三月書房HOME販売速報総目次三月書房販売速報[095]


e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第10冊[91〜100号]
通巻091号 2007.01.23発行 通巻096号 2007.12.14発行
通巻092号 2007.04.10発行 通巻097号  2008.02.13発行
通巻093号 2007.06.05発行 通巻098号 2008.04.16発行
通巻094号 2007.08.14発行    
通巻095号 2007.10.18発行    
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[095]
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2007/10/18[09-05-95]  (c)SISIDO,Tatuo     

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 095号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

 ◆「地獄変三部作」大西巨人 光文社
 ◆「樹が陣営32号:特集 三島由紀夫と吉本隆明」編集工房 樹が陣営
 ◆「よしなよ。」吉本隆明 ウエイツ
 ◆「吉本隆明 1945-2007」 高澤秀次 インスクリプト
 ◆「花のほかには松ばかり」山村修 檜書店
 ◆「無頼の点鬼簿」竹中労 筑摩文庫
 ◆「別冊太陽:川瀬敏郎 花に習う」平凡社
 ◆「(歌集)屋上の人屋上の鳥」花山周子 ながらみ書房
 ◆「(歌集)衝立の絵の乙女」米川千嘉子 角川書店
 ◆「(歌集)〈空き部屋〉」渡辺松男 ながらみ書房
 ◆「(歌集)乱反射」小島なお 角川書店
 ◆「(歌集)落人の家」前登志夫 雁書館
 

[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

  ◆「(歌集)空の空」竹山広 砂子屋書房 ※入荷済み
  ◆「(歌集)後の日々」永田和宏 角川書店
  ◆「名歌集探訪」栗木京子 ながらみ書房 ※入荷済み
  ◆「岡部桂一郎全歌集」青磁社
  ◆「いま、社会詠は」大辻隆弘、吉川宏志ほか 青磁社 ※入荷済み
  ◆「人智学・心智学・霊智学」シュタイナー 筑摩文庫 ※入荷済み 
  

[#03] 「特価本の販売」について

   前号にてお知らせしましたように、勁版会の9月例会にて特価本の販売に
   ついてちょっと話をして来ました。ここには事前に用意したメモを元に、
   少し書き直したものを載せておきます。八木書店の社長が資料をたくさん
   くださったので、ネタには困りませんでした。
   なお当日の参加者は20名程度で、その大部分は出版社の方々だったようで
   した。
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  1 特価本とは

   出版業界ではごく近年まで、「ゾッキ本とは倒産・廃業した出版社の残本
   が格安の卸値で古書業界に出回ったもの」というあたりが一般的な認識だ
   ったようです。しかし、必ずしも倒産・廃業していない出版社の特価本も
   少なくなく、また「古書店」と世間では思われていても「新刊書店」の組
   合にも入り取次に口座を持っている「専門書店」も少くありません。  
   また、古書業界のほうでもゾッキ本についての認識はかなりいいかげんな
   ようで、たとえば今年出た喜多村拓著「古本屋開業入門」には、「ゾッキ
   本とは出版社の返本やデッドストックがどっと払いさげられ、…それらは
   古本の問屋に集まります。…。そうした出版社の払い下げは新古本(市場
   に出る機会がなく古本になった本)です」というようなデタラメが書いて
   ありました。
   新本の「特価本」とはいうまでもなく古本ではなくて新本であり、現在の
   再販制度の元では、時限再販本(最初は定価販売し、適当な期間後は自由
   価格にする)と部分再販本(最初から定価販売せず自由価格にする)に分
   類されます。そして、もともと定価または価格が記載されていない本は、
   オープン価格ということになりますから、いくらで販売しようと「特価」
   とは言うことはできません。
   なお「特価本」の呼称については、ゾッキ本、赤本、見切り本、B本、バ
   ーゲンブック(BB)、特価本、自由価格本、謝恩価格本、非再販本、その
   他いろいろありますが、八木書店の社長は「ゾッキ本」という呼称は誤用
   (出所は大昔の「広辞苑」らしい)であり、使用してほしくないとのお考え
   のようでした。
   
