三月書房HOME販売速報総目次三月書房販売速報[094]


e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第10冊[91〜100号]
通巻091号 2007.01.23発行 通巻096号 2007.12.14発行
通巻092号 2007.04.10発行 通巻097号  2008.02.13発行
通巻093号 2007.06.05発行 通巻098号 2008.04.16発行
通巻094号 2007.08.14発行    
通巻095号 2007.10.18発行    
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[094]
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2007/08/14[09-04-94]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 094号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

 ◆「仙波龍英歌集」六花書林
 ◆「(歌集)花の線画」横山未来子 青磁社
 ◆「岡井隆歌集 初期の蝶/『近藤芳美をしのぶ会』前後」短歌新聞社
 ◆「山中智恵子全歌集(上)」砂子屋書房
 ◆「自著を語る」吉本隆明 ロックキングオン
 ◆「グーグーだって猫である(3)」大島弓子 角川書店
 ◆「こんなとき私はどうしてきたか」中井久夫 医学書院
 ◆「青騎士」カンディンスキーほか 白水社    
 

[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

 ◆「地獄変三部作」大西巨人 光文社
 ◆「(歌集)乱反射」小島なお 角川書店※入荷済み
 ◆「樹が陣営32号:特集 三島由紀夫と吉本隆明」編集工房樹が陣営※入荷済み
 ◆「山中智恵子全歌集(下)」砂子屋書房
 
 
[#03] 勁版会の9月例会にて何か話をするようにと依頼されたので、「特
   価本の販売」について話すことにしました。めんどうなので断りた
   かったのですが、いつどこが潰れても不思議ではない業界の一員と
   しては、たまには世間の義理をはたしつつ、まだ潰れてはいないと
   いうことをさりげなくアピールしておくことも必要であろうと思っ
   たからです。
   
   今のところ、当日話す内容はこのあたりになりそうです。
   1 新本特価/非再販本/自由価格本/ゾッキ本とは何か
   2 その歴史
   3 1980年の新再販制、そしてその後の弾力的運用
   4 2000年末よりうちの店も特価本の販売開始
   5 特価本販売の現状と問題点、そして今後の予測
   
   1と2についてはほとんど知識がありませんが、八木書店の社長が
   「日本のバーゲンブック流通略史」という論文の抜き刷りをくださっ
   たので、それの拾い読みと感想程度ですませられそうです。3から
   は実体験として知っていますが、昭和60年に再販売価格維持契約委
   員会が発行した、「出版物価格表示基準手帖」や同じく62年発行の
   「わかりやすい非再販本の価格表示」、そして平成14年の「再販売
   価格維持契約書・覚書」あたりを基礎知識として軽く押さえておけ
   ば大丈夫でしょう。4については、当時筆者が連載していた「出版
   ニュース」のコラムの2002年4月中旬号に詳しいので、今回はそれ
   以後の状況を主に報告することになるでしょう。業界の問題点とし
   ては、徐々に出版社の理解が進んで、非再販本が質量共に豊富にな
   りつつあるにもかかわらず、取扱書店があまり増えていないように
   見えること、そして、八木書店の独占状態に割り込む卸売り業者が
   皆目見あたらないことの二つが大きいと思います。今後の予測はぜ
   んぜん見当がつきませんから、この項は見出しだけです。
   
   ※註 [勁版会(ケイハンカイ)とは、京阪神の出版社・書店など、
   出版業界関係の現場担当者の研修・懇親会で、会員外の参加・出入
   りもフリーな、気軽な集まり]だそうです。


[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その56)

  ○河原町四条北東角に、阪急電鉄が建設中の商業ビルは、10月19日に
   オープンの予定と決まったようです。ここの3階から6階に入居する
   「ブックファースト京都店」は、店舗面積約430坪で、6階にはカフェ
   とギャラリーが併設されます。エスカレーターやエレベーターや階
   段などにもかなりの面積が取られますから、正味の売場面積は以前
   の京宝店と同じかむしろ狭いくらいになるでしょう。ほかの階はファ
   ッション関係と飲食関係のようです。3階〜6階という位置も広さも
   中途半端ですが、ジュンク堂の2店よりもやや場所がよいので、それ
   なりには繁昌する見込みなのでしょう。
   河原町商店街が急速に劣化しつつあることは、以前からしつこく書
   いていますが、ちかごろではパチンコやゲームセンターですら閉店
   が目立ちます。この界隈では、この阪急のビルのほか、元ソニープ
   ラザが入っていたビルと、元京都宝塚劇場ビルの3件が新築工事中
   です。どれも商業ビルの予定のようですが、これらがある程度のレ
   ベルを維持できれば、少しは河原町の劣化が防げるでしょう。
   

