分、甲府は攻撃的な中盤の選手を入れ換え、活性化を図る。これが功を奏したわけでもないだろうが、アーリークロスにFWが頭で合わせ、サンガゴールを脅かすが枠を外れる。23分、甲府DFの不用意なバックパスに松井が反応、GKと1対1になるがGKが1足早くクリア。24分、右サイドを上野がドリブルで上がりセンタリング、DFがクリアしたボールに松川が飛び込んでくるが、再びクリアされる。

 25分、CKからの甲府の攻撃をしのいだ後、中村に替えて野口。甲府は27分、ミドルシュートを放つが枠を外れる。28分、宮崎が中央突破を図るがDFに潰される。松井も左から、熱田も右からと攻撃を仕掛けるが、甲府DFがクリア。30分、甲府のCKをクリアしてカウンター。宮崎が溜めを作って左サイドを駆け上がる松川へ。甲府DFがほとんど追いつけない状況で中央の松井、右の熱田と渡ってシュート。しかし熱田の蹴った弾道は枠の横を鋭く逸れてゆく。スタジアムが失望の溜息に包まれる。
 32分、甲府は2トップを入れ換え、交代枠を使いきる。33分、ドリブルで左サイドを上がってきた宮崎がミドルシュートを狙うが枠の上。試合ごとに積極的な姿勢が見えてくるのが楽しみだ。後半も終盤が近づき、甲府がボールをキープする時間が次第に増えてくる。しかし、パスやトラップに精度を欠いて、どうしてもフィニッシュまで持ち込めない。だが、サンガも積極的に攻めるでもなく、どこか緊張感の薄い時間が流れる。

 41分、久しぶりにサンガの時間帯。野口がドリブルでペナルティエリア前まで切り込み、上野を経由して松井に預けるが、ファウルがあったらしく甲府ボールに。42分には左サイドを手島が上がり、ライン際に長いボールを蹴るがチャンスには結びつかず。44分、甲府も1点を返そうとサンガの右サイドを突いてくるが、手島がクリア。ロスタイムに入りCKを与えてしまうが、これもDF陣がきっちり対処。後は時間を使うのみ。波乱も無く、2-0で試合終了。

 試合終了後、素晴らしい先制点を奪った松川にA南から長いコール。その声に応えて再び現れ、臨時の握手会。最近のファンサービスを象徴するようなシーン。惜しむらくは、3002人の観客の、更にごく一部しかこういう近しさを感じられないということ。もっとたくさんの観客が、楽しさを共有できるようなスタジアムになってくれれば良いのだが。




2001 Sep.7

 買い物その他を済ませに河原町方面へ。Zestの御池紀伊国屋で雑誌を買い、地上に出ようと戒壇を歩いていると、湘南戦でお話を伺った男性とばったり出会う。日常生活の中で偶然にも出会うというのは初めての経験。京都は狭い。

 テープ起こしと写真の加工を終え、htmlに落としてサーバーにアップロード。時間が無ければ集中できるもので、何とか短い間に完成できた。これが中6日だとなかなか手が動かないのだから、おかしなものだ。人間、余裕がありすぎるのも良くないらしい。自分で適度な緊張を維持出来ればよいのだろうが。言うは易く、行うは難い。




2001 Sep.6

 目覚めると都内。浅草辺りだったか。斜め前の席にいたはずの某氏はもういない。福島で無事降車できたのだろう。東京駅近くに到着。駅地下の銭湯に寄ってから出勤だという同行者と別れ、改札口を通る。早朝の東京駅。午前7時にもなっていないのに、京浜東北線などは既にかなりの混雑ぶり。沼津行きの電車は、7割程度の乗車率だろうか。しかし、徐々に混み出す車内。それでも、すれ違う上り電車に比べれば余裕がある。文庫本を読みながら、8時37分に三島に到着、途中下車する。

 三島駅前は、沼津駅以上に地方都市の色合いの濃い街並み。繁華街は離れたところにあるのだろうか、駅前には百貨店などの大きな建物は見あたらない。少し歩いてみたが、開店前のモスバーガーが見つかっただけ、仕方なく駅に戻り、ホームでコーヒーだけ飲んで次の電車に乗り込む。静岡と浜松で乗り換え。浜松からの電車で、隣の席に座った親子連れ。ポルトガル語(多分)で話しているところをみると、ブラジルからの移住者なのだろうか。小さな子の荷物には"ALEX Hiroshi"の名。ほんの少しだけ近しさを覚える。豊橋で再び途中下車。

