〔童謡〕 クリスマスののち12日間「私の忠実な恋人」は贈り物を続ける。その最初の贈り物が「梨の木にいるシャコ」である。
「クリスマスの12日目、私の忠実な恋人は、跳びはねる12人の殿様と、踊る11人のお妃と、笛を吹く10人の笛吹きと……を贈ってくれた」。
この童謡はフランス起源のものであろう。連ごとにどんどんふえていく歌詞を忘れたりまちがえたりした場合の罰金遊びの例である。
この12日は昔の暦の各12か月に相当し、贈り物もそれぞれの月に関係し、「私の忠実な恋人」とは「豊穣の太陽神」を意味したのであろう。(アト・ド・フリース『イメージ・シンボル事典』)
中世英語のpertriche (partridge、シャコ、ヤマウズラ)は、アテーナイの聖王の1人ペルディクスPevrdixから派生した語であった。ペルディクスは塔から海に投げ込まれたが、女神によって鳥の姿に変えられて天界へ運ばれた[1]。彼はシャコであり、女神はナシの木であった。女神アテーナーはボイオーティア(アテーナイ北西方の古代ギリシアの地方)ではオンケー(すべてのナシの木の母である「ナシの木」)として、崇拝されていた。ペルディクスの名は本来は「失われた者」を意味した。彼はヒマラヤの聖なる都市バドリナト(バドリbadri「ナシの木」から派生した語」)において「ナシの木の王」と呼ばれたヴィシュヌ-ナーラーヤナの姿の1つであった。ナシの木はユーラシア大陸のいたるところで女性的-母性的な意味を持っていた。ナシの木はまたヘーラーに捧げられた木であり、ミケーネのヘーラーの神殿にある最も古いヘーラーの像は、ナシの木から作られた[2]。ヨーロッパの農民は、ナシの木を女児の気に入りの「生命の木」(子供が生まれたとき植える木)と考えていた。ロシアでは雌ウシを保護するお守りであった[3]。
しかし、ナシの木のシャコは、明らかに聖王ベルディックスではなく、キリストのシンボルとされており、そのイメージはクリスマス・キャロルにも取り入れられている。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)