  2 特価本の歴史(というよりも再販制の歴史)

   (省略)

  3 2000年末より三月書房も特価本の販売開始

   (省略)

  4 八木書店について

   人文系新刊取次、バーゲンブック卸、人文系学術書出版、国文国語古書自
   筆物仕入販売(古書部)、そして、関係会社に第二出版販売、日本古書通
   信社などを持つ、出版業界でもユニークなスキマ企業です。
   「第二出版販売」はスーパーやデパートや大型書店での特価本(委託)販
   売担当。
   新本と特価本の取次部門は神田小川町の古書会館の向かいの好立地です。
   斜め向かいには数年前まで鈴木書店がありましたが、同社倒産後は岩波書
   店なども扱うようになり、神田村の人文書専門取次としての重みが増しつ
   つあるようです。
   船橋市に敷地面積1000坪の「船橋商品センタ」があり、ここでは特価本の
   改装、単品管理等をしているとのこと。この単品管理システムは、筑摩書
   房ご自慢の電算システムを購入したとのこと。
   八木書店から契約書店に毎月送付される「新本特価書籍卸目録」の最近号
   はB5判202頁。取り引き開始直後の2000年末ごろは100頁前後だったので、
   この間に掲載書目は2倍に増加しています。掲載件数はおそらく1万件位か
   と思われますが、上下本やセット本も多いので冊数にすると、およそ1万
   数千冊になるでしょう。
   
      
 5 特価本販売の現状と問題点、そして今後の予測
 
   弾力的運用と出版不況、そして環境問題もあり、当分は特価本の増加は間
   違いないでしょう。この流れが止まるのは出版物の過剰生産が何らかの理
   由で適正化するか、再販制がなくなるときと思われます。
   返本を断裁せず特価本にするのはたいへんにけっこうなことですが、絶版
   にはしないままの「二重価格」で平然としている「謝恩価格本」には、新
   刊書店としてはどうも釈然としません。

   特価本業界には過去最高の質と量の本が流れこんでいると、八木社長が書
   いておられますが、特価本の取次が実質的には八木書店のみであることは、
   競争原理の観点からは問題があるでしょう。ここ数年の間でも2,3の新会
   社構想を耳にしましたが、どれも沙汰止みになったようです。しかし、新
   刊業界と古書業界にまたがる販売網と、長年のノウハウの蓄積がある上に、
   最先端の単品管理システムを備えた大型倉庫を自社で持っているのですか
   ら、特価本卸業界では敵なしの状態であることも、ある意味当然でしょう。
   20年以上前に、さる業界誌に「鈴木書店は特価本専門の取次になるべき」
   との意見を某出版社社長が書かれていました。当時は荒唐無稽な暴論とし
   か思えませんでしたが、今にして思えば卓見だったかもしれません。
   昔は八木書店以外にも特価本卸の業者がたくさんあったそうですが、ビニ
   本全盛時代にそっち方面専門になってしまい、いま残っているのは成人向
   け雑誌などを扱っている業者ばかりだそうです。

   特価本を扱う新刊書店が増えていないように見えるのはもっと問題です。
   新刊書店の経営者たちは買取によるわずかなリスクも嫌い、店長たちは新
   たな仕事を抱え込む余裕がないということでしょうか?
   あるいは、多くの老舗書店はかなり前から半死状態で、取次管理になって
   いるところも少なくないといわれてますが、そういうところだと他から仕
   入れることは許されないということでしょうか?
   ネット書店では、Amazon本体が八木から仕入れたバーゲンコーナーを持つ
   上に、AMPには八木から仕入れたらしいB本を出品している業者が多く見ら
   れます。
   新刊書店に古書売場を組み込む動きは、最近いろいろ試みられているよう
   です。そういう余力のある書店は、いずれ特価本にも本格的に手を出すか
   もしれません。