 豊橋駅の改札を抜けると、同じ様な規模の駅とは少し違う雰囲気に気付く。何故だろう、と首をひねるうちに、妙に静かなこと――正確にはBGMが聞こえてこないこと――に気が付く。騒々しさを当然だと思っている自分が可笑しい。とりあえず駅前を一回りする。路面電車の走る街並みも、それなりの規模の街にしてはどこか落ち着いている。10分ほど歩いて、500円の昼定食に惹かれて、地下の中華料理屋へ。これがまた奇麗とは言い難い庶民的な雰囲気の店。酢豚定食の肉も、豚バラの塊を数mm厚にスライスして揚げたような、脂身の多い食感。でも 500円なので許す。昼食を終え、特に立ち寄る所も無いので駅に引き返し、大垣行きの新快速に乗る。

 前日からの疲れが出てきたのか、途中で何度か意識が途切れる。幸い寝過ごすことは無く、大垣で乗り換え。米原で新快速に乗り継ぎ、京都駅に着いたのは4時を回ってから。近鉄でおかずを買って、ようやく帰宅。2日後には甲府戦が待っている。明日にはデータを仕上げなければ。




2001 Sep.5

 横浜の手前あたりで目が覚める。ムーンライトながらで寝つけないのは相変わらずだが、それでも少しは慣れたのだろうか、疲れはさほど多くないように思える。窓の外はまだ闇の中だったが、東京に近付くに連れてビルの輪郭が浮かび上がってくる。4時42分、東京駅に到着。5時過ぎの京浜東北線に乗り換え、上野へ。更に東北本線の普通電車に乗り換え。大宮までは見覚えのある風景。いつしか日が昇り、家々を水平な光が照らす。

 大宮を過ぎると、急に景色が変化する。フラットな世界。ビルよりも一戸建ての住宅が増え、それも30分ほどすると田畑の目立つ風景が取って代わる。ランドマークのない世界。山もビルも見えない景色を、考えてみればあまり見たことが無いのだ。自分がどこにいるのか掴めなくて、ただ線路と電車、駅だけが拠り所となる。

 7時を過ぎると、徐々に通勤・通学客が入れ替わるようにして乗り降りする。ドアが開くと、涼しい空気も一緒に入ってくる。時折耳に届く、北関東の言葉。まだ先は長い。

 7時47分、黒磯に到着。高校生の波に押し出されるようにして、改札を通る。駅前に出ると、派手さのない商店街が道沿いに伸びている。勘を頼りに歩くこと10分、マクドナルドは9時開店、の表示にがっくり。あきらめて駅を目指し、更に歩くこと20分。ファミレスもコンビニすらもみつからない。こんな街は初めてだ。仕方なく、駅で立ち食い蕎麦の朝食。待合室で、日記を書く。現代版『奥の細道』かもしれない。

 10時27分、黒磯を出発。しばらくは、火山性の大地に林と田畑が広がる風景が続く。車内は意外と混雑している。大きな荷物を抱えた大学生のグループは、野球の試合でもあるのだろうか。文庫本を読むうちに、若干の眠気を覚える。寝るには不向きな状況で、我慢するうちに悲しくもないのに涙がこぼれる。

 11時31分、郡山に到着。7分の接続で福島行きの電車に乗り換える。こちらも結構な混雑。隣のボックスに座る母娘は、スポーツ新聞を下敷きにtotoの予想。仙台へ向かうベガルタサポだろうか、と勝手な想像。野球青年たちは、二本松という駅で下車。こんな所に大学があるのだろうか。12時25分、福島に到着。

 福島駅前を何度も歩こうとは、去年の今頃はこれっぽっちも思わなかった。中途半端な土地勘に従って、昼飯の場所を探す。時折、新潟と山形と福島の街がごちゃ混ぜになり、そこには無いランドマーク――バスターミナルやショッピングセンターetc.――を探してしまう。所詮は異邦人。10分弱歩き、繁華街の居酒屋へ。日替わりランチを注文するが、なかなか出てこない。10分強待って、ようやく到着。牛丼にサンマ、うどんと野菜サラダ、卵焼きに漬物とかなりのボリューム。早速サンマを口にする。予想外に美味しい。多分、注文を受けてから焼いているのだろう。これで680円はお買得。最後のアイスコーヒーは麦茶に近い味だったが、文句は言うまい。

 店を出て、福島駅近くのミスタードーナツでコーヒーを飲みながら、この日記を書く。現在14時。アップロードする時間はあるだろうか。BGMに、Queenの「We Are The Champion」が流れる。吉報の先触れとして聴いておこう。

