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モイラ(Moi:ra pl. Moi:rai)

moira.jpg  ギリシア神話の運命を司る三女神。「紡ぐ者クロートー」、「測る者ラケシス」、「切る者アトロポス」を指す。オリエントの三相一体の女神、「創造する者」、「維持する者」、「破壊する者」に相当する。古代世界のすべての国において、人生は、「乙女」によって紡がれ、「母親」によって測られ支えられて、「老婆」によって切られる神秘的な糸であるという原理が認められていた。

 女神アプロディーテーは、「時」より古いと言われる「大いなる運命の女神モイラ」として三相一体の姿をとった[1]。死者を運命の女神(モイラ)の手に委ねるギリシアの葬送の頒歌は、モイロロギアmoirologhia (運命の三女神Fatesへの祈り)として知られていた。


[1]Bachofen, 57.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 モイラは元来「割り当て」の意味を有し、一人の人間に割り当てられる人間の最大の関心事は寿命であるから、ここにモイラは「」と関連づけられ、同時に生との関係から、エイレイテュイアとも結びつけられる。すなわち、これもまた三相一体の女神である。それぞれの名は、ラケシス LavcesiV〔配給者〕クロートー Klwqwv〔紡ぎ手〕アトロポス !AtropoV〔変えるべからざる女〕である。


[画像出典]
The Moirai, Themis
Collection: Florence, Museo Archeologico Nazionale
Museum Catalogue Number: Florence 4209
Beazley Archive Number: 300000
Summary: Wedding of Peleus and Thetis
Ware: Attic Black Figure
Shape: Volute krater
Painter: Signed by Kleitias
Date: ca 570 - 560 BC
Period: High Archaic