三月書房HOME販売速報総目次三月書房販売速報[097]


e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第10冊[91〜100号]
通巻091号 2007.01.23発行 通巻096号 2007.12.14発行
通巻092号 2007.04.10発行 通巻097号  2008.02.13発行
通巻093号 2007.06.05発行 通巻098号 2008.04.16発行
通巻094号 2007.08.14発行 通巻099号  2008.06.18発行
通巻095号 2007.10.18発行 通巻100号 2008.08.19発行
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[097]
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2008/02/13[10-01-97]  (c)SISIDO,Tatuo     

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 097号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] いよいよアメリカ経済もヤバくなってきたようですし、日本のずるず
   る先送りという政策もぼちぼち破綻しそうです。中華人民共和国も環
   境汚染や農村問題やインフルエンザや食品汚染や少数民族やらを力ず
   くで押さえつけているようですが、いつ何かが爆発しても不思議では
   ありません。もちろん、わが出版業界の不景気さは言うまでもなく、
   この先も売上げは落ちる一方で、どのあたりで底が見えるのかは見当
   がつきません。
   アメリカ発の恐慌が先か、中国の混乱が先か、日本国の破産が先か、
   あるいは出版業界の破綻が先か、ついでに大地震とか富士山爆発もあ
   るかもしれず、しかし、あまり待たされると、うちの店の寿命が先に
   尽きてしまう可能性もゼロではないというなんとも鬱陶しい状況です。
   とにかく最悪なのは、このままなにもかも、延々と先送りされること
   です。そうなれば年金も健保も税金も払いばかり増えて、戻りは減る
   ばかりという、暗い閉塞感に充ち満ちた不景気が何年も続くことにな
   ります。そんなことならいっそ何かで世直しをと期待したいところで
   すが、大震災と戦争はいやなので、世界恐慌がまだいちばんましなの
   ではないかという気になりつつあります。あの福田首相の変な落ち着
   きぶりは、アメリカ発の恐慌を確実と読み、日本政府の失政はその機
   会にぜんぶアメリカのせいにして、うやむやにできるとの見込みがあ
   るからかもしれません。もちろんその時には、わが出版業界の不良債
   権もアメリカのせいにして、うやむやにしてしまうとよいでしょう。


[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

  ◆「日本語のゆくえ」吉本隆明 光文社
  ◆「(歌集)天平の水煙」高野公彦 本阿弥書店 
  ◆「(歌集)ごく自然なる愛」小島ゆかり 柊書房 
  ◆「(歌集)花柄」魚村晋太郎 砂子屋書房
  ◆「(歌集)ぼんやりしているうちに」永田紅 角川書店
  ◆「岡部桂一郎全歌集」青磁社
  ◆「綺想迷画大全」中野美代子 飛鳥新社
  ◆「柳孝 骨董一代」青柳恵介 新潮社
  

[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

  ◆「東方見聞録」岡崎京子 小学館※2月刊予定
  ◆「風景と実感」吉川宏志 青磁社※入荷済み
  ◆「富士さんと私」山田稔 編集工房ノア※4月刊予定
  
 
[#03] 出版社の破綻ラッシュと書店の自衛策について

   昨年末から年初にかけて、エクスメディア、チクマ秀版社、山海堂、
   新風舎、草思社、はまの出版と立て続けに行き詰まりました。個々
   の事情はさておき、こうも出版社の破綻が続くと、書店の側でも警
   戒レベルを引き上げざるをえなくなり、そのことがまたさらなる出
   版社の破綻を呼びかねないというのが現在の状況です。

   出版社の倒産に対する書店の自衛策としては、某書店員氏のブログ
   にもあるように、「大手以外の出版社の本は新刊委託期限内に必ず
   返す」、「営業代行、営業TELは一切受けない」、「大手以外の出
   版社の本は注文をかけない」というあたりが代表的なようです。こ
   の書店員氏はわかっている人なので「なんか面白みにかける書店に
   なってしまいそうですが、仕方ないでしょ…」とちゃんと断ってお
   られます。今年の初めから、多くの書店がここと似たような自衛策
   を実施しているに違いないので、草思社クラスの出版社は、これか
   らの数ヶ月はほんとうにたいへんでしょう。   

   うちの店の場合、エクスメディアなどの在庫はほとんどないか、あっ
   ても微々たるものでしたが、草思社の在庫はやや意外なくらい多く
   ありました。ようするに、草思社のように、そこそこよい本を「フ
   リー入帳」で出してくれると、もしこれが返品期限がある出版社の
   本だったら、返品したであろうレベルの本まで、ついつい残してお
   くことになりがちだからです。というわけで、似たような雰囲気
   の出版社の本の在庫を少しばかり見直して、ちょっとだけシビアに
   返品しつつあります。もちろん、「面白みにかける店」になるよう
   な返品の仕方はしてないつもりですからご安心ください。
   
   うちの店の場合は、次項に載せましたように返品率が業界平均の半
   分程度しかないので、少々増やしてもまだ大丈夫のはずですが、世
   間の返品率はもはや限界に達しつつありますから、今年の1月の返
   品率がどうだったか、かなり気になるところです。もしも40%台半
   ばあたりまで上がっていて、しかもその傾向が2月も続いているよ
   うなら、3月末頃、ちょっと困ったことになる出版社がまたまた続
   出するかもしれません。
   
   ※ブログ「三月記(仮題)」にも関係記事があります   

   最後にちょっとだけ自慢させていただくと、「出版社(and)倒産」で
   グーグルすると、うちのサイトの「最近消えた出版社」が3位になっ
   てます。長期間放置同然にしてあったページなのですが、ほかに適当
   なサイトがないのでしょうか?おかげでこのところ、かなりのアクセ
   スがあったようなので、このままではみっともないと、ちょっと手入
   れ中です。過去の版元倒産について、何か補足情報をご存じの方はぜ
   ひお知らせください。倒産予測も歓迎しますが、そちらはネットには
   載せられませんのでご了承ください。
   ちなみにyahoo!で同様に検索すると23位でした。これだけを見ても
   グーグルの優秀さがわかりますね(?)
  