 福島では何故かFTP出来ず、時間切れで駅へ。仙台行きのワンマンカーに乗り込む。眠い1時間半が過ぎ、ようやく仙台に到着。地下街のロッテリアで再接続、今度は無事ログインできた。
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 4月以来の仙台スタジアム。すぐ側を走る地下鉄の車窓から、開門を待つ仙台サポーターの長蛇の列が見える。前回は日曜日だったから、単純に「熱心だなあ」と思ったのだが、平日の夕方でこの行列。京都や山形、鳥栖や水戸とは決定的に何かが違う。

 キックオフ。今日は黒部が足を痛めて帯同すらせず、安が久々のスタメン。仙台も攻撃のキーマン、岩本と財前を欠いている。中盤まではサンガが有利か。開始から1分と経たないうちに、藤吉がゴール前を脅かすがオフサイド。今日もDFラインは集中しているようだ。2分、仙台のCKは精度を欠きピンチに至らず。3分、安のドリブル突破から最初のチャンスを作るが、松井のセンタリングはGK高橋がキャッチ。そこからロングボールで前線のマルコスを走らせるが、DF陣が対応。5分、中村が左のスペースに走り込む安へパス、そこから中央の松井が粘ってシュートするが、DFに阻まれる。両チームとも攻撃の意志が見える、積極的な立ち上がり。

 8分、少し膠着した局面で、手島がロングシュートを狙うがこれは枠を捉えず。手島のこうしたプレーがほぼ毎試合見られるのは、自分がチームをもり立てる一翼を担っているのだという気持ちの表れか。10分、サンガのCKを熱田が蹴るが、DFにクリアされる。13分、松井が左のゴールライン際でキープするが、ゴールキックに。14分、右サイドでの混戦から、左に開いていた安へボールが渡り、ドリブルで深い所まで切れ込んでからマイナスのセンタリング。しかし上野がきっちり合わせることが出来ず、セカンドボールを中村がシュートするも、これもクリアされる。その後のCKも活かすことが出来ない。

 仙台はここまで、縦のロングボールとサイドを主体にした攻撃。やはり中盤はサンガが勝っている印象。前節の湘南戦と比べると、朴がいるだけで明らかに好守のポテンシャルが高まっているのがわかる。17分、石丸のミドルシュートは大きく外れる。18分、仙台はサイドからマルコスをターゲットにクロスを上げるが、辻本が対応、ボールに触れさせない。

 20分、右に流れていた安が倒され、FK。安が蹴るが、壁に跳ね返される。21分、タッチラインを切れなかったボールを仙台が取り、素早くトップのマルコスへセンタリング。しかし中河がキャッチ。22分、左の安がドリブルでDFを抜き去り、深い位置から松井へ。松井はキープするもシュートをには至らずクリアされるが、それを拾った中村がミドルシュート、枠を捉えていたようにも見えたが、GKにキャッチされる。24分にもペナルティエリア周辺でボールを回すが、体勢の悪い所からの中村のセンタリングがゴールラインを割り、仙台ボール。

 25分、仙台は遠目からFK。23番の中村伸が蹴るが、岩本や財前のような恐怖感はない。難なくクリア、カウンターで前線へロングボール。ゴール前まで走り込んだ上野がDFと交錯して倒されるが、笛は無し。元サンガの山田がミドルシュートを放つが、枠を捉えず一部サンガサポから野次が飛ぶ。26分、右サイドでサンガのFK。セットしていたボールを蹴ったらしく、マルコスにイエローカード。熱田のキックに安がコースを変えるような形で直接合わせるが、枠を外れる。

 31分、サンガの右サイドを突破しようとした中村伸を止めるも、仙台にFKを与える。山田のキックにヴィエラが下がりながら合わせるが枠を外れ、ピンチを脱する。このあたりからやや仙台ペースとなるが、決定的な形は作らせずしのぎきる。35分、朴のロングスローがクリアされCK。これはゴールを脅かすことが出来なかったが、セカンドボールを繋ぐ中で中村が倒され、ヴィエラにイエローカード。

 38分、仙台の攻撃をしのいだサンガは、前線へロングボールを出す。ペナルティエリアを出てクリアしようとした仙台GK高橋は、何を思ったか(多分手でも頭でも触れない事に気づいたのだろうが)大きくバウンドするボールを見送る。ゴール方向に流れるボール、押し込もうと走り込む上野。最後は高橋がクリアしたものの、どよめく仙台スタジアム。好判断だったのか珍プレーだったのか、判断に迷わせてくれる名優(迷優?)範夫。

