「賢い人」の意味。メディア人の名祖としての女神。メドゥサとメーティスのように、サンスクリットのmedha(女性の知恵)の観念にちなんで名づけられた[1]。メーデイアは女性の治療術の源であって、名前は「薬」と関連があった[2]。メーデイアはアイソーンの神話によって示されているように、魔法の大なべの中で死者を甦らせることができた。アイソーンはそのようにして甦らせられたのであった。プリニウスはメーデイアを魔術によって太陽、月、星を支配できる女神と呼んだ[3]。メーデイアはヘビに引かせた二輪車に乗っていたが、この車には、メーデイアが大地と天界の両方を支配していることを示すために翼があった[4]。
へーロド卜スによれば、メーデイアはパルティアのアーリア族すべての太女神であった[5]。メーデイアは全知で、絶対に死なず、永遠に天界に住んだ[6]。
メーデイアはアイルランドでは、神聖な木と再生の井戸に関連ある女神メダナとして記憶されてきたようだ。メダナの水は痛む目を治すと評判になった。メダナは人為的に聖女の列に加えられた。キリスト教のメダナ伝説は、同じ構造をもつ霊ルキア St. Lucy伝説をまねしていた[7]。
ギリシア・ローマの神話のメーデイアとイアソーンとの星回りの悪い結婚の話は、女神の捕らえられた偶像にもとづいていた。メーデイアの儀式はギリシアに輸入されたが、結局、ギリシア人の好みには殺伐すぎるとされた。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)