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e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第10冊[91〜100号]
通巻091号 2007.01.23発行 通巻096号 2007.12.14発行
通巻092号 2007.04.10発行 通巻097号  2008.02.13発行
通巻093号 2007.06.05発行 通巻098号 2008.04.16発行
通巻094号 2007.08.14発行 通巻099号  2008.06.18発行
通巻095号 2007.10.18発行 通巻100号 2008.08.19発行
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[100]
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2008/08/19[10-04-100]  (c)SISIDO,Tatuo     

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 100号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

  ◆「富士さんとわたし」山田稔 編集工房ノア
    定価3675円とよい値段にもかかわらず、1ヵ月で30冊以上売れ、
    その後も順調に売れ続けてます。ちびちび仕入れすぎで、しょっ
    ちゅう在庫を切らせてますが、年内に50冊は軽く超えるでしょう。
    ちかごろ、こんなによく売れる本はまことに貴重です。この本を
    店頭に在庫しているのは、ジュンク堂などごく一部の書店だけら
    しくて、通販が半分くらいありますが、これはブログで宣伝した
    効果がかなり大きかったようです。ちなみに「富士さんとわたし」
    でグーグルすると、きょう現在、うちのブログが第1位ですから、
    これはちょっと自慢しておきます。
    
  ◆「吉本隆明の声と言葉。」東京糸井重里事務所
  ◆「吉本隆明50度の講演」東京糸井重里事務所/紀伊国屋書店・発売
  ◆「現代思想 増刊号 総特集=吉本隆明 肯定の思想」青土社 
    「声と言葉。」は一般流通は無しで、糸井事務所からの直仕入れ
    のみですから、販売している書店はごく限られているようです。
    CD附き1500円と安いこともありすぐに70冊を超えましたが、これ
    も半分以上が通販でした。
    「50度の講演」は5万円(CD115枚+DVD-ROM1枚+解説書)もするの
    に30セット以上売れてます。これは、今のところ8割方通販です。
    ほんとなら50セットくらいは売れそうだったのですが、28000円の
    廉価版(DVD-ROM1枚+解説書)が同時発売になり、しかもこちら
    は糸井事務所の直売のみだったので、かなりそちらに食われまし
    た。5万円版は3000セット限定となってますが、これははたして限
    定にする意味があるのかどうかわからないくらいの多さです。
    廉価版がなくても完売は無理っぽいと思うのですが、現在、全体
    でどの程度売れているのかは聞いてません。しかし、7月に昭和女
    子大人見講堂において、糸井事務所主催で吉本氏の独演会があり、
    これがキャパ数千名にもかかわらず、発売とほぼ同時に売り切れ
    たようですから、ふつうの出版社では考えられないような、上手
    な宣伝活動をして、新しい読者を開拓しているのかもしれません。
    (この講演会の記録もDVDとしていずれ発売されるようです)
    
    こんなことを言っては何ですが、今回がおそらく〈吉本〉本販売
    の最後のピークではないでしょうか。これは吉本氏の健康や年齢
    がどうこうということではなく、中心的な読者の年齢や経済力か
    ら考えてのことです。うちの店での、5万円セットの購買客の平均
    年齢はおそらく60歳を少し越えたあたりと推定されます。今後は
    年金暮らしの方も多くなるでしょうし、読書力の減少も避けられ
    ません。
    というわけで「吉本全集」を出すなら、営業面のみで言えば今が
    チャンスのような気がしますが、ご本人はまだまだお元気なので、
    編集面から考えれば、10年くらい先にしたほうがよさそうに思え
    ます。
    
  ◆「(歌集)存在の夏」村木道彦 ながらみ書房
  ◆「狩猟と編み籠:対称性人類学2」中沢新一 講談社
  ◆「栞と紙魚子の百物語」諸星大二郎 朝日新聞出版
  ◆「ブックデザインの構想」平野甲賀・黒川創 編集グループ〈SURE〉
  

[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

  ◆「シリーズ牧水賞の歌人たちVol.3 永田和宏」青磁社※入荷済み
  ◆「臨床瑣談」中井久夫 みすず書房
  ◆「(歌集)」が大量に出る季節が近づいてきましたが、まだいまの
   ところ多く売れそうなのは見あたりません。


[#03] 近ごろちょっとまずいことになったらしい出版社など。

   前号以降ちょっとまずいことになった出版社は、洋販とマガジン
   ファイブくらいでしょうか。ほかにもいくつか倒産とか撤退のう
   わさを聞きましたが、ぜんぜん知らない版元でした。湯川書房も
   湯川さんがお亡くなりになったので、店じまい確実と思われます
   が、まだご遺族からの正式発表は届いてません。

   洋販は出版社ではなく取次ですが、7月半ばに倒産しそうとのうわ
   さが流れてきました。教えてくれた書店も、その書店に情報をも
   たらしたらしい別の書店も返品完了したとのことでしたが、うち
   は洋書の委託品などぜんぜん無いので無関係でした。インテリア
   関係の洋雑誌を何種類か客注で仕入れていますが、これらの定期
   配本が今後どうなるのか、まだ日販から連絡がありません。洋販
   はここ数年、投資ファンドとかM&Aとか持ち株会社とか、ごちゃ
   ごちゃと話題になってましたが、何が何だか結局のところよくわ
   かりません。青山BCは本体とは別会社なので、ブックオフの支援
   により再建の見込みだそうですが、ランダムウォークは洋販本体
   の直営なので閉店のようです。それにしても、同じ持ち株会社の
   下で、商品も金融も融通しあい、互いに入り組んだ保証もしてい
   たはずなのに、片方が倒産で片方は民事再生と、そううまく行く
   のでしょうか。ほかにも、京都の某美術系出版社との合弁で、和
   物文化の英語本を制作して欧米に輸出するということも始めてい
   たはずですが、あれはどうなるのでしょう。
   