 41分、DFラインからのボールを上野が頭で流して安へ。やや前へ出ていたGKの位置を見て、安はループシュートを選択。最後はゴールネットの上で終わってしまったが、その判断は悪くない。43分、仙台のCK。ゴール前で仙台の選手が倒れるような動きを見せたが笛は無く、クリア。44分、サンガは仙台ペナルティエリア前まで行くものの、中央に偏った攻撃でチャンスを作れず。ロスタイムに入り、仙台MF山田がシュート、しかし枠を大きく外れる。藤吉もゴールライン際をサイドから抉り込んでくるが、サンガDFも冷静に対処、ここで前半が終了。見所は多かったが両チーム無得点で折り返す。

 ハーフタイム、横の席で応援していた男性に声を掛けてみる。京都から電車を乗り継いで来られたとのこと。丁寧な口調が印象的。

 後半開始。両チームとも選手交代は無し。1分、サンガのCKを熱田が蹴り、上野がGKと競るが決定的な形は作れず。4分、仙台は自陣からのFKをマルコスがヘディングで繋ぎ、ゴール前で藤吉がシュートするが、勢いも無く中河が正面で押さえる。6分、熱田が右サイドで粘ってCK。朴がファーサイドに蹴ったボールは一旦流れるが、右で安がキープ、最後は朴がセンタリングするもGKにキャッチされる。8分、中盤でボールを奪いゴール正面でキープ、左のスペースに走り込んで来た中村にラストパスが出てシュートするが、DFに阻まれCK。左から熱田が蹴ったボールはダイレクトにゴールを脅かすが、GKがパンチングで逃れる。9分、仙台のスローインを奪い、上野から前へ走り込む安へ。センタリングに松井が飛び込むが、わずかにタイミングが合わず得点ならず。

 10分、仙台サイドでのゆっくりとしたボールキープからチャンスを窺い、安がクロスを上げるが上野の頭には合わず。11分、仙台は岩本を投入。息を吹き返す仙台サポ。13分、サンガは左からのFKを得るが、決定的なチャンスとはならず。14分、朴が松井とのワンツーでDFラインの突破を図るが、DFに密着されながらのシュートは枠を大きく越える。15分、岩本のFKから仙台はCKを得るが、マルコスの意表を突いたショートコーナーは、唯一それに気付いた選手(中村だろうか?)が素早く対処、難を逃れる。

 17分、仙台は藤吉を下げて大友を投入。18分、その大友がサンガDF陣の裏へ走り込むがオフサイド。ややリズムが変わったのか、仙台が攻めるシーンが増えてくる。22分、センタリングにマルコスが合わせようとするが、中河がキャッチ。24分、左サイドで競っていた中村が倒れたところに、仙台の選手がクリアしたボールが直撃。故意ではないとは言え、流れの悪さを象徴するかのような光景。この後にも、サイドからのセンタリングやミドルシュートにあわや、というシーンが。

 25分、松井を下げて松川を投入。その直後、仙台はFKを得て岩本が蹴る。しかしボールは枠を大きく越える。27分、仙台は3人目の交代、とうとう財前まで使ってくる。一際沸き上がる大歓声。28分、その財前がふわりとしたセンタリング。これはクリアするが、仙台の攻撃は明らかに勢いづいている。30分、攻撃の形を作れなかったサンガだが、朴がミドルシュート。しかしGKがキャッチ。

 33分、ようやく反撃に出るサンガ。中央でビルドアップし、熱田から右に開いていた安へ。センタリングは仙台の選手に当たってコースが変化したが、それを松川がダイレクトボレー。しかしGK高橋の好守に阻まれる。36分、自陣でボールを奪い、左サイドから中央の松川を経由して右の熱田へ。しかし山なりのクロスボールはゴールラインを割り、シュートに至らない。ゴール前には手島がオーバーラップしていたのだが。

 36分、仙台の選手の突破を妨害したということで、鈴木にイエローカード。FKを岩本が蹴るが、これはクリア。38分にも、ゴール前に張るマルコスをターゲットにクロスボールを入れてくるが、精度を欠いてピンチには至らず。39分、朴から前線にふわっとしたパス、松川が落として熱田がループシュートを狙うが、枠を捉えることが出来ない。

