京都雨乞い伝説

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京都雨乞い伝説


 太古は湖だった京都盆地はその後湿地となり、相当干上がってから平安京が造営されたとはいえ、中央付近には乾ききらない部分が残されていた。そこを無理に排水することなく、むしろ積極的に残して大内裏の苑池としてできたのが、現在の二条城の南側に位置する神泉苑である。
 奈良の平城京と平安京を比較した際、平安京は水に執着したとも言われている。神泉苑こそ、水への執着の象徴的存在だ。

 実際、京都には様々な龍伝説が残されているが、特に神泉苑を舞台としたものが多い。例えば今昔物語にはこんな龍伝説が残されている。

 昔、ある天皇の時代、京都では長引く日照りのため作物が枯れ果ててしまった。これを見かねた天皇が、弘法大師に「雨を降らせることができるか」と尋ねたところ、「私はその法を心得ています」と答え、弘法大師は神泉苑のほとりに祭壇を築き、雨乞いの祈祷を始めた。七日間ほど祈ると、祭壇から頭上に五寸ほどの金色の蛇を乗せた大蛇が現れ、やがて池の中に姿を消した。それは天竺に住む善女龍王が神泉苑に参られたことを意味し、そのうちににわか雨が降り出したという。水の霊力を具現化した生き物が龍だと言われており、雨乞いとはまさしく龍に祈る行事なのである。
 神泉苑の池の水は今でも湧き出ており、当時の空海による雨乞いの祈祷を偲ぶこと
ができる。


 京都において、雨乞いの儀式儀礼は他でも見ることができる。亀岡市で毎年四月に行われる「出雲風流花笠踊り」は、中世から近世に渡って盛大に行われてきた雨乞いの芸能である。桜や紅葉など四季の花笠を被り、太鼓を叩きながら踊る。
 宇治田原町では大滝にウナギを投げ入れ、「雨たもれ、龍王の、天に汁気はないかいな」の言葉を唱えながら雨乞いを行う儀礼が毎年九月一日に行われている。

 いずれも民衆の手による雨乞いだが、朝廷も多くの雨乞いを行ってきた。貴船神社では毎年三月九日に雨乞祭が催され、やはり「雨たもれ、雨たもれ、雲にかかれ、鳴神じゃ」との言葉が唱えられる。雨たもれの言葉が共通しているのが興味深い。

 貴船神社と同じく賀茂川の源流に位置し、洛北雲ケ谷の北西にそびえる岩屋山にある志明院でも、毎年四月に飛竜龍権現の祠の前で護摩を焚いて雨乞いの儀式が行われる。
 護摩洞窟と呼ばれる岩窟は、志明院の高僧鳴神上人が宮廷への怨みから龍神を閉じ込めてしまった場所である。鳴神上人の思惑通り、京の地は日照りが続き、一滴の雨さえ降らなくなってしまった。
 そこで宮廷は雲の絶え間姫との名を持つ美女を岩屋へ派遣し、鳴神上人と恋に陥るよう仕向けたところ、鳴神上人が姫の美しさに惑わされ酒に酔いつぶれたのを見計らい、姫は岩屋のしめ縄を切って龍神を空へ解き放ったという。すると、都には雨が降り出した。歌舞伎十八番「鳴神」で登場する有名な龍伝説である。