[#04] 日販への返品率

   2004年   書籍17.0% 雑誌28.4%
   2005年   書籍20.6% 雑誌34.5%
   2006年   書籍17.4% 雑誌28%
   2007年   書籍18.6% 雑誌26.8%
   
   これは金額による返品率で、部数の方の返品率は不明です。書籍の
   方に常備と長期の返品を加えても24%程度ですから、世間の40%前
   後という数字に比べるとかなり優秀でしょう。ほんとは常備と長期
   を加えて20%未満が望ましいのですが、この5%ほどは、注文した
   覚えのないパターン配本の返品分に当たると考えていますから、い
   まのところは仕方ないでしょう。パターン配本の本は、まったく売
   れないわけではありませんが、2割か3割程度しか売れてないよう
   な気がします。雑誌の返品率はひところよりやや改善されてますが、
   これはムック類の入荷がやや減りつつあるからと思われます。
   

[#05] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その59)

  ○昨年5月末にオープンしたばかりだった「黒猫堂」が、店主の急逝に
   より閉店してしまいました。「黒猫堂」のサイトがまだ残っています
   が、1月24日付のご遺族からの告知によれば、風邪をこじらせて1月18
   日にお亡くなりになったとのこと。故人のブログによれば16日は営業
   されていますから、まことに突然のことだったようです。
   
   あいにくうちの店と定休日や営業時間が重なっていたため、一度だけ
   しか行けませんでしたが、グラスが良いのかたいへんにおいしいビー
   ルが飲めました。昨年末から少しメニューも増え、営業時間も延びつ
   つあったので、これからは少し行きやすくなりそうだと期待していた
   ところでした。古本のほうもあの店に合った私物を、寄付または委託
   して処分してもらいたいと考えていたので本当に残念です。   
      
  ○河原町丸太町上ルにあった医書販売の老舗書店、「金原商店」が年明
   けに自己破産していました。
1875年の開業で1926年に出版部門を分離
   しましたが、こちらは今も健在の金原出版です。このあたりの関係は
   河原書房(書店・廃業)と河原書店(出版・健在)や、オーム社の書
   店部門(撤退)と出版部門(健在)と似たような感じです。わずかこ
   れだけのサンプルでは何とも言えませんが、書店よりも出版社の方が
   ちょっとだけ耐久力があるのでしょうか。
   
  ○今年もみすず書房と東大出版会の書店別売上げランキングが届きまし
   た。1年前のデータは91号に載せましたが、前期同様に京都関係の書
   店のみ、売上げ冊数を単純に合計して、前年比を計算してあります。
   前号に掲載した筑摩書房の分とあわせてご研究ください。
   
   ※みすず書房は2006/12〜2007/11、東大出版会は2006/10〜2007/09
  
   1(1) 京大生協ルネ   前期比96%
   2(2) 立命生協存心館     76%
   3(3) ジュンク堂京都店    95%
   4(6) ジュンク堂BAL店    165%
   5(5) 同志社生協今出川    109%
   6(7) アヴァンティBC     134%
   7(8) 大垣書店烏丸三条    94%
   ※( )は前年の順位ですが、(4)は「旭屋書店京都店」でした。

   「ジュンク堂BAL店」は2006年2月下旬開店でしたから、前期は半年と
   少々しかなかったわけです。したがって、今期は丸々1年分ですから、
   前期比65%増ではやや苦戦中なのではないでしょうか。「アヴァン
   ティ」が伸びたのは、昨春に近鉄百貨店の「旭屋書店」が消えたおか
   げであることは確実でしょう。旭屋が消えてからの9ヶ月ほどで34%
   増えたとするならば、1年に直すと50%弱増えたことになります。
   「旭屋」の分を丸ごといただくのは無理でしょうから、およそ5割増
   というのは、1000坪の店のお客が400坪の店に流れた数字としては、
   かなり妥当な線ではないでしょうか。「ジュンク京都」と「大垣烏丸」
   の5%程度の減は、全国的に見てごく平均的と思われます。ちなみに、
   みすず書房の全国1位「紀伊国屋新宿本店」は9%の減、東大の同1位も
   同店で4%の減でした。次期は昨秋開店の「ブックファースト河原町店」
   がどのあたりに入ってくるかを注目しましょう。
   
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 『attntion no.2』「人文書編集者の軌跡」富岡勝(元・勁草書房)ほか
           定価1000円 編集・発行 竹中龍太[real arena]

    ※三月書房でも販売してます。創刊号は在庫僅少。(通販送料100円)
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜97号)」はHPにて公開中です。
     
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