「魔術の祖母」の意。マイアは、ヘルメース(ギリシアにおける「秘儀を極めた者」)の母親であり、仏陀(ヒンズー教における「秘儀を極めた者」)の母親マーヤーMaya(「魔術」)の西洋版だった。マイアは、魔術によって宇宙を創造したマーヤー・カーリーが持っている力と同じ力、すなわち、事物の形態を変えたり、事物を「出現」させたりする力(エネルギー)を擬人化したものだった。ギリシアの神話記者は、マイアをプレイアデスの7姉妹の1人と呼んだが、同時にまた、彼女が5月に行われるさまざまな祭典の太女神、すなわち、死者を復活させ再生させる太女神であることも承知していた。マイアは息子のヘルメースを冥界の「霊魂導師」にしたが、これは、ヒンズー教のマーヤーが、自分と対をなす男神ヤ・マを「霊魂導師」ならびに「死の王」にしたのと同じだった[1]。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)