   マガジン・ファイブは前身のソフト・マジックに続く2度目の破
   綻です。この春にチクマ秀版社が破綻したときに、うちの店の棚
   を眺めると、どうもマガジン・ファイブもやばそうな気がしたの
   でほぼすべて返品してしまいました。チクマもここも水木しげる
   などの貴重な漫画を復刊していたのですが残念なことです。(た
   だ、ちかごろ小学館や朝日新聞出版などがクラシック漫画の上質
   な復刊本を比較的廉価で出し始めていますから、棚は寂しくなっ
   てはいません)。マガジン・ファイブは日販などに直接の口座が
   なく、星雲社が発売元でした。マガジン・ファイブの破綻のうわ
   さが流れてからも、返品は星雲社が変わらずに引き取っていたと
   のうわさです。星雲社の下には100社前後の小出版社がぶらさがっ
   ていて、書店としては個別に仕入れるよりも、たいへんに便利な
   のですが、傘下の出版社が次々に破綻しても大丈夫なシステムが、
   ちゃんと形成されているのかどうかが、大いに気になるところで
   す。
   
   湯川書房は1970年代の初めの創業で、極めて上質な本作りに定評
   がありました。出版業界には限定版と言って購買客を煽る商法が
   あり、1970年代にはちょっとしたブームになりました。しかし、
   湯川さんの本はそういう為にする限定本ではなく、紙や印刷や装
   幀や造本にこった結果、限定販売するしかないような部数しか作
   れなかったというような感じでしたから、限定本バブルが数年で
   はじけたあとも続けられたのでしょう。ただ、1970年代の後半だっ
   たかに、従業員も雇って、一般流通本(鈴木書店帳合)の出版に
   乗り出されたことがありましたが、こちらはどうも中途半端な結
   果に終わったような記憶があります。
   ここ10年ほどは、新たに出版された本の中から、少し余分があり、
   うちの店でも売れそうに思われる本のみ直接卸していただいてま
   した。選定はすべて向こうにお任せでしたが、最後に委託してい
   ただいたのは、車谷長吉さんの第二句集で百部限定参万円という
   ものでした(※売り切れ。在庫なし)。
   

[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その62)

  ○2006年7月末にオープンしたばかりの「ランダムウォーク京都寺町
   店」は洋販の倒産に伴って、2007年7月31日に閉店しました。青山
   ブックセンターなどと違って、こちらはほぼ再開の見込みはなさ
   そうです。開店時に一度見学に行って以後は、一度も入店したこ
   とがないままで終わりました。店頭のワゴンセールの洋書バーゲン
   は通りがかりにちらちら見ていましたが、絵本やペーパーバックス、
   そしてタッシェンの画集などが主でした。この書店が無くなって不
   便になるのは、外国人に洋書を置いてないか聞かれたときに、「ラ
   ンダムウォーク」へ行くようにと教えられなくなったことくらいで
   す。以前は、もちろん丸善を教えたものですが、残るはジュンク堂
   のBAL店くらいです。 ブログに記事があります。   
      (
   
  ○6月30日にオープンした「右京中央図書館」へ、やっとお盆休みに
   行けました。京都市の図書館の休館日はうちの店の定休日と同じ
   火曜なので不便なこと限りなしです。この図書館は、うちの店から
   乗り換え無しで行ける、地下鉄東西線太秦天神川駅に直結している
   のでたいへんに便利です。いずれ引退して、敬老乗車証を持つ歳に
   なれば大いに役に立つことでしょう。それまでにせいぜい蔵書を充
   実しておいてほしいものです。今、現在の開架棚はスカスカですが、
   閉架図書がどの程度あるのかは調べてません。館内には読書用のス
   ペースや検索用のスペースなどが豊富にあって、なかなか居心地が
   よさそうでした。ここはいちおう30万冊が目標とのことですが、いっ
   たいいつになったら100万冊レベルの中央図書館ができるのでしょう
   か。京都市もかなり財政状態はひどいようなので、ぜんぜん期待は
   できませんが。
   
[#05] 雑、雑、雑、…

  ○とてもささやかな話ですが「ハリポタ」の最終回は3冊の売上げでし。
   た。前回が2冊でしたから、最終回はやや持ち直しというあたり、世
   間と同じ傾向です。一番売れた巻で5冊でしたから、業界全体の百万
   分の1程度がうちのシェアということになります。いずれにしても
   無事に完結してまずはめでたいというべきでしょう。
   
  ○国会図書館から、この「e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)」を
   データベースにリンクしたというメールが来ました。正式には「
   立国会図書館データベース・ナビゲーション・サービス
:Dnavi」とい
      うものらしいです。よくわからないのですが、ようするにリンク集な
      のでしょう。有名どころからリンクを貼ってもらえると、ページランク
       が上がりそうなので、喜んで了解しました。ついでに、リンクだけで
       なくハードディスクに保存してくれないかと聞いてみたら、それも可
       能だそうです。こちらはペーパーで承諾書を送りましたが、アップ
       されるのはまだしばらく先のことでしょう。うちが契約しているプロ
       バイダは、丸ごと2度も売り飛ばされてしまい、今後いつまで今の
      URLが維持できるのかわかりません。国会図書館に保存してもら
      えれば、プロバイダがこけてもこのバックナンバーだけはしばらくは
      残るはずです。
   
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜100号)」はHPにて公開中です。
     
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