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ヘリケー( +Elivkh)

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 「ヤナギ」の意でヘカテーの処女相の称号。ヘリケーは、新月として、あるいは「ミューズの山」をとりまいているヘリコーン(「ヤナギの小川」)となって顕現した。アルテミスと同じく、「ヤナギの処女」ヘリケーもと大熊座の双方に関連していた。大熊座は、「ヘリケーの軸」と呼ばれた天の北極を中心にして、永遠に回転し続けている[1]。魔女たちは、ヤナギの枝を小宇宙の「世界軸」と考えていた。
 point.gifWillow.


[1]Lindsay, O. A., 251.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 ヘリケーはアルカディア地方の言葉でヤナギを意味するが、これは、しなやかに曲がるところからつけられた名称である。ヤナギは三面相のムーサにゆかりのある五番目の暦の神木であるが、ムーサに仕える巫女がこの木をあらゆる種類の妖術や水の魔術に用いていた。(グレイヴズ、p.238)

 ヤナギの木はまた、ヘリコーン河 — パルナッソス山のぐるりを曲がりくねって流れる霊感を与える河にも、その名を与えた。デルポイの神殿の壁画に、ヤナギの木にもたれて、その枝に触れているオルペウスの姿が描かれているのは、そのためである(パウサニアース・第10書・30・3)。(グレイヴズ、p.171)