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オレステース(=OrevsthV)

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 古代ギリシアの母親殺し。母権制社会の究極の法を破った罪で、運命の女神から追及された。運命の女神たちは、母親の「内奥にある血」が生命をつくるのであるから、母親殺しより重い罪はないと主張した。しかし アポッローンは、たとえ彼が母親である女王クリュタイムネーストラーKlytaimnestraを殺したとしても、彼女は真の親ではない、真の親は父親だけだという理由で、オレステースを弁護した [1]


[画像出典]
Orestes pursued by the Erinyes
Lucanian Red Figure Nestoris C4th BC
Naples, Museo Archaeologico Nazionales

Detail: Two Erinyes, their arms entwined with snakes, harrass Orestes


[1]Bachofen, 159.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 「だいたいが母というのは、その母の子と呼ばれる者の生みの親ではない、その胎内に新しく宿った胤を育てる者に過ぎないのだ。子を儲けるのは父親であり、母はただあたかも主人が客をもてなすように、その若い芽を護り育ててゆくわけなのだ。こうしたものの理の証拠といえば、母はなくとも父親たり得る例が世にも少なからず、現在目近にも証人として、オリュムポスなるゼウスの御娘、アテナがおいでになるではないか。女神はかつて、母胎の闇に身の養いを受けたことはない、しかも世のいかなる神も、かほどの若木を生い立たしめは叶わぬであろう」(アイスキュロス『慈みの女神たち』658-666、呉茂一訳)。