 40分、仙台はサンガ左サイド深い位置からFK。ファーポストのマルコスをターゲットに蹴ってくるが、精度を欠いてそのままサンガボールに。DFと競りながら倒れたマルコス、這いずるようにしてピッチの外へ。「あんな風にしながら、すぐに立ち上がってくるんですよ」とは仙台スタジアム常連の某氏の弁。もちろんファウルは無し。42分、左サイドの松川からトップの上野へクロス、しかしシュートまでは至らず。43分、仙台のFKを跳ね返し、スペースへ安を走らせるロングボールを出すが、GKも判断良く飛び出しクリア。仙台もすかさず反撃、左に開いていたFW大友がドリブルで切り込みながらミドルシュート、しかし枠を外れる。ロスタイム、その大友が再びドリブルからのミドルシュート、鋭い弾道がゴールを脅かすが、中河もここ一番のファインセーブ、枠から弾き出す。サンガも安が右サイドからセンタリングを上げるが、誰も合わせることが出来ない。最後のCKも活かすことが出来ず、後半も両チーム無得点、延長戦に突入する。

 延長前半開始。まずは安のシュート。しかしこれは枠を捉えず。仙台も2分、マルコスがサイドでキープしセンタリング、しかしそれを中央で受けた選手のファーストタッチが大きく、サンガDFがクリア。しばらくは中盤での一進一退が続くが、4分、サンガの左サイドを大友に突破されシュート、しかし中河がしっかりキャッチ。その後も仙台は何度か大友にボールを任せるシーンが。

 6分、仙台は右サイド遠目からシュートを狙うが、中河が直接キャッチ。8分、右サイドでFKを得て熱田が蹴るが、安が合わせる前にDFにクリアされる。9分、上野に替えて宮崎。11分、ペナルティエリア内で松川と安がキープ、右の熱田に流してシュートを狙うが、枠を捉えることが出来ない。12分、熱田が中央に絞りながら松川へ。一旦朴に下げ、ゴール前に上がった熱田へスルーパス。ここではシュート体勢に持ち込めず、右に開いた安へ流し、シュート。しかしGKの好セーブでゴールならず。セカンドボールもキープし、朴がミドルシュートを 放ったが枠を越える。14分、左からのFKを得たサンガだが、朴のシュートはGKがキャッチ。ロスタイム、最後の攻撃を仕掛けるが、石丸の素晴らしいミドルシュートもGKがパンチング。CKも跳ね返され、延長前半が終了。

 延長後半開始。仙台はDF村田を下げ、元サンガの賀谷を投入、全てのカードを切る。まずは前線にロングボールを放り込むが、これはサンガDFがクリア。1分、左サイドやや深い位置で安が倒されFK。熱田のキックは隅を狙ったようにみ見えたがサイドネットに。2分、仙台はサンガの左サイドを攻め、最後は財前のセンタリングをマルコスが頭で合わせ、ゴールネットを揺らす。歓喜に包まれる仙台スタジアム。しかし、審判はゴール前でファウルの判定。マルコスが辻本を押した、という判断のようだ。間近に見ていても微妙なプレーではあったが、命拾いしたのは確か。

 5分、仙台は再びサイド攻撃からCKを得る。しかしこれは中河が直接キャッチ。サンガも攻撃に持って行きたいのだが、組み立てることが出来ない。7分、仙台はロングボールにマルコスを走らせる。これはなんとかDFが対応、フィールド内で倒れていた安の様子を見て、ボールを外へ出す。ここでマルコスにイエローカード、この試合2枚目で退場となる。ペナルティエリア内で故意に倒れた、と判断されたとしか思えないのだが、数分前の“幻のゴール”といい、審判の微妙な判定にスタジアムに不穏な空気が流れる。

 10分、中央の朴から前線の宮崎、右のスペースへ走り込む熱田へとパスが通るがDFに阻まれゴールキック。11分にも石丸から宮崎へスルーパスが通るが、これはオフサイド。しかし今日の宮崎、今年見た中では一番存在感があるのではないだろうか。まだスタメンには至らないだろうが、成長はしているようで一安心。

 残り時間もわずかとなった14分、サンガのクリアボールが味方に当たって戻ってきたところを仙台に拾われ、最前線に残っていた財前へ。しかし財前は空振り、絶体絶命のピンチを切り抜ける。その後も1人少ない仙台を相手に決定機を作ることが出来ないまま、延長後半も終了。スコアレスドローで勝ち点1ずつを分け合う。

 客観的に見ると、面白い試合ではあった。しかし引き分けたというのはどう捉えればよいのか。内容で押していながら勝ち点3(or2)を取れなかったと見るべきなのか、“幻のゴール”のおかげで仙台に勝ち点2を与えずに済んだと考えたら良いのか、それとも負けなかったことで良しとする他無いのか。仙台サポーターの胸中は更に穏やかではないだろう。審判へのブーイングがそれを物語っている。しかし、これがJ2の現実ではある。この時には、この試合を更に上回る混乱がわずか数日後に起きようとは、誰も思っても見なかったに違いない。

