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ネーレーイスたち(Nhrhi<V, pl. Nhrhi<deV)

nereis.jpg  ギリシア語で、ニンフ、妖精、人魚、女性的性格の精を総称して呼ぶ用語。パルナッソス山には「ネーレーイスの穴」と「ネーレーイスの泉」があった。クレータ島のあるは全山がネーレイスの城であった。姿を自在に変える者として、ネーレイスはときには美しい女性、ときには動物になって現れた。キリスト教徒はネーレイスを「女悪魔たち」と呼び、彼女たちの統率者をラミアーと呼んだ[1]。


[1]Hyde, .143-46

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 海の支配者である三面相のの女神の異名。ネーレーイスは50人いると云われるが、これは、彼女らのために魔術の祭式を行えば必ず大漁が約束されるという五十人のの巫女たちのことらしい。(グレイヴズ、p.189)

 ふつうの話の筋では、満月のもとであざらしの群がひと影のない海岸を目ざして泳ぎより、おかに上ると、すっぽりとその皮をぬいでうら若い乙女にかわるのをたまたま英雄が目撃する。乙女たちが砂の上を裸でおどりまわっているあいだ、彼は岩かげにかくれて様子をうかがい、ついであざらしの皮をひとつ奪いとって、その持主を思うままにする力を手にいれ、彼女と交わって子どもをもうける。最後に二人は仲たがいして争い、彼女は自分の皮をふたたびとりもどしてもとの海を泳ぎかえるというのである。

 テティス結婚式で五十人のネーレーイスたちがおどったとか、アキレウスを生んだあとで彼女が海へもどったなどというのは、同一の神話のさまざまな断片だと思われる。この話の起源は、の女神につかえる五十人のあざらしの巫女たちの祭式による踊りであったろうと 思われる。この踊りは、巫女の長が聖王をえらぶ儀式の序章をなすものであった。この神話はアイギーナ島が舞台になっているが、セーピアス岬の近くでぺーレウスがテティスとたたかったという話から判断すると、おなじような祭式が一団のいかの巫女たちによってマグネーシアで行われたのであろう。クレータ島でつくられた工芸品にはよくいかの図案が見られるが、クノーソスの王室宝物殿所蔵のはかりの原基にも、カルナークやブルターニュのそのほかの土地にある巨石の記念碑にもそれが見られる。ぺーリオン山の神聖な花であるアネモネに八つの花弁があるように、このイカの図案にも八本の脚がある。(グレイヴズ、p.394-395)


[画像出典]
Nereis
Collection: Paris, MusËe du Louvre
Museum Catalogue Number: Louvre G 3
Beazley Archive Number: 200435
Summary: Side B: Chiron with the infant Achilles
On the neck, sides A and B: Nereids
Ware: Attic Red Figure
Shape: Amphora
Painter: Attributed to Oltos
Date: ca 520 BC
Period: Late Archaic