女性の彫像を神殿の柱としたものである。ギリシアの伝承では、その彫像となる女性はアルテミス・カリュアティス!ArtemiV Karua:tiVの巫女〔KaruavtideV〕であった。この巫女はカリュアイKaryai〔ラコニア北部、アルカディアとの国境にある村。アルテミス神殿があった〕の月に仕える巫女たちをモデルにしたものであった。母権制をとっていた神殿に仕える7人の女大祭司たちは、「知恵の7本の柱」と言われていた。聖書では、知恵の女神は「自分の家を建て、その7つの柱を立て」となっている(『箴言』第9章1)。紀元前3000年もの昔、モアブ人の女神の神殿には、7つのメンヒル(有史以前に記念などのために建てられた垂直の巨石)があった[1]。その柱はそれぞれが「7人の母親たち」のそれぞれの霊魂を表す像となったことは、明らかである。この「7人の母親たち」の柱が、本来、「教会の柱」であったのである。
Pleiades.
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)
カリュアーKaruvaは「クルミの樹」の意味。クルミに変えられたラコーニアの乙女の伝説がある。
ラコーニアの王女カリュアーはディオニューソスに愛されていたが、カリュアイ〔胡桃の意をふくむ〕で急死し、酒神によって胡桃の木にかえられた。アルテミスがこの知らせをラコーニア人たちに伝えたので、彼らはさっそくアルテミス・カリュアティスをまつる神殿を建造した。なお神殿の柱がわりに用いられた女性の立像カリュアティデスの名前は、その祭神からでているのである。カリュアイでもまた、ラコーニアの女たちは、ディオスクーロイに教えられて毎年舞踊の会を催し、この女神をしのんでいる。(グレイヴズ、p.416)