 帰り支度をしている時、数席を隔てた所で応援しておられた男性に「福島から来られた方ですか?」と声を掛けられる。誰と勘違いされたのかはわからないが、これ幸いとお願いしてみると、これがなんとセレッソサポーター。駅に向かいながら、ずいぶんと失礼な質問をしてしまった。有り難いことに心の広い方で、セレッソサポーターの偽らざる気持ちを伺うことが出来た。

 東京行きのバスに乗る3人で、連れだって仙台駅へ。福島への終電が出てしまったと嘆く某氏の為に、東北急行バスの営業所へ。およそ21世紀に似つかわしくない年代物のビル(昭和30年代か!)の事務所前で待つこと数分、どうにか福島までの席を確保。コンビニで夜食を買い込み、停留所前の路上で空腹を満たし終えると11時目前。4列シートで居心地の悪い座席に腰を落ち着ける。とにかく疲れて、早々に目を閉じる。



2001 Sep.4

 窓を全開で寝てしまったが、風邪をひくことなく起床。まだそこまでは涼しくないということか。ゴミ出しを済ませ、早々に洗濯。並行して朝食を済ませ、洗濯物を干す。昨日中断していた作業を再開。残り時間が少なくなると不思議と集中できるもので、昼にはテープ起こしが終了。写真を加工して、午後一番にアップロード。

 ちょっと外出して松屋で昼食。所用を済まそうかと思ったが、混んでいたので断念。帰宅して、湘南戦の録画を見ながら日記を書く。前半早々のチャンスを決めていれば、あるいは違った展開になっていたのではないかと、後になって思っても仕方がない。フルタイムでコロンビアからの2人が大活躍した湘南と、1人を欠いてもう1人は途中出場(素晴らしい得点シーンはあったが)の京都。外国人選手の働きの差、と言い訳しておこう。

 夜になってようやく録画を見終える。が、アップロードする時間が無い。今日はmailが多く、返事を優先しなければならない。何と、ノルウェーに帰国したKim君からもmailが。噂をすれば何とやら、シンクロニシティ、とまで言ってしまうと大げさか。何本か返事を書いて送信。有り合わせのもので、慌ただしく夕食。時計を見ると午後8時を過ぎている。荷づくりをし、8時半になる前に出発。

 地下鉄を降りると8時45分。これで後は大丈夫。ジュースを買い、混んだ新快速に乗る。8時59分、京都駅を出発。駅ごとに乗客が吐き出され、30分ほどで座ることが出来た。米原で乗り換え、予定通り、大垣に到着。ムーンライトながら出発まで40分ほど。一旦改札を出て、ホームから見えるコンビニへ歩く。跨線橋が長く、結局5分ほど歩いただろうか。パンと飲み物を確保、駅に戻る。

 今年乗るのはおそらく最後となるムーンライトながら。大垣を出たときは4割程度の乗車率に見えたが、名古屋でほぼ席が埋まる。車掌さんが時々巡回するものの、一斉に検札する様子が無い。面倒なので声を掛けないまま、目を閉じる。




2001 Sep.3

 だらだらと作業。例によって集中を欠いているので、途中で中断、放り出してしまう。時折激しく降る雨。また夏が遠ざかる。

 夕食に、先日買ったインスタントパスタ(オーストラリア産)を作る。水と牛乳を混ぜて沸かし、そこに粉末ソースの絡んだパスタを放り込んで茹でると、10分ほどでチーズ味のパスタができ上がる、と言う代物。昔食べたことのあるイタリア産のは割と美味しかったのだが、今回のは悪くないとはいえ、ちょっと日本人の嗜好と違う製品であるように思える。チェダーチーズかなあ? まあ、1袋100円しなかったし、個人的には許せる味ではあるので良しとしよう。




2001 Sep.2

 スーパーに買い物に行った他は特に何も無く、ぼんやりと過ごした気がする。仙台戦まで日が無いのに。
 夜、寝る準備をしていると、ベルギーGPで大クラッシュ。タイヤバリアに突っ込んだプロストのマシンを引きずり出そうと、もう一方の当事者アーバインが悪戦苦闘する。かなり心配だが、脳震盪程度で済んでいるのでは、という直感もある。TVを消し、ビデオに後を任せて寝る。




2001 Sep.1

 9月。日々秋めいた気候に移っているように感じる。考えてみるとこんな9月、近年無かったのではないだろうか。例年なら月の半ば頃まで真夏日/熱帯夜が珍しくなかったのに、今年の夏は確実に終わろうとしている。当たり前の事なのに異常だと思えてしまうのは、異常さに慣れてしまった人間の方がおかしいのだろうか。