[#05] 雑、雑、雑、…

  ○ブックオフが自社のサイトで新刊本の発売を始めました。これは新
   刊を売って儲けるのは二の次で、提携先のデータベースを利用して
   新古本を売るのが主目的と思います。Amazonは新刊の販売がメイン
   でしたが、古本を並列販売するマーケット・プレイス(AMP)を発明
   して大成功しました。ブックオフもAMPに、イーブックオフなどい
   くつかの関係会社名で大量に出品していますが、自社のサイトでそ
   のまねをしたくなったのでしょう。以前からネット通販のサイトは
   ありましたが、データベースがお粗末でした。新刊本のデータベー
   スをどこの取次が提供しているのかは企業秘密らしいですが、おそ
   らくそこが期待しているほどには新刊本は売れないでしょう。
   (新本を注文したのに新古本を送ってきたという、「悪意」あるデ
   マが常時流されるであろうことが予想されますし、そもそも本気で
   新本を売る気があるのかも疑問ですから)
   ブックオフのサイトの古本価格は半額が大部分のようです。したがっ
   て、AMPで少数の出品者しかなくて、ばかみたいに高い値段をつけて
   いるような本はブックオフ買い、多数の出品者が競合して値崩れの
   激しい本はAMPで買うのが正解でしょう。AMPの場合は1冊毎に送料が
   340円かかりますが、ブックオフはまとめ買いも、新古の混買いもで
   きて、合計1500円以上になれば送料無料なのも得です。
   いまのところ、まだまだ古本の出品が少ないようですが、いずれは
   もっと品揃えがよくなるでしょう。ちかごろブックオフの地べたの
   店では、以前は毎週のようにやっていた各種のセールが減少し、一
   部の店では100円コーナーが200円になったりと、全体的に値上がり
   傾向にあるようです。これは創業者の不正経理発覚による経営体制
   変革と関連しているのか、あるいは自社サイトへ売れ筋商品を回す
   と同時に、AMPへ出品をしているセドラーたちへの締め付けを狙って
   いるのかはいまのところは不明です。
   しかしネットで本を買うのはますます便利になり、新本と古本の境
   界はますますあいまいになることが確実です。
   
  ○神田の「書肆アクセス」が11月で閉店すると発表しました。地方小
   出版流通センターの直営ですが、センターが扱っていない非流通本
   も多く扱っているので、ブログでの新刊情報はたいへんに有用でし
   た。それにしても神田古書街のど真ん中で、他店ではまったく扱っ
   ていない本を多く揃えていたにもかかわらず、経営がなりたたなく
   なるとは、かなり寂しい話です。去年だったかに、詩の本の店「ぱ
   ろうる」が閉店しましたから、ほかに新本の非流通本を多く扱って
   いるのは、コミック系を除けば、「タコシェ」と「模索舎」くらい
   ではないでしょうか。もちろんこの4店は少しずつ守備範囲が違い
   ますから、残った店が消えた店の分を引き受けることはあまり期待
   できそうにありません。
   うちの店もごく少し非流通本を扱ってはいますが、そういう評判が
   立つのも善し悪しで、まったく不要な自費出版本の販売依頼を断る
   だけでかなり気疲れしますから、雑誌の取材を受けたときなどは、
   原則として扱っていないということにしてもらっています。「ぱろ
   うる」閉店時には、詩の同人誌や短歌結社誌からの問い合わせがい
   くつかありましたが、うっかり一つ引き受けると、噂がたちまち広
   がって収拾がつかなくなることがわかりきっていましたから、一切
   引き受けませんでした。
   朝日新聞の読書欄に載った「書肆アクセス」の閉店情報には、売上
   が激減したとあり、2003年と2006年売上額が記されていましたが、
   誤植ではないかと思うほどささやかな数字だったのでちょっと驚き
   ました。いくら10坪の小店とはいえ、順調だったらしい2003年の数
   字でも、書店卸しと一般売りの合計が5000万弱でしたから、テナン
   ト料と人件費を払えば、儲けはほとんどないか赤字だったはずです。
   それが現在では半減に近い落ち込みなのですから、閉店は当然とい
   えば当然の経営判断なのでしょう。
   東京に出張するたびに毎回見学はしていましたが、書店卸しは荷物
   になるのがイヤなので利用したことがありませんでした。バイクで
   行ける距離なら、毎週でも仕入れに行きたい店でしたが、そういう
   ことが可能だった近場の書店にはかなり痛いことでしょう。
   それにしても、あの店でしか買えなかった本や雑誌は今後どうなる
   のでしょうか?Amazonの「e託販売サービス」に委託するのが最善
   ではと思いますが、ヤフー・オークションに即決で常時複数冊出品
   し続けるのも、案外よい方法かもしれません。そういうことに疎い
   発行者が多いような気がしますが、地べたの書店で販売するのは難
   しくなる一方と思われますから一考の価値はあるでしょう。
   
  ○10月から郵便振替料金が改訂されますが、最大の変更は口座振替が
   無くなることです。これは送金額にかかわらずわずか15円という、
   実によいサービスで、年に何百回も利用していましたから、たいへ
   んに不便かつコスト高になります。しかし、15円しかかからないの
   に、通信文も同送でき、送金側にも入金側にも封書で通知が届くの
   ですから、どういうコスト計算なのかはいつも疑問に感じてはいま
   した。うちの場合は直接仕入れの出版社(者)への送金に利用して
   いるのですが、今後は振込しかできなくなり、1万円以下の送金で
   ATM60円、窓口100円ということでかなりの値上がりです。取引先が
   イーバンクの口座を開いてくれると、送金手数料が無料なのですが、
   郵便振替口座の存在すらこちらが教えないと知らない発行者も少な
   くなかったので、ネット口座開設は当分は期待できそうにありませ
   ん。
   

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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜94号)」はHPにて公開中です。
    
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