間歇日記
世界Aの始末書
【1月15日(水)】
▼電車の中で、よそのおやじが読んでるスポーツ紙の見出しが目に留まる。「松井NY制圧」ってあのなー、ニューヨーク市民が暴動でも起こしとったんかい。松井はただ挨拶しただけやんけ。
【1月13日(月)】
▼突然だが、いわゆる“スポコンもの”にまとめて文句がある。“真空飛び膝蹴り”は、いったいどこいらへんが“真空”なんだ? 赤銅鈴之助なら、誇大広告(?)とはいえ、たしかに“真空”っぽいけどな。“天地がえし”は“体落としを二度かけ、二度目にはひねって投げる”と巴突進太のお母ちゃんが見破っていたけれども、そもそも、なぜ体落としで上に飛ぶのだ? “秘打・花のワルツ”は金属バットではできるのか? おい、美しきチャレンジャーっ、そんなややこしい7−10スプリットの倒しかたをするくらいなら、ふつうに狙ったほうがまだしも易しいのではないか? おい、岡ひろみ、お蝶夫人、い、いちいち――いちいち止まるなっ!
若い人にはわかりにくいぼやきネタかもなあ。
【1月11日(土)】
▼《ご恵贈御礼》まことにありがとうございます。
ひえええ。学研ってのは、学習雑誌のイメージとは異なり、小説では相当いかがわしい印象がある。むろん、“いかがわしい”というのは褒めているのである。《電脳祈祷師美帆》シリーズ(東野司)だとか『UMAハンター馬子』(田中啓文)だとか、相当いかがわしいものが書かせてもらえるみたいだ。本書も、タイトルからして電脳祈祷師やUMAハンターに匹敵する。また表紙がすごい。小銃一丁携えた日本の歩兵らしき男がティラノサウルスと対峙しているのである。いったいどういうシチュエーションじゃこれは――まあ、読んだらわかるわい。例によって予知能力を発揮すると、〈週刊読書人〉2003年3月7日号に寸評を書いているにちがいないので、ご用とお急ぎでない方は、そちらもそのうちご参照ください。おっ、予知能力の幅が狭まってきて、なぜかすでにウェブにまで再録しているという状態を脱することができたぞ、というか、三月の末ころには脱することができているにちがいないぞ。林譲治、大阪に転居してから、ずいぶんと関西の同業者に良い悪影響を受けているようで、本書はハードSF的骨格がしっかりしているだけではなく、随所で“笑える”のである。ハードSFとバカ話は紙一重で、もともと林譲治には奇妙なユーモア感覚があるけれども、本書ではかなり思いきって遊んでいるようだ――という感想を読み終わっているころには抱くことになるのが目に見えるようである。