 4時半頃出発。ローソンに寄って、西京極の回数券を確保。更にam/pmに寄って、食料を買い込む。阪急で西京極へ。5時半頃、入場。荷物を置いて、電光掲示板の下でしばらく辺りを眺めていたら、福島から遠征してきた某氏を発見。知り合いを見つけられないのか、所在なさげに周囲を見回しているので、下りて声を掛ける。上野(優)の横断幕を作ってこられたとのこと。早速団長と交渉、掲示してもらう行動力は流石だ。売店での買い物に付き合ったりして、しばし談笑。試合開始前には誰にもお話を伺えず。流れ的にやむなしか。

 試合開始。今日は朴が出場停止、守備的な中盤には松川と石丸を並べる形。湘南はGK伊藤が復帰、7番のコロンビア代表(らしい)ディナスは、前回平塚で対戦した時にはいなかった選手。かなりベストメンバーに近付いているのが気になる。

 開始1分、右からのクロスを中村がシュート。録画で確認すると、どう見てもDFに当たっているのだがゴールキック。湘南も枠を外れたものの2分にファーストシュート。ところが、最初のゴールキックの際、中河が滑ってミスキック。幸先の悪い立ち上がりに、気勢を削がれる。4分、サンガ1本目のCKはDFにクリアされる。湘南は、前回対戦した時と同じく、サイド攻撃を何度も仕掛けてくる。サンガとしてはマイボールにしてゲームを支配しなければならないのだが、攻守に渡って序盤からどこか落ち着かない。一見して、朴が抜けた穴――中盤で相手にプレスをかけたりボールをキープしたりする役割の欠如――が小さくないことを感じざるを得ない。

 10分、湘南のCKにパラシオスが頭で合わせるが、ボールは枠を外れる。11分、右サイド熱田からDFラインの裏に絶妙のクロス、黒部がダイレクトで合わせるが、GK伊藤がキャッチ。12分には、再び熱田のセンタリングを、ゴール前で今度は上野が合わせるが、これも枠を捉えることが出来ない。絶好のチャンスが、目の前で逃げて行く。13分には、左の中村がセンタリング、しかり2トップには合わず。14分、湘南の反撃。中央にぽっかり空いたスペースに上がってきたディナスに折り返しのパスが通る。ああ、シュートされそうだ、と思った矢先、ゴー ル隅を目がけてミドルシュート。わずかに変化しながら、中河の指先をかすめるようにしてゴールネットに付き刺さる。朴がいたら、あるいはあの場所に詰めてくれたかもしれない、と無い物ねだりの妄想。

 サンガもすぐさま反撃。15分、右サイドで組み立て、最後は松井がパラシオスの頭を越す柔らかいセンタリング。しかし上野のヘディングシュートは枠を外れる。18分には松川のセンタリングを黒部が胸でトラップ、素早くシュート体制に入るが、パラシオスもすかさずチェック、伊藤の好守もあって上野もシュートには至らない。

 19分、湘南のショートコーナーから押しこまれる場面が続くが、どうにか跳ね返す。22分、熱田のCKはパラシオスがクリア。23分、反撃に出る松井を、湘南FW高田が倒してイエローカード。24分、手島のクリアボールが何故か中盤付近にいたパラシオスの足下に入り、ヒヤリとさせられる。いつもながら、パラシオスの存在感は大きい。

 27分、松川のキープから右コーナー付近のスペースに走り込む熱田に良いパスが通るが、湘南DFに阻まれチャンスを作れない。32分、左サイドで松井が粘って攻撃を仕掛けるが、湘南DF陣に阻まれる。そのクリアボールを拾った松川が倒され、やや遠目からFK。熱田が蹴るが、GK伊藤がキャッチ。35分、サンガのDFラインの裏を取られ、対応がわずかずつ後手に回ったところにセンタリングを上げられ、湘南FW栗原が飛び込んでシュート、ボールはネットを揺らす。ところが、ゴール裏からは一斉に“ハンド”のコール。録画で確認すると、確かにダイビングしながら手で押し込んでいる。栗原にはイエローカード、ゴール裏は快哉を叫ぶ。とはいえ、3バックの弱点を執拗に突いてくる湘南の攻撃は、効果的である。