  ※「エコノミスト 2007.09.04号」の「永江朗の出版業界事情」というコラ
   ムに「版元・書店・読者にメリットあるのに普及しない特価本」とうタイ
   トルの文章が載っています。「三月書房のように特価本を恒常的に扱う書
   店はまだまだ少ない。不思議なことである。」とありました。

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 [#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その57)

  ○四日市の児童書専門書店「メリーゴーランド」の京都店が9月17日に、河
   原町四条下ルにオープンしました。児童書専門店というのはぜんぜん儲か
   らないと聞いていますが、支店が出せるとはたいしたものです。それも、
   たんなる名義貸しではなくて直営とのことです。店長は常駐のようですが
   店主の増田氏もイベントの際などに、しばしば来られているようなので交
   通費だけでもたいへんでしょう。四日市の店は自社ビルのため、2階3階
   の各種教室やホールの会場費などで稼げてると伺った記憶があります。
   ブログ「三月記(仮題)2007年09月26日」に記事あり。
   
  ○「出版ニュース 2007年9月中旬号」掲載「書店売り上げランキング2006」
  に載っていた京都市に本社のある書店グループは下記の5店です。

   ・052位 大垣書店  50.6億円 13.2%増
   ・068位 ふたば書房 35.5億円 11.7%増
   ・226位 丸山書店   7.8億円  5.9%減
   ・290位 恵文社    5.2億円  31%増
   ・352位 金原書店    4億円 35.4%減

   ちなみに5年前(2002年)のランキング
   ・084位 大垣書店  30.5億円
   ・108位 ふたば書房 22.1億円
   ・200位 丸山書店  12億円
    (※恵文社はランク外、金原書店は不明)
    
   このランキングでは、店舗数と売り場面積の増減や損益額が不明なので、
   売上げの増減がそのままストレートに好不調を表しているわけではありま
   せんが、大垣とふたばの上昇に比べて、丸山の落ち込みは大きいようです。
   大垣とふたばはこの5年間にかなり店舗数が増えていますが、恵文社は3
   店のままで、売り場面積が大幅に増加しています。河原町丸太町上ルにあ
   る金原書店は医学書専門書店で主に外商をしています。医学書の版元も兼
   ねていますが、この売上げが小売部門だけなのか出版も合わせたものなの
   かは不明です。
   
   今年の夏前くらいから、書店業界の景気は一段と悪化しつつあるとの噂で
   す。うちもさっぱりですが、市内では最近も数店が店じまいしたらしいと
   聞いてます。昨年好調だった(ように見える)ふたばと大垣と恵文社は今
   年も順調に伸びているのでしょうか?

   
[#05] 雑、雑、雑、…

  ○三月書房のサイトは1999年9月の仮オープンです。8周年記念として、最初
   期のサイトの復元ページ
を現在のサイトに貼ってみました。ごらんいただ
   けばわかりますが、基本的には現在のとほとんど変わりありません。当時
   と比べて技術的に進歩したといえるのは画像を貼り付けることができるよ
   うになったくらいのものでしょう。デザイン関係は何の工夫も変化もなく、
   ただただテキストと表を貼って、サイト内のリンクを張り巡らせるだけで
   す。こんな手抜きサイトでも毎日けっこうなアクセスがあり、たとえば先
   月のページビューは41517件となっています。ページビューを稼ぐのが目的
   なら、各ページをもっと細切れにして、ページ数を増やせばよいのですが、
   めんどうくさいので、ついつい縦に長いページが多くなっています。
   ネット通販の伸びは完全に止まっていますが、それでも年に500万円前後
   もありますから、サイト作成の手間と経費をほとんどかけていないわりに
   は上等といえるでしょう。(もっとも通販関係のメール連絡や荷造り等の
   作業にはけっこう時間がかかりますが)
   
   ブログ「三月記(仮題)2007/09/30」にも記事があります。
   
   
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜94号)」はHPにて公開中です。
     
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