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ハルピュイアたち($Arpuia, pl.$Arpuiai)

harpuia.jpg  クレータ島の女神の住み家ディクテ山で生まれたの精で、女性とみなされていた。彼女らは、腐肉を喰らう(おそらくは、ハゲワシ)の形姿を与えられていた。ハルピュイアは、胴体がで、頭部と乳房は人間の女であり、この姿からは、の衣装をまとって首と胸をあらわにしていたミーノース風の葬儀の巫女たちが連想された。ハルピュイアという名は、「かすめ取る者」または「むしり取る者」の意であり、葬儀の音楽でハープを使うことと関係があったと思われる。ハープは、むしり取るような手つきで演奏されるからである[1]。父権的なギリシア神話になると、ハルピュイアは醜悪な怪に変えられてしまったが、彼女らはもともとは、タントラのダキニdakinisや北欧神話のヴァルキューレ Valkyriesと同じく、の天使だったようである。キリスト教のイコンの場合、霊魂を天国へ運んでくれる翼を持った天使たちは、やはり昔と同じようにハープ奏者の姿で描かれていた。


[1]Graves, G. M. 1, 128. ; 2, 230.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 もとはつむじ風としてのクレータ島の死の女神を人格化したもの(『オデュッセイア』I_241, XX_66, 77)。(グレイヴズ、p.151)
 の姿になって飛び去ると信じられていたから、彼女たちも餌食を待ち伏せしてつかまえる猛禽の姿に描かれた。(グレイヴズ、p.1000)
  語源は明らかに「ひったくる」「毟りとる」を意味するaJrpavzw。これはまた竪琴を演奏するときの動作でもある。ここから、彼女たちの持ち物は(セイレーンたちと同じく)竪琴になる。キリスト教の天使たちもまた竪琴を持っているのは、死の天使の末裔であることを示していると云える。
 point.gifpsychopompos.


[画像出典]
Plato - Mad Prophesying
 Harpy from a tomb frieze from the acropolis of Xanthus, Asia Minor, c. 500 BC; in the British Museum .