 38分、湘南に立て続けに2本CKを与えるが、どうにか踏ん張ってクリア。41分にはサンガも攻撃を試みるが、すぐさま湘南DF陣に跳ね返される。43分、左からのFKを得るが、直接ゴールを狙った熱田のキックは枠を捉えていたものの、GKがパンチング。サンガもクリアボールを拾って2次攻撃を仕掛けたが、黒部のシュートは枠を捉えず。ロスタイム、右のスペースに飛び出してパスを受けた黒部がマイナスのセンタリング、しかしパラシオスのマークもあって、上野の足に合わない。石丸のセンタリングもパラシオスがクリア。最後、黒部のミドルシュートも枠の上を越え、1点をリードされたまま前半終了。

 ハーフタイム、延長か引き分けなら御の字ですねと雑談。それほどまでに点が取れそうな雰囲気が無い。パラシオスは壁となって立ちはだかり、伊藤も安定感がある。他会場の途中経過で、大分・仙台がいずれも下位チームにリードを許しているのが救いではある。隣で見ていた優作ファンの某氏、チャンスを全部決めていれば今頃はハットトリックなのにと頭を抱える。

 後半開始。選手交代は無し。序盤、サンガはようやく目が覚めたのか、積極的に攻撃を仕掛ける。しかし深い位置で何本かセンタリングを上げのだが、精度を欠いて前線の選手に合わない。5分、上野が前線でキープ、松井から松川と渡って再び松井にスルーパスを狙うが、わずかにタイミングが合わず。6分には石丸がグラウンダーのロングシュートを放つが、GKがキャッチ。8分には中村がミドルシュート、しかしこれは枠を外れる。
 13分、ややサンガが押し気味の展開だったが中盤でパスをカットされ、DFの対応がやや乱れた中央にスルーパスを通される。中河も一旦は湘南FW高田のシュートを止めたのだが、こぼれたところを再び押し込まれて2点目を許す。

 ベンチを見ると、野口と安がスタンバイ。そして18分、黒部を下げて安を投入。その直後、最前線で上野がDFを引きつけながらキープし、フリーの安へ。そのパスをダイレクトにシュート、ファーストタッチがゴール左隅に突き刺さる。沈滞した空気を一気に吹き飛ばす、安の一発。

 22分、右サイド深い位置で安らしいキープ。そこから逆サイドに振ってセンタリングが上がるが、湘南DFがクリア。単純なハイボールは、ことごとくクリアされてしまう。24分、中央を安と松井で突破、パラシオスに身体を寄せられながらも松井がシュート、誰もが決まったと思った瞬間、パラシオスが驚異的な瞬発力でボールとゴールの間に割って入り、クリア。ここまでやられると、サンガの選手を責めることは出来ない。

 26分、中村に替わって野口。湘南も立て続けに2人を交代。31分、パラシオスの脚がつって、一時ピッチを出る。このまま退場してくれれば、と密かに願ってはみたものの、数分後には戻ってくる。33分、安が粘ってCKのチャンス。熱田が蹴って上野が頭で折り返すが、ゴール前で待つ松井には合わず、GK伊藤がキャッチ。37分にもCKを得るが、野口のキックはファンブルしかけながらも伊藤に押さえられる。39分には湘南のCK。最後は鋭いシュートを許すが、中河の正面、しっかりとキャッチ。

 残り時間も5分を切り、湘南は時間を使ってくる。湘南ボールのリスタートごとに、A南からはブーイング。ロスタイムは4分。ゴール正面だがかなり遠目のFKを得るが、淡白な攻めでチャンスを作れない。上野、松川と渡って松井を狙ったラストパスも、湘南DF2枚に挟まれてシュートまで持って行けない。湘南は3人目の選手交代。最後、ゴールライン際から安がセンタリングを上げるがクリアされ、ここでホイッスル。1-2、5連勝はならず。

 疲れ切って引き上げてくる選手達を、A南は『紫の勇者達』で迎える。今季、西京極で初の敗北とはいえ、こんなリアクションが待っているとは、正直予想していなかった。まあ、あれだけパラシオスに活躍されては、取れる点もあったにせよ、選手にブーイングを浴びせるのは筋違いというものだろう。あるいはまだ首位にいる――勝ち点1差とは言え――という現実が、サポーターを冷静にさせているのかもしれないが。いずれにせよ、“大人の対応”に安堵する。

 一段落付いて、若い男性にお話を伺う。落ち着いた風情ではあるが、結構熱い方だ。着ておられた背番号18のレプリカは、福島経由で仙台まで遠征することに。そろそろ上野も爆発してくれないと。照明が徐々に落とされ、競技場を出る。しばし出待ちの人垣に混ざっていたが、サンガの選手がなかなか出ないので、しびれを切らして移動。四条烏丸駅で、大津のホテルに向かう福島在住優作サポ氏とお別れ。10時をだいぶ過ぎて、